第21話、脱衣と鼻血
「広樹に挑ませているのは、いわゆる大昔の方法なの」
ほほう〜
「既に絶滅したアーマードマンモス。それに肉弾戦を余儀なくされた原始人が、精神エネルギーのコントロールに目覚めたそうよ」
そうかそうか〜
アーマードマンモスか〜
そりゃあ目覚めるよ。
だって鎧だもん。
凄く強そうじゃん。
「でも今は、もっと安全で簡単な方法があるの」
そうそれ!
どうして初めに言ってくれなかったんだよ!?
「この方法はね……私には……その」
「詩織?」
詩織が顔を赤く染めて、悶えるように頭を抱えている。
そんなにもヤバイ方法なのか。
じゃあ簡単で安心なのは?
「スーハー…スーハー…」
そんな深呼吸をするほどの方法なの?
「そのね……私が広樹に……精神エネルギーを注いでね……」
それは以前に経験した。
俺に初めて魔法を放った時も、詩織は精神エネルギーを使って、俺の精神エネルギーを引き出したと言っていた。
そこに問題はない筈だ。
「精神エネルギーの源泉に介入して、邪魔になっている防壁を一度破壊するのよ……それで、その」
ちょっと偏った説明だが、なんとなく分かった。
で、続きは?
「精神エネルギーが通れる、扉の働きをしてくれる通り道を構成して。それを作ってから防壁を修繕。それで広樹は精神エネルギーを自由に扱えるように…………うっ」
よし、だいたい分かった。
じゃあさっそく、
「やっぱり駄目!私が広樹にやるなんて!」
そんなヒステリック叫んでないで早く早く。
簡単で安全なら俺は問題ない。
いつも命の危険と隣り合わせだったんだ。
もう怖いものなし。
でも、どうして駄目なのかも気になるな…
「何が駄目なんだ?簡単で安心なら…」
「っ!……だって……広樹は……男だから」
…………ん?
顔を赤らめて、その発言…
あれ?
なんか地雷踏んだ?
「本当は親が子供にやる行為なの……親なら、恥ずかしくないから……」
恥ずかしい……?
ちょっと嫌な予感が真実めいてきたぞ。
俺は詩織に何を言わせようとしているんだ?
「その……は、裸になる必要が」
「ごめんなさい!!」
俺は土下座した。
いや、ほんとすいませんでした。
「セクハラだった!そりゃあ無理だ!何も知らずにお願いして本当にすまん!」
「ええ。そうね。セクハラだったわね。私もこんな事を教えてしまってごめんなさい」
詩織は頬から赤みを引かせて、ハハハと微笑んだ。
「親に上半身裸を見せるのは簡単だったけど、男を脱がせてしまったら極刑ものよね」
そうそう、親に見せるのならつゆ知らず、男の上半身裸なんてな〜…………ん?今なんて?
「良かったわ。広樹もそこまで常識知らずじゃなくて。軽々しく私に裸を見せてきたら、目も当てられなかったわよ」
…………。
俺が上半身裸になるだけ?
…………。
「じゃあトレーニングに行きま──」
スバァッッッ!
「脱いだぞ!さぁやってくれ」
「んぶぅっ──!!?」
ブシャアアァァァアアアアアッ!
『広樹は衣服を脱いだ』
『広樹の防御力が3下がった』
『詩織は大量出血を起こした』
『詩織のHPが100/1になった』