番外編その2の4 (約900字)
「えっと……」
「もぐもぐ……ラチカだ」
ユウタはラチカと名乗る少女と一緒に、ファストフード店に入り二人用の席を確保して向かい合わせに座っていた。
「ラチカ。もう一度話し聞かせてくれる?」
取り敢えず自己紹介して、クリスマスマーケットから離れた後、ちゃんと話を聞くために近くのファストフード店に入った。
そこでラチカがクンクンと鼻を動かしてこう言ったのだ。
「ユウタ。お腹すいた。あれ買ってくれ」
ラチカが頭上に大きく貼られた冬季限定デミグラスシチューコロッケバーガー略してデミッチュバーガーを指差した。
ユウタは最初ホットコーヒーだけ頼もうとしたのだが、ラチカは断固拒否。
「飲み物だけでお腹いっぱいになるわけないだろ!」
結局、ラチカの勢いに負けて、バーガーセットを買う羽目になってしまった。
もちろん、ポテトもジュースもラージサイズだ。
さっきプラモ買ったから節約しようと思ったのに、今月のお小遣いが……。
「んぐんぐ、ゴクン。はぁ〜食った食った」
ラチカは十分とかからずに食べ尽くしていた。
ユウタは、こんがりと揚げられたポテトや、デミグラスシチューの濃厚な匂いを嗅いでお腹が鳴るのを抑え付けてもう一度聞く。
「食べ終わった? じゃあ、話し聞かせて。ラチカのおじいさんはどうして連れ去られたの?」
ラチカはまるで掃除機のような勢いで、Lサイズのオレンジジュースを飲み干してから話し始めた。
「じいちゃんは家に入って子供を助けたんだ。そしたら紺色の帽子と服を着た奴らがやって来て連れていっちゃったんだ」
「紺色の帽子に服? もう少し何か特徴ないかな? 例えば顔とか見てない?」
「見たぞ。みんなお前より歳上の男だ」
「あれ? 顔は隠してないの?」
「全員見えてたぞ。メガネかけていた奴もいたな」
「それ以外に何か覚えてることない?」
「後は……そうだじいちゃんに向かってこう言ってた」
「なんて言ってたの?」
ユウタは重要な手がかりになると思い、つい身を乗り出し、
「『ケーサツだ。動くな』って」
ラチカの言葉に思わずコケた。
ど、どういう事?




