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【ジェムストーンズ1人目 ガーディマン】〜みんなを護るため弱虫少年はヒーローになる〜  作者: 七乃ハフト
第0話 《光臨 地球を救う者》 〜略奪宇宙人イレイド星人、改造怪獣メカキョウボラス 登場〜
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#2 騎士と姫

 日記を丁重に持ち主に返してから立ち上がると、背後に気配を感じて振り向きました。


 立っていたのは柔らかな撫子色の光を全身から放つ、一国の姫のような高貴な印象を抱かせる女性の生命体です。


  線は細く、腰は綺麗な曲線を描いてくびれ、胸部には柔らかな二つの膨らみがあります。


 彼女は赤子を抱くかのように四角い銀の箱を抱えたまま、顔を伏せていました。


 銀の生命体は、悲しそうに顔を伏せたままの彼女に話しかけます。


「姫、大丈夫ですか?」


 姫と呼ばれた撫子の生命体は小さく頷くと顔を上げました。


「はい」


  今にも泣き出しそうな声からは、とても大丈夫そうには見えません。


  彼女の視線が、部屋で眠る亡骸に向けられている事に気づきます。


「部屋を出ましょうか」


  亡骸の眠りを妨げないように、静かに寝室を後にし、二人は廊下を歩き玄関から外に出ました。


 外からは強い日差しが二人に降り注いでいます。


 生身なら一瞬にして細胞が焼き尽くされるような環境でも二人は意に介しません。


  銀の生命体は彼女の悲しみを少しでも紛らわせる為に肩を抱きます。


「落ち着かれましたか?」


「ええ。ごめんなさい。ちょっと驚いてしまって」


 姫は瞳のあたりを指で抑えました。それでも涙は止まらず、熱された廊下に落ちると煙を上げて蒸発しました。


「姫。どこかで目立つ場所で迎えを待ちましょう」


 二人は屋上の縁に腰掛けて待っていました。


 最初に口を開いたのは姫です。


「本当に迎えはきてくれるのかしら」

 

 肩を抱いたまま銀の生命体は返事をします。


「来ますよ。姫も聞いたでしょう? 彼らからの返事を」


「でも!」


 姫は勢いよく首を巡らせます。


「こちらから通信を送ってから何時間も経っているのよ。私達がここに来て何の返事も反応もないわ。やっぱりもう人類は……」


  姫は、膝の上に箱を置いたまま両手で顔を覆ってしまいました。


「泣いては駄目です。我々は、この星と、この星に生きる全ての者を救いに来たのですよ」


 銀の生命体は姫の(おとがい)を優しく上げて浮かんだ涙を指で拭います。


「助けに来た人が悲しそうな表情をしていたら、どう思いますか?」


  姫は自分の表情に気づいて、慌てて涙を拭いました。


「そうね。私達が悲しんでいたら、助けられる人も助けられなくなってしまうものね」


 姫の笑顔を見て、銀の生命体も口元に笑みを浮かべてゆっくりと頷きます。


「そうです。どんな時も笑顔で。それが彼らにとって一番必要なものです。僕達が絶望してたら助けられるものも助けられません」


 小さく頷いた姫の肩を抱き、二人は迎えが来るのをひたすら待っていました。


 ―2―


 太陽が沈み、辺りが闇のカーテンに覆われていました。


 空に浮かぶ星空はビルの屋上に座る二人を優しく照らしていますが、


 気温は日中と変わらず依然と高いままで、人間が生身でいたら確実に脳が破壊されてしまうでしょう。


 そんな過酷な場所で二人の生命体は何時間も待っていました。


 輝きを放つその身体は、遠くから見ると地上で煌めく星のようです。


 銀の生命体は隣の姫の様子を見ると、彼女は肩を枕にし緩やかに胸が上下しています。どうやら眠ってしまったようです。


  起こさないように姫の頭を撫でいると、不意にかすかな物音を捉えました。


 そちらの方を見ると、空に浮かぶ小さな物体を発見します。


 四つのプロペラを回転させて滞空し、先端下部にある黒い一つ目のようなカメラでこちらを覗いています。


 銀の生命体は事前に調査していた人類の兵器を、記憶の中から引き出しました。


 それは無人偵察機(ドローン)です。


  一〇〇メートル以上離れてこちらを監視する存在を教えるために、隣で眠る姫を優しく揺り起こしました。


「姫、姫」


  数度の呼びかけで彼女は目を覚まします。


「ん……ふあっ! 私、寝てなんていませんよ!」


  姫は寝ていることを咎められると思ったのか、慌てて取り繕います。そんな彼女を立たせながら首を横に降りました。


「その事はいいのです。音が聞こえませんか?」


「音ですか?」


 耳に手を添えた姫が音を聞き取ったのか、こちらを見ました。その表情は光に隠れているが、喜びに満ち溢れているのが分かります。


「迎えが来ます。すぐ動けるように準備しましょう」


「はい!」


 手元に置いてあった箱を大事そうに抱える姫の口調には、生存者の存在を確認したことで、隠しきれない喜びに溢れていました。


 二人が準備を終えると、下から複数の足音が聞こえて来ました。どうやら階段を全速力で登って来る音のようです。


 屋上の出入り口を見ていると、内側からものすごい勢いで扉が蹴破られます。


 現れたのは十人の人間で、全員がガスマスクと土偶を組み合わせたようなずんぐりむっくりな体型の防護服に身を包んでいます。


 全員の背中には四角い箱のような機械が付いていて、中央にいる一人は更にその上から大きな黒い箱を背負っていました。


  彼等は扇状に取り囲むと、両手で一メートルほどの長さの、細長い箱のようなアサルトライフルを構え、輝く生命体二体に狙いをつけます。

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