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【ジェムストーンズ1人目 ガーディマン】〜みんなを護るため弱虫少年はヒーローになる〜  作者: 七乃ハフト
第4話 《放て 必勝ミドラルビーム》 〜双子怪獣レイ・ウラトロン 重厚怪獣グザ・エレトロン 登場〜
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#8 次の怪獣の素材を採りに行ってたんだ

 ここは腐食した臓物を塗りたくったような七色に光る空間。


 そんな汚れた壁に、無数の光点が星間図のように表示されている。


 常人が一歩足を踏み入れればたちまち卒倒しそうな場所の中心で、緑の一つ星と赤い三つ星が輝く。


 緑の一つ星が口を開くように明滅する。


長兄(ちょうにい)さん。記録収集装置の解析が終了しました」


  赤と緑の星の間に、正二十面体が浮かんでいる。


 あの赤い怪獣の首から分離したものだった。


 中心にある赤い目から様々な映像が、ビックリ箱のように溢れ出す。


 全て地上で起きた出来事を撮ったもので、赤い怪獣の戦闘を記録してある。


 CEFの超兵器が怪獣を攻撃している映像が大きくなった。


「これを見てください。地球人の精鋭が使う兵器の性能は中々のものです」


 レッドイーグルの映像が大きくなった。


「この赤い兵器はとても素早く火力もあり、怪獣の反応速度では中々追い切れません。

 ただ、装甲は薄いようでこちらの攻撃を全て避けています」


 次にブルーストークが映し出される。


「この青い兵器は大きさに見合った火力と防御力を持っています。

 しかし、赤いのと比べて動きは鈍く、捉えるのは容易だと思われます」


 ここまで黙っていた赤い三つ星が喋る。


「最大の脅威はあの大砲か」


「その通りです」


 次に現れたのは、赤い怪獣にレールカノンを向けるヘビィトータスの姿。


「この兵器の砲弾、恐らく電磁力で射出していると思われますが、かなりの貫通力。そして炸薬の破壊力は、怪獣にとって一番の脅威かと思います」


「例の金属生命体はどうなんだ」


  赤い怪獣と戦うガーディマンの映像が複数現れる。


「この生命体の攻撃パターンはワンパターンで、放った光線を外していました。戦闘技術は未熟そうです。

  以前我々の怪獣を全て倒したあの金属生命体よりは劣ると思います」


  ガーディビームがビルを破壊した映像に切り替わった。


「しかし、自在に大きさを変えられたり、生物特有の柔軟な動きに強固な防御力。侮っていい相手では無いと思います」


 赤い星が笑う。


「ウォウォウォ。いいぞ地球人。七十年の間によく進歩したものだ。こちらも対策はしてあるのだろうな?」


 さも嬉しそうな赤い星の質問に、緑の星は間髪入れずに返事した。


「はい。もう少しで帰ってくると――」


「ただいま戻りましたー!」


 緑の星の言葉を遮り、青い二つ星が唐突に割って入った。


「どこに行っていたのだ?」


「兄貴に行ってなかったか。次の怪獣の素材を採りに行ってたんだ」


 青い星が強烈に輝くと、緑の星の輝きが心なしか弱まる。


「素材。何か使えそうな物が手に入ったんだな」


「ああ。ジユコウ星でしか採れないジェシィ金属だ。それを全量採ってきた」


 腐敗した虹色の空間に艶のない黒い金属の塊が現れた。


「この金属は並みの衝撃じゃ傷もつけられない。地球人の……カクヘイキでも破壊は不可能だ」


「地球人が破壊不可能な相手と対峙した時、どんな顔をするのか楽しみだ」


「早く暴れてるところを見てみたいぜ。オイ。さっさと作業に取りかかれよ」


「はい! 今すぐ!」


 緑の星は返事をするとその場から消えていく。


「待て」


 赤い星が緑の星を呼び止める。


「なんでしょう。長兄さん」


「その金属で何匹怪獣は作れる?」


「恐らく――」


「可能性ではなく、確実な答えを言え」


「はい! あの量だと一体だけです。ジェシィ金属は加工が難しいので、一体で限界です」


「そうか。早速作業に取りかかれ」


「はい。失礼します」


 今度こそ本当に緑の星の輝きが消えていった。


「あの金属はアレで全てなのか?」


「ん? ああ。根こそぎ持ってきた分がアレだけだ」


「……そうか。まあこちらが一方的に蹂躙する展開は面白くない、か」


「そうだぜ兄貴。楽しい相手とはトコトン楽しむ。つまらない奴はさっさと宇宙の光に変えちまう。そう言ったのは兄貴じゃないか」


「ああ。その通りだな」


  そう会話していると、腐食した虹色の空間に描かれている星間図から、一つの星がいつのまにか消失していた。

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