表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

茅楽哲の半生語り

不定期連載です。完全に思いつきなので主人公がどう動くのか、作者にもわかりません。

 のっけから言わせてもらうと、俺はモテる。

 突然の独白に困惑した方もいるだろうが、ナルシストなわけでも、自画自賛でも、贔屓目でも、狂言でもなく、普通の高校2年生ことこの俺、茅楽哲ちがく てつは事実女性にモテるのだ。


 ここまでいうと動物か何かにモテるのかという疑問を抱く方もいるかもしれない。が、しかし俺が言っているのは人間の女性にモテるということなのだ。

 しかし動物にモテるというのも間違っているわけでもない。


 例えば小学生の頃、学校の遠足でクラス一同動物園に赴いた時の話だ。

 夜行性の動物などはどうしても昼には動かず、子どもには退屈に感じることもあるのだが、俺が近づくともれなく全員跳ね起き、檻を引きちぎらんばかりに近づいてくる。

 尤もそんな行動をするのはあくまで雌のみだが。


 さらに中学の頃、生物の授業の一環として行った水族館。水生生物の観察をしたいのに水槽の奥に潜んで見ることが出来なかったのだが、俺が近づいた途端水槽にサメなどの色々な生物がぶつかってきた。

 もちろん雌のみが、である。


 街を歩けばすれ違った女性に振り向かれ、立てば歓声、座れば歓声、トイレに入れば大歓声。


 朝、学校の下駄箱を開ければ、今時珍しくラブレターが大量に入っていたり、長期休暇前は予定をくまなく聞かれ、席替えでは俺の隣の席をかけてクラスの女子同士で争いが起こる始末。


 このように女性でも雌でも雌しべにさえも、ありとあらゆる女にモテまくるのが日常だ。

 まさにハーレム王と呼ぶに相応しい、神に選ばれた男なのだ。



 さて、この話を聞いた諸君はどう思っただろうか?嫉妬の炎に焼け焦がれているか?羨望の眼差しで見つめているか?

 無理もないだろう。こんなことが日常であるならば、男たるもの羨ましがらないこと自体が不可能である。


 しかし俺がこんな話をしたのは、男子諸君にそのような目で見られたいからというわけではない。

 ただ一言、たった一言、聞いてほしい言葉があるからこそ、ここまで自分語りをさせてもらったというわけだ。


 ぶっちゃけ言おう。



 モテまくりで楽しいわけがあるかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!



 動物が寄ってくる?獣臭くて仕方がない!

 女性が振り向く?トイレに行くのもままならない!

 ラブレターが入ってる?靴が取りづらくてしょうがない!

 席替えのたびに戦争?はた迷惑にもほどがある!


 神に選ばれた男?

 違う、俺は神に見限られた男だ。


 こんな俺でも普通に恋をする。

 まあそこは有り難いことにどんな子からでもオーケーをもらえるのだが……。



 俺と付き合って1週間もしないうちに、俺と付き合った子は学校に来なくなる。



 俺の目のつかないところで他の女子に陰湿な嫌がらせでも受けていたのだろう。

 俺はイジメっ子どもにも腹が立ったと同時に、自分にも腹が立った。

 なぜイジメに気づかなかったのか、どうすればよかったのか。


 何よりその子に合わす顔を、自分が持ち合わせていなかったことに腹が立った。


 俺はこの出来事を機に絶望し、そして悟った。

 俺は一生普通の恋愛というものを出来ないのだ。


 恋はできる。しかし愛することは許されない。


 そんなわけで俺は甘酸っぱい青春なんぞ謳歌せずに中学、高校生活を勉強に費やして、晴れて今年の春に大学生となるわけだが……。


 大学生になり一人暮らしのアパートの一室で、荷ほどきをしながら自分の人生について心の中で語ってきた俺だが。


 人を愛することを許されなかった俺、茅楽哲だが。



「そんなお前にチャンスをやろう」



 どうやら神さまも、俺を見限ったわけではないらしい。

まじで不定期ですから

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ