かつて見た夢
案外、恐ろしい話。
これは、私の話である。
そして、
彼も考察に参加しているのに
疑問を感じる。
空を見上げる。
電線の黒線と空が見える。
公園でないとただの空は見えない。
私はよく地元が
夢に出て来たのを思い出す。
足を走らせるように動かし、上へ目指す。
上、空を目指すのだ。
その時、電線が邪魔で仕方がなかった。
電線は目と鼻の近く、腕を伸ばしたら
触れる至近距離だ。
足を動かすのをやめると
次第に下へと体が降りていく。
ゆっくりゆっくり地面に近づいていく。
商店街のアーケードの
天井近くのハシゴにも触った記憶がある。
人が沢山居たことも思い出した。
【もう一つの世界かもな】
冷静に答える。
・・・。
なぜに、人の思い出を見れるのだろうか。
空想のお友達か。
そうなのか?
【足を動かさないと駄目なのは
幽霊ではオカシイ】
そうなのか?
その世界は分からない。
【しかも、人が居たのか】
居た。
また、思い出す。
『人は私のこと、見えてない感じだった』
そう、
眼も合わない。
指を指される事も無い。
ナイナイづくしだ。
【なおさら、オカシイな】
彼が参加するのは想像にした事も無い。
知らない屋根伝いに飛んだり
家の中を覗いたりもしたし、
実家の裏に知らないトタン板の壁の家が
長屋のように繋がっていたりもした。
この家も覗いたが誰か居たような気がする。
【誰かに話しかけられた事は?】
いや、ない。
私は、気配を感じると
すぐに家を出たから、なにもない。
でも、
『誰かに違和感を感じられて
元である私を探してた。記憶がある』
この夢に関係あるかは思い出せないが
だが、リアルな世界だ。とは覚えてる。
【捕まってないのか】
『うん』
そのはずだ。
『何かのボールを
投げられたことはあったかな?』
アレは怖かった。
と思い返すと
彼が難しい顔になる。
【マジかよ】
何を知っているのだろ?
私には分からないが
『ヤバイの?』
聞くことは出来る。
それでも
〈【文字】〉の読み間違いあるので
油断できない。
【そこそこ】
あの、かつて見ていた夢は
何なのだろうか?
今では、分からない。
いや、また、見るかもしれない。
現実に近すぎる夢の世界に
私は魅入られているのだから、
きっと、別の形で魅せてくるだろう。
ボールが迫るのって恐くない?




