私、疲れた
アハハ、もうヤだ。
今日は厄日だ。
これは、私の話である。
彼は、真面目な顔で親指を立てている
話でもある。
マジで軽い悪意が彼に対して湧いてくる。
良くある事だ。
アルバイトやパートで働きながら
日々を生きるお金を貯める。
そして、安定した生活を得るために
就職を目指す事も、普通で在る。多分。
女とは面倒だ。
メイクも頑張らなくてはいけない。
そして、朝から面接するので朝の5時に
早起きをする。
彼が進めた化粧品や
化粧下地等を用いてメイクする。
顔の赤みを消すために、
ファンデーション、化粧下地を厚塗りした。
それでも、鼻のガサガサがひどいし、
気持ち赤みが残るがなんとか形になる。
それでも、近くから見たら
鼻についたガサガサ皮膚片が分かる。
完成するとどっと疲れが出た。
幽霊な彼、ユウキは親指を立てていた。
僅かに苛立つが、
面接メイクはバッチリなんだろうと
解釈した。
簡単にご飯を食べ
スーツに取りかかる。
ズボンを履く際にフックの金具が外れた。
すぐに、縫い付け事なきに済む。
髪をゴムでまとめ、
ガチガチにスプレーで固め完了。
9時。9時に面接だ。
一時間余裕があれば大丈夫だと、思っていた。
・・・。
平日だというのに
乗りたい電車の本数が少なく、
早々に遅刻する事が決まった。
なんか、受かりそうな予感がするのだ。
どうにか、どうにかと、考え、
タクシーでの移動を決定した。
タクシーの運転手には、急ぎでと言う。
車に染み付いたタバコの匂い。
私は、これが、大の苦手だ。
頭痛よりも腹痛よりもつらい、
リバースをしたくなる。
我慢し、やっと面接の時間内についた。
リバースの心配もいたが、
時間内に着き、何とかなった。
移動にかかったお金を払い、
目的の面接店を目指す。
が、目の前、
すぐ、手前に面接する店舗があった。
思わず、絶句する。
幸いながら、角度的にも
見えない場所だったように思える。
良かった。
そこから、面接になったのだがうまく、
言えたか心配だった。
それ以上に、書類の向きが一枚、逆だった。
終わったとも思えた。
思えたのだが彼に聞いてみる。
空想のお友達でもいいから縋りたいのだ。
【微妙だな】
彼からしても、
私の対応面接がまずかったらしい。
タクシーの元、取れないかも思いながら
最寄りの駅まで歩く。
歩く途中で大きな神社があって、
もし、合格したらさっきの面接した店舗で
研修があるので、帰りか、行きで寄れそうだ。
『受かったら、この神社に寄る?』
ホントに大きい。
観光しに見回りたい。
【いいな、有りだ】
大丈夫か!?
多分、彼は幽霊の筈だ。
いやいや、幽霊前提で考えると
こういう神社は、
彼の中ではアウトだと、思っていた。
判定が問題なしなのか?
訳が分からないよ!!
私の空想のお友達なのか、と
思考を巡らせる。
駅に着き、切符を買い、電車に乗る。
そこで別の思考をしよう。
化粧したとき、彼は、親指を立てていた。
その理由を聞いてみた。
『私のフルメイクは、どうでしょう?』
顔の赤みが化粧により隠れ、
ほんの少し赤みが残った顔になっている。
コレが普通の肌色か。と
自分で感心した。
【好み】
吹きそうになった。
おい、どういう事だ。
私は自己嫌悪の塊で
過去に行けたら
真剣に文字を綺麗に書く練習や
国語を頑張るように言いたいが、
同じぐらいに
あの時の幼い自分を辞書で殴りたい。
今でも
発作的に自分を殴りたい衝動が起こる。
ほんと、たまにだ。
『顔だけが好みですか』
鬼門かもと、考えた。
私は、ばかだ。
親からも残念美人と言われてる。
私の顔はもう一人の家族よりも
劣ってる自信しかない。
更に、顔で限定すると
母で勝てているのは
顔の明るさと肌の凸凹の少なさ
その程度だ。
【そうだな】
良かった。
ほっと、心が落ち着く。
付き合うとかあったら、怖いな。
とも同時に考えた事に気付いた。
見えざる本音に
私自身が気付いてしまった。
【付き合ってみるか?】
勘弁してくれ。
僅かに気恥ずかしさも溢れる。
今の距離が良いではないか。
それに、
それは遊びだろう。
顔が好みって言ったことは
遊びと言うことにならないか?
そうだと言え。
本音で答えろよ。
【そうだよ】
微かに笑う文字が見えた気がする。
二重で疲れた。
とにかく、寝たい。
ひたすらに、眠い。眠い。眠たい。
だが、家についてもしなければ
いけない事が多すぎる。
ああ、もう勘弁してくれ。
ダウジングでも返答の確認したが、
絶望しました。
イケメンに幽霊が憑く話は
聞いたことがあるが
私とかないわー。ほんま、ないわー。
前話に書きましたが
想像の中に他三名がいます。
彼が引いて、少し離れたときに
白い着物で白い髪の人が浮かんだのだが、
くっ憑いて、来たのか?




