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いつもの私と彼etc.  作者: 代理人涼子
零の私と彼etc.
44/1075

忘れるということ

私のこと。

重いし苦しいし、

何より、文になっているか不安だ。

私は良く忘れる。

どうしようも無い事と諦めている。


なのに、


【お前は普通になりたいのか?】


はぁ?

訳が分からない。

今の私は普通のつもりだ。

普通とは、周りの普通に合わせること

も指すのだろうか?


【お前がおかしいのは分かってるだろ】


自覚はしている。

だが、それが私の普通なのだ。

見えないモノに気味悪く思いつつも、

少しだけ近づくだけで、

それ以上は何もしないし。

僅かなスピリチュアルな技能に

満足しているだけのその辺に居る人間だ。


【そこまで忘れるのはおかしいって

言ってるのは、分かるな】


まぁ、そこなら、わかる。


『何が言いたいの』


頭を手で抑え、目を閉じて

少し考え込む。

すぐに頭から手が離れ私を見た、

気がする。


【楽だから

現状維持をするために

忘れているのかって話だな】


一言も言ってない。

忘れているのかは、言っていたが。

いや、現状維持が楽な時はあったが

今は危ないのだ。

現在のバイト先で

年金の保険料を支払らうや

三割負担の保険に入れたが

それだけでは足りないのは、分かってる。

おかげで、危機感は少しだけ、

薄いのだがお見通しかも知れない。


『危機感は昔よりもあるよ。

記憶に関しては』


ある、言葉を思い出す。

小説からの引用だが、

私にはこれが適切な気がする。

意味が違うと思うがこれでいいと

思う。


『記憶は、遠くにある。

確かに、遠くに記憶がある』


ただ、走って記憶を拾う作業が

億劫でとんでもなく面倒だ。

記憶があると認識するかしないかの差

だと思いたい。


【しっかりしてくれよ】


俺のために、とも聞こえた。

私もいつまで

彼が居るとは考えてもないし、

これだけは、私だけの問題だ。

この忘れると言うのも、

何かの逃げなのだろうか?

何から私は逃げている?


なんで、彼の口から

普通になりたいのかと聞かれたのか?


『あー、そうだった』


思い出せた。

そうだった、確かにそうだった。

私が逃げてきたのは

母からの教育上の暴力と暴言だ。

いつの間にか、

それらを忘れる事に慣れていた。

記憶が色褪せるように

怒られた事を綺麗に忘れる事が出来た。

あまりの忘れっぷりに

同じ失敗をして殴られた。


『これかな?』


私のトラウマ。

母の暴力や暴言が怖いから、

鈍化していったのか?

分からない。


【いや、それよりも

直すべき所は分かってんだろ】


・・・・。


『無関心は直りつつあると思うよ』


教育上の暴力が近年は無くなり、

無関心は無くなりつつあると思う。

私も将来、

いや、就職には、無関心だった気がする。


【もっと、違うような気もするけどなぁ】


呆れが文、文字に込めていた。

昔よりも自覚したし、

無関心だった事も今の今まで忘れていた。


『じゃあ、感情が乏しい』


土が肥えてなければ、草は育たない。

なら、

感情がなければ、周りとの和を育てれない。

なんせ、自分勝手だから、

自分至上主義になるし、

興味も趣味に集まってる。


『ユウキは、知ってるでしょ。

私は、可愛がっていたねこが死んだとき

泣かなかったこと』


どうよ。

一番の異常性がここにあると思う。

そんなもんで、考え、その先も考えなかった。

それだけだ。


【祖母の葬式もそうだろうが】


祖母の葬式では、泣きそうだったが、

涙が出ないように我慢が出来てしまった。

そう言うモノだろう。

なにより、泣くのが

かっこ悪いと

思ったぐらいだから異常ではない。


普通に入るのでは?


【周りは微妙に感じるかもな】


世間様だとそうなるかも知れない。

だが、


『ユウキはどう思う』


彼は死人だ。

幽霊だ。

なら、

向こう側の立場で言えるのでは

と考えた。


【俺か?

それで良いと思う】


それで良い。

そう言うモノかと、納得して

息を吐く。

少し、気は楽になったかも知れない。

きっと、これも

私のトラウマの根源ではない。

未だに私は、迷子だ。

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