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その2

 この少女との遭遇は凡そ一年前までさかのぼる。確か日曜日に研究室に訪れた僕は、普段と同様実験で得られたデータをパソコンで整理をしていた。そうして訪れる昼の時間、さあ何を食べようかなと考え始めた僕にゼミの同期がニヤニヤした様子で話しかけてきた。


「礼ちゃん、コンビニへ行こう」

「……まあ今日は特に行きたいところもないから良いけど、藪から棒にどうしたのさ」

「礼ちゃんは土日だとちょっと遠出して昼を食べているんだよな。良いことを教えてやろう。今日コンビニに行くと幸せな気分になれるぜ」


 ウキウキした様子で話しかけてくる同期の話を纏めると、この建物の近くにあるコンビニエンスストアで最近かなり美人のバイト店員が入ってきたそうだ。その美人さんとやらは基本的に土日にシフトを入れているらしく、世間一般における休日くらいは美味しいものを食べたいという欲を出す僕は研究室近くのコンビニに訪れるようなことも無いため今まで気が付かなかった。


 別に僕は面食いという訳でもないが、確か彼女持ちだったはずの同期がここまで浮かれた様子で話すということには興味を惹かれた。どうにも今日は遠出をする気にもならないし、食事を買いに行くついでに冷やかしがてら見てくるのも悪くはないだろう。こっちの色物臭い見た目で相手が絶句すれば、それは僕の勝利ということにしよう。


 パソコンを閉じて作業を中断し、他にも数名のラボ面と共に学生室を出た。キャンパスの外れに位置している我がラボの入る建物からは、裏門を出てすぐにあるコンビニに行くのにそう時間は掛からない。

 歩くこと数分、全国展開されているおなじみの看板が目に入った。僕は足早に自動ドアをくぐり抜けると冷房の効いた店内でまず深呼吸をした。そして一服を吐いた頃にここに来た目的を思い出してレジの方向に目を向けたが、そこにはおばさんが一人レジを打っているだけだった。


「……言いたくはないけど、彼女さん泣くよ?」

「ち、違うって!! 本当に外人な見た目の美少女さんがいる筈なんだけどなあ……」


 外人さんな見た目の僕からしても、流石にレジで仕事を続けるおばさんは異国風な見た目にも、ましてや美少女にも見えやしない。同期にしても予想外の事らしく、危うく彼にババ専のレッテルを張ってしまう所だった。

 臨時にシフトを外れたか何かだろう。まだ見ぬ美少女との遭遇を潔く諦めて、ぶーぶー文句を垂れる同期達を放置する。まずはおにぎりコーナーを物色しようと足を進めた僕は、店内の奥へ目を向けて、思わず絶句した。


 光沢を放つ淡い赤紫色の長髪、肌は外人にしても真っ白でしみ1つない。こちらに視線一つ寄越さずにいらっしゃいませと言う声は、ただの定型文にもかかわらずまるできめ細やかな絹のように優しく耳を刺激する。

 そんな絶世の美少女さんがおにぎりを棚に並べている物だから下手に近付くことも出来ず、そしてその姿にどこか嫌な予感を張り巡らして静止した僕の後ろから、同期が得意げな様子で話しかけてきた。


「どうだ、本当に居たろ? すんごい美人さん、まるで深夜アニメか何かから出てきたようだぜ」

「……君みたいな人間でも彼女が持てるんだから、この世の中は間違っていると思うよ」


 同期の言葉を軽く流しながら、再度僕は彼女の方へ視線を移す。

 大方客から美人だ云々は言われ慣れているのだろう。見物している僕たちを全く意に介した様子もなく彼女は作業を続けている。たしかに外人のような見た目だし、同期がここまで褒めちぎるのも分からない話ではない。ないんだがなあ。


「俺はこの大学にきてからここまで美人さんを見たことは無いね。あ、琴葉ちゃんは除くよ」

「お熱いことで……まあ、確かに美人だね。まるで"この世界"の人間じゃないみたいだ」


 その瞬間熱心に作業をしていた筈の彼女は、まるで凍りついたかのように止まった。


「へえ、不思議な褒め方をするなあ礼ちゃんは」

「そして魔法とか普通に使ってそうな国で王女とかやってそうなくらい美人さんだね」


 どういう原理か知らないが彼女の髪が一瞬跳ね上がり、ギギギと擬音が付きそうなほどぎこちなく僕に視線を向けてきた。


「ねえ、あの人は土日しかシフト入ってないんだよね?」

「そのはずだが……もしかして礼ちゃん一目惚れしちゃったかな?」

「逆だよ逆。これからは絶対に平日しか来ないようにする」


 おにぎりはしょうがないので諦めて適当にそこらへんの菓子パンを引っ掴んでレジへと向かう僕に、同期は唖然としながら立ち止まってしまった。だって明らかに地雷じゃないか。特徴的な淡い赤紫色の髪色に加えて、それっぽいワードを言っただけで明らかに動揺した様子を見せるなんて。


 僕がまだこの現代日本に復帰する前、お情けで大貴族の子供が集まる園遊会に参加させて貰ったことがあった。相変わらず後ろを付いて離れる様子の無い妹の手を握りながらなるたけ邪魔にならないよう会場を歩き回っていた僕は、国内でも有数の貴族の子供を多く観察出来た。その中でも最たる家柄の子供が、現国王のまだ幼い娘だった。


 僕よりも一回り歳が大きいと思われた彼女は、王族の証でもある淡い赤紫色の髪の毛を持っており元気に園遊会を楽しんでいた。当時はそういう人間もいるものかと遠い目線で見ていたが、その園遊会が終わってからすぐに王女が行方不明になったとの知らせが国中を走った時は大層驚いたものだ。まさかとは思うが、王女が誘拐されたのではなく僕とは別ルートで現代日本に転移していたら、彼女は丁度目の前の女性と同じくらいの年になっているのだろう。


 ただ僕は同郷のよしみだからといってわざわざ知り合いになろうなんて気は起きなかった。僕は此方の世界で満足できる生活基盤をもう築きあげており、無理に異世界を思い出すようなことはしたくないということもある。それにもしかしたら本当はただの外人の美少女で、日本のサブカルチャーに精通した中二病患者なのかもしれないのだ。藪をつついて蛇を出す必要性は感じられない。


「ちょ、ちょっと待って!!」


 待ちません。既にレジのおばさんに菓子パンを渡して鋭くRAMOSを構える僕には、後ろから聞こえる声なんて届かない。


『待ちなさいってば!!』


 しかし再度響いたのは明らかにイントネーションが日本語とは違い、昔懐かしの言語に思わず振り返ってしまった。店員の制服を纏ったエルトニア王国の王女と思わしき彼女は、振り向いた僕に得体のしれない物を見るかのような視線を向けている。


『あなた、一体何者?』

『……日本語で言ってくれないとちょっと何言ってんのかよく分からないです』


 異国の言語で日本語じゃないと分からんと発言する矛盾も甚だしい一言を残し、納得などするはずもない少女へ振り返ることも無く僕はコンビニエンスストアを後にした。

 自分のデスクに舞い戻り安っぽい味のコッペパンに齧り付いた時、ようやくラボ面を放置して戻ってきてしまったことを思い出した僕は、少し遅れて血相を変えて学生室に突入してきた同期に開口一番ごめんと漏らした。




 ここで終われば事の発端でも何でもないが、生憎そう簡単に終わる話でもなかった。

 コンビニから帰ってきたラボ面達にあの子とどういう関係なのだと色々問い詰められたが、僕の怪しげな髪の毛の色に何らかのシンパシーを感じたのだろうと適当にホラを吹くことで事無きを得た。いざこざは結局夕方までには立ち消え、日が沈むよりも前に帰り支度を終わらせた僕にまだ同期が何か言いたそうにしていたが特に相手をすることなく部屋を出た。


 時代を感じる建物、その一階には特に需要も無さそうな長椅子が並んでいるエリアがある。多分研究室間の交流が行われることを理想として設置された空間なのだろうけど、そもそもその一角に人が座っていることすらほとんど見たことがないのが実情だ。

 階段を下るとそんな無意味に見えるエリアに繋がっており、建物の外に出るには無駄に長椅子スペースを歩かされることになる。出来れば自動販売機の一つでも置いてほしいところだが、義理の父親こと平塚准教授がじきじきに建物の責任者に苦言を呈しても変わらないのだ。最低でも今後5年は叶わないだろう。


「……ぁ」


 そんな薄暗く死んでいるスペースにも、驚くべきことに今日は誰かが居るようだ。椅子に腰かけてうつらうつらと船を漕いでいた人物は、僕が通りかかったのを見た瞬間顔を上げて小さく声を漏らした。


「ふぁあ……急いでこっちへ向かってきて正解だったわ」

「ええと、多分人違いだと思いますよ?」

「流石にアンタのような見事な銀髪頭がここらへんに他にも居るとは思えないんだけど」


 欠伸と伸びをして立ち上がり、やや不満げな顔を浮かべる彼女の背丈は僕とほとんど変わらないくらいか。義父、というか前世の僕は余裕の180超えだったにもかかわらず、今の僕は背丈が170をやっと超えたくらいで収まってしまっている。そう考えると彼女は平均的な女性の身長よりは高めなのであろう。


 果たしてどう言い訳をして逃げようかなと思案する僕の顔を覗き込んだ彼女は、無遠慮にじろじろと人の顔を眺めてくる。見せモンじゃねえぞと怒ってやりたいところだが、昼間に僕を含めたラボ面一同で彼女を見物しに行ったことを思い出すと何も言うことが出来ない。


「……なんでこの建物だと分かったのかな?」

「アンタと一緒に来ていた背の高い男の人に聞いたのよ。5号館の研究室に所属してるって」

「やっぱりね。あんにゃろ祟ってやる」


 見える訳もないが頭上を見上げて貴様よくも人の情報を易々と渡してくれたなあと邪念を飛ばす。


「そんなことはどうでも良いの。アンタ、名前は?」

「平塚礼二といいます。今日はお疲れ様でした」

「帰るなっての。それとそっちの名前じゃない」


 仕方なく名乗った直後に脇を抜けて帰ろうとしたが、それを許さない彼女に腕を強く引っ張られて危うくずっこけるところだった。自慢ではないが中性的な見た目に違わず貧弱な体力を誇る僕だ、下手をすればこの少女よりも力は弱い可能性がある。掴まれた腕を振りほどかないのは別に僕が紳士的であるからというだけではなく、力負けして振りほどけなかった場合を想定してのことである。


 そしてそっちの名前じゃないと来たか。エルトニア周辺国の共通語を喋った辺りからほとんど確定したも同然だったが、この言葉で更に彼女が現代日本由来の人間ではないという確信が深まった。


「……ラスティレイ・フォルガント。これで満足かい? 呼ぶときは今の名前で頼むよ」

「うん!! 私はヘレナ・ヴィクトリウス・エルトニア。こっちの世界じゃ藤沢レナと名乗っているわ」


 ようやく嬉しそうな声を上げて喜ぶ彼女の姿を前にして思わずドキリとさせられる。笑顔を浮かべる魅力的な美少女さんがすぐ目の前にいるということも恥ずかしながらあるが、一番の理由は彼女の名前の中に含まれてるエルトニアというフレーズだ。

 基本的に第二の祖国エルトニアでは国名を苗字に持つなど王族にしか許されないことを考えると、この名前を信用するならばやはり彼女は行方不明になっていた王女として間違いはないだろう。


 こんな快活な少女が、僕みたいな妾の子供だと前の世界じゃ並び立つことも許されないような王族の系譜なのか。想像した通りの大物に、なんだかよく分からない恐怖感と感動が心の中に巻き起こる。


「藤沢さん、ね。一応確認のために聞いておくけど、君はエルトニア王国出身だね?」

「勿論。あとレナでいいわよ。多分私の名前から察してくれていると思うけど、その国の王女をやってたわ。8年くらい前に日本に飛ばされてきたんだけどレイは?」

「僕は来年の冬で5年になる。てかレイってアイツのリスペクトかよ」


 レイと呼ばれるとすぐにニヤニヤと笑う長身の同期が脳裏にポッと浮かんでくるのが非常に腹立たしい。だがラスティという今の名前とは似ても似つかないあだ名で呼ばれるよりマシかもしれない。


「こんな薄暗い所で話すのも嫌だし、ムックかどこかへ移りましょ」

「僕の本拠地を薄暗いとはご挨拶だな。大方同意するけど」


 昔は確かに王女様だったのかもしれないが、そんな彼女の口から大手のファーストフード店の名前が出てくるなんて随分と世俗的な生活に染まったようだ。コンビニでバイトをしていたりなど現代日本に馴染んでいるように見える足早に建物を出て行こうとする彼女を、僕は追おうとはしなかった。


「ええと、レイ? 早く行きましょうよ」

「ねえ藤沢さん。君は僕と何を話そうとしているんだい?」


 その言葉を浴びせた途端、笑顔を浮かべていた彼女の表情が固まった。


「僕は今の生活に手いっぱいだ。先ほどコンビニで君を置いていったのは、そこそこの人生を捨ててまで現代日本に来れたのに異世界事にまた引きずり戻されるんじゃないかって思ったからなんだよ」

「れ、レイ? アンタ何を言って……」

「初対面の君と僕。話す内容はおのずとこの日本から外れるだろう。君はもとの世界に帰りたいのかもしれないが、現在の生活に満足している僕は今更無理やり過去を振り返りたくはないよ」


 過去を振り返るとなると、僕の胸の中にはエルトニア王国で過ごした12年が脳内に走馬灯のように蘇るのだろう。

 精神的には日本生まれ日本育ちを自称する僕だが、再度人生のスタートを切ってから長い間を過ごした異世界には望郷の念を抱くこともあるのだ。そしてただ望郷の念を抱くだけならまだしも、その故郷に帰れないことが明確であると分かっている以上、羨望は満たされない物として心の中に積み重なっていくだけだ。


「君はどうだか知らないが、僕は特異点と呼ばれる場所で有りっ丈の魔石を用いた転移魔法を使うことでこちらの世界に来れたんだ。魔石をほとんど使い切った今、体に保有された雀の涙程度の魔力じゃたとえこちらの世界で特異点を発見できても帰ることは出来ないよ」

「……私だって、別に元の世界に帰りたいからアンタに頼ろうとしているわけじゃないわよ!!」

「そんなことはバイトしたりムックへ行くなどこの社会に適応している君を見れば何となく分かる。そうだとしても、やはり異世界事となると僕には辛いものがあるんだ。この世界に満足しているからって、別にあの国への愛着が消えて失せた訳じゃあない」


 満たされない欲望ほどめんどうくさいものは無いと思う。それにただ祖国への愛着が問題になっているわけではない。


「僕は元の世界に妹を置いてきた。先が見えない異界に彼女を連れて行くのは危険過ぎたからだ。そして書き残した手紙には必ず会いに戻ると記したんだ」

「……アンタは自分の意志でこっちに来たっていうこと?」

「そうさ。僕は自分の意志で故郷を捨てて、そして妹を捨てたんだ。飛んだ笑い話だろう、再会が果たせるなんて保障は何処にも無かったのにまた会うなんて絵空事を記すなんて」


 僕はため息を漏らしながら長椅子へと腰かけた。書かなければ良い物を、妹を安心させるために記した一文は永久に僕の肩に重く伸し掛かっている。それを思い出すと、そんな希望を持たせるようなことを書かなければよかったと後悔の念に駆られてしまう。


「多分君も元の世界に帰る手段は知らないんだろ? そんな二人が届きやしない過去の話に花を咲かせたところで、結局は虚しい気持ちにしかならないよ。お互い今の生活が軌道に乗っているんだから尚更だ」

「……私は新月の夜に王宮の一角にあった禁じられた間に入ったらこちらの世界に飛ばされたわ。直前に誰になんの言葉も残すことも出来ずにね」


 僕の脇に藤沢さんが腰かける。随分突き放したというのに彼女は怒って帰るようなことも無く、僕の傍を離れようとする素振りも見えない。


「未練も何も残せずにこっちに来て、8年も経ったのよ? 過去を思い返したところで、今の生活を捨て置いて帰ろうなんて思わないわ」

「……じゃあ何で僕に近付こうとするんだい?」

「簡単な話よ。初めて絶対に信じて貰えないような秘密が共有できる人を見つけることが出来たから」


 言葉の響きにドキリとして彼女に顔を向ければ、あんなに酷いことを言った僕に向けられているのは優しげな笑顔だった。不意打ちの笑顔を前にして、自分の顔が段々と熱くなっていくのが分かる。


「場所も言葉も分からない、そんな私を保護してくれた優しい老夫婦がいたわ。でも彼らにも秘密を打ち明けられないまま8年が過ぎてしまった。秘密を抱き続ける苦しみを、今まで何度も思い知らされてきた」


 考えてみれば、僕には日本へと転移した直後から秘密を打ち明けることが出来た存在が居た。自分自身ということもあり遠慮をせず接していける平塚先生のような存在が、彼女には居なかったのだろう。地球儀を見渡してもどこにもない国からやって来たという秘密を、彼女は只管自分自身の中に隠し続けてきたのだ。


「そんな難しい話じゃないわ。アンタの悩みを聞いてあげるし、私も時々愚痴を漏らすかもしれない。だから……友達になりましょう?」

「……君はよくコミュ力高いって言われるだろ?」

「ちょ、ここでそれを言う!? そ、それに色々話せる友達なんてそんな……ともかくどうなの!?」


 慈悲深い女神のような顔から一変してあたふたと慌てる藤沢さんの様子に、思わず僕は小さく吹き出した。過去について腹を割って話したり秘密を共有したりする。それらが行き場の無い故郷への羨望に繋がるかといえば、必ずしもそうなるかは分からないかもしれない。

 前世も含めれば義父と同じ年を生きておりながら、こんな少女に諭されるなんて僕はまだまだ見た目相応の子供だなあと自嘲した。そしてあたふたする彼女に手を差し出した。


「これから色々考え直してみようと思う。こんな僕でも良いのなら、友達になろうか」

「……ふふっ、こちらこそ!!」


 手を握りながら改めて彼女と目を合わせた僕は、少し首を傾けながら微笑みかけた。すると藤沢さんは分かりやすいくらいに顔を真っ赤にしながら手を離した。

 伊達に4年間同期の男にちゃん付けで呼ばれているわけじゃない。銀髪真っ白肌ブルー目の僕が一度天使の微笑みを浮かべれば、同期は何故か頭を撫でて来るし義父は見てはいけない物を直視してしまったような苦々しい表情を浮かべるのだ。ここは僕が一枚上手だったな。


「……因みに僕はこう見えて38歳のオッサンだ」

「え、どういうことよ!?」

「そしてなんとドクター2年だ」

「私よりも先輩だった!?」


 それから調子に乗って色々とカミングをした結果、半ば混乱した様子の藤沢さんにムックまで引きずられて根掘り葉掘り問い詰められる羽目となった。



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