ヴォオス語録
どうも、南波 四十一です。
この回は物語の進行とは関係のない、単なるおまけです。
これはヴォオス戦記を書いている人が、設定やキャラ作りにこだわり過ぎて自分の首を絞めることになったため、後々の矛盾を避けるためにメモ代わりにコツコツと書き溜めていったものです。
ほぼ人名録となっておりますので、興味のない方は間違えてお読みにならないようご注意ください。
ア行
アイメリック
クロクスの私兵団を束ねていた最強の傭兵と呼ばれていた剣士。
王都で発生した盗賊ギルドの分派との抗争の際に命を落とす。
アインノルト
カーシュナーの兄。クライツベルヘン家の四人兄弟の長男。三十五歳。
アウグステイン
ヴォオス北東部に領地を構える五大家の一つ、ボルストヴァルト家の当主。クライツベルヘン家の当主ヴァウレルとは同世代であり、親交が深い。目鼻立ちは整っているが、頭髪に眉毛、髭も全く生えていないという異相の持ち主。若いころはふさふさだった。小じわが少なく、代わりに深いしわが数本刻まれているだけで、年齢がわかりにくい見た目をしている。
赤い薬草
通常の薬草が魔神ラタトスの影響を受けて変異する魔物の一種。ヴォオスの限られた者しか事実を知らない。
香のように焚き、その煙を吸うことで全身を快感が満たしてくれるため、貴族の中では愛用する者が多い。錯乱状態に陥るなどの副作用がなく、習慣性もない。加えて使用していなくとも禁断症状が出るなど、芥子から作られた麻薬のような作用もなく、安心して使用できるとされている。
実際は精神構造が利己的になっていくという作用があるのだが、貴族は概して利己的な者が多く、その変化に気づく者はいない。
赤の精製水
赤い薬草を特別な方法で精製し、液体化させたもの。
赤の薬草はその使用量を増やしたからといって効果が増すことはなく、得られる快感効果は一定である。そのため一般では刺激が強く入手が容易な麻薬が広まっているが、副作用を嫌う貴族たちは、より効果が増し、服用するだけで即効果を発揮する赤の精製水を好む。
入手が困難なため価格も常識外れなものになる。それゆえ所持していることが一つのステータスとなり、性行為と共に使用することが多いことから、貴婦人との夜の駆け引きを楽しみたい男性貴族の間では同じ重さの金よりも価値がある。
アダの店
ヴォオスの下町では有名な酒場。シヴァもカーシュナーもひいきにしている。
店主は年齢不詳の美女、アダ。
アナベル
リードリット王女の側近。過去に幼いリードリットにより、右耳を引きちぎられる。
元は優秀な教育者であったが、リードリットに臣従したのちは、一転女性騎士となる。
大柄な体格に強い顎の線のため、男性受けする容貌ではなかったが、騎士となって男装に身を包むようになってからは、王都中の女性を虜にする。
本人はかなり不本意。
アペンドール(伯爵)
ヴォオス屈指の武門の家柄で、過去に何度か大将軍を輩出している。
アペンドール伯爵がライドバッハの反乱に加担したことで、王国軍および貴族連合軍に大きな動揺が生まれた。
上背こそないが、分厚い胸板に、太い脚を持ち、とても六十一の老人には見えない。よく陽に焼け、しわの深い顔は、怒っているようにも、笑っているようにも見える。
アルスメール(侯爵)
王国軍の軍師第二席、エルフェニウスの父。五大家に次ぐ有力貴族の一人であり、五大家が国政と距離を置いていることから、国政に関する発言力は五大家よりもむしろ高い。
本人は水準を少し上回る程度の能力しか持たないが、大貴族には珍しく温厚で無害な人間。優秀な息子を溺愛している。
イヴァン
ルオ・リシタ国の王子であり、ルーシの民の族長でもあるゲラルジーの専属奴隷。
とある部族の族長の子孫の家系であったが、その昔、対立していたルーシの民に敗れた事により、奴隷に身分を落とした。
生まれながらの奴隷ではあるが、高貴な身分の者に仕えるため、高度な教育と様々な訓練を受けている。
2メートルクラスがごろごろいるため、ルオ・リシタの戦士たちは力押しの戦法が主体となりがちだが、イヴァンは確かな剣技と、シヴァですら及ばない程の弓術の腕を持つ。
左腕に毒蛇の呪印が彫り込まれ、逆らうと刺青のはずの毒蛇にかみ殺され、魂を喰われる。
ゲラルジーの毒見役も務めており、毒に関する知識も高い。
オリオンに劣らない見事に引き締まった体格を持つ19歳。
イェ・ソン
ヴォオス北東部に位置する国。元は遊牧を主な産業としていたが、古代帝国ベルデ崩壊後に流入してきた人々により大地下空洞の採掘が始まってからは遊牧と鉱業の国となる。
大量に産出される鉄のおかげで、兵士の装備品の水準は高く、重騎兵団の突進は大陸最強の呼び声が高い。
イーラ
イヴァンの弟。兄同様ゲラルジーの専属奴隷。
度胸も戦士としての力量も確かな16歳。
左腕に刻まれた呪印の毒蛇に魂を喰われかけたところをカーシュナーによって助けられる。
フールメント会戦の最中に命を落とす。
ヴァールーフ
カーシュナーの兄。クライツベルヘン家の四人兄弟の次男。三十三歳。
ヴァウレル
カーシュナーの父。ヴォオス五大家の一角、クライツベルヘン家の現当主。
ヴィクトリアおばあちゃん
ヴォオス下町の人気店、通称ディックの店こと<竜の角笛亭>の厨房を仕切るおばあちゃん。
下町屈指の料理名人。
ウィレアム一世
ヴォオス建国の王にして<英雄王>と称えられる勇者。
魔神ラタトスの討伐、その後のヴォオス建国に尽力してくれた五人の戦士に、その血は等しく尊きものとし、公爵の位と領土、他の貴族にはない多くの特権を与え、
「王家に乱れある時、五大家がその力を持って正せ」
と、異例の言葉を残したことでも有名。現在は有名無実の言葉として、口にすることを忌避されている。
ウィレアム三世
奴隷制度を廃止したことにより、後世の人々からは<解放王>と呼ばれる。愚昧な二人の息子を自らの手で斬り、王族ではあるが継承順位の低かった二クラウスを、五大家認証のもと後継者に据える。
現在のヴォオス社会の基盤を築いた三賢王の一人。
エストバ
ヴォオス東部に位置する、天然の要害に囲まれた山国。
エルゲンブレクト
ヴォオス国第二代国王。建国王ウィレアム一世の従弟にあたる。
悦楽の樹
魔神ラタトスの眷属で、植物タイプの魔物。
死ぬ間際に超極小サイズの種子を放出するため、討伐が非常に困難。その名の通り樹木でもあるため、根をはった場所から動くことが出来ないので、隔離管理されるケースが多い。
胞子を飛ばし、攻撃範囲に入った生物を捕らえる。吸い込むと全身に快感が走り、思考も身体も麻痺し始め、快感に身を浸すことしか考えられなくなる。
エルフェニウス
五大家に次ぐ有力貴族の子息。カーシュナーとは王立学院の同期で、異例の成績で卒業した天才。
オリオン
盗賊ギルドの暗殺者であったが、宰相クロクスと手を組んだギルド組織に反発し、反意を示す。
オリオンの考えに同調する者たちが自然に集まり、そこにカーシュナーが加わったことで、王都全体を巻き込む大混乱の中心人物となる。
三百年近い歴史を持つ盗賊ギルドの歴史の中でも突出した能力を持つ暗殺者。
目、鼻、口。全てのパーツが整った端正な顔立ちのはずなのだが、配列の微妙なズレの結果、常に不機嫌に見える顔になってしまっている。実際不機嫌なことが多い。
カ行
カーシュナー
クライツベルヘン家の四男。三人の兄とは母親が違い、後妻である別大陸からの渡来人ラライヤとの間に生まれる。ヴォオス人にはたいへん珍しい母親譲りの金髪に翡翠色の瞳を持つ二十二歳の青年。二メートル近い長身に長い手足、無駄なく引き締まった肉体を持ち、一見するとやせ細っているように見えるため、反感を持つ者たちからは<枯れ木>呼ばわりされることが多い。
王立学院入学後、中の上といった成績で過ごし、学院の許可も取らずに定期的に休学して国内外を旅して回っていた。本来ならば退学になるところだが、五大家の一員ということで黙認され、無事卒業する。これがもとで同期からは疎まれる。
理想と現実の区別を明確に持ちつつ、それでも実現可能な理想を冷徹なまでに追求する鋼鉄の意志の持ち主。ひねくれたユーモアの持ち主でもあり、笑ってはいけないような場面で笑いを堪えれらないようなところがある。
リードリット王女からは「馬鹿で無茶苦茶なやつ!」と評価されることが多いが、それは前提に、やるときはどのような手段を用いようとも必ずやり遂げるという信頼があっての言葉でもある。
銀香木(ぎんこうぼく)
いくつもの部族にわかれているルオ・リシタ国の部族を象徴する聖なる大樹。
精霊が宿っており、ルオ・リシタ人は精霊を神と崇め、この大樹を中心に部族を発展させてきた。
別名世界樹。
クライツベルヘン
ヴォオス五大家の内の一家。ヴォオス南東部に広大な領地を持つ五大家の筆頭。カーシュナーはクライツベルヘン家の四男にあたる。
クリストフェルン
ヴォオス東部に領地を構える五大家の一つ、ドルトスタット家の当主。五大家の領主の中では比較的若く、まだ四十をわずかにすぎたばかり。髪や肌のつやも良く、見た目は三十歳でも通る若々しさ。
クロクス
祖父に当たる人物が貴族の称号を購入して以降、親子二代で宰相の地位まで上り詰めた元商人の息子。元来であればあり得ない速度のその出世は、ヴォオス国の政治腐敗が急成長の苗床となっている。
年々衰退しつつあったヴォオス経済を立て直したという意味では近年においては最大の功労者といえるが、そのすべてを自身の権力拡大のために注いだため、多くの政敵を作る。
人心操作、人心掌握の術に突出した才能があり、経済と駆け引きの天才。
ゲラルジー
ルオ・リシタ国の王子で、ルーシの民の族長。四十三歳。
ケルクラーデンの野
貴族連合軍とリードリット軍が戦った場所。王都ベルフィストの南東に位置する。ヴォオスでは珍しく、水源に乏しい土地で開拓などはされていない。
コーネリス
ヴォオス軍第七席の軍師。能力の高さは誰もが認めるところではあるのだが、そこに溺れた嫌われ者。主席の座を狙っているが、上手く人に使われてはじめてその真価を発揮するタイプであることに、本人だけが気がついていない。
五大家(ごたいか)
クライツベルヘン家を筆頭とした大貴族。ヴォオス建国に多大な貢献を果たした五人の勇者が、広大な領地と特権を許されて興したヴォオス貴族社会の中でもかなり特殊な位置にある建国以来の名家。
王家に五人の勇者の血筋を加え、ヴォオスでは六聖血(ろくせいけつ)として崇められている。
それぞれが国家規模の経済力と軍事力を保有している。
古代帝国ベルデ
神話に登場する大陸で最大の版図を誇った伝説の帝国。
ゴドフリート
ヴォオス軍の元大将軍。王宮の腐敗に嫌気がさし、大将軍の職を辞して隠棲生活を送っている。王立学院に入るまでのカーシュナーの文武の師匠でもある。
コンラット
ヴォオス軍の将軍の一人。下級貴族出身で王弟派の将校。
サ行
ザーセン
ヴォオス五大家の一家。ヴォオス西部に領地を構える。
ザバッシュ
ゾン国の有力な将軍。トカッド城塞を任されている。メティルイゼット王子に対し、かなり根深い反感を持っている。上背こそないが広い肩と分厚い胸板を持つ四十歳。
三愚王
三賢王の後に続いた三人の王を、侮蔑を込めて<三愚王>と呼ぶ。
実際に<三愚王>の蔑称が用いられるようになったのは、現国王バールリウスの即位後、貧富の差がより激しくなり、民衆の生活が困窮してから。
ちなみにバールリウスはこの中に含まれていない。先代国王から数えた三人の国王が<三愚王>と呼ばれている。いくら飾り物の国王とは言え、現役の国王を真っ向から揶揄するようなバカは、ヴォオスがどれだけ広いと言っても存在しない。
三賢王
今から約五十年ほど前に奴隷制度を廃止し、社会構造を作り直した三人の偉大な王を称して<三賢王>と呼ぶ。
ジィズベルト
ヴォオス貴族の一人。<黒豹>の異名を持つ武人。
シヴァ
カーシュナーの盟友にして悪友。創作物語に出てくる戦いの神の名前をつけられ、そのことを自虐話のネタにしている。
槍術の達人で、修行の一環として常時片方の目をふさいでいる。
呪印(じゅいん)
精霊が宿る<銀香木>と呼ばれる大樹の樹液に、<森妖術師>が呪いをかけて作りだした染料で彫り込まれた毒蛇の刺青。邪霊が宿っており、物理的ダメージを無効化し、魂を喰らう能力を持つ。
イヴァンとイーラはこの呪印の力によって隷属させられていた。
シュタッツベーレン
ヴォオス五大家の一家。ヴォオス北部に領地を構える。
ス・トラプ山脈
大陸西部を東西に横断する大山脈。
ヴォオス西部から西の端が始まり、途中で極端な起伏を現すが、大陸の東の端まで続いている。
北にルオ・リシタ。南にゾンと二つの国を隔てているが、両国の西の端で、まるで超巨大な巨人に踏みつぶされたかのように、両国の一部がつながっている。
セインデルト
カーシュナーの兄。クライツベルヘン家の四人兄弟の三男。二十八歳。
ゾン国
ヴォオスの南に位置する国。ヴォオスとは古くからの仇敵であり、奴隷売買が主な産業であるゾンは、ヴォオス国における約五十年前の奴隷解放以降ヴォオスとの国交は悪化の一途をたどっている。
タ行
ダーン
カーシュナーの従者にして幼馴染の親友。カーシュナーの父ヴァウレルの腹心の部下テオドールの息子。カーシュナー同様渡来人を母に持つため、ヴォオス人には珍しい茶髪に濃い茶色の瞳を持っている。
常識人であり、冷静なまま無茶をするカーシュナーの暴走を軌道修正するのが役目。暴走したカーシュナーを本気で止めることはできないと幼少のころに諦めた。常識人であるがゆえの苦労人。
武芸の達人であり、剣を持っての一対一の地上戦ならば国内屈指の実力の持ち主。
カーシュナーの一つ上の二十三歳。
ディック
ディックの店こと、<竜の角笛亭>の店主。目利きの腕は確かで、通う客にも当てにされている。
ディルクメウス
ヴォオス宮廷の重臣の一人。興奮しやすい老人。侯爵。
チャルル
ゾン国の西方に位置する都市。
カーシュナーはこの都市に、隠れみのとして用いるためのヨゼフというヴォオス人商人を用意していおり、ゾン国内で活動する際には、ヨゼフを名乗っている。
テオドール
クライツベルヘン家当主ヴァウレルの腹心にして、ダーンの父親。
ヴァウレルがカーシュナーの母であるラライヤと再婚する際、ちゃっかり自分も渡来人の子孫であるミカと結婚する。病で早くに最初の妻を亡くしていたため、当人の家族以上にクライツベルヘン家一同から祝福される。
文武に秀で、ヴァウレルに幼少のころより従者として仕えてきた。最近まで政務全般に係わっていたが、ヴァウレルに代わって嫡男のアインノルトが政務を取り仕切るようになってからは、後進の育成のため前線から退き、影ながら見守っている。
代々頭髪に縁の薄い家系で、だいぶ怪しい状態になってきている。本人は、「崖っぷちに片手でぶら下がっている状態だが、まだギリギリ大丈夫!」と豪語している。
これを耳にしたヴァウレル曰く――。
「いや、だめだろ」とのこと。
テッセン
ヴォオス北東部に位置する領地。
エルフェニウスがアペンドール伯爵をおびき出すために襲撃した領地の一つ。
トカッド城塞
ミデンブルク城塞に対抗し、ヘルデ河を挟んだ反対側にゾンが築いた城塞。
ドルク
ミデンブルク城塞をあずかる将軍の一人。防戦指揮能力に優れ、以前は王都防衛の要職にあった。
シヴァ同様騎士階級の出で、準貴族でしかなかったが、早くに前大将軍ゴドフリートにその才能を見いだされ、将軍にまで昇りつめる。
ゴドフリートが王宮を去ってからはゴドフリート派とみなされたため、各地の城塞に派遣されたが、ゾン軍によってミデンブルク城塞が陥落すると、実力本来の活躍を期待され、取り戻されたミデンブルク城塞へと赴任する。
戦を求めてやってきたリードリットが悩みの種。
ドルトスタット
ヴォオス五大家の一家。ヴォオス東部に領地を構える。
ナ行
二クラウス
<解放王>ウィレアム三世に見い出され、ウィレアムが実子を排除してまで即位させた傑物。奴隷制度廃止に反対する貴族との内戦と、機に乗じて侵略してきた他国との戦に明け暮れたため、<馬上王>と呼ばれる。休む間もなく戦と政務に励む姿から<鋼鉄王>とも呼ばれる。
現在のヴォオス社会の基盤を築いた三賢王の一人。
ハ行
バールリウス
ヴォオス国の現国王。早熟で十代前半で多くの浮名を流した情欲の人。一説によると、その異常なまでの性欲がもたらすであろう王位継承問題を恐れた重臣たちにより毒を盛られ、生殖能力を奪われたという説がある。
バヴェイブ
王宮騎士団員。造反した王宮騎士団員の中で、唯一リードリットに臣従を願い出た騎士。メルロア家の次男。
白香木(はくこうぼく)
ルオ・リシタ国の特産品。銀香木には劣るが、聖なる力を宿している。
一説によると、<神にして全世界の王>魔神ラタトスの支配の手がルオ・リシタに及ばなかったのは、白香木や銀香木の聖なる力に守られていたからだと言われている。
ハリンゲン伯
ヴォオス北部、ハリンゲン地方を納める貴族。ライドバッハの大反乱に巻き込まれ、中立の立場をとる。
娘のルティアーナが誘拐され、奴隷として売り捌かれかけたが、領地に封じ込められていたため、誘拐されたことすら知らなかった。
ビジ
トカッド城塞に務める上級役人。覚えなくていい。
フールメントの野
ヴォオス西部地方に広がる荒地。過去幾度となく戦場となる。
フェロー
ヴォオス北東部に位置する領地。
エルフェニウスがアペンドール伯爵をおびき出すために襲撃した領地の一つ。
プレタ
クライツベルヘン領内にある都市の一つ。
ブレンダン
ヴォオス貴族の一人。人並み外れた巨体の持ち主。巨体を支えられる馬がいないことから巨大な雄牛にまたがり戦場を駆ける。<猛牛>の異名を持つ。
フローリンゲン城塞
ヴォオス東部にあるエストバとの国境線を守る城塞。
城主はレイナウド将軍。常駐は歩兵二万、騎兵一万。本来はこの三倍以上の兵員を収容可能だが、現在エストバとの関係が安定しているため、常駐兵の数が削減されている。
フロリス
カーシュナーが身分を偽る際に用いる偽名の一つ。クライツベルヘン領内にある都市の一つ、プレタで商いを営む商人という設定になっている。
ベアトリーゼ
ディルクメウス侯爵の孫娘。アナベルが開いた私塾に通っている。
貴婦人狩りに遭い、あやうく奴隷として売り飛ばされるところだったが、無事救出される。
ヘルダロイダ
ヴォオス北部に領地を構える五大家の一つ、シュタッツベーレン家の女当主。妖艶な空気をまとい、豊満な肢体と熟れた果実のような厚い唇を持つ、年齢不明の貴婦人。五大家の中で唯一の女当主でもある。
ヘルデ河
南の隣国ゾンとの国境線となっている大河。豊富な水量に恵まれ、ヴォオスとゾンに豊かな水産資源を提供するかたわら、漁業権を巡る争いのもとになる。何年かに一度洪水を起こし、周辺の土壌を豊かにしている。
ヘルデ河沿岸部は農耕に非常に適した土地であるが、紛争が絶えないため両国とも開拓は進んでいない。
ベルフィスト
ヴォオス国の王都。大陸の四本の主要隊商路が唯一交差する大陸経済の心臓部として栄華を誇っている。
四重の城壁に囲まれ、目的を明確に分けた区画に区切られている。
ホーディン
ヴォオス北東部に位置する領地。
エルフェニウスがアペンドール伯爵をおびき出すために襲撃した領地の一つ。
ボルストヴァルト
ヴォオス五大家の一家。ヴォオス北東部に領地を構える。
マ行
マウラガンの野
ヴォオス国北部に位置する荒地。肥沃な土地の多いヴォオスでは珍しく岩がちの荒地。過去に何度も内戦や侵略で戦場になることが多かっため、開拓されることもない。
マルダイン(子爵)
ヴォオス北東部に位置するレーデ領を治める貴族。ライドバッハに積極的に加担した貴族の一人。
ミカ
ダーンの母でテオドールの後妻。蜜柑色の髪に薄い茶色の瞳を持つ。二十三歳の息子を持つとは思えない見た目の若さは、そばかすのおかげと本人は語るが、小じわ一つない肌はどう見ても二十代で通用する肌理を維持しており、カーシュナーの母を含めたクライツベルヘン領内の女性からその秘訣を探られている。
夫であるテオドールと、息子であるダーンが、薄毛を気にし過ぎていることにいら立っている。
ミデンブルク城塞
ヴォオス南方国境の要。長く難攻不落の名城として知られていたが、五年前のゾン侵攻の際に陥落する。
現在はクライツベルヘン家の援助を受け再建中である。
ミヒュール
カーシュナーの王立学院時代の同期で、成績第二位。エルフェニウスに並ぶもう一人の天才。
平民出であることから当初はその才能を正当に評価されなかったが、エルフェニウスとカーシュナーの皮肉交じりの学院批判により、以後その才能が評価されるようになる。しかし、成績でエルフェニウスを上回ることは一度もなく、学院卒業後にライドバッハの幕僚に加わるも、エルフェニウスに次ぐ軍師第三席に留まることになる。
様々な憶測が周囲で飛び交うが、当人は泰然として取り合わなかった。
派手さはないが整った顔立ちに、180センチの長身を持つ。二十四歳。
ミラン
≪守護者≫の家系で、ヴォオス南部の森林で暮らしていた≪森の守護者≫の末裔。
母親の病を治すために人里に下っていた時に、五年前のゾンによる大侵攻に巻き込まれ、奴隷狩りに遭って捕らえられる。
カーシュナーの覚悟に惚れ込み、その配下に加わる。十三歳。
メルロア
ヴォオス南部に位置するメルロア家の領地。
王宮騎士団員であるバヴェイブの故郷。
モラン
トカッド城塞に捕らえられていた南方民族の青年。救出後、カーシュナーに惚れ込み配下に加わる。
長身にしなやかな肉体、漆黒の肌を持つ。
幼いころに奴隷商人に捕らえられ、同族の者も早くに命を落としてしまったため、名前を失ってしまっていた。モランという名はカーシュナーが贈ったもので、南方民族の言葉で、≪戦士≫の意味。
ヤ行
ヤープ
ヴォオス国軍の千騎長。マウラガンの野にてシヴァにより討ち取られる。
ヨアネス
ヴォオス国軍の将軍。レダム砦に向け、歩兵二万五千、騎兵一万の兵を率いた。
ヨゼフ
チャルルのヨゼフ。ゾン国の西方に位置する都市チャルルを拠点に商いをするヴォオス人商人。
その実はカーシュナーが用意した架空の人物であり、定期的にクライツベルヘン家の密偵が影武者として訪れ、代役を務めている。
明るく人付き合いの良い人物だが、奴隷の扱いがひどいことで有名。<舌切り>の異名を持つ。
ラ行
ライドバッハ
ヴォオス軍軍師。北部地方の民衆による暴動を鎮圧するため出陣し、そのまま民衆を取り込む。宰相クロクスを奸臣と断罪し、マウラガンの野にて挙兵する。
ラウルリッツ
子宝に恵まれなかった二クラウスにより後継者として見い出される。国内平定後の法整備、諸外国との調停、解放奴隷の教育および生活の安定を図り、内戦と侵略とで疲弊したヴォオス社会を立て直した政治と経済の達人。その偉業から、<再建王>と呼ばれる。
現在のヴォオス社会の基盤を築いた三賢王の一人。
ラタトス
ヴォオス建国以前に人類を支配していた魔神。
神々の大戦を唯一生き延び、<神にして全世界の王>と名乗る。
千年の長きに渡って人々を支配するも、<英雄王>ウィレアム一世に倒される。
一説によるとラタトスは滅びてはおらず、ヴォオス北部に広がる魔境に身を潜め、復活の機会を狙っていると言われている。
ラライヤ
カーシュナーの母。異界とも称される別大陸から渡航して来た渡来人。ヴォオスが存在する大陸では、肌の色や骨格が人種によって異なるが、黒髪に黒い瞳が共通した特徴である。そのため、金髪や銀髪、赤髪などの渡来人は差別を受けることが多い。
金髪に翡翠色の瞳を持つため不遇な生活を強いられていたところをカーシュナーの父ヴァウレルに見いだされ、嫁ぐことになる。
リードリット
ヴォオス国王女。猛々しく一本気な性格の持ち主。細身の身体からは考えられないほどの異常なまでの怪力を持ち、その性格と相まって幼少のころより武芸をたしなむ。一通りの宮廷作法は身につけているが、父である国王バールリウスによりほぼ無制限のわがままが許されているため、軍装に帯剣姿が日常化している。
純粋なヴォオス人にはあり得ない炎のような赤髪に黄金色の瞳をした異相の持ち主。一説によると、バールリウスに盛られた薬の影響ではないかと言われている。
リタ
元盗賊ギルドの暗殺者。オリオンの片腕的存在。
カーシュナーの信頼も厚く、智勇に秀でた万能型。
小柄で愛くるしい美少女だが、カーシュナーの悪影響を受けているため、かなりの毒舌家。一般常識に疎いリードリットにきつめのツッコミを入れる場面がしばしば見受けられる。
<竜の角笛亭>
ヴォオス下町屈指の人気店。看板メニューは臓物の煮込み。
シヴァとカーシュナーもこの煮込みがお目当てでよく通っている。
ルーシ
ルオ・リシタの有力部族の一つ。領有地は直接ヴォオスと接してはいないが、国内のもっとも東に位置しているため、平時にはヴォオスと積極的に交流を持っている。
ルオ・リシタ
ヴォオス北西部に位置する国。この地方でしか育たない<白香木>(はくこうぼく)を中心とした林業が主な産業。部族意識が根強く、古代帝国ベルデの崩壊後、落ち延びた皇子の手により各部族が統一され、国としての型を成したが、部族間対立はいまだに絶えず、国が興っては滅びるの繰り返しを続けている。
ルティアーナ
ハリンゲン伯令嬢。
歳の離れた姉がおり、姉はアナベルのかつての教え子だった。
誘拐され、危うく奴隷として売り飛ばされかけた。
レイナウド
ヴォオス軍の将軍の一人。東部国境の要、フローリンゲン城塞の城主を務めている。
猛将型の将軍が多いヴォオス軍にあって、沈着冷静で防衛戦及び撤退戦でその実力を発揮する良将。
人が好まない任務を黙々とこなしてきた職人肌で、ヴォオス軍人からの信頼は、身分の上下を問わず厚いものがある。
領地の開拓のため、クロクスから多額の融資を受けており、そのことに恩義を感じている。クロクス派。
レイブランド
ヴォオス西部に領地を構える五大家の一つ、ザーセン家の当主。八十歳を超える高齢で、驚くほどやせている。視力も低下し、瞳も白く濁り始めている。だが、瞳に宿る力そのものは現役で、その頭脳はいまだに明晰である。
レーデ
ヴォオス北東部に位置するマルダイン子爵が領有する土地。エルフェニウスによりその城館が焼き払われた。
レオフリード
ミデンブルク城塞に派遣されている将軍の一人。弓の名手であり、その実力は大陸随一とまで言われる。
五大家に次ぐ大貴族の嫡男であり、武芸に優れ、容姿も端麗と、すべてを兼ね備えた完璧な騎士。
真面目過ぎて面白みに欠けるところが唯一の欠点と周囲の同僚たちは言うが、それはあまりに酷な話である。己には厳しいが、他人には寛大な性格のため、真面目さが空回りすることがない。まさに完璧。
レダム
マウラガンの野の南方に位置する王家直轄領。レダム砦は、レダム地方の北端部にある。
ロンドウェイク
ヴォオス国国王バールリウスの弟。公然と語られることは当然ないが、ロンドウェイクが嫡男として生まれていれば、ヴォオスは三賢王(さんけんおう)以来の名君を得たであろうと謳われるほどの文武に秀でた才人。それゆえに、ヴォオス三愚王(さんぐおう)の後継者と揶揄される兄に対して臣従しなくてはならないことに深い憤りを感じている。
ここまでお読みくださったということは、本当にヴォオス戦記を気に入ってくださった方ということですね。
改めて、お読みいただいたことに感謝申し上げます。
万が一作中の登場人物で、詳しいことが知りたいのに、語録から漏れているというキャラがいましたら、感想などでリクエストしてください。追加して更新いたします。
まあ、そんなことないだろうけどね(笑)
11/24 誤字脱字等修正




