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ヴォオス戦記  作者: 南波 四十一
ヴォオス戦記・序
10/152

トカッド城塞陥落

 たなぼた的にミデンブルク城塞を手に入れることになったトカッド城塞は、ザバッシュ将軍を筆頭に、浮かれ気分を抑えきれずにいた。一般兵に至っては、カーシュナーことチャルルのヨゼフが催したお祭り騒ぎに参加して、完全に浮かれきっている。

 クライツベルヘン家の同盟申込みに懐疑的だった将兵たちも、ヴォオスの混迷状況を知るにつけ、クライツベルヘンの行動に納得を示した。

 現状を座視すれば、いかに五大家といえども、ライドバッハに呑み込まれてしまう可能性が高い。各個撃破されてしまう前に、王家に見切りをつけ、王国軍対ライドバッハ反乱軍による決戦を王国軍の敗北という形で割り切り、時間稼ぎとして利用する。そして、その間にクライツベルヘン家は権力奪取のための態勢を整える腹積もりなのだ。

 北に対して備えたいクライツベルヘン家が、南方に位置する敵対国であるゾン国に対して同盟を申し込むのも、関係修復のために破格の条件を提示するのも当然なのだ。


 いくさ好きの王子メティルイゼットであれば、ミデンブルク城塞だけで満足などせず、ヴォオスの混迷を機に一気に侵略を謀っただろう。

 しかし、ザバッシュはその危険性に気づいていた。ヴォオス人の特性として、外敵に対し、固い結束を示す性質を持つ点だ。

 この時期に介入することは、せっかく内部分裂を起こし、国力をすり減らしているヴォオスに、一時的であるにせよ、結束する機会を与えるようなものである。冷静になったヴォオス人たちは、下手をすれば話し合いにより事態の収束を図る可能性まで出てくる。


 このあたりの計算が出来もせず、天才などとうぬぼれているメティルイゼットのことが、自国の王子ではあるがザバッシュには疎ましく思えるのだ。


 油断がトカッド城塞の中に蔓延し始める。気の早い兵士の中には赤玲騎士団員に好色の目を向ける者も出始めていた。兵士たちのからかいに対して気丈に振る舞う姿が、兵士たちの性欲を余計に刺激するのだ。

 酒を配り、料理を提供し、賭けの倍率を釣り上げ、カーシュナーはトカッド城塞をさらなる興奮に包み込む。


「そろそろかな」


 新たな賭けを始めつつ、カーシュナーはつぶやいた。その声は、賭けに参加しようと大声を上げる兵士たちの興奮に呑み込まれ、誰の耳にも届かなかった。









 ゾン国兵の装備に身を包んだレオフリードは、カーシュナーが使用した侵入経路をたどり、トカッド城塞の南方・・で、三千の兵を率いて待機していた。

 

 一度、ミランに案内され、ヘルデ河上流からヴォオスに潜入し、<悦楽の樹>の餌食となった偵察部隊の捜索任務に就いていた部隊と遭遇したが、幸いなことに人里離れた森林部だったことと、レオフリードの隊を消息不明中の偵察部隊と勘違いして無防備に近づいてきたおかげで、一兵も漏らさずに討伐することに成功した。

「思っていた以上にゾン軍は油断しているようだな。偵察部隊の消息が途絶えた時点でもっと警戒心を持て任務に当たっていれば、我々との遭遇を報告する兵を出すことくらいは出来たはずだ」

 他国の兵士とはいえ、そのうかつさにレオフリードは眉をひそめる。こうした些細な落ち度が、戦局を左右したことが過去に何度もあったのだ。

 そんな幸運にも恵まれながら、レオフリードは待機場所にたどり着き、事が起こるのを・・・・・・・じっと待っていた。トカッド城塞の喧騒は、北風に乗ってレオフリードたちの元へと届いており、カーシュナーの計画通りに事が運んでいることを知らせてくれる。


「これほど容易くザバッシュ将軍を油断させるとは、驚きです」

 千騎長の一人が北風から身を守りながら言う。

「偽装用の商人を用意している点といい、おそらくかなり以前からトカッド城塞の攻略法を幾通りも用意していたのだろう」

「何のためにでしょうか? クライツベルヘン領は直接ゾン国とは接しておりません。ミデンブルク城塞がある以上、クライツベルヘンがトカッド城塞の攻略を考える必要はないはずです。なにか裏があるのでしょうか?」


「どうかな? 五年前、ミデンブルク城塞は一度陥落し、ヴォオス南部は大侵攻を受けた。クライツベルヘン領も被害を受けたはずだ。クライツベルヘンに他意があるというより、我々王国軍が信頼を失ってしまったと考えるべきなのではないかな?」

「……ミデンブルク城塞再建のための支援も、ゾン国が動きを見せた際の援軍も、ということですか」

「ライドバッハ軍師の下に多くの兵が集まっている時点で、王国軍の何を信頼してくれと言えようか。国は割れたのだ。五大家が動くのは無理もないことだ」

「ですが、それは将軍には責のないことではありませんか! それなのに将軍の力を見限るなど……」

 千騎長はレオフリードに対する忠誠心から怒りを露わにする。


「俺は逆だと考えている。だからこそ、こんな重要な任務を任されているんだ。俺がしくじれば、トカッド城塞の内懐うちぶところにいる者たちは全員命を落とすだろう。ミデンブルクから、国の混乱を鎮めるための兵を出すためには、どうしてもトカッド城塞の攻略は不可欠だ。下手をすれば国の命運はこの任務に掛かっている可能性だってある。カーシュナー殿は己の命と国の命運の両方を、俺の手にゆだねてくれたのだ」

 千騎長はごくりとつばを飲む。そこまで深く考えが至っていなかったのだ。


 そのとき、喧騒の質が変わった。それまで馬鹿騒ぎだったものが、驚愕と怒声の入り混じったものに変わったのだ――。









 ミデンブルク城塞から連れてこられた奴隷たちの手枷てかせは、ある一連の操作により、鍵を用いずとも錠を外すことが出来る特注製の手枷であった。中には短いが刃が仕込んであり、外した手枷を組み合わせると、不恰好ではあるが短槍に早変わりする。

 カーシュナーが考案したもので、この日のために密かに用意していたものであった。


 城内の喧騒を恨めしそうに眺める見張り役の兵士たちは、自分たちが一瞬の内に武装したヴォオス兵の一団に取り囲まれているという状況を理解できなかった。

 無抵抗な奴隷を支配することに慣れきっているゾン国兵には、支配する側にあるという油断があった。

 彼らは最後まで自分たちの状況に気がつかず、うっすらと積もった雪の上に倒れていた。その場に鮮やかな色をした血溜まりが出来ていく。まだ温かい身体から流れ出した血液が湯気を上げ、血の臭いと共に流されて行く。


 彼らはまず、奴隷たちの解放に向かった。





 トカッド城塞内では、欲情に支配された士官たちが、一般兵が手を付ける前にまず自分たちが楽しもうと、嫌がる赤玲騎士団の団員たちを、それぞれが定めた物陰へと連れ込んで行った。

 ゾン国兵には知る由もないことであったが、連れ込まれた女性たちは、実際には赤玲騎士団の団員などではなく、クライツベルヘンが誇る優秀な女性密偵たちだった。

 彼女たちはそれぞれが物陰に引きずり込まれた直後に、そこを巣穴にしていた毒蛇に豹変した。

 手枷が目にも止まらぬ速さで短槍に変わり、その先端が士官たちの喉笛をかき切る。その後彼女たちは死体にまたがり嬌声を上げ、あたかも上官が自分たちだけで楽しんでいるかのように演出してみせた。

 こうして一般兵たちは、自分たちを指揮する上官を次々と失っていったにもかかわらず、上官に対する怒りと不満を溜めこんでいったのであった。





 ゾン国では歩兵とは奴隷のことであった。

 現在は一部の者を除いて奴隷小屋に閉じ込められている。

 表に出されているのは、城内の雑用をこなすための少年や老人の他に、兵士たちが拳闘の賭けに使うために連れ出された者たちだけであった。

 

 奴隷小屋の一つに、ミランは鍵束をもって駆けつけていた。檻の向こうに見知った顔を見つけたミランは、思わずこぼれた涙を強く拭った。

「みんな、待たせたね」

 ミランが鍵束を探り、奴隷小屋の入り口の鍵を見つけて開ける。だが、あまりにも予想外のことであったため、誰も動こうとしなかった。

「助かるんだよ。俺たち!」

 焦れたミランが手近にいた男の肩を揺さぶる。

 そのとき、奴隷の一人が事態に気がつき、声を上げた。


「兵士様! 脱走ですだ! すぐ来て下せえ!」

 ミランがドキリとして、声を上げた奴隷をにらみつける。

「貴様ら! 何を騒いでおるか!」

 騒ぎを聞きつけ、兵士の一人が駆けつけてくる。

 ミランは懐にしまい込んでいた短剣を抜くと、震えながら小屋から飛び出した。


「兵士様! あの小僧です!」

「ご苦労! 褒美だ!」

 兵士はそういうと、手にしていた槍の石突きで、奴隷の喉元のどもとを一突きした。気絶しないぎりぎりの力加減で突かれた奴隷は、激しい痛みと呼吸が出来ない苦しみでのたうち回った。

「ミラン! 早くしろ! すぐに騒ぎがでかくなるぞ!」

 駆けつけた兵士は、変装したシヴァであった。

 足の力が抜けそうになるのを必死でこらえながら、ミランは奴隷小屋へと取って返した。


「ヴォオス軍が来てくれた! みんなヴォオスに帰ろう! もう奴隷じゃなくていいんだ!」

 それでもまだ戸惑う奴隷たちに、

「さっさとしろ!」

 シヴァの怒声が尻を叩く。

 命令されることが骨身に染み込んでしまった彼らには、自由意志よりも強烈な命令の方が早い場合もある。

「ヴォオス人だろうが、それ以外の国の連中だろうが関係ねえ! 俺たちが守ってやる! グズグズするな!」

 そう言って不敵に笑うシヴァの姿は、奴隷たちを黙って従えるだけの圧倒的な存在感があった。

 




 ここからは早かった。

 次々と開かれる奴隷小屋から、二万人の奴隷たちが流れ出し、場外から侵入を果たし、奴隷に扮しいるヴォオス兵が場外へと導く流れを作る。これを阻止しようと兵士たちが動くが、指揮を執るはずの士官たちが姿を見せない。秩序立った動きが取れないゾン国兵たちは、無能な上官を罵りながら混乱し、戸惑うばかりであった。


 ここに兵を分散させながら、混乱に乗じて潜入したレオフリード以下三千の兵が、女奴隷としけこみ、いまだに姿を見せない士官を罵りながらゾン国兵の中を駆け回った。

 元々根深かった不満があおられ、混乱がさらなる拍車をかける。

 秩序を取り戻そうと、声を上げていた真面目な士官が千騎長の一人に殴り飛ばされると、不満が一気に爆発した。


 しけこまずにいたおかげで死なずに済んだ士官も、日頃部下に対し必要以上に厳しく当たっていた士官は、酒の勢いに押された兵士たちから袋叩きにされた。

 それを見たヴォオス軍の千騎長は、混乱の中で日頃の自分の態度をかえりみ、この日以降配下の兵士たちが驚くほど部下を大切にする上官に変わった。それは彼一人ではなく、兵士からの評価が低かった幾人かの百騎長たちにも見られた変化だった。


 混乱の中、レオフリードはトカッド城塞内にザバッシュ将軍警護の名目で簡単に潜入を果たした。

 途中幾度か誰何されたが、逆に、さも当然のように問いただしてきた相手に城内の混乱鎮圧のための移動を命じ、あっさりと通過してしまった。

 これは城内警護の兵士たちの落ち度ではあるのだが、城内でも士官の幾人かが行方知れずのため指揮系統が混乱しており、どうすればいいか迷っている中での明確な指示に加え、レオフリードが放つ百戦の気と、命令する立場の人間だけが持つ独特の威圧感に城内警護の兵士たちが呑まれてしまったことが原因だった。


 レオフリードはまるで我が城のように堂々たる足取りで、ザバッシュの居室へと足を運んだ――。

 




 ザバッシュは当初、連れてこられたヴォオス兵奴隷たちが騒いでいるだけだと考えていた。己が奴隷になったということがまだ認識できない連中は、よく最初の晩に騒ぎを起こすものだからだ。

 それを踏まえて見張りの兵を出してやりもした。

 まさか賭けの対象に連れ込んだのではないかと考え、ザバッシュが衛兵に様子を見に行かせたときにはすでに城門は占拠され、歩兵戦力であるはずの奴隷たちが次々と脱走しているような状況だった。


「どういうことだ! 城内の奴隷どもが反乱でも起こしたというのか! 誰か説明せい!」

 衛兵の報告を受けたザバッシュが怒声を張り上げる。窓が砕けんばかりの怒鳴り声に、報告を上げた衛兵は思わず後退りした。

 衛兵どころか配下の武将たちまで右往左往するばかりでまるで当てにならない状況に、ザバッシュはさっさと見切りをつけ、剣だけを身に着けると部屋から飛び出した。

「ついて来い!」

 その一言だけで浮足立っていた衛兵たちが本来の動きを取り戻し、ザバッシュの後に付き従う。

 この辺りはザバッシュの武将としての実力のほどがうかがえる。


 ザバッシュは騒ぎが起きている城門付近へは行かず、場内の様子がうかがいやすい城壁へと急いだ。

 城塞の各所から火の手が上がっている。奴隷小屋は全棟すでに火の海と化し、周辺に、次なる獲物を求める大蛇の舌よろしく、炎の先端を伸ばしていた。

 苛立ちのあまり城壁を蹴りつける。

 逆鱗に触れることを恐れた兵士たちは、声もなく見守る。

 ここで怒りに任せて周囲に当たり散らす程度の男であれば、ザバッシュはここにはいない。哀れな城壁の一部が砕けて落下し、運悪く下にいた兵士の頭をかち割ったときには、ギリギリではあるが冷静さを取り戻していた。


「下の馬鹿どもには消火活動をさせろ! 奴隷どもはこの際さっさと外に出してしまえ!」

「ザバッシュ将軍! 二万もの奴隷を失っては、後々問題になります!」

「トカッド城塞を失ってみろ! 問題どころで済むか! 俺を含めたこの場にいる全員の首が飛ぶぞ!」

 トカッド城塞が落ちるなどとはかけらも考えていなかった各武将たちが、思わず息をのむ。

「それに、奴隷どもに行く当てなどないのだ! 後でじっくりと狩り出してやればよい! 今は兵を動かすことが肝要だ!」

 腹を括った将たちの顔を見て、ザバッシュは指示を飛ばした。

「鎮圧は城内の兵士で部隊を編成して行う! 各将は城内の兵を集め、騒ぎを起こしている連中を城門へ包囲しつつ追い込め! 浮足立っているだけの馬鹿がいたら、蹴り飛ばして奴隷小屋の消火に向かわせろ!」

 各武将たちは急ぎ城内へと取って返した。


 この時点で、ザバッシュはこの騒動をヴォオス軍の攻撃とは捉えていなかった。奴隷の反乱や下級兵士による暴動などは、日常茶飯事とまではいかないが、ゾン国では別段珍しくもないことであった。奴隷という底辺が存在するが故に、平民や貴族といった身分差から生じる差別意識はより激しくなる。だからこそ、奴隷制度がまかり通っているという側面もある。

 貴族にとっては奴隷も平民も、差などない。だが、見下される立場としては、自分たちが見下している奴隷と同列のように扱われることは、ヴォオスの平民が貴族から見下される以上に憎悪を生む。

 その結果、些細なことが引き金となり、平民出の兵士による暴動が起こるのだ。


 城壁の上からは、チャルルのヨゼフが開いていた賭場がよく見えた。すでに混乱に呑み込まれ、一部で殺気立った殴り合いが展開されている。おそらく賭けのために集金したあがりを奪い合っているのだろう。

「どこまでもついていない男だ。生きておったら逃げた奴隷たちでも扱わせてやるか」

 商魂たくましいチャルルのヨゼフの姿を思い出し、ザバッシュは独りちる。そして、城壁から状況を把握したザバッシュは、武将たちの指揮を執るために自身も城内へと踵を返した。





 ザバッシュが見当違いな同情をしていたことをカーシュナーが知れば、馬鹿丁寧なお辞儀を返したであろう。だが、混乱の渦中にあるカーシュナー当人は、チャルルのヨゼフとして、赤玲騎士団に偽装し、士官たちを暗殺したクライツベルヘンの女密偵たちの回収作業に奔走していた。

 その姿はまさしく強欲商人のそれであり、事のすべてがこの男の頭脳から始まったなどと考える者はトカッド城塞には皆無であった。


 カーシュナーの仕事は混乱を助長することだ。

 本来歩兵として数えられている奴隷を解放したことで、トカッド城塞の戦力は大幅に低下した。しかし、彼らは元々正式な訓練を積んだ兵士ではなく、数を頼りに戦場を制圧するための使い捨ての駒だ。

 一般兵の切り離しにもある程度は成功したが、それは非番を許された兵士の中の一部に過ぎない。もう少し大崩れするかと思っていたが、さすがはゾン国軍でも屈指の武将である。兵士を掌握する力は予想以上のものであった。


 カーシュナーは密偵を回収しつつ、可能な限り火を放った。それでいて被害者を装い、火の手から逃れつつ、商品である女奴隷を回収しているかに見せかけ、一般兵を見つけては無節操に連れ込んだ士官たちへの不満をぶちまけていく。

 

 一般兵たちが城塞に務めている間に女を抱く機会など全くない。それは部隊長程度の士官でも同様だった。たまの休みに隊商路筋の町まで行き、娼婦を買うのが常だが、それだけに溜まりに溜まった欲求はそのままお楽しみ中の上司である士官たちに向かっていた。

 カーシュナーは兵士たちの心理状態を巧みに読み取り、その耳に言葉の毒を流し込んで不満をあおり立てた。


 それでいて、「しばらくはこの先の町で待機しているから、このゴタゴタが片付いたら町までくり出して来てよ。お値段勉強させてもらうからさ」と言い、女たちの方へと視線を向けてから片目を閉じる。

 さりげなく自分はあなたたち側の人間であることを強調し、ただでさえ一般兵受けしていた好感度を上げていった。

 おかげでカーシュナーことチャルルのヨゼフの邪魔をするような兵士の姿はなく、中には捜索と避難を手伝ってくれる気の良い兵士まで現れた。


 女密偵たちの回収に成功したカーシュナーは、奴隷たちの流れに紛れ込み、シヴァと合流するとさっさと城外に逃れ、無事脱出を果たしてみせた。





 城内から飛び出した奴隷たちが無秩序に拡散して行く。

 そんな彼らを、ミランが声をからして説得し、ミデンブルク方向に誘導しようとしていた。チャルルのヨゼフの変装を驚くほどの早業で解いたカーシュナーも、これに加わる。


「みんなヴォオスに向かって! ゾンにいればいつかは捕まって奴隷に逆戻りだよ! 逃亡奴隷は鞭打ちの罰もある! ゾンから出なくちゃだめだよ!」

「俺は泳げないんだ! 河は渡れない!」

 奴隷の一人が叫ぶ。


「心配するな! 泳ぐ必要はない! すべて手配は済んでいる! 来い!」

 奴隷の不安を、カーシュナーの自信に満ちた声が弾き飛ばす。

 これにはミランも驚きの視線をカーシュナーに向ける。

「逃げ切ってはじめて助けたことになるんだ。ここからが一番大事なところだ。ふんばるぞ、ミラン!」

 そう言いながら近くでうずくまっていた年老いた奴隷を軽々と担ぎ上げる。鼻が曲がりそうな悪臭を放っていることなど一顧だにしない。


 チャルルのヨゼフの変装を解いたカーシュナーは、身なりの良い戦士へと姿を変えていた。ゾンでは奴隷とかかわるような人種ではない。

 驚いた老人が何か言おうとしたが、その前に、

「必ず助ける。安心しろ」

 と言って、翠玉の瞳を見せて笑った。

 老人は感謝のあまり手を合わせると、念仏を唱え始めた。


 そんなカーシュナーと老人の背中に、奴隷と共に城外へ押し出されてしまった兵士が切りつける。

 周囲の奴隷が悲鳴を上げるよりも早く、カーシュナーの長すぎる脚が槍のように後方へと繰り出され、兵士のみぞおちを打ち抜く。そして、老人を背負っているとは思えない速度で反転すると跳躍し、倒れた兵士ののど元へ膝を叩きこんだ。鈍い音と共に兵士の首があらぬ角度に折れ曲がる。

 細身の身体からは想像もつかない強さに、周囲が呆気に取られる中、その強さに興奮した老人が雄たけびを上げた。細く掠れてお世辞にも力強いなどとは言えない声だったが、意味をなさない言葉に込められた感情の爆発は、暴力により抑圧され、自由意志を持つことが許されなかった者には、胸が締め付けられるような思いをかきたてる、まさに魂の叫びであった。


 すぐそばにいた南方奴隷の青年が感化され、驚くほど美しい声で、魂の絶叫を夜の空へと響かせる。

 カーシュナーは一瞬状況を忘れ、南方奴隷の青年を見つめた。夜の闇の中に溶け込んでしまいそうな黒い肌の中で、大きな眼だけがぎょろりと浮いている。視線が交錯した瞬間、カーシュナーも雄たけびを上げた。近くにいたシヴァもそれに続く。


「続けてくれ!」

カーシュナーはそう言うと、南方奴隷の青年と共に走り出す。そして振り返ると、

「シヴァ! しんがりを頼む!」

「まかせろ! ゾンのアホ犬共なんざ一匹たりとも通さねえ! それよりも、前は大丈夫なんだろうな!」

「ダーンと姫様にまかせてある! 心配ない!」

 

 カーシュナーたちが向かっている先には、同盟を組んだとはいえ、国境線警備の兵が現在も配備されている。ヘルデ河を渡り、ヴォオスへ逃げ込むにはこの警備兵を突破する必要があった。


「ダーンが一緒なら大丈夫だな!」

 自国の王女に対してかなり失礼なことを言いつつ、奴隷の流れが途絶え、勢い余って飛び出してきたゾン国兵たちを槍先にかける。三人が同時に、身体に開いた穴を押さえて倒れた。

「前が大丈夫なら、後は俺が仕事をするだけだな」

 どこかふざけた口調だが、それは獲物を前にした猛獣の戯言と同じだった。


 南方奴隷の青年の声が奴隷たちの流れを導き、自由を求める人々の流れは、北へ向かって流れ出した――。









 ヘルデ河南岸、ゾン国側の川岸では、激闘が幕を閉じていた。

 

 数時間前、ヘルデ河上流にて、三本一組にして用意されていたいかだ部品を、ダーン以下、クライツベルヘンの工兵たちが組み上げていた。

 ヘルデ河の流速から計算された現在位置からカーシュナーの指定地点までにかかる移動時間が、日没直後に到着出来るように逆算した時刻に出発出来るように忙しく立ち働いていた。

 

 赤玲騎士団が協力を申し出て、リードリット自らが作業に乗り出したが、力があり過ぎるのか、根本的に不器用なのか、作業の邪魔にしかならず、丁重に断られて以降暇を持て余していた。


 それでも優秀なクライツベルヘンの工兵部隊の働きのおかげで、巨大ないかだの作成は出発時間に十分間に合わせることが出来た。

 リードリットを先頭にいかだは川を流れ下り、日暮れ直後の薄暗がりの中で目的地に到着した。巨大いかだはそれぞれ素早く連結され、一瞬にして即席の浮橋が完成する。

 ミデンブルクからの一万人以上の奴隷の移動確認を終え、一仕事終えて油断していたゾン国の警備部隊はこの突然の襲撃に対して対応が遅れた。


 先頭のいかだには、リードリットを始めとした強襲部隊が乗り込み、共に運ばれてきた馬に飛び乗ると一気に警備部隊に襲い掛かった。

 警備部隊の兵数は五百。対するリードリット以下強襲部隊はわずか三十騎。その戦力差は二十倍近くあったが、ミデンブルクから奴隷護送の名目で対岸まで来ていた部隊が、浮橋がかかると同時にゾン国側に渡ったため、戦力差は瞬時に逆転した。


 本来であれば戦力が整うまでの間ゾン国側に着岸した浮橋の要である先頭のいかだを守ることが目的であったのだが、赤玲騎士団とダーンおよびその配下の精鋭は恐ろしい勢いで暴れまわり、まだ組織的に動けていなかった警備部隊を押し込んでいた。


 カーシュナーとの一騎打ちで地上戦でのもろさを露呈してしまったリードリットだったが、馬を駆っての野戦であれば話は違う。

 ゾン国の騎兵を案山子かかしでも薙ぎ払うかのように次々と斬り捨て、駆け抜けて行く。そして、無謀以外の何ものでもない突破を図り、陣形を立て直そうとしていた警備部隊の隊長を、打ちかかってきた剣ごと一太刀で馬上から斬り落としてみせた。


 体勢を立て直せないままさらに浮足立ったところに、対岸からヴォオス軍の増援が押し寄せ、ゾン国の警備部隊はまともな抵抗も出来ない内に壊滅させられてしまった。


 リードリットとダーンは、その場を部下に任せると、こちらに向かってきているはずのカーシュナーを迎えるために、トカッド城塞へと馬を飛ばした――。









 トカッド城塞の混乱は、奴隷たちを城外に出したことで、状況が見えるようになってきた。

 暴動だとばかり思っていたザバッシュは、ここに至ってようやく細かな異変が目につきだした。

 城塞外の兵士の暴動にしては火の手の回りが早すぎることや、士官の死者、行方不明者の数が多すぎることなど、どう考えても混乱を助長する要素が多すぎる。

「謀られたのか……。だが、何をどうやって……」

 ザバッシュはつぶやいたきり、黙り込む。彼にとって不都合なことは何もなかったからだ。


 その時、ザバッシュは少数の衛兵に守られているだけの状態で、場内を移動していた。

 そこに、見慣れない士官に率いられた兵の一団が現れ、前方を塞いだ。

 ザバッシュは無意識の内に剣に手を伸ばし、そこで事態を悟った。

「どこの手のものだ?」

 武勇に絶対の自信を持つザバッシュは、剣に伸ばした手をあえて戻して誰何した。


 士官に変装しているレオフリードは、唇の端に冷笑を浮かべると、冷たい声で答えた。

「ザバッシュ将軍。あなたは殿下に対する反意を表に出し過ぎたのです」

 意外な芝居気を出して、レオフリードは告げた。

 カーシュナーの指示により、可能な限りゾン国王子であるメティルイゼットの指示で行動しているようにみせかけることになっているのだ。


「だからといって、ここまでするか? 自国の最前線の城塞だぞ!」

 ザバッシュはレオフリードの言葉を疑わなかった。それはそのまま、メティルイゼットに対する反目の深さを表していた。

「独断でクライツベルヘン家と同盟を結んでおいて、今さらですな」

 レオフリードはそう言うと、すらりと剣を引き抜いた。その動作にザバッシュの警戒心が刺激される。ただそれだけで測れるほど、目の前の男の実力は抜きん出ていたのだ。

 ザバッシュも応じて剣を抜く。それでも騒ぎ立てないのはさすがと言えるだろう。

「……よもやこの同盟、メティルイゼットのはかりごとではあるまいな!」 

 この問いに、レオフリードは無言を通す。


 自身の反意を土台に築き上げた陰謀が、ザバッシュの中で既成事実として成立する。

 ザバッシュの人となり、周囲を取り巻く状況。あらゆることを調べあげた上で、カーシュナーはザバッシュの心理を操ってみせたのだ。


 配下の兵士たちが騒ぎだす。だが、城内の兵士たちの大半が、暴動を起こした兵士たちの鎮圧に向かっており、呼べど叫べど応えはない。

「大人しく身柄をさし出していただけますかな、将軍?」

「さし出したからと言って何になる。あの青二才に慈悲でも請えと言う気か? ふざけるな!!」

 怒号と共にザバッシュは一気に間合いを詰めると、うなりをあげて剣を振り下ろした。

 

 レオフリードはザバッシュの剛剣を受けずに流し、素早く突きを入れる。

 いなされてわずかに体勢を崩していたザバッシュだが、身をひねると突きをかわし、そのまま床に身を投げ出すと一転して身構える。

 厳つい外見とは裏腹な身軽な動きに、レオフリードはニヤリと笑う。真面目過ぎると言われるレオフリードではあるが、そこは芯からの戦士である。戦いを楽しむ気持ちも、強敵を歓迎してしまう心理も抑えることは出来なかった。


 十合、二十合と剣が打ち合わされる。その周囲では、レオフリード配下の屈強な騎士たちによって、ザバッシュの部下たちは次々と討ち取られていった。


「ゾンにこれほどの武勇の持ち主がいたとはな。ついぞ知らなかったわ」

 ザバッシュが肩で息をしながらレオフリードを褒める。どちらも深手こそないが、無数の手傷を負っている。きれいに戦っていては決着などつかないほど、両者の実力は拮抗しており、肉を切らせて骨を断つような立ち回りを続けていた。

「こういう時のために、隠しておくことも大事なのですよ」

 レオフリードはあくまでもメティルイゼットの指示により行動している芝居を続ける。

「貴様、俺につかぬか?」

 心理戦のようでいて、その目には本気の色がうかがえた。

「閣下が万が一にもこの場を切り抜けるようなことがあれば、考えましょう。ただし、高いですよ?」

 

 この受け答えにザバッシュは吠えるように笑い声を上げた。

「面白い! ここで死んでもやむなしと思っておったが、意地でも生き延びてやりたくなったわ!」

「逃がすとお思いですか?」

 レオフリードの言葉を、ザバッシュは鼻で笑い飛ばした。

 笑い終わると同時に剣を投げつけ、身をひるがえす。素早く倒れた部下の剣を拾い上げると包囲の一番薄い個所に切り込み、やすやすと包囲を突破してみせた。


「逃がすな! 追え!」

 慌てるレオフリードの声を聴きながら、ザバッシュはしてやったりとニヤリと笑う。そして、四十過ぎとは思えない快足で城内を駆け抜けて行った。もしザバッシュに振り替える余裕があれば、撤退の準備を始めたレオフリードの姿を見ることが出来たかもしれない。だが、少数とはいえレオフリードの部下に追われている状況ではその余裕はなかった。


 武装しているレオフリードの兵と、剣一本のみのザバッシュでは、速度も耐久力も違った。あっさりと引き離し、余裕が出来るとザバッシュは一度振り返って確認する。鎧が踊るけたたましい音は聞こえるが、その姿は通路の曲がり角の向こうにあり、姿は見えない。

 ザバッシュのみが知る脱出路へ向かうために振り向いたとき、部隊とはぐれたとおぼしき要領の悪そうな兵士が不意に現れ、ザバッシュは正面から激突してしまった。その衝撃で懐から赤の精製水が転がり出たが、ザバッシュは気がつかず、それどころか激突した兵士を、ザバッシュを捕らえるために回り込んできたメティルイゼットの手の者と勘違いし、容赦なく斬り捨てる。

 思わぬところで時間を食い、追跡者との距離が縮んでしまったため、ザバッシュは慌ててその場を後にした。


 ザバッシュは行き止まりの通路まで来ると隠し扉を開き、暗闇の中に飛び込んだ。走ることはせず、一定の歩幅で歩き、複雑に入り組んだ暗闇の脱出路抜けていく。何歩進んでどちらに曲がるのか、すべて頭に叩き込まれているのだ。

 城壁からわずかに離れた場所の雪が突然弾け、ザバッシュは蜘蛛の巣と雪まみれになりながら飛び出した。そして、このときになってようやく懐に大事にしまっておいた赤の精製水がなくなっていることに気がついた。

 メティルイゼットの謀略にはまったと知った時以上の怒りが全身を焦がす。


「閣下!」

 城壁の上から声をかけられ、ザバッシュは慌てて元の脱出路に飛び込んだ。無数の矢の雨が降ってくると予想したのだが、何も起こらない。

「実に見事な手際、感服いたしました。まさか、取り逃がすことになるとは思いませんでした。このままでは新しい仕事を見つけなくてはいけなくなりそうです」


 こちらの油断を誘っているのかとも思ったが、ここに身を潜め続けていても、いずれは袋の鼠である。ザバッシュは思い切って脱出路から堂々と姿を現した。

 見上げてみると男はたった一人であった。その手が何かをしきりと振っている。

「これが何かはわかりませんが、薬だといけないのでお返しいたします」


 レオフリードは言うと同時に手の中の物を放った。火明りに照らされて、ザバッシュにはそれがなくしたはずの赤の精製水だとわかった。

 弓による攻撃を警戒していたにもかかわらず、ザバッシュは反射的に身を躍らせ、赤の精製水を受け止めた。それは完全なる失態であり、本来であれば、弓矢の一撃を受けていたはずだ。だが、攻撃の気配はまったくない。

「ご武運を!」

 レオフリードはそれだけ言うと城壁の向こうへと姿を消した。


 ザバッシュの腹は決まった。暗殺のために向けられた手練れですら、メティルイゼットではなく、ザバッシュを選んだ。自身の反感が強いため、他者のメティルイゼットに対する反意は素直に納得が出来るのである。

 落とすはずであった命を拾った以上、あの青二才に思い知らせてくれようと決意する。そうと決まれば、いつ寝首をかかれるとも知れないトカッド城塞など捨て置いて、自身の領地へと戻り、戦の準備を始めるまでだ。


 ザバッシュは城門へと向かうと撤退の命令を叫んだ。ザバッシュ個人に忠誠を誓う多くの部下たちが即座に応じる。この辺りは、ザバッシュのこれまでの実績がものを言った。

 馬はすでに、ひそかにカーシュナーたちに解き放たれ、火の手に追われて逃げ散ってしまっている。そんなこととは知らないザバッシュは、反感は強いが、メティルイゼットの用兵の早さは素直に認めているため、さらなる追撃を警戒し、徒歩で急ぎトカッド城塞を後にした。


 ザバッシュに従わずに城塞に残った兵士たちは、暴動の間鳴りを潜めていた奴隷に扮したヴォオス兵に討ち取られ、制圧された。ミデンブルクにとっての目の上のコブでしかなったトカッド城塞は、こうして一夜にして陥落したのであった――。









「カーシュナー様!」

 いつの間にかさらに二人の老人奴隷を背負っていたカーシュナーに、ダーンが歓喜の声を上げる。

「どうやら無事のようじゃな!」

 リードリットも馬を寄せながら声をかける。


「ミランはどこだ?」

 見回したリードリットは、真っ黒な青年とともに、走れなくなった奴隷を担いでいるミランを見つけると、ホッと息をついた。

「誰か、俺の心配もしてくれ!」

 こちらもカーシュナー同様、三人の奴隷を背負ったシヴァが、血で真っ赤に染まった槍を振りながら、不満の声を上げた。


「お主など心配するだけ時間の無駄であろう! 殺しても死なんような顔をしてからに!」

 シヴァの軽口に、リードリットが厳しすぎるツッコミを入れる。

「ひでえ事言うなあ! どうでもいいけど、馬で来たんなら身体の弱い連中運ぶの手伝ってくださいよ!」

「むっ! それもそうであったな! よし、その背負っている老人たちを乗せてやれ! ダーン! お主はひとっ走りして人を集めてまいれ! 私は残ってしんがりを務める!」


 ダーンは主人の安否を確認出来たので、素直にリードリットの命令に従った。リードリットが降りた馬の手綱を取り、奴隷たちを乗せてヘルデ河へと引き返していく。

「カーシュよ! 見事だ! 他に言葉が見つからん!」

「殿下、本当に大切なのはこれからです。それに、まだレオフリード将軍がお戻りになられておりません。彼を失っては成功とは言えません」

「そうであったな。まあ、あの男に心配など無用だろうがな」

 リードリットはそう言いつつ、トカッド城塞の方へと目を向けた。いつの間にか火の手が大きくなり、沈んだはずの太陽が、寝ぼけて再び昇ってきたかのような光に包まれていた。


「なんじゃあ!!」

 リードリットが頓狂な声を上げる。

 振り向いたカーシュナーは、会心の笑みを浮かべた。

「どうやらレオフリード将軍が、トカッド城塞を陥落させたようです」

「まことか!」

 歓声を上げたリードリットは、しんがりの仕事も忘れてトカッド城塞へと走り出した。その後を、シヴァがやれやれと肩をすくめつつ追いかける。


 そんな二人の後ろ姿を見送りながら、カーシュナーはずり落ちかけた老人の一人を背負い直すのであった――。    

6/27 誤字脱字等修正

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