ヤンデレを正常に戻すだけのめんどくせぇお仕事です
突発的に書いたものです。故に読みづらいかもです。
嗚呼、これで何度目だろう。
監禁されんの。
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俺の名前は、谷口 翔兎。身長175cm、どっちかっていうと痩せてる。顔立ちは中の中か中の上辺りで、黒髪のちょいロンゲ。モブな感じの何処にでもいるふつーの男子高校生である。と、言いたいところだが、ひとつ、俺にはふつーじゃないところがある。
それは、生まれる前の記憶があることだ。生まれる前と言っても、前世の記憶とかではない。まぁ、それもほんのちょこぴっとだけあるが、今でもくっきり記憶にあるのは、生まれる直前の記憶。ヘンテコな神様に出会った記憶だ。
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パチッ
ふと、目を開けると、そこは一面四つ葉のクローバーだらけの原っぱだった。
俺は直感的に、「あ、俺、死んだんだ」と瞬時に悟った。
どんな死に方だったか、どんな人生だったか、うすらぼんやりとしか覚えてないが、とてつもなく退屈でつまらなかったのは覚えている。
…………さしずめ此処は、あの世の入口であろうか。では、これから俺は輪廻転生でもするのか?
悪いこともほどほどしていたから、天国はないだろう。
しかし、良いこともほどほどにしていたので、地獄ということも多分ないだろう。
……俺は、何処へ行くのだろうか。
しばらく俺は、そこに寝っ転がってボーーッとしていた。
すると、上にフワッと何かが現れた。
それは、何やら人の形をしていて、うーんと、何か、白かった。
顔は中性的で、えー………、ともかく白かった。
「お前、変わってんな。だいたい此処に来た奴らは、色々思い出して泣いてんのに」
「………ん?何だ、お前。あの世の迎えか?」
その中性的な顔立ちを裏切るような乱暴な口調に、少し驚きながらも、俺はふつーに返す。
「………。いや、ちげーな。まぁ簡単に言うと、神様みたいなもんだ。迎えは……、やべっ、もうすぐ来んな」
何がやべっ、なのかは知らんが、神様は何か、焦っているようだ。
「時間がないから率直に言うが、
俺と取引しないか?」
ピクッ
俺は取引という言葉に、体が少し揺れた。
少しそれに、興味を引かれた俺は、黙って内容を聞くことにした。
「内容次第って顔してんなー。まぁ、いい。お前は生前、とてつもなく退屈な人生、送ってたんだろ?」
俺は素直に、こくんと頷く。
「そしたら俺は、お前を絶対に退屈にさせない刺激的なところへ連れてってやる。そのかわりの条件として、お前に俺の作った世界へ行ってもらって、問題を解決してくれ」
「……ふむ。悪くねぇな。で、その問題ってのは?」
「あーー……なんだーその」
神様は、言葉を一度とぎらせる。
「………ヤンデレがうじゃうじゃ居るんだよ」
若干、目を逸らしながら答える神様。
あれ?
気のせいだよな。
今、凄い場違い感半端ない単語が聞こえたような………?
ヤンデレって言ったよな、今。あの病みながらデレる、アレだよな。
「……っ! そんな目で見るなよ! 仕方ないだろ! 他の世界の仕事してたら、いつの間にかこんなんなってたんだよ! いいだろ、刺激的で!」
神様も結構大変なんだな。
俺は白い神様を哀れみの目で見る。
ってあれ?
なんか、どっちにしろコイツの世界に行くことになるんじゃ。
「で、それをどうするんだよ」
「そいつらを正常に戻してくれ」
「さらって言ってるけど、それスゲー大変だよな」
「あぁ、もうすでに何人か送ってんだけど、ヤンデレになったり、ヤンデレに捕まったりしてな……」
「ダメじゃん」
そういうと、神様はガクンと項垂れた。
しばらくその神様の愚痴を聞いてると、遠くから足音が聞こえてきた。
「ハッ、やべっ。こんなことしてる場合じゃなかった! お前! どうするんだよ! このままあの世に連れてかれて、またあの世界で退屈しているのか、それとも俺と来るか!」
立ち上がって、手を差し出す神様。
答えは結構前に決まってた。
「もちろん、連れてけ!」
俺はニヤッと笑って、白い神様の手を取った。
神様もニヤッと笑って、「喜んで!」と俺を上ヘ引っ張った。
そして、俺はフワリと宙に浮く。
「よし、行くぞ!」
「……ちょっと待て。最後に質問しいいか?」
「何だ?」
俺は最初からずっと気になっていたことを聞く。
「お前って、男? 女?」
「………ぶっ」
「お前って、面白いなー。んーそうだな、俺は男にも女にもなれっかんなー。まぁ、男でも女でもあるとも言えるし、どちらでもないとも言えるな」
「なるほど、オカマか」
「ぶふっ、やっぱり面白れーわお前。でも、性格は男寄りだぜ」
その後、世界の入口に行くまで、神様はずっとクスクス笑ってた。
なんか、コイツとは気が合いそうだな。
なんとなく、そう思った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
その後は、神様は忙しいらしく、「この世界の詳しい説明は、そこに書いてあっから!」と黒い封筒を俺に渡すと、急いで帰っていった。
とりあえず、状況を把握するか。
えっと、ここは?
なんか、どこにでもあるような公園だな。
俺は近くにあった、黄色いベンチに座って落ち着くことにした。
ふうっ。
俺は一息ついて、黒い封筒を開けてみる。
中には、えっと、手紙と何やら小さい箱が入っていた。なんか手紙の量がすごい。7、8枚は入ってるぞ。
1から3枚目までが、どうやらこの世界の詳しい説明。で、2枚地図っぽいの、この箱の中のものが記されているらしいもの1枚。家族についてのが1枚、っぽいな。
どれどれ。
『まずはこの世界についてな。
此処は学園ゲームの世界。乙女ゲーム、ギャルゲー、エロゲー、BLゲーなどなど、ありとあらゆる学園のゲームを忠実に再現した世界。そのゲームの話が終わったら、次のゲームに入る準備が始まると言うシステムだ。俺はそれに転生者を入れたりして、遊んでいた訳だが、俺が目を離した隙にあるヤンデレ乙女ゲーを中心にヤンデレものが流行り出して、そこらじゅうがヤンデレだらけになってしまった訳だ。お前には、その元凶となったゲームに行ってもらう。
題名は、【不良くん達を闇から救え!!】とか言うR18のふざけた名前のゲームだ。』
ふざけてるのは、お前だろ! と言いたいのは俺だけだろうか。
まず、突っ込み所が多すぎて、突っ込み切れない。
『お前の設定は、谷口 翔兎16歳。高校2年生の夏にくる転校生。隠しキャラとすり替えた。そして、その乙女ゲームの設定だが、お前の他に5人。生徒会長の幸平 椋、クラスメイトの椎名 曉、幼馴染みの斉木 狼兎、後輩の石山 世哉、あと担任の西宮 雀。そして主人公の天野 爽だ。
後は、学園の設定だが、名前は【善鳴学園高校】私立の中高一貫校だが、結構不良が多い。全寮制だから、お前も寮な。学園の地図を同封しておく。』
俺は地図をペラッと捲ってみる。
ん? んん?
なんだこれ、広っ!!
学園の理事長さんて、どんだけ金持ちなんだよ!
『箱の中身は、生活必需品に制服。お前が生前持っていた私服、下着、携帯。あとはなんとかしろ。あ、箱は寮の部屋に入ってからにしろ!』
・・・・・。
なんか、ここまでしてもらって、逆に申し訳ねぇーな。
あとは、俺の家族構成に実家とここ周辺の地図だった。あいつ、スゲー細けぇーな。いや、ありがたいけども。
まあ、いいや。
適当に頑張ればなんとかなるだろ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
なんて、思ってたこともあったなー。懐かしいわ。
さて、思い出話はこの程度にして、今の状況を説明しますかね。
いろんなことがあったが、とりあえず高校へ転校?したが、まず幼なじみのやつには何故か気に入られ、不良とは何故か同室で、しかもなんかケンカで助けちゃって、サボりとかしてたら生徒会長に何故か目を付けられ、後輩とは何故か偶然部活が同じで懐かれ、担任は仕事手伝って、病気の時介抱したら何故か襲われそうになった。
あの、俺、男なんですけど。
普通にノンケなんですけど。
唇?
とっくの昔に奪われてるっつーの。貞操はなんとか守ってるけど。俺の貞操は男でも女でも、俺に興味を持たせてくれたやつにって決まっているからな。
監禁?
何回されたことか。全部逃げたけどな。全力で。
そして今、拉致監禁され中。
ただし今は、攻略対象ではなく、悪役さんに。
さて、今回はどうやって出るかな。
これ考えるのは、好きだ。このワクワク感がいい。
ガチャ
南京錠をカチャカチャして、ドアの外へ出ると、そこにはこの部屋の前に居ただろうがたいのいい男二人組が、床に伸びていた。
顔を上げると、
「まったく、目離すとすぐこうなるんだから。嗚呼、何処かに閉じ込めて置きたい」
「なに、俺の前から消えようとしてんの? 殺すぞ」
「お前は俺から離れてはいけないのに、離れるからこうなるんだ」
「先輩は俺のなんすから、俺以外に監禁されちゃダメっすよ?」
「邪魔者は排除したから、これから俺の家で愛し合おーぜ、翔兎」
五人が五人、それぞれ違った狂気の目を俺に送ってくる。
さーて、どうやってこいつら正常に戻すかねぇー。
てゆうか、主人公どこだよ。
最後の台詞は、幼なじみ⇒不良⇒生徒会長⇒後輩⇒担任です。
読んで下さり誠にありがとうございます。
これの連載書いて見たいですが、勇気が出ません。