花火
一瞬の幻
刹那的に咲いて
貴方の記憶に焼き付こう
黒く透き通った
揺れる夜空に
孤独を叫び
大きな音をあげて
涙の代わりに火花を散らす
僕が消えた後に残るのは
火薬の香り
ひと夏の想い
あぁ
足場が崩れる
ここで
終わりなのか
高く高く打ち上げられる
か細い声で泣きながら
君へ
手が届かなくなる
嫌だ
まだ
ねぇ
いつか
僕が君を忘れて
平気ですれ違えるように
なれたなら
そのとき漂う
冷たい夜の香りに
僕の音を思い出してほしい
そして
求めてほしい
もう手が届かない僕を
たったひと夏の思い出を
僕と同じくらい
苦しんで、振り返って
名前を呼んで
狂おしいくらいに
求めてほしい
それまで
さよなら