出会い
その日、俺はずっと部屋に閉じこもって、頬を濡らしていた。
「うっうっ、ひくっ」
なぜ、泣いているかお分かりだろうか?
わかっているだろう。当たり前の事聞くな!(誰も聞いてないが)
俺が頬を濡らす、その時はゲームで感動した時だけだ。
ゲームは終盤に来ており、主人公とヒロインが夕焼けの空の下、愛を誓っていた。号泣である。これで泣けなかったらお前の心は鬼だ。
さて、なぜ今ゲームをしているかというとリビングにPCとゲームパッケージが置いてありここでPCは使えるのかの確認とゲーム等もできるのか気になったからだ。まさかゲームの世界でゲームをするとは。
ゲームの世界のゲームがこれほど素晴らしいのだ、今俺がいるこのゲームが面白くなかったら嘘だ。
だから、俺は期待しているこのセカイは素晴らしいエンディングを迎えると…。
例え、主人公が自分の通っている学校の場所さえ知らなくても。
例え、主人公が日曜と知らずに学校へ行こうとしていても。
主人公はハッピーエンドORハーレムエンドを向かえるはずだ。
だから、不安なんてない。だから、今日は早く寝よう。
朝起きて学校に行く準備をしていると、家のチャイムが鳴った。誰だろう?
「はーい」
玄関まで駆け足で向かい、ドアを開けると
なんと、そこには、
…………男がいた。
「よう!」
男は言った。俺はため息をつきドアを閉めた。
「なんで!? なんで閉める? 」
男はドアを叩きながら、叫んでいる。
ガチャリ
俺はドアを開けて顔を出す。
「あ〜、もう間に合ってます。」
再び閉める。
「えっ、何が!? 俺は新聞の購読を勧めに来た、新聞販売員じゃねーよ!」
男は更に叫ぶ。うるさい奴だ。
「うるさいな〜」
俺はドアを開け言った。
「わりー、わりー、お前が冷たいからつい」
すらっとした体型、甘いフェイス、女の子に人気がありそうなルックスだ。
こういう奴はゲームやラノベでは、大概女の子に興味がなかったりする。
「お前、女の子に興味ある?」
「は?いきなり何?俺彼女いるから。お前も知ってるだろ」
なんなんだこいつは腹が立つ。
『ぷ〜っ』俺は握りっぺをしその男の鼻のまえで握りしめてた手をはなす。
そして、俺は一気に家の中に入りドアを閉めた。
「くさっ、何食ったらこうなる? やばい顔面が痙攣してきた。たすけっ」
バタッ
ふっ、ざまあみろ!俺はさっさと学校の準備に戻った。
朝食、学校の準備を済ませ玄関を出ると男が俯せに倒れていた。
………あれ、演技じゃなかったんだ。俺は男を仰向けにする。口から泡が出ていた。
ちょっとヤバくない? (かなりヤバイです)
俺は男の頬を叩く。
「大丈夫か?」
ピクッとまぶたが動いた。
「う〜っ」
更に叩く。
「おーい、大丈夫か?」
間髪いれずに往復ビンタをかます。
「痛い、痛いなぜにビンタ?」
つい、力み過ぎて強く叩いてしまったぜ。
「いやちょっと力み過ぎて」
「“ちょっと“力み過ぎたら往復ビンタになるの?」
すみません。わざとです。
「まあーな」
適当に返事返す。
男は立ち上がった。ふらふらしている。そんなにキツイか? 俺の屁。
「お前冷たいな〜、親友が一緒に登校しようって迎えに来てやったのに」
男に来てもらっても嬉しかぁ〜ねーよ。
「悪かった。冗談が過ぎたな」
どうやら目の前のイケメンは親友らしい。名前は知らない。聞こうか?いや、怪しく思われるだろうな。
それから、俺はイケメン(親友)と学校へ向かった。学校への道を知らない俺はこいつ(親友)のおかげで迷わずに学校へ到着することができた。学校は赤レンガの外装でなんともオシャレだ。三階建てで、とても新しい校舎だ。
下駄箱、階段、廊下、ピッタリとイケメンの後ろをあるく。
だって自分の教室どこにあるかわからないし。
ようやく、教室についた。
………。
「どこまでついてくんの?」
イケメンは自分の席に着いているが、俺は俺の席の場所がわからない。
どうしよう。
適当な席に座るか?
ずっとボケッと立っているよりはましか。
俺は適当に空いている席に座った。
時間が経つと賑やかになってきた。
大学の入学式を思い出す。知らない人ばかりで緊張しまくっていた。
俺が過去に思いを馳せていると、
「あの〜」かわいい声。
声のするほうを向く、そこには金髪で、体型はスリムだが出るとこはちゃんと出ている、美少女がいた。
目はぱっちりしていて、かわいい!髪の毛は肩にかかる位、かわいい!肉厚な唇、かわいい!制服のデザインかわいい!なにが言いたいかというと『かわいい!』。俺はこの子のためなら世界を敵に回しても言いね。俺が美少女に見とれていると美少女が、
「そこ私の席だよ??」
なに!ここは俺の席ではないらしい。どうしよう?
ブー
ブー
ズボンのポケットからスマホのバイブレーションがした。
「ちょっとゴメン」
メールが一件。
選択肢
1君の香りに誘われちゃった
2僕は、君という花に誘惑された蜜蜂さ
3無視して立ち去る
なぜだ!
3番が一番マシに見える。
1も2も単に臭いフェチじゃないか!
どうしよう?
1か3か。
まず2番はない。
3もないな。
消去法で選んじゃったよ。
でも、言うしかないか。
「君の香りに誘われちゃった☆」
恥ずかしいー。何だよ☆って!
俺は顔が真っ赤になっていくのを感じていた。目の前の美少女も顔を真っ赤にしていた。
そして、モジモジ、口をパクパクなにかを言おうとしている。まさか! このモジモジは、キター!
「ゆう君って変態さんなんですね」
ちがーう。
俺の涙袋は涙でいっぱいです。
To be continue……