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第七章 喪失★
アタシは声がでなかった
今まで色んな事があったけど
シュウがいたから楽しく過ごせた
でもこんなに今シュウの言葉を
聞きたくないなんて
耳を塞いでしまいたいと
思うなんて
シュウが病院に来ていたことだって
ただの風邪かと思っていた
もしなにか別の病気でも
今度はアタシが支えられたらなぁ
なんて思っていた
アタシは甘かった
うつむいて黙っているアタシに
シュウが話しかける
「ごめんな。ずっと黙ってて。」
「実は外国に居た頃からもう分かってたことで」
「今日こっちの病院で聞いたらもう 手遅」
そう言いかけたところで
アタシは言葉を遮った
「もういい 何もいわないで」
シュウは 転移性肝がんという
病気をわずらっていた
最初は肝臓だけだったらしいが
今では全身に転移してしまい
生存率は5パーセント以下だそうだ
それからアタシとシュウの
闘病生活が始まった