魔法少女カノンちゃん覚醒……そして伝説へ
《魔法少女総合病院》
〖魔法少女シズク!頑張ります~!〗
「おー、おー、うちの娘は今日も天使だね。キモいコメントが多いのが少し気になるけど」
娘大好き親バカの蒼依藍は、娘の生配信ライブ映像を流しながら、緊急で運ばれてきた魔法少女たちの容態を診ていた。
「……蒼依おばさん。身体が熱いです」
「おう。蒼依副院長な。もしくは、蒼依お姉さんだ」
「蒼依ママ。ダンジョン遊戯中に、身体が熱くなってね。それでハイナ先輩とキレイ先輩が、私たちを逃がしてくれたんです」
「おうおう。最近人気急上昇の魔法少女だからって、ずいぶんと生意気じゃないかい。蒼依副院長な……この症状は……発熱魔法かい?なんで、魔法少女アンチが、こんな高度な魔法を使えるんだい?」
「……甘いお菓子が家の中にあったんです。お好きにどうぞって紙に書いてあって、食べちゃって……美味しそうなチョコレートだったんで。パクッと」
「うん。あれが罠だったんだね。きっと私たちはまんまと『暗黒グレムリン』に嵌められたんです。ダンジョン運営に」
苦虫を噛み潰したような顔で天井を見つめるアホの娘たち。
「……新人魔法少女によくある自業自得やろがい。人気が高まってて慢心してるね、君たち……そんなだと、そのうちアンチに捕まるよ。うちの娘なんて新人の頃から、そんなミスしなかったけどね~!お!今、丁度活躍中だね」
「「親バカ!?」」
「あん?あんだと!?可愛い娘が活躍したんだ。親バカでなにが悪い?……それよりも、アンタ等このままじゃあ、発熱治せないから1ヶ月くらい、うちの病院で入院してもらうから。よろしく」
「ま、待って下さい!直ぐに治して下さい。ダンジョン内には、まだハイナ先輩がいるんです!」
「キレイ先輩も!助けにいかないと!アンチの人達になにをされるか分からないのに」
魔法少女たちは、無理やり身体を動かそうとしても、思うように身体を動かすことはできなかった。むしろ身体を動かす度に熱が上がり、身体が火照っていく。
「だから無理だっての。安静にしてなさいって……まぁ、ダンジョン内で手に入る″秘薬″でも入手して飲めば直ぐに治るだろうけど」
「じゃあ、それを」
「下さい!」
「アホ、そんな高価なもんうちの病院にないつうの。あるならとっくに使ってるわ」
「……そんな」
「それじゃあ、先輩たちが……」
(まったく、まだまだ未熟な魔法少女たちだねえ。今回の《《ダンジョン形成》》は遊戯型か。それなら景品も豪華そうだし……手に入るかもね。カノンちゃんが欲しがってる何かは……)
〖う~ん!今回は、オオカミさんが沢山居るね。撲殺撲殺~!〗
「……どこで、そんな物騒な言葉を覚えたのさ。我が娘よ。それにモンスターに取り囲まれてるし…できればまぁ、シズクならなんとかするか」
大切な娘の活躍を視聴しながら、できれば、魔法少女たちを直せるドロップ品を持ち帰ってきてと思う蒼依藍なのだった。
◇◇◇
そして、場所は変わりダンジョン内では――――
【【【ワンワンワンワン!!】】】
〖なんか、シズクちゃん。囲まれてないか?〗
〖グレーウルフが酔ってる?『暗黒グレムリン』の奴等、ダンジョンに何をしたんだ?〗
〖まずい!俺達の天使ちゃん。シズクちゃんが、オオカミ共に襲われちまうぞぉ!!シズクちゃんの魔法少女の服がビリビリにされる!!(ワクワク)〗
「〈アクア・トール〉……アハハハ!!撲殺撲殺」
【【【キャンッ!?】】】
〖おい……誰だよ。服がビリビリにされる(ワクワク)なんてコメントした奴。グレーウルフの頭部が、シズクちゃんの攻撃で粉砕されてるぞ〗
〖Eランクモンスターとはいえ、グレーウルフの群れに無双してるよ。ヤバイぜ!俺達のシズクちゃん〗
〖……たまには、シズクちゃんがピンチになって。お仕置き配信されるの観てみたいよな〗
〖同意同意同意!!〗
〖誰か、シズクちゃんを倒してくれ〗
〖俺達は、シズクちゃんの恥じらいが観たいいんだ〗
「ん〜?君たち。画面の向こう側でなにをハアハアしてるのかな?お仕置きしちゃうよ!」
〖お願い致します!〗
〖整列!皆、1列に整列せよ!〗
〖ご褒美下さい!!!ブヒィィ!!〗
「…………なんで、私のファンてドMな人が多いんだろう。ねえ?カノンちゃ……あれ?カノンちゃんと使い魔さんが居ない?」
〖〖〖カノンちゃんって、誰?〗〗〗
◇
シズクにモンスターの群れが集中している一方、ダンジョン内で迷子になったカノンは、順調にダンジョンの奥にある『赤ずきんの家』に到着しつつあった。
「……どこだここは?シズクがモンスターに囲まれてるのに、道に迷ってる場合かよ」
【待って、待って下さいっ!ご主人様。ルール、今回のダンジョン遊戯とかいうルールのおさらいをしましょう】
「なんだよ?アホ猫暗黒竜」
【むっ!まだアイが、ご主人様をTS美少女にしたことを根に持ってるですか?しつこいですね。ご主人様は】
「アホ、一生根に持つわ。オレの身体を美少女にしやがって……さっきもトイレ行く時大変だったんだぞ」
ダンジョン侵入前のことを思い出し、頬を赤らめ恥ずかしがるカノン。
ズキューンッ!
【(か、可愛い!!ご主人様。その仕草可愛い過ぎます。反則過ぎますよ。ご主人様!!アイ、ご主人様のファンになっちゃいそうですよ!!)…………コホンッ!それよりも、今は魔法少女たちを救うことと、ダンジョン遊戯について考えましょう。ご主人様】
「それよりも?オレがTSした事をそれよりもと言いたいのか?」
【今回は、魔法少女の人命がかかってるんですよね?魔法少女ハイナさんとキレイさん。アンチに負けたら、全世界に向けて、公開ナマ足くすぐり生配信らしいじゃないですか。いいんですか?可愛い魔法少女たちがナマ足をくすぐられても?】
「……いいだろう別に。アンチも元はといえば、その魔法少女の追っかけファンだったんだし。ダンジョン内で魔法少女を傷つけることは、ルールで禁止されて……痛!?な、なにすんだ?」
カノンのお尻に、アイの尻尾往復ビンタが炸裂した。
【だから、今回のダンジョン遊戯のルールをおさらいしましょうって言ったんですよ。今回、勝利者側の景品確認しましたか?】
「……痛。くそぉ、身体まで女の子らしくなって……景品だと?いや、まだだな。見てみる……」
スマホで、今回のダンジョン遊戯『赤ずきん』のドロップ景品一覧を検索し始めたカノンだったが……次の瞬間。顔つきが変わった。
【勝利者側には『賢者の石』ですね……】
「これは!?手に入るんだな!?『賢者の石』……行くぞ。アイ、『賢者の石』を手に入れて、さっさと男に戻るんだあぁぁ!!」
【い、いえ、ちゃんとルール欄を見て下さい、ご主人様。景品を貰うにはちゃんと守らないといけないルールがあるんです!アイの話をちゃんと聞いて下さい。ご主人様〜!】
アイに対するカノンの信頼度は、カノンをTS美少女に生まれ変わらせたことで。地に落ちているので、聞くわけがなかった。
そして『赤ずきんの家』の方では、人気魔法少女配信者たちがピンチに陥っていた。
「ハァハァ……身体が熱いよぉ」
「……ハァ……ハァ……対魔法少女用の妨害アイテムかしらね?新人の娘たちも身体が熱くなっていたし……身体が上手く動かないわ」
魔法少女たちは、隠れていた家の中に『発熱玉』なる魔法少女無力化アイテムを使われ、身動きが取れなくなっていた。
それに焦る魔法少女たちと……
〖灰七ちゃん。身体が火照ってピンチなんだから逃げろおぉぉ!!〗
〖黄麗ちゃん!アイツ等が、家の中に入ってくる。外に逃げるんだ!そして、捕まってくれ……じゃなくて、逃げてくれ~!〗
〖おい!本音を書き込むな……くそおぉ!!可愛い魔法少女たちが、可愛く悪戯されるのは観てみたいが〗
その魔法少女たちの姿を生配信で観ることができてご満悦な、視聴者たち。
〖〖〖魔法少女たちが、変態アンチ共に弄ばれるなんて観たくない!!〗〗〗
視聴者たちの心は揺らいでいた。
魔法少女のカッコ可愛い姿か。アンチフーチュウバー『暗黒グレムリン』に彼女たちが捕まり、スゴいお仕置きを見たい気持ちの狭間で視聴者たちは悩んでいたのである。
「爆発させます。爆発させます。ハイナちゃんのために、家を爆発させますから……〈フレイム・ボム〉」
「おおぉぉ!!やれやれ。それで、キレイちゃんの服を吹き飛ばせえぇ。」
ドカアアアアアアンンンンン!!
「キャア!?な、何?なんで、ダンジョン遊戯で攻撃魔法なんて?」
「……爆発で家が壊されたわね」
魔法少女アンチフーチュウバーの1人、トグロが放った火魔法により、『赤ずきんの家』の一部が破壊されてしまった。
〖おいおい!!何してんだ!今回はダンジョン遊戯だぞ!攻撃魔法は禁止のはずだろうが!!〗
〖アホなのか?魔法少女たちが傷を負ったらどうするんだ?ルール把握してないのか?〗
〖これは、アンチ応援側でも擁護できないぞ。ダンジョン運営に通報した〗
〖つうか、生配信中にやるなよ。魔法少女たちから直ぐに離れろ。トグロ!オウガ!〗
「うるさいですね。うるさいですね……アンチがうるさいですね。コイツ等は」
「自分の顔を晒したくないから、フーチュウバーになろうともしない腰抜け共がうるせえよ」
魔法少女ファン側、アンチファン側両方から怒号のコメントが飛び交うなか、平然としているアンチ系フーチュウバーの2人。
〖目、血走ってないか?…………アイツ等。あの娘たちに何する気だ?おいおい!!まずい!まずい!生配信中なんだぞ!〗
〖運営!運営に早く通報しよう!俺はしたぞ。魔法少女アンチだけど!変な雰囲気だし……アンチ共、生配信とか忘れてんだろう!?〗
〖今、ダンジョン内に突入したってよう。ダンジョンの奥なのに間に合うのか?……つうかマジで、ハイナちゃんとキレイちゃんに近寄るな。アンチ共!!!〗
〖おいっ!マジで止めろ!!こんなのファンとかアンチとか関係なく、犯罪行為だぞ!!その娘たちから離れろよ!!〗
「画面越しのコメントウザイですね。切ります切ります……配信は続けますけど。ねぇ?ハイナちゃん」
「ハハハハ!!だな。よお~!元気だったか。俺のキレイちゃん……ナマ足配信しようぜえぇぇ!!」
「トグロ君?なんで同級生だった。君がここに?」
「……よく、私のトーク配信でグロ画像を送ってきたオウガ?……つっ!それ以上、私たちに近寄らないで」
身体は発熱し、思うように動かなくなった魔法少女たちは床へと倒れ込んでいた。
〖ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!こんなの放送事故だろう!〗
〖トグロ!オウガ!魔法少女たちにそれ以上近寄るな!!〗
〖シズクちゃんはまだ来れないのか?〗
〖駄目だ。まだ、モンスターに取り囲まれてる〗
〖あああああぁぁぁぁ!!!!俺の魔法少女たちが汚されるううぁぅ!!〗
〖俺のハイナちゃんだぞ!〗〖いや、俺のキレイちゃんだ!〗〖馬鹿野郎。オレだけのハイナとキレイだ〗
〖黙れ。変態共……どうする?どうすればいいんだ。誰か、ハイナちゃんとキレイちゃんを助けてくれえ!〗
そんな光景をニヤついた目付きで見つめるアンチたち……魔法少女たちの運命は風前の灯だった――――
「いやぁ!!どこを触ろうとしてるの!?」
「素敵ですね。素敵ですね。素敵ですね……相変わらず素敵ですね。ハイナちゃんの素肌は……いひひ!!」
「……や、止めなさい。ハイナにも……私に触れないで、いやぁ!!」
「ハハハハ!!威勢が良いのは最初だけだったな。キレイちゃんようおぉ!!」
「なにを全世界に放送事故流そうとしとんじゃあぁぁ!!お前等あああああぁぁぁぁ!!!!」
「ガバァ!?」「ゴバア!?」
「嫌だよぉ……え?」「………止めて下さい。素直に従いますから……誰?」
アンチ系フーチュウバーたちは、顔面をぶん殴られ遠くへと吹き飛ばされた。
〖は?……シズクちゃんが助けに来てくれたのか?〗
〖いや、シズクちゃんはまだモンスターと戦ってる……金髪の魔法少女?〗
〖ハイナとキレイを助けに来てくれたのか?〗
〖もしかして……新しい………魔法少女!?〗
〖右肩に黒猫?使い魔か?……それじゃあ、上級魔法少女……なのか?〗
【ご主人様。なんで、アイに相談もなしに突撃しちゃうんですか?全世界生配信ですよ。これ……】
「もう、自棄糞だ……魔法少女アルカナ・カノン。満月に変わってお仕置きだあああああぁぁぁぁ!!!!ぶち●しだらごらあああぁ!!」
「「ぎいやあぁぁぁ!!すみませんでしたああぁぁぁ!!」」
「……助けてくれたの?」
「新しい……魔法少女。私たちの味方の?」
魔法少女たちに悪戯しようとした、アンチ系フーチュウバーたちはカノンによってお仕置きされた。
「なに、無抵抗な女の子に手を出そうとしてんだ!!それでも睾丸付いてる男なのか?お前等はあああああ!!」
「「オギャアアアアアア!!」」
「魔法少女なめんなやアアあ!!!屠るぞ!!」
「「ずびまぜんでじだああぁぁ!!」」
『魔法少女シズク様が、グレーウルフ100体の討伐完了。ダンジョン遊戯は魔法少女側の勝利です……速やかに暴力行為を終了して下さい!!は、早く、その魔法少女を止めて下さい!!放送事故になってますからああああ!!』
〖手遅れです〗
〖超絶美少女暴力魔法少女降臨〗
〖ありがたや。ありがたや~!〗
〖可愛い可愛い(ノ≧▽≦)ノ〗〖
これは押せる。金髪魔法少女〗
〖アンチの自業自得だし〗
〖オラオラオラオラ!!オラッ!!〗
〖気分爽快。ボコボコに……てっ!運営の奴等。汚物にモザイク処理しやがったな!!〗
〖……暴力金髪魔法少女にもかかってるのが。地味に受けるわ~!〗
そして、カノンのお仕置き生配信は全世界に生配信され。この日、魔法少女アルカナ・カノンの放送事故は全世界に生配信され、伝説になった。
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◎キャラクタープロフィール
魔法少女アンチ系フーチュウバー、トグロ
身体は貧弱。迷惑系配信者クラン『暗黒グレムリン』所属。
魔法少女ハイナに執着するストーカー。火魔法が得意。ダンジョン探索者としては、C級クラス。
迷惑系フーチュウバー、オウガ
筋骨隆々。魔法少女キレイの追っかけだったが、ストーカーと化した。
トグロと同じ、クラン『暗黒グレムリン』に所属し。日々、魔法少女達の妨害することを生き甲斐として生きている。
ダンジョン探索者としては、D級クラス。
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