ダンジョン遊戯で生配信
都内某所にある浅草ダンジョンにて、魔法少女シズクの生配信スタート。
現在の同接人数―――4006人。
〖魔法少女シズクちゃんキター(゜∀゜ 三 ゜∀゜)〗
〖突然のゲリラ配信。ありがとうございます。ありがとうございます。靴嘗めます〗
〖今日も可愛いシズクたん!!〗
「いえ~い!皆、コメントありがとう~!楽しんでいってね~!」
カノンはスマホを片手に、シズクの生ライブを少し離れた場所で見ている。
「平日の昼間に同接四桁って、どんだけ人気なんだよ。シズクのやつ」
【…………あの、ご主人様】
「なんだよ。アホ猫暗黒竜」
【なんで皆さん、コメントでハァハァ言ってるんです?所々で、とてもとても気持ち悪いコメントもあるんですけど。怖いんですけど】
顔を引きつらせているアイが、カノンに質問する。
「なんでって、シズクのファンだからだろう。画面の向こう側のファン達が、魔法少女シズクの可愛さに脳が焼き切られて、お花畑にされちまったんだ。ファンって凄いよな」
【いや、怖いんですけど。こんな人達が4000?……いえ、今は5000人に増えてんですけど!?ご主人様!】
「平日で、この人数はヤバイな。流石、日本魔法少女人気ランキングで、ずっと人気ナンバー2だな」
【……シズクさんって、そんなに人気があるんですね。ビックリしました。それと、あの浮いている小型飛行船みたいな物はなんですか?ご主人様】
「ダンジョン配信撮影用ドローンだろう……しかも最新型かよ。シズクのやつ稼いでんな」
丸形の小型ドローンが、5台ほど空中を浮遊しながらシズクをジーッと見つめている。
「しかしダンジョン内に入るのに顔パスとか。流石は上位配信者のシズクだな」
▽
浅草ダンジョン内に入る前、ダンジョン検問所――――
「あっ!こらっ!待ちなさい。今は、ダンジョン内は進入禁止だよ。魔法少女達とアンチ達の代表格『暗黒グレムリン』が”遊戯中″なんだから……てっ?魔法少女シズクちゃん!?なんでシズクちゃんがこんな所に?」
「魔法少女総合病院から、派遣されて来ました。すぐにダンジョン内に向かわせて下さい」
「は、はい!了解しました~!」
「うんうん。顔が広いって便利~!ほら行くよ~!カノンちゃん」
【し、しっかりして下さい。ご主人様~!鼻血!鼻血!鼻血を止めて下さい!ティッシュありますから~!】
浅草ダンジョンの移動手段として、救急車で現場に向かっていたカノンは、車内で突然変身したシズクの姿を見たせいで、鼻血をドバドバ出してしまった。
「シズク……お前……なんで、オレの前で堂々と魔法少女に変身してんだ」
「え~!良いでしょう別に。幼馴染みで女の子同士なんだからさ~!」
「……オレは男の子だっつうの……(ブシュッ!)」
【あぁ、ご主人様~!また、鼻から血が出ちゃってます。止血して下さい~!】
止血を終えた後、カノン達はダンジョン内へと侵入。今回の《《試練》》、ダンジョン遊戯を行うことになった。
▽
そして現在。
シズクの生配信が始まると同時に、どこからともなく音が聴こえ始め。ダンジョン運営から、今回のダンジョン遊戯の説明が行われ始めた。
『さて、新規で来てくれたメンバーにルールを説明しよう。』
〖ダンジョン遊戯・赤ずきん〗
ルール一覧
①赤ずきん(魔法少女側)のプレイヤーがダンジョンモンスター、グレーウルフを100体倒せば遊戯クリア。
②オオカミ(アンチ側)が赤ずきん(魔法少女側)のプレイヤーを、全員戦闘不能にすればクリア。(故意に過度な攻撃を行い、オオカミが赤ずきんに、深傷を負わせた場合オオカミは負けとなる)
③午後17時までに、赤ずきんがグレーウルフ100体を倒しきらない場合、オオカミの勝利として、負けた赤ずきんはオオカミにお仕置き(くすぐりをされる)
『以上だ、ダンジョン内では《《ルール》》を重んじる。平和的に頼むよ。これはビジネスショーなのだからね……ブツンッ!』
ダンジョン運営からのルール説明が終わると同時に、シズクの生配信を見ているファン達が騒ぎ始めた。
〖相変わらずの上目線。あざーす!〗
〖今回のダンジョン遊戯のルールは、随分とシンプルだな〗
〖ダンジョン遊戯が始まって、3時間くらいか?優勢なのは……アンチ側か〗
〖あ~!だから、我等のシズクちゃんが派遣されたのか。たしか魔法少女達が負けたらアンチ達による、ナマ足くすぐり生配信ライブだっけ?……見てみたいな。シズクちゃんがくすぐられる所、ハァハァ〗
大量に流れるコメントを見て、ゾッとした顔になるアイ。
【ご、ご主人様!画面の向こう側にとんでもない人達が居ますよ。どうなっているんですか?この世界の人達は!?】
「何を驚いてんだ?ただのファンのコメントだろう?」
【いえ……シズクさんに対するハァハァコメントしか、流れてきませんけど?ヤバイですね。地球って】
「あぁ、平和だよな。地球って……そして、やっと帰って来たのに女体化したオレって……全部、お前のせいだろうがあぁぁ!!」
【フギャラッパァァ!?ご主人様!アイの身体をモフモフしないで下さい~!】
辛い現実を受け入れられず、カノンはアイの身体をモフモフし始める。
〖あれ?可愛い女の子の声がしないか?〗
〖なんだ?新しい女の子か?シズクちゃんの後輩か?〗
〖良い匂いがしそうだな〗
「(まずい。皆がカノンちゃんのことに気づき始めてる)…み、皆~!それじゃあ、ダンジョンの奥に進んで行くね。応援よろシズク~!」
〖〖〖はいシズク~!〗〗〗
【ご主人様。シズクさんが移動を始めましたよ。アイで遊んでいないで追いかけましょう】
「遊んでないわ。お前に天罰を与えて……あ、あれ?シズク……オレを置いてたのか?」
【いえ、ご主人様。シズクさんなら、あそこに……てっ!どこに行くんですか?ご主人様!もしかして、ご主人様って方向転換なんです?】
その後、カノンはダンジョン内で迷子になった。
◇◇◇
一方、浅草ダンジョンの奥、赤ずきんの家では2人の魔法少女達が息を潜めて隠れていた。
「……琥珀ちゃんと朱莉ちゃんは、逃がせたけど。魔力か殆んど失くなっちゃったね。黄麗ちゃん。ゲームに負けて、捕まったら私たちくすぐられちゃうね。全世界のさらし者だよ」
〈魔法少女配信者・灰七〉
「後輩魔法少女を助けるのは、先輩の役目ですもの。仕方ないわ。灰七」
〈魔法少女・黄麗〉
服はボロボロに裂け、魔力も枯渇させた魔法少女達。
〖やっぱり。魔法少女アンチの相手は、まだ新人魔法少女には厳しかったんだよ!俺は止めたのに〗
〖どうする?どうする?このままじゃあ、俺達の黄麗ちゃんと灰七ちゃんがアンチ達に捕まって、魔法少女ナマ足くすぐり配信が始まるぞ。(ワクワク!!)〗
〖くっ!そのナマ足生配信を見たい俺の衝動を、誰か止めてくれえぇぇ!!〗
〖ドンッ!〗
〖ぐはぁ!?〗
「……黄麗ちゃん。ファンの皆が、私たちが捕まることをすごく願ってるよ」
「ダンジョン遊戯に勝った後、お仕置きしてあげましょう」
〖〖〖よろしくお願いします!!!〗〗〗
「……本当に私たちを応援する気があるのかしら?この子達は……!……来たわね」
ベテラン魔法少女の黄麗は、赤ずきんの家の窓から、外の様子を観察する。
「ハイナちゃん!!!僕と結婚を前提にお付き合いして下さい!!指輪あげますから!!出禁解除して下さい!!指輪あげますから!!」
〈魔法少女アンチ系フーチュウバー、トグロ〉
「ハハハハ!!!出てこいよ!魔法少女キレイ!!その綺麗なナマ足俺に触らせろやあぁぁ!!全世界に生配信しようぜえぇぇ!!」
〈迷惑系フーチュウバー、オウガ〉
〖魔法少女を恥さらせ!!〗
〖祭りだ。祭りだ。追いつめろおぉ!〗
〖切り抜きしまくってやるぞ!!可愛い子ちゃん達!!〗
外の光景を見て、青ざめるハイナとキレイ。
「……すごく盛り上がってますね。気持ち悪いですね。キレイちゃん」
「ドン引きするコメントしか送ってこないから、ブロックしただけじゃない。オウガの奴」
……2人のベテラン魔法少女の運命は風前の灯であった。




