カノンちゃんを確かめたい
口をパクパクさせて、魂が抜けたような表情のカノン。
「終わった……オレの人生終わった」
【……えっと、おっぱいが大きいお身体で良かったですね。ご主人様】
「うるせええぇ!!返せ、オレの素敵な男の身体ああぁぁぁあ!!」
【フギャラッパァァ!?む、無理ですよぅ。ワタシはご主人様への嫌がらせで全ての魔力を使い果たしてますので、数年後までは無理です。無理!諦めて下さい。ご主人様】
「諦められるわけねえだろう!!アホ暗黒竜!」
【フギャラッパァァ!?痛くないです。全然力が入っていないから、痛くないですよ。ご主人様~!】
アイの両頬を引き伸ばすも。カノンの身体が華奢になってしまったからか、アイの両頬は全然伸びない。
「くそおぉぉ!!……そうだ。こういう時には家族に相談だ。それに数年振りの再会で皆がオレのことを心配してくれていたはずだしな」
【いえ、女神アルテミス様のご慈悲により。ご主人様が地球から異世界召喚される直後の時間まで、地球の時間を戻してくれたみたいですよ。良かったですね。ご主人様】
「何……だと?……それじゃあ、オレは家族と再会しても、感動の再会とかにはならず男から女に性転換した奴ってなるのか?」
【えぇ、そうなりますね……ブフフゥ!!家族の反応が凄く楽しみですね。ご主人様】
「……お前、後で絶対にお仕置きしてやるからな。暗黒竜」
【そんな可愛らしく言われても困りますよう。ご主人様……本当に可愛いですね。女の子の才能ありまくりですね。フギャラッパァァ!?角、私の角を持たないで下さい~!】
カノンは、アイの両角に手を掛けると不敵な笑みを浮かべて、アイに告げた。
「それ以上、オレの姿を笑ったら、お前の両角を引っこ抜く」
【幼女虐待ですよ。ご主人様……今のアイちゃんの姿を見て下さい。可愛らしい、ご主人様のパートナーですよ】
「暗黒竜が、変身魔法で子供に化けてるだけだろうが……それよりも、これからどうするか……あぁ、そうだった。こういう時は母さんに相談するか」
【お母様ですか?どこにいらっしゃるんですか?アイもご挨拶したいです。このお家に永住させて頂くのですからね】
「……永住?何を寝ぼけたこと言ってんだ。さっさと『アルテミス』の世界に帰れえぇぇ!!」
【グエェェェ!!や、止めて下さい!ご主人様~!魔法を発動しないで下さい。角が変な形に曲がっちゃいます(ニャチァ)】
(こいつ。オレを女体化できたことを、心の底から喜んでやがる)
◇
アイとのやり取りを中断し、カノンは、リビングへと向かった。
自身の母に地球へと帰って来たこと。そして、男の子から女の子に性別変化したことを伝えるために。
そして、リビングのテーブルには一通の封筒が、カノン宛てに置かれていた。
『私の可愛いカノンちゃんへ。商店街の福引きで、世界一周旅行(一年間)が当たったので、パパと行ってきます。妹のリナちゃんも寮生活で、当分は帰って来ないから家のことはよろしくね。毎月の生活費はちゃんと振り込むから――――』
「なんじゃそりゃあ!?それじゃあ、そんな話聞いてないよ。母さん!!《《元魔法少女》》の母さんに色々と相談しようとしたのにさ!!」
手紙を読んだカノンは絶望し。リビングの床へと、口から泡を吹いて転がり落ちた。
【落ち込み過ぎじゃないですか?ご主人様は、数年我慢すれば、アイの魔法で元に戻れるんですから安心して下さいよぉ……いや、いきなりTS美少女に女体化させた、アイも悪いですけど……ご主人様?】
「………………」
【気絶してる?……ご主人様って、意外と繊細だったりするんですかね?『アルテミス』の世界にいた時は、そんな風には見えませんでしたが……えっと、ご主人様のこちらでのプロフィールはと……データオープンとか言ったら、見えたりしませんかね?】
シュンッ!っと、カノンが持っていたスマホが突然作動し、カノンの個人情報が映し出される。
〖式波奏音15才。高校一年生。適正魔法は『全能』。中学生の頃、誰も成し遂げれなかった新宿ダンジョン最下層の踏破生配信に成功。その名を全世界に轟かせる〗
【出ちゃいましたね。ご主人様のデータ……こちらにも、やはり魔法という概念がありましたか。良かった良かったです。迷宮……いえ、ダンジョンもあるんですね。この生配信って言うのがいまいち分かりませんけど。『英雄の証』みたいなものですかね?】
カノンの個人情報を、食い入るように見つめるアイ。
「………は!?気絶していたのか?オレは?」
【おはようございます。ご主人様……色々と聞きたいことがあるんですけど。ダンジョン生配信って何のことなんですか?アイ、とても気になるんですけど。それに、もしかしてご主人様って、凄く有名人だったりするんです?】
「……お前。なんでオレの履歴データ見れてんの?」
【え?……そりゃあ、アイはご主人様のパートナーですからね。能力共有は簡単にできますよ。それよりも、ご主人様はこちらの世界の英雄なんです?】
「英雄?何のことだ?それよりも、病院行くぞ、《《魔法少女病院》》にっ!」
【魔法少女病院?……それってここに書いてあるご主人様のお母様が創られた病院ですよね?………検査を受ける際は、付き添いの魔法少女が必要って記載されてますけど?】
スマホの画面をスクロールしながら、魔法少女病院のことを検索するアイ。
「……お前。なんで、スマホ普通に扱えてんの?」
【ご主人様と脳リンクしてますからね。これで、アイも現代社会で生きていけます。アイの貴重な知識はご主人様の物ですよ。良かったですね。ご主人様】
「……食い物のことしか考えてねえし。それよりも、隣の家に行くぞ。スマホ返せ」
【あぁ!エンドフィールを、面白そうなアプリをダウンロードしようと思いましたのに~!】
◇
『ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!』
「シズク~!居るんだろう?一緒に魔法少女病院に付いてきてくれ~!」
【鬼インターホン……止めた方がいいですよ。ご主人様。ご近所迷惑ですよ】
「シズクは1人暮らしだし。これくらいしないと起きてこないんだよ」
家を飛び出したカノンは、幼馴染み魔法少女。蒼依雫が住んでいる隣の家へとやって来て、インターホンを鳴らしまくっていた。
ちなみに、アイは黒猫に変身し、カノンの頭に乗っかり、心配そうにカノンの大胆な行動を見守っている。
「シズク~!緊急事態なんだ。現役魔法少女のお前しか頼れ……」
ガチャッ!
「はいはい。どなた様ですか~?そんな可愛らしい声のお知り合いなんていましたか……ね?誰?ですかね?この絶世の美少女さんは?」
ショートカットの青髪にボーイッシュな可愛らしい女の子が玄関の扉を開けて外へと出てきた。
「……カノンだよ。式波カノン。お前の幼馴染みの」
「は?カノン……ちゃん?……君がカノンちゃん?……え?えええぇぇえ!!!」
〖蒼依雫『水冷』の魔法少女兼ダンジョン配信者〗
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◎プロフィール
使い魔 暗黒竜ダーク・アイ改め、黒猫アイ。
魔法少女カノンちゃんの使い魔にして、異世界『アルテミス』の秩序を守る守護者だった?
地球にやって来てからは、いたずら好きな猫にジョブチェンジ。
しょっちゅうケンカはするけど、ご主人様大好き猫。
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