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丈追

 翌日、学校終わり、友人たちに誕生日を祝われ、スマートフォンのケースをプレゼントされ、愛されている事を大実感していた。一日に満足。なにより、このあつまりに八姫が来たので、もう嬉しさは百倍以上の増量を実現。

 友人で居られるならそれが一番だと確信。

 なんと、恋心を完全消滅させることに成功。クソボケ野郎。


「祝われるとなんだか一段階上がる気がするな」

「なにが?」

「レベル?」

「レベル?」

「俺今レベル十七だよ。お前たちに勝てるかな?」

「すぐ調子乗るんだからいけない。今日こんままお前ん家寄っていい? つーか明日土曜日だし泊まらせろよ」

「別に良いけど、全員? 客用の布団あったかな」

「飯とかどうする?」

「俺いま機嫌いいから作ろっかな〜」


 だとかなんとかでやたらとワチャワチャしながらスーパーを経由して家に向かった。 友人たちが泊まるのはほとんど確定だとして、八姫も泊まるというので、意外だった。


『まぁ篝がいるからな‥‥‥』


 八姫はずいぶん雰囲気に流されやすい性質らしい。

 それもまぁ高校生のうちはいいとして、大学へ進学なり就職なりして酒を飲める年齢になった途端に悲惨なことになりそうなので可哀想だなぁとなんとなく考えながら、飯を作る。

 ジ感という、アンジェラいわく「めっちゃ凄めの理解力」に聖剣を手にした時覚醒したお陰で料理の正確性が上がった。

 目を細めてなんとなくこうなんだろうなと理解さえすればそれはたいてい正解である。

 脳細胞の超越化であるらしいけれど、そもそも超越化とはなんなんだという話なので、その話は後ですることになるかもしれない。

 モノ感というのもあるらしく、それは通常の人間の持つ五感のことを指すらしい。トリ感は対象に対し無理矢理自身の脅威を理解させるもので、実力の差の程度によってはひと睨みで気絶させることができるらしい。テトラ感は皮膚細胞の超越化により硬質化させるものであるのだとか。超越化ってなんなんだ、という事は、あとで話すかもしれない。


「手伝おうか」


 ぽろぽろと考え事をしながらキャベツを切っていると、八姫がやって来て、おそるおそるというふうに真介に声をかけた。


「構わないよ」

「でも、主役に飯作らせるのってさ、なんだか」

「じっさいのところ、俺じつは料理好きなのね。だからこれは苦労じゃないんだ。篝のところにお帰んなさいな」

「ンン‥‥‥分かった」


 親指を立てると、八姫も首を傾げながら笑みを浮かべ、親指を立てた。


 やたらと機嫌がいいので沢山飯を作った。

 唐揚げを揚げたし、エビフライもある。小ぶりのハンバーグも作ったし、パエリアも作った。サラダもある。別に白米も炊いてある。


「たくさんお食べ」

「俺たちもうお前に胃袋掴まれてんだ。ぶっ殺すぞ!」

「誕生日の翌日が、俺の命日」


 そうして自分は食わないで眺めていると、何か不気味な気配を感知した。アアこれは虚忌が現れたんだな、アアこれはすぐ近くだなとなんとなくジ感で感知しながら、立ち上がり、晴斗に「コンビニ行ってくる」と言って聖剣を持って外に出た。


 家を出るとすぐに聖域に入り、剣を抜いた。

 どうやら自分がターゲットになっている訳ではないらしい。

 真介はため息をつきながら、動く虚忌の気配を追う。一般人が聖域に入り込んだということらしいが、追いつけるかどうか。


「ショートカットが近いな」


 ここは聖域、人はいない。

 ならば好き勝手できてしまう。


『この様子なら走れば間に合うな』


 虚忌に追い付かれてしまえばあとは食われるばかり。その前に斬る必要がある。とは言え、急ぎすぎてはならない。ちょうどいい速度で、庭を抜けて路地を抜けて、角を曲がり、駐車場を横断し、目の前に現れたセーラー服の少女の腕を掴み、虚忌に剣を突き刺した。


「大丈夫か、お嬢さん」

「えっ‥‥‥えっ‥‥‥!?」

「怪我はなさそうだね。よかった。じゃあこんな所からはさっさと出ちゃおう。手を握っても?」

「あ、どう、どうぞ、はい」

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