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聖剣

 学校が終わると、放課後が来る。

 友人たちの輪の中で、ワイワイガヤガヤと過ごしながら少年・(たき)真介(しんすけ)は少しだけ違う方を見ていたりなんかして、少しだけ気になっているクラスメイトの様子をみていた。

 クラスメイト・柿本(かきもと)八姫(はつき)は自分より小柄で、気の弱そうで、顔もなんだか男のようではない。

 そういう点で気になるのは不誠実だと思うから、胸のなかにあるのは明かすことはなく、真介は周りに合わせながら「カラオケ行こうぜ」という言葉に返事をしていた。

 学校の外に出るのは同時だった。

 靴箱の前でぶつかりそうになり、「ごめん」「こちらこそ」と気まずい会話をして、外に出る。友人の一人・(かがり)光明(みつあき)が八姫に声をかけて、八姫は嬉しそうに頭を少しだけ傾けながら話をしていた。二人は幼馴染らしい。その様子を少しだけ見てから、目を逸らして赤みを帯び始めた空を見上げる。


「真介!」

「ン? なんか?」

「八姫も混ざるってさ」

「ン、いいじゃない。人は多い方がさ。小雨も降りそうだし、急ごうぜ。ダッシュダッシュ! ほら走る!」

「急かすなよう」


 自分の心などというのは面倒くさいので、関わらないほうがいい。

 心に左右されないような判断をいつでも下せるようにならないと。

 そうして覚悟を決めていても、やはりなぜか痛い。

 出会わなければ楽だったのかもしれないけれど、もうほんとうに手遅れだから、やり直しなんか聞かないから、とてもつらい。


『わがままなんか言わず、両親について行って水都(みなと)から出ればよかった。そうして、東京の高校にでも通ってりゃあさ‥‥‥』


 カラオケでは結局、何をやったかなど憶えてはいなかった。

 自宅に帰ってくると、鍵が空いていた。

 不審に思い、準備運動をしてからドアノブを回す。

 すると、人の気なんかなく、とりあえず真介はホッとして、自室の小さな片袖机そばの椅子に座る。


「なんか‥‥‥もっと熱中できることがありゃあ、俺だってまともな人間に戻れたりなんかしちゃうのかな‥‥‥もっと、普通にポジティブに物事を考えられるような、まともな人間にさ‥‥‥」


 なれるさ、と声がしたような気がした。

 振り向くと、其処には鞘に収まった大きな剣があった。


「‥‥‥剣? 剣、なんで剣?」


 先程まではなかったように思えるけれど、いつの間に現れたのだろう。もしかして、家のなかに潜んていた変質者が迸るスピードで設置していったのだろうか。物音はなかったので忍者かもしれない。

 真介は不審に思いながらもそれを握った。

 すると、不思議な感覚とともに、脳細胞が弾けるような感覚が走り、思わず鞘から抜き出し、防御の構えをとった。


 〝パキィン!〟


 金属が割れるような音がして、赤黒い閃光が走った。

 剣を握ったことにより理解能力が研ぎ澄まされ、それが〈(へん)〉と呼ばれるものであることを理解した。〈返〉は相手の攻撃を剣で受け、相手に返す技である。


「なんだこれ‥‥‥よくわかんないけど‥‥‥脳みそが震えるぞ‥‥‥なんだこれ、なんだこれ‥‥‥危ない、危ないやつだ‥‥‥これは‥‥‥危ないんだから触っちゃいけないに決まっているんだろう」


 真介は剣を鞘に戻した。


「違う‥‥‥! なにか‥‥‥来る!」


 赤に染まった空が見えた。真介は剣を抜き、襲い掛かってきた異形に振るう。異形はガラガラと声を出しながら、赤黒い唾液を滴らせ、真介をターゲットに入れていた。


「人間のいない街‥‥‥! なんなんだ‥‥‥!? なんだって言うんだ、ほんとうに、もう、ほんとうになんなんだよ、訳わかんねぇよ! 訳がわかんないんだから、わかんないんだろ!!」


 異形が咆哮をあげながら全身の筋肉を軋ませて襲いかかる。剣は異形の首元に突き刺さり、獣の咆哮をあげたまま光のチリになって消えていった。


「お、俺が戦った‥‥‥強く。俺の命の恩人は、俺‥‥‥」


 昔から思っている事が概ね口から出てしまう性格で不気味なべらべら坊やと親戚からも言われてしまう少年であった。

 真介は剣を握ったまま、鞘を持って外に出た。

 街には人が一人もいない。水都県は平成二十六年現在、人口千百万人ほどの大きな(くに)である。


「おーい! 誰かいないか〜! おーい! 人、いないの!? そんなんじゃあ、そんなんじゃあ!! ひとりぼっちだぞ!! 俺人間なんだよ、人いないの!!」


 返事がない。


「俺だけしかいないのか‥‥‥? 俺、こんな広大な土地に俺一人なんて、俺の運命共同体なんていないってわかるの、悲しくて、つらくて‥‥‥おーい! 誰かいないの!? 俺人間なんだよ!? わかってんの!? おーい! おーーい!! だぁれかぁー!!」


 そうしていると、金属音が聞こえた。

 そのほうに走ってみると、剣を持った女がいた。

 女は先程、真介が狩ったような異形と戦っている。


 倒されたところで話しかけた。


「お姉さん! あんたも俺と同じ人間か!? ここってなんなんだよ、マジ訳わかんねぇよ!」

「‥‥‥驚いた。あなた、未登録の剣持ってるのね。それはなぁに?」

「わかんないわかんない‥‥‥」

「私と一緒に此処出よっか」

「出られんの!? ありがたや〜!」

ちょっと待って(☉。☉)!


スマートフォンって平成26年頃の普及率どんくらいでした!?

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