初クエストには思わぬ強敵!?
第9話です!
簡単なクエストかと思っていたら、森の主が現れます。
3人はどう強敵に立ち向かっていくのでしょうか。
朝だ。
眠い目をこすりながら朝食をとり、冒険者ギルドへと向かう。
そこには既に2人が待っていた。
「おー!来たか!」
「おはようございます。」
朝早いからだろうか、クエストボードにはまだ人が少ない。
クエストを眺める。
毛皮が取れそうな魔物…
あった、リーフディアの討伐、これにしよう。
ディアと名前がつくんだからきっと鹿に近い魔物なんだろう。
リーフディアのクエストを受ける。
どうやら街を出たところの森、最初転生した場所にいるらしい。
街を出て3人で森へと向かう。
移動中に出身地なんかを聞かれたが、別の国から来たとはぐらかしておいた。
森に入ろうかというとこでノアが言う。
「どうやらリーフディアは森の奥にいるようです。」
「わかるの?」
「はい、私は探査魔法も使えます。」
これは驚いた。
この子が使える魔法は便利なものが多い。
森の奥へと進んでいく。
いた。鹿の外見に角は若木でできているのか?
ステータス画面を想像する。
リーフディア(Lv.7)
森の奥に静かにたたずむ。葉が生い茂った角を持ち、その葉は怪我を治癒する力を持つ。
- HP:85
- 攻撃:12
- 防御:10
- 素早さ:20
へえ、薬にもなるのか、これは良い収穫だ。
と、その時リーフディアがこちらを見る。
緑色のバーが表示される。
どうやら気づかれたらしい。
リーフディアがこちらに突進をしてくる。
穏やかそうな見た目とは裏腹に凶暴だ。
「あたしが止める!」
セラが前に出る。
ガツンッ!
盾でリーフディアの突進を受け止める。
「今だ!」
「ああ!」
ズバッ
ロングソードでリーフディアの腹を切り裂く。
リーフディアは倒れた。
「解体ならあたしに任せろ」
慣れた手つきでリーフディアを肉と毛皮に切り分けていく。
「どこで覚えたんだ?」
「孤児院にお金を送るために、解体する手数料をなくそうとして自然と覚えた。」
「へーすごいね!」
解体が進んでいく。
この世界に来てから血やら内臓やらはそこそこ見てきたがどうにも慣れない。
でもいつかは慣れないとなぁ…
「なあ、この角何かに使えそうか?」
「ああ、この角は回復薬になるそうだから回収しておこう。」
リーフディアをアイテムポーチにしまう。
それから次々とリーフディアを倒していく。
たまに突進を食らったが、そこはノアの回復魔法で回復してもらった。
セラが次々と解体していく。
不思議とアイテムポーチはいっぱいにならない。
管理人、サラッとぶっ壊れアイテム渡してないか?
そんなことを考えてるうちに規定の数討伐が終了した。
綺麗な小川を見つけたからしばし休憩することにした。
休憩もほどほどに街に戻ろうかとしたところでノアが緊迫した声で言う。
「2人ともあそこの岩に隠れてください!」
急いで岩に隠れる。
ノアは探査魔法を使える。
何か強い魔物が現れたのだろうか?
その嫌な予感は的中することとなる。
現れた魔物は今まで戦った魔物よりもはるかに大きかった。
自分の強さを知っているのだろうか、警戒もせずに水を飲んでいる。
ステータスを見る。
シミズオオトカゲ(Lv.27)
森の清流にひそむ巨大トカゲ。森の主で危険度が高い魔物として有名。
- HP:310
- 攻撃: 78
- 防御:56
- 素早さ:25
-
これはやばい…気づかれないうちに帰ろう。
幸いまだシミズオオトカゲは水を飲んでいる。
静かに立ち去ろうとした時だった。
バキッ
小枝が折れる音がする。
足元を見ると小枝を踏んづけていた。
最悪だ…
シミズオオトカゲの頭上には既にバーが表示されている。
どうやらやるしかないようだ。
シミズオオトカゲがこちらに突っ込んでくる。
セラが突進を受け止める。
押し合う形となる。
バンッ!
セラが弾き飛ばされる。
シミズオオトカゲはセラに噛みつきに行く。
「危ない!」
パリィン!
すんでのところで噛みつきは止まった。
ノアの防御魔法だ。
すかさずロングソードで斬りつけに行く。
斬れたように思えた。
いや、事実斬れている。
だが浅い、致命傷には至らない。
こちらを一瞥したシミズオオトカゲはしっぽでなぎ払いにかかる。
間一髪ロングソードを間に滑り込ませたが吹き飛ばされ木に叩きつけられる。
シミズオオトカゲは斬られたことに激昂している。
HPバーはまだ8割ほど残っている。
こりゃ、キツイな…
手が震える。
今まで何となく異世界というものを楽観視していた。
いや、今までが順調に行き過ぎていたのかもしれない。
だが、俺は興奮していた。
この厳しさ、それでこそ異世界だ!
既にシミズオオトカゲは走り出している。
横っ飛びでそれを避ける。
そのままロングソードでの横薙ぎを振るう。
やはり斬れるも浅い。
どうしたものか。
鱗が硬く深く斬ることができない。
そうか、硬い部分は無視すればいい!
2人に呼びかける。
「俺が傷口を攻撃するから2人はコイツの動きを止めてくれ」
「りょーかい!」
「わかりました!」
セラが剣で盾を叩き注意を引く。
腹に作った傷口を狙うもシミズオオトカゲは止まってくれない。
狙いが定まらない。
だがその時動きが止まった。
セラの盾とノアの防御魔法が動きを止めている。
考えている暇はない。
傷口にロングソードを突き刺す。
そのまま走って腹を斬ろうとするも進まない。
このトカゲ筋肉まで詰まってやがる。
時間が無い。
しょうがない、剣をこういう使い方はしたくないがそんなことも言ってられない。
ロングソードにドロップキックをかます。
ズズズズズバァッ!
ロングソードは豪快にシミズオオトカゲの腹をかっ捌いた。
ズウン…
シミズオオトカゲはついに地面に倒れた。
「はぁ…はぁ…倒した…」
「「やったぁーーー!!!」」
2人が抱きついてきた。
この2人距離が近くないか!?
「とんでもない強敵だったな。」
「でも3人で何とか勝てました!」
セラが解体を試みるが鱗に解体用のナイフが刺さらない。
仕方ないので商人ギルドで解体してもらうことにする。
アイテムポーチにしまったら2人に驚かれた。
「いやいやいや、その大きさのものが入んのかよ!?」
「それってどこで手に入れたんですか?」
やっぱりこのアイテムポーチすごいものなんじゃないか?
「旅に出る時に村の長老から貰ったんだ。確か貴重品って言ってたな。」
嘘八百である。
ノアに回復魔法を使ってもらってから街へ戻ることにする。
日が暮れている。ギルドへの報告は明日にすることにして、2人と別れた。
3人の得意な所を活かしながら戦闘描写を描けた気がします。
次回はリーフディアの毛皮で作った布団を孤児院の子供たちに届けるところから始まります。
お楽しみに!