この世界、案外何とかなりそうです。
商人ギルドへと向かう。
商人ギルドには冒険者ギルドと違い気前の良さそうなおっちゃんや小綺麗なイケおじまでいた。
商人ギルドでの手続きも冒険者ギルドと同じような形式であった。
商人ギルドも冒険者ギルドと似た形式を採用してあり、ランク1からのスタートであった。
素材を売ったり、店を出して商品を商人ギルドから仕入れることでランクが上がる仕組みとなっており、ランクが高いほど顧客からの信頼度も高くなっていくとのことであった。
手続きを済ませたところで思い出した。
ここに来る前に草原でコケロックという魔物を倒している。
早速鑑定所に向かった。
「あの、魔物の鑑定を行いたいのですが」
「はい、では魔物を見せてください。」
アイテムポーチからコケロックをテーブル上に出す。
「これはコケロックですね。カイトさんは冒険者ランク1ということで説明をいたします。」
「こちらの魔物はあらゆる地域で確認されている魔物で、体は軽く丈夫な石でできていて、装備にもよく使われます。石の中の肉はこの街ではよく食べられています。」
さらに話を聞くとどうやら商人ギルドでは魔物の解体も請け負っているとの事だった。
手数料を払いコケロックを解体してもらう。
コケロックの石をもらい、肉はそのまま売り払った。
少しこの世界のことがわかった気がする。
商人ギルドを出たところで自分の腹が空腹を訴えていることに気づいた。
空を見ると太陽は真上にある。
思えばこの世界に来てから何も食べていない。
食事を求めて人の多い方へと向かっていく。
たどり着いた場所は広場であった。
屋台が沢山出ていて活気に満ち溢れている。
色々な食べ物の屋台がある。
コケロックの焼肉や、この街で取れたであろう見たことの無い野菜のスープがある。
やはり先程倒したコケロックの肉が気になる。
コケロックの焼肉を出している屋台に行き注文する。
もう我慢できない、貰ってすぐに口に運ぶ。
なるほど、見た目通り現実の鶏に近い味がする。
この味であれば唐揚げなんかにするのもいいかもしれない。
そんなことを思いつつ食べていると、帰る場所がないことに気づいた。
野宿は嫌だなぁ…
ひとまず宿を探すことにした。
街ゆく人に話を聞いていると街の外れに旅人を多く泊めている格安宿の存在を聞く。
早速そこに向かうことにした。
格安宿という程だ、ある程度の汚さは覚悟していたが、綺麗な宿であった。
石造りで内装は西洋風だった。
早速チェックインをする。
「しばらく泊まりたいです。」
「承知いたしました。この宿は1泊銀貨1枚となっております。朝食、夕食付きです。」
いまいちこの世界の物価が掴めていないが朝食と夕食が付いて1泊銀貨1枚というのは格安なのだろう。
部屋に入ると急に疲れが出てきた。
なれない異世界での戦闘に、たくさんの手続き、疲れも溜まるわけだ。
そういえばこの世界に風呂はあるのだろうか…
そんなことを考えながら意識は闇へ沈んで行った。