転移魔法便利すぎないか?
王立資料館で見つけた転移魔法についての本を開きます!
転移魔法を使ってカイトたちはどこへ行くのでしょうか!
楽しみです。
俺とミレイユの部屋で本を広げる。
転移魔法…まずはこれからだな。
「転移魔法」とだけ表紙に書いてある本を手に取る。
『転移魔法…それは自らが訪れたことのある場所に転移可能な門を遠隔で設置する魔法』
「なるほど、門を設置してそこをくぐると転移ができるというわけですね。」
ど○でもドアかな?
「こういう魔法はノアの方が得意だよな、任せた!」
もちろん嘘だ。
俺が転移魔法を使えたら俺の故郷に連れてけって絶対に言われる。
だからノアに任せる。
「わかりました、やってみますね、とりあえずスーニャにある私とセラの部屋に…」
ノアが目を瞑りムムムと眉をひそめる。
自分の部屋の情景を思い出しているのだろう、多分。
「おそらく設置できたと思います。」
「本当かノア、さすがだ!」
「それじゃあこの部屋にも設置してみますね。」
ノアが手をかざす。
ヒュン
門が出てきた。
なんだかすごいファンシーな門だ。
ピンク色で可愛らしい装飾が沢山着いている、羽が着いた人の装飾だ、これは妖精かな?それとも天使かな?
「キュートなデザインだな。」
何の気なしにそう言ったらノアが顔を赤くして俯いてしまった。
「……魔法っていうのは術者本人の心象を強く映し出すものですから……」
そうノアが小声で言った。
ということはノアの心の中はピュアピュアということか。
何それかわいい!
「ってことは俺が門を出したら違ったデザインになるのかもな。」
「そうですね、カイトさんもやってみますか?」
「え〜、俺にはできないよ〜。」
「ねえねえ、そんなことより早く門をくぐってみようよ!」
「いや、その前に買い物に行くぞ。」
「なんで?なんか買うものあったっけ?」
「ああ、スーニャの商業ギルドマスターのメルティンに帰ってきたら米を届けるよう頼まれてたんだ。」
「ふーん、そっか、じゃあ買い物行こっか!」
と、いうことなので、前に米を買った店に行き、米とおまけに味噌と醤油も購入した。
「よし、それじゃあ門、くぐってみようか。」
「待ってました!僕が最初にくぐっていーい?」
「うん、いいよ。」
「ありがとー!」
ギィ……
ノアが設置したファンシーなデザインの門を開く。
門の向こうは、どうなっているんだこれ?
水色の空間が広がっているのか?
「それじゃあ早速入ってみるね!」
ヒュン……
ミレイユの姿が、消えた。
まさに"転移"した、といった感じだ。
「それじゃ、俺たちも行くか。」
ヒュン……
門をくぐるとそこは確かにスーニャにあるセラとノアの部屋だった。
すごい、本当に転移ができた!
遅れてセラとノアも門から出てきた。
「へー、本当に転移ができるんだな。」
そうセラが言うとノアが頬をぷくりとふくらませながら言った。
「ちょっとセラ、私の魔法を信頼していないってことですか?」
「そーゆーことじゃないよノア、いつもノアの魔法には感謝してる!」
「ふふ、分かればいいんですよ。」
明らかにノアの機嫌が良くなっている、今にも鼻歌でも歌いそうだ。
トントントン
部屋を出て階段を降りる。
降りた先でばったりとヘレナさんに会った。
「えー!あなたたち帰ってきてたの!?」
「ああ、いや、それはかくかくしかじかで…………」
へレナさんに転移魔法のことを説明した。
「転移魔法ね、またすごいものを使うのねあなたたち、王都を楽しんでるようで何よりだわ。それで、なんでスーニャに戻ってきたの?」
「メルティンのところに米を届けたくて。」
「そうなの、行ってらっしゃい。」
「お前らは来るのか?」
「あたしはいいかな、別に商人ギルドのマスターと知り合いって訳でもないし。」
「私も同じくです。」
「そうか、ミレイユはどうする?」
「うーん、僕もいいかな。」
と、いうことなので1人で孤児院を出て商人ギルドへと向かった。
商人ギルドの受付へ行く。
「ギルドマスターに会いたいんですけど。」
「あら、カイトさん、お久しぶりです。ギルマスでしたら奥の執務室にいます。カイトさんたちなら勝手に入ってよろしいですよ。」
「え、勝手に入っちゃっていいんですか?」
「はい、ギルマスはカイトさんたちが帰ってくるのを楽しみにしていたんですよ。何故か理由は教えてくれませんでしたけど。ですから驚かせてあげてください。」
そういうことなら入らせてもらおう。
ガチャリ
「誰だ、いつもノックをしろとあれほど……ってカイトか!?」
「久しぶり。」
「帰ってきてたのか。」
「転移魔法でちょちょいとね。」
「お前たちは一体どこまで成長していくんだろうな?」
その質問には答えないでおく。
「それで、米は持ってきたのか?」
「ああ、今日は米を届けに来たんだ。」
「それは嬉しいな、早速見せてくれ。」
米と味噌、そして醤油が入った袋を机に置いた。
「おお、味噌と醤油まであるのか、ありがとうカイト、ギルドマスターになってから初めて米が食べられる。」
「ギルドマスターになると米が食べられなくなるのか?」
「いや、そういう訳では無いんだがな、うーん、どこから話そうか、俺が商人ギルドに入った理由からだな。」
「なんでメルティンは商人ギルドに入ったんだ?」
「それは簡単な理由で多くの地域の食べ物を食べてみたかったからだ。だから旅行をして色んな地域の食べ物を食べながらギルドマスターにまで上り詰めた。だけどギルドマスターは忙しくてな、なかなか旅行ができなくなってしまったって訳だ。」
「なるほどね、本末転倒ってやつか。俺がいて良かったな。」
「そうだな。」
しかしまぁギルドマスターは忙しいのか、考えてみれば当たり前の話だが、なんて言うんだろうか、こういう人のことを確か……社畜?
「それじゃあ、俺は帰るな。」
「わかった、米、ありがとうな。」
「いいって、米の情報をくれたお礼だよ。」
商人ギルドを出て孤児院に帰った。
10日以上更新が停止していてほんとにごめんなさいでした。
王都で船が建造されている間カイトたちはどうやって暇を潰すのでしょうか?
これからも是非お楽しみください!