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ありがとう!お兄ちゃん!

宿に着いた頃にはあたりはすっかり暗くなってしまっていた。


「はあ…めっちゃ疲れた…」


宿の部屋に入って早々思わず言葉が漏れる。

今日は大変だった、ザーモンとの勝負は命の取り合いといった感じでハラハラした。

それになんといってもミレイユが攫われたことだ、これは精神的にもだいぶ堪えた。

まだまだ俺も修行が必要だな。


「ほんとにありがと、少年。」

「何言ってるんだ、ミレイユは俺の大切な妹なんだ、当たり前だろ。」


そう言ったと同時に気恥しさを覚える。


「あ、いや、妹ってのは設定だったな、気にしないで…」


きっと突っ込まれると思ったがミレイユは赤面して俯きながらボソッと言った。


「そうだね…お兄ちゃん。」


な、なんだそれは…破壊力抜群すぎる…


「ううん、やっぱりなんでもない!とにかくありがと!少年!」


断じて言う、断じて言うのだが俺は別にアニメなんかを見ていても妹キャラに萌えるなんてことは無かった、だがこれは疲れた体と心にスーッと染み渡る。


「なあミレイユ、もう一度言ってくれないか?お兄ちゃんと。」

「そんなにお兄ちゃんって言われたいの〜?」


ミレイユがによによと笑いながら問いかけてくる。

そうだよ、お兄ちゃんって呼ばれたいんだよ。

でもそれを馬鹿正直に伝えるのは恥ずかしい。


「いやいや、妹って設定なんだから少年よりもお兄ちゃんって言った方が自然だろ?」


精一杯考えて捻り出した言い訳がこれである。

さあ、ミレイユはなんて答える…?


「確かに、それはそうだね、しょうね…いや、お兄ちゃん。」


やったー!

ミレイユにお兄ちゃんと呼ばせることに成功した。



その時腹の虫が鳴る大きな音がした。


「お兄ちゃん、お腹空いた!」

「そうだな、ご飯にしようか。」


とはいえ今日は依頼解決で食材も米以外ほとんど残っていない。


「うーん、今日は宿の食堂で食べようか、2人を呼んできてくれ。」

「分かった!」


2人を呼び1階の食堂へと降りる。

追加料金を支払い食堂で食事を摂る。


「今日は大変だったな。」

「ええ、本当に、ミレイユちゃんが攫われた時はどうしようかと思いましたよ。」

「しかしザーモン、本当に強敵だったよな。」

「そうだよな!あたしなんかカイトとザーモンの戦い入るどころか目で追うので精一杯だったよ。」

「でもセラが投げた盾、あれがなかったら俺は串刺しになって死んでた。ありがとう。」

「褒めたって何も出ないぞ〜カイト〜。」


嬉しそうだな、セラ。


「それにしても後処理、お2人に任せてしまって良かったのでしょうか?それとザーモンを取り逃がしてしまったことも心配です。」


確かに2人に任せたことは少し気掛かりだ。

だけど後処理は任せろって言ったのはあの2人だしなあ…別にいいだろ。


「いや大丈夫だろ、だって任せろって言ったのはあの2人だ、それに2人は先輩だ、先輩の言うことは黙って聞けって言ってただろ?」


これはカイラスが言ったことだ、異論はあるまい。


「な、なんかカイトさん性格が悪いですね。」

「それはそうとカイト、これからザーモンにアイテムポーチと命を狙われるんじゃないか?」

「いや、暫くは大丈夫だろ。」

「なんで分かるんだ?」

「それはあれだ、ザーモン盗賊団の構成員は今日ほとんどを捕まえただろ?だからザーモンは今乗っ取る対象がいないから人の多い王都の中で俺たちを探すのは難しいってわけだ。」

「そっか、それにザーモンの乗っ取り魔法はペンダントを介して発動するってことも分かったしな!」


そう、ザーモンは取り逃したがザーモン盗賊団は壊滅に追い込んだ。

いくらザーモンがすごくても1人でできることには限界がある。


「しかし気になることが1つあります。」

「ん?何が気になるんだノア?」

「私の防御魔法についてです、私が防御魔法を展開した時にザーモンは驚いていました。それにカイラスさんやリュミナさんも防御魔法を使えると伝えたら驚いていました。防御魔法には何か秘密があるのかと思いまして。」


防御魔法についてか、確かに俺も気になっている、王立資料館で防御魔法についての本を借りて読んだけどそこには防御魔法は限られた人間にしか覚えることができないと書いてあったし事実俺には出来なかった。

ノアが防御魔法と回復魔法しか使えないことに何か秘密があるのかもしれない。


「そうだな、明日冒険者ギルドでほかの冒険者たちに聞いてみようか、何か分かるかもしれない。」

「ありがとうございます。」

「それはそうとお兄ちゃん、もしかしたら王冠を取り戻したから国王に呼ばれるかもね!」

「うん?そうだな、もしかしたら呼ばれるかもしれない。」


なでなで


しかし国王に呼ばれる、か。

もしかしたら起こり得るのかもな、でも面倒だなあ、それで国の危機を救った英雄だ!なーんて言われてしまったら目立ってしまう。

別に俺は目立ちたい訳じゃない。


「じゃあ明日は冒険者ギルドに行ってカイラスとリュミナさんが報告してるけど一応依頼の報告と防御魔法について話を聞いてみようか。」

「ああ!」

「そうしましょう。」

「「「「ごちそうさまでした!」」」」


そうして部屋に戻ったと同時に強烈な眠気が俺を襲いベットに倒れ込み泥のように眠った。

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