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魅力魔法発動!

「それじゃあ私達は冒険者ギルドに行って泥棒から情報を聞き出そうと思うがカイト達はどうする?」


どうしようかな、正直な話俺がついて行っても何も変わらない気がするけどリュミナさんの魅了魔法(チャーム・マジック)は見てみたい気持ちがある。

俺が今までこの世界で見た魔法は基礎の属性と防御、回復魔法だけだから固有の名称が着いている魔法には興味がある。


「俺はついて行こうと思うがノアとセラはどうする?」

「私もリュミナさんが使う魔法に興味があるのでついて行きたいと思います。」

「カイトとノアが行くならあたしも行く〜。」

「そうか、ミレイユも来るな?」

「うん。」

「そういうことだから、4人とも行くよ。」

「そうか、だが気をつけとけよ、リュミナの魅了魔法(チャーム・マジック)に間違っても引っかかるんじゃないぞ、解除が面倒だ。」

「そうなの?」

「いや、注意してれば魔法にかかることは無いわよ、魅了魔法(チャーム・マジック)の発動条件は私に魅了された人間が私と目を合わせていること。だからカイトが私に魅了されなければ大丈夫。」


魅了されること、か。

正直に言うと魅了されないという確信は持てない。

リュミナさんははっきり言ってめちゃくちゃに美人だ。

なんなら既に魅了されているのかもしれない。

不安だから泥棒への取り調べをする時はリュミナさんの後ろから見守る形で目を合わせないようにしよう。


「それじゃ、行こうか。」


冒険者ギルドの受付に事情を説明する。


「私の魔法を使って泥棒から情報を聞き出したいです。」

「承知いたしました、では担当の職員が案内しするので冒険者証を掲示してください。」


冒険者証を出すと受付嬢は奥へ引っ込み担当の職員であろう男性を引き連れてきた。


「それでは私が泥棒たちのいる留置所まで案内します。」


職員に案内されるまま留置所に向かう。


「では捕らえた者を連れてきますので少々お待ちください。」


少し待っているとリュミナさんが話しかけてきた。


「それじゃあ取り調べを始めたら一応私と目を合わせないようにな、万が一にも魔法にかかってしまったら面倒だ。」

「わかった、気をつけるよ。」


そんな話をしていたらどうやら準備が整ったようだ。


「準備完了いたしました、どうぞ。」


取調室となった部屋のドアを開けるといかにも悪そうな若い男が手を縄で縛られ座っていた。

俺が捕まえた泥棒とは違う人のようだ。

でもなんだろう、この泥棒がつけているペンダント、どこかで見たような…?

いや、気のせいか。

リュミナさんによる取調べが始まった。

俺達はリュミナさんの後ろに立ち見守る。


「ねえ、あなたはザーモン盗賊団の構成員でしょ?」

「はぁ…何度聞かれたって誰に聞かれたって答えねぇよ。」

「そう…なら質問を変えるわ、どうして泥棒なんてしたの?」

「別に、理由なんかねぇよ。」

「あらそう?理由もないのにあなたは泥棒をするの?」

「そうだよ、何か悪いかよ?」

「いや、悪いなんて言ってないわよ。」


このままじゃ埒が明かなそうだな。

と、その時リュミナさんの声色が変わったように感じられた。


「ところで私冒険者なんだけどね、ちょいワルな男の人って好きなのよ。」

「何が言いたい?」

「お兄さんのことちょっとタイプかも。」

「はぁ?」


泥棒が怪訝そうな顔をする。


「ねぇ、お兄さんのタイプな女性、教えてよ。」

「何でお前に女のタイプを言わなきゃなんねーんだよ?」

「そのタイプな女性になるからさぁ、ね?教えてよ。」

「俺も、ちょっとワルい女の子がタイプだよ。」

「へぇ、奇遇、私と同じじゃん。」


これは確実にリュミナさんが魅了魔法(チャーム・マジック)を発動してるな、魅力が溢れ出ている。


「はぁ、少し暑くなってきちゃった。」


そういうとリュミナさんは胸元のボタンを開け始めた。

もちろんこちらからは見えないが咄嗟に視線を落とす。

それと同時にミレイユの目を塞ぐ。

少女にはあまりに刺激的だ。


「お兄さんとは仲良くなれそう、ところでもう一度聞くわ、お兄さんはザーモン盗賊団の構成員でしょ?」


その質問に対し泥棒はとろんとした表情で答える。


「そうだよ、俺はザーモン盗賊団に所属してる。」


既に泥棒の目線はリュミナさんの目に釘付けだ。

これが魅了魔法(チャーム・マジック)…すごい効果だ。


「どうして街で泥棒なんてしたの?」

「それは、ザーモン盗賊団には上納金の仕組みがあるからだ、だから俺みたいな下っ端は必死に金を集めなきゃならねぇ。」

「そんなに大変なら盗賊団、やめちゃいなさいよ。」

「それはできねぇ、いつどこでザーモン様に見られているか分からねぇ、あの人は不思議な力を持ってて構成員の事を監視してるんだ。」

「不思議な力?なぁにそれは?」

「分からないんだ、どんな魔法か、そもそも魔法なのかすら分からねぇんだ。」


どんな魔法か分からない…こりゃ一筋縄じゃあいかなそうだ。


「そう、じゃあザーモン盗賊団のアジトはどこ?」

「アジトはない。常にザーモン盗賊団は動き回るから簡単な拠点しかない。」

「ならその拠点を教えて。」

「王都を西に出た洞窟だ、そこに多分お前らが取り戻したい王冠もある。」

「西側ね、ありがとう、じゃあその拠点にはどれくらい盗んだ物があるの?」

「大量にある、だからザーモン様は今大容量のアイテムポーチを求めている。」

「大量にあるってさ、どうする?」


リュミナさんがこちらに背を向けたまま聞いてくる。


「それなら大丈夫だ、俺のアイテムポーチの容量は無限だ。」

「な、無限?そりゃまたカイトとんでもねぇ物を持ってんな。」


やっぱり最初にミレイユから渡されたアイテムポーチの性能はちょっと異常なんだな。


「じゃあ最後の質問ね、王冠を盗んだのはザーモン本人ね?」

「そうだ、ザーモン様でないと王冠を盗み出すことはできないだろう。」

「ありがとう。」


パン!


リュミナさんが手を叩く。


「はっ?俺は何を…?」

「たっぷり情報をいただいたわ、ありがとう。終わったぞカイト達、西側の洞窟、探しに行くぞ。」

「すごいなリュミナさん、あんなに強力な魔法だったなんて!」

「褒めても何も出ないぞ、ほらじゃあさっさと王冠、取り戻しに行くぞ。」


情報を手に入れ部屋を立ち去ろうとした時だった。

部屋は密室なのに風が渦巻いている。


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