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王都でショッピング!

ガチャ


宿の室内へと入る。

ふーん、綺麗な部屋じゃないか、汚れや傷なんかも見当たらないし家具も高級そうだ。風呂はもちろんのこと、キッチンまでついてる。

これは当たりの宿かな。

…ん?

ベッドがひとつしかない。

サイズはダブルベッド程だろうか。

ということは俺、ミレイユと同じベッドで寝るのか?

現実を受け止めずに部屋の中を歩き回りベッドを探す。

クローゼットを開き、風呂に入る。

しかし当然他にベッドなんかあるはずもない。

当惑しながらベッドの下を覗き込んだところでミレイユに言われた。


「少年、どうしたの?変だよ?」

「いや、ベッドがひとつしかないからどうしたものかと思ってな。」

「別に一緒に寝ればいいんじゃん?それくらいの広さはあるよ?」


確かに広さはある、広さはあるんだけどいかんせん少女と同じベッドで寝るなんて俺に耐えられるだろうか?

思い悩んでいると現実に引き戻されるかのように部屋の扉がノックされた。


「おーい、カイト、準備出来たかー?」


ドアの向こうにいるのはセラだ。

どうやらなかなか出てこない俺達にしびれを切らしたらしい。


「ごめん、今行く!」


悩んでいても仕方がないか、とりあえずベッドの問題は買い物を終わらせた後の俺に任せることにしよう。


「もう、遅いですよ、カイトさん!」

「ごめん、ちょっと考え事しちゃった。」

「それじゃあまずは米探しにいこー!」


ということで王都の商店街へ行く。

メルティンから貰ったリストには商店街の奥に米を売っている店があるとの事だ。

商店街の奥へ進んでいくと、途中に水に漬けられた白いものを売っている店があった。

もしかしてこれは…


「これって豆腐ですか?」

「アンタよく知ってるね、そうだよ、豆腐だよ。」


ラッキー!これなら味噌汁を作る時に豆腐も入れれる!しかも油揚げもあるじゃないか。


「じゃあ豆腐を2丁、あと油揚げください。」

「あいよ!」

「いいのかカイト?コメを買う前に買い物しちゃって。」

「いいんだ、これも美味しいご飯を作るためさ。」

「ふーん、まあ美味しいもの食べられるならなんでもいいけど。」


寄り道もいいところにして米を求めて奥へと向かう。

奥と説明されるほどだから闇市のように暗く怪しいものが売られているのかと思っていたが予想とは反対により明るく、活気に満ち溢れている。

これだ…商店街の奥地に和風の建物が構えられている。

リストを見るまでもなく直感的にここに米があると分かった。


「ここだな、ここに米がある。」


ドキドキしながら店の扉を開ける。

その瞬間に鼻を突き抜ける懐かしい匂い。

味噌だ。


「おや、いらっしゃい。」

「こんにちは、米と味噌、それに醤油を買いに来ました。」

「あら、そんなに買うのかい、珍しい、ひょっとして東の国の生まれかい?」


東の国?そこで米が収穫されているのだろうか。


「ええ、そうですね、僕の故郷では米も味噌も食べられていました。」

「そうかい、この国じゃああまり東の国の食材を売ってる店はないからね、沢山買っていってくれね。ああ、そうだ、うちには干した小魚があるよ、この食材たちと一緒に使うんだ、米を食べてたってんなら知ってるわな?」


干した小魚?

もしかして煮干しのことか。


「じゃあ小魚も買ってきます。」


その時セラが覗き込んでくる。


「へー、これが米か、なんだか硬そうだな。」

「そう見えるよな、後で炊いてやるから楽しみに待ってな。」

「うん!」


しばらく食べられそうな量の米たちを買って店を出る。

店を出たところでガッツポーズをする。


「よし…!やっと米が食べられる!」

「よかったですねカイトさんにミレイユちゃん、久しぶりの故郷の味ってことですもんね。」


ああ、これで米と味噌汁が食べられる。

あとは卵焼きも作りたいな。


「じゃああとは卵を買おう。」

「了解!あたしもお腹すいてきちゃった!」


これまで来た道を戻りながら卵を探す。

でも卵を売っている店がないな…

うーん?


「あ、カイトさん、あそこに卵が売ってますよ。」


指さされた店の商品棚を見ても卵らしきものは見当たらない。

あ、いや、これか?

そこにあったものは一見するとただ卵の形に似た石だった。

しかし考えてみればこの世界にはコケロックというニワトリに近い魔物がいる。

ならこの石はコケロックの卵であると考えるのが自然だろう。


「すいませーん!卵ください。」

「何個だい?」

「うーん、じゃあ10個で!」

「はいよ。」


コケロックの卵を受け取りアイテムポーチへとしまう。

よし、これで卵焼きも作ることができる。


「おけ、こんなもんで買い物はいいでしょう。」

「じゃあ早速宿に戻ってお料理しよ〜!」

「ああ、もう腹が減って仕方がないよ!」


スキップしたい気持ちを押さえつけながら宿へと戻る。


「それじゃあ俺とミレイユの部屋で料理するか。」


この宿にキッチンが付いていてよかった。

炊飯器なんてものはないので鍋を使い米を炊くことにする。


「へー、水を使うのか。」

「もしかしてそのまま食べると思ったの?」

「いやいや、そんなことは無いけど炒めたりするのかなーと思って。」

「炊いた後に炒める料理もあるな。」

「色んな調理法があるんですね。」


米を炊いている間に味噌汁を用意する。

まずは煮干しを使って出汁を引く。


「この魚、こんな使い方をするのか。」

「なんだか贅沢な使い方な気がします。ここら辺の地域は内陸部なのであまり魚は見れないんですよ。」


え、そうなのか、じゃあ刺身なんかはお預けかな?


「でも東の国って遠いんじゃないか?だから保存がきくように干すというのは自然なことかもな。」


よしよし、出汁が引けた、そしたら味噌を溶かして豆腐と油揚げを入れよう。


「美味しそうな匂いがしてきたね!少年!」

「ああ、懐かしいだろ、ミレイユ。」


こんな所で2人に嘘がバレてしまっては困るので演技をする。

そしたらあとは卵焼きだ。

なんとまあ都合よく四角い小さなフライパンがあった。

コケロックの卵を割り解かしてフライパンに流し入れる。

それにしてもコケロックの卵、見た目とは裏腹に殻の硬さは元の世界の卵と大差ないな。

卵焼きを完成させ、米が炊けた。


「よし!完成だ!」

「わーい!」


テーブルに出来上がった料理を並べる。


「これがカイト達の故郷の味か…」

「すごく美味しそうです!」

「もう食べたいよ少年!」

「そうだな、食べようか。」


みんなで一斉に手を合わせる。


「「「「いただきます!!!」」」」

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