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ついに念願の王都入場!

そんなこんなで旅を続けていたら三日目の朝となった。

騎手さんに話を聞くともう数刻で王都に到着するらしい。

いよいよ夢にまで見た王都がやってくる。

馬車の中に目を戻すと3人が仲良く話している。

耳を傾けるとどうやらこれまでの冒険の話をミレイユに語っているらしい。

シミズオオトカゲとの戦いからルナピーチの収穫、スライムを食べた話までだ。

だが一つ気になることがある。

なぜか2人が俺のことを褒めちぎっていることだ。

シミズオオトカゲを倒せたのもルナピーチの収穫をしたのも俺1人の力では不可能だっただろう。


「おいおい、それは流石に言い過ぎだぞ、何も俺1人でやったわけじゃない。」

「それでもカイトのおかげで孤児院の環境が良くなったのも事実だし。」

「それはたまたまパーティーを組んだ2人が困ってたから助けただけで、街で噂を聞いた程度だったらきっと興味も持たなかった。」

「そうなの?まぁカイトには子供達もみんな感謝してる、それは事実だからな。」


みんな感謝してる…それはそうだよな、でも俺はパーティーで旅する時のことを考えて面倒なことを片付けたかっただけなんだよなぁ…

でも人に感謝されるのは悪い気はしないな。

ってあれ?何やら遠くに建物が見えるような?


「おーい、あれが王都だ、見えてきたぞー!」


騎手さんがそう呼びかける。

4人全員が馬車の窓から身を乗り出す。


「あそこに見えるのが王都か!」

「いよいよ見えてきましたね!」

「僕米食べるのすっごく楽しみ!」

「ああ、楽しみだな!」


久しぶりに米が食べられる、そう考えただけで涎が出てきそうだ。

王都の門がもう目と鼻の先にある。

ついに門に着いた。

王都の門にもスーニャと同じように守衛がいた。


「身分証明書を出してくれ。」


この世界では街に入るのに身分証明書がいるんだったな。


「はい、冒険者証でいいですよね?」

「もちろん、それで構わん。」


俺たち3人は冒険者証を出した。


「へぇ、上級冒険者か、若いのにすごいな。」

「いやぁ、運が良かっただけですよ。」


これであと身分証明書を出すのはミレイユだけになったわけだがどうもミレイユが動かない。

まさか…


「もしかしてミレイユ、身分証明書を持っていないのか?」


コクリとミレイユが頷く。

盲点だった!ミレイユは身分証明書を持っているわけがないんだった。

どうしようか。

でも確か銀貨を支払えば入れるんだったよな。

俺が最初にスーニャに来た時もそうした。

正直に伝えるか。


「ミレイユ、この子は俺の妹なんですけど、身分証明書を持ってなくて、確か銀貨を支払えば入っていいんでしたよね。」

「ああ、確かにそうだが…いや、今回は支払わずに入っていいぞ」

「え?いいんですか?どうして?」

 「どうしてってそりゃ君たちが上級冒険者だから…としかいえないな。」


言っている意味がわからない。


「どうして上級冒険者だと入っていいんですか?」

「まずそもそも冒険者ってのは信頼関係で仕事が成り立っているわけだ。その中で上級冒険者ってことは実力はもちろんのこと街に大きな利益を与えたってことだろ?つまりは信用できる。誰も上級冒険者についてきた人が悪者だなんて思わない。そうだろ?さらにいえば徒歩じゃなくて豪華な馬車に乗ってきたんだ、そうなりゃあ街から笑顔で送られたのは誰の目に見ても明らかだ。」


すごい、俺達のことをまるで知っていたかのようにこれまでの経緯を当ててくる。

そうか、そうだよな、少し違うかもしれないが俺も警察官の家族に犯罪者がいるなんて想像もしたことない。

一緒に行動しているなら尚のことだ。


「そういうことだから今回は銀貨を払わずに入ってもらって結構だ、ただ、ほかの街ではなんて言われるか分からないから身分証明書を作っておくことを勧めるがな。」

「ありがとうございます。」


守衛が門を開ける。

ついに見えた王都はスーニャよりも活気があり、いかにもこの国の都市と言ったところだ。

「最初はお米から探しに行くの〜?」

「いや、とりあえず宿からだな、泊まる場所を見つけてからじゃないと。」

「了解!」


とは言ったものの宿か、どこにあるか分からないから人に聞くしかないか。


「すいません、宿はどこにありますか?」

「宿だったらこの道をしばらく歩いたところにあるよ。」

「どうも。」


道案内に従って王都を歩いていく。

それにしてもすごいな、スーニャでは見た事のなかった工芸品や雑貨を売っている店が立ち並んでいる。

目を奪われるが、我慢だ。

ひとまずは宿にチェックインしないと。

しばらく歩いていると案内された通りに宿が現れた。


「これだな。」

「早速入ろー!」


王都に来てからミレイユのテンションがやたら高い。

やはり初めてみる新鮮な物には弱いらしい。


「すみません泊まりたいんですけど、4部屋って空いてますか?」

「4部屋ですね、少々お待ちください。」


宿のフロントスタッフが部屋の確認をしている。


「申し訳ありません、現在2部屋しか空いておりませんがよろしいでしょうか?」


え、2部屋しか空いてないのか……


「どうする?2部屋しか空いてないって。」

「ん?別にいいんじゃないか?あたしとノアは同じ部屋でいいし、カイトとミレイユは兄妹だろ?」


そうだった、俺とミレイユは血は繋がってないけど兄妹って設定だった…

うーん、どうしよう、ここで断るのも変かな?

いやしかし、年頃の男が女の子と同じ部屋で寝るなんて…俺には決めかねるな。

ならミレイユに決めてもらおう。


「ということだからミレイユ、俺達は同じ部屋でいいか?」

「少年と寝れるの?もちろんそれでいいよ!」


なんだか勘違いしているように聞こえるが納得してくれたので2部屋で泊まろう。


「それじゃあ2部屋で泊まります。」

「承知いたしました。では鍵をお渡しします。」


鍵を2つ渡された。

ひとつをセラに渡しておく。


「それじゃあとりあえず部屋に行って内装を確認してきて、あんまりないけど荷物を置いてきてからまたここに集まろう。」

「わかりました。」


鍵を渡された部屋は隣どうしだった。

これはラッキーだな、宿に泊まっている最中に意思疎通が図りやすい。


「それじゃ、また後でな。」

「うん。」


二手に分かれて部屋に入った。

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