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管理人との㊙デート!?

気持ちよく寝ている時だった。


ユサユサ


何かに揺さぶられている。


「まだ寝てたいよ〜」

「いいから!起きて、少年!」


管理人の声だ。

渋々起き上がる。


「こんな朝はやくに何?」

「僕も食べたいの!スライム!」

「管理人なんだからスライムくらい食べたことあるんじゃないの?」

「本当は僕たち管理人は管理している世界に直接現れちゃいけないんだ。だから食べたことないんだ。」


あれ、前も直接現れてなかったっけ?

この管理人ルール違反してるのかよ…


「わかったわかった、出してあげるからちょっと待って。」


顔を洗い髪を整える。


「早く早く〜」

「はいはい、今出すよ。」


まったく、管理人とかいう割には精神年齢は見た目通り少女じゃないか。

管理人がキラキラした目でスライムを見つめている。


「わーー!これがスライムか!もう食べていい?」

「どうぞ。」

「いただきまーす!」


パクリ。


「冷たくておいしーい!」


パクパクパク


管理人がかきこむようにしてスライムを食べていく。

あっという間にスライムはなくなってしまった。


「あー、美味しかった!で、前も話した通り僕を次の冒険に連れて行って欲しいんだけどどうかな?ついて行っていい?」

「うーん、魔物に襲われたら大変だし、そもそも2人に説明するのもめんどくさいしなあ。」

「魔物が現れたら隠れるからさ、ね、お願い!」

「2人にはどうやって説明するの?」

「故郷の人で追いかけて来ちゃったって設定でどう?」


まあそれなら説明はできるけど…


「でもそもそも管理人って名前何?教えてもらってないんだけど。」

「なまえー?名前はね、ない。」

「え、ないの?」

「うん、世界の管理人として育てられたから名前は付けてもらってない。」

「そっか…なんか色々複雑なんだね。」

「じゃあさ君が僕に名前を付けてよ、それならいいでしょ?」

「名前をつけろって?うーん、少し考えさせて。」


どんな名前がいいのだろう。

管理人は自由でお転婆な性格だな。

そうだな、ミレイユ、ミレイユにしよう。


「それならミレイユって名前はどうかな?」

「ミレイユ?可愛い名前だね!ありがとう、大切にするね!」


そういうと管理人、いや、ミレイユは笑った。


「ねえ、次はどこに行くの?」

「次は、王都に行くんだ。米を探しに行く。」

「へー!王都か!僕も行きたい!」


このまま話し続けても埒が明かなそうだ。


「わかった、いいよ。一緒に行こう。」

「やったー!少年大好き!」


ミレイユが抱きついてきた。


前も同じようなことを思った気がするが、俺に妹がいたらこんな感じなのだろうか。


「王都に向けて出発するのはいつなの?」

「明日だよ。」

「明日なの?それなら今日は僕と一緒にこの街を散歩しようよ!」

「いいよ、行こうか。」

「いぇーい!」


俺も明日でこの街を離れるから1周したかったところだ、ちょうどいいかな。



「早速行こー!」


ギュッ


ミレイユが腕を組んできた。


「なんで腕を組む必要があるの?」

「だって2人で街に行くんだよ?それってデートってことでしょ?」


ミレイユが当たり前のように言う。

確かにデートといえばデートなのかもしれないが他の人から見たらただの仲のいい兄妹だろう。

それか俺がロリコンだと思われるのか?

まあいいか、むしろここで機嫌を悪くされると何をされるか分かったもんじゃない。

腕組みを受け入れて街へ出る。


「どこか行きたい場所はある?」

「とりあえず広場!広場に行けば面白いこといっぱいありそうじゃない?」

「わかった、広場に行こうか。」


広場はいつもどうりに人がたくさんいた。

明日でしばらくこの賑わいともお別れと考えると少し寂しい気分だ。

ミレイユを見るとあちらこちらの屋台に目移りしている。

この世界に直接関わってこなかったからだろうか、実際に見るものは新鮮なようだ。


「ねえ少年!あれ何?美味しそうだよ!」


ミレイユはある屋台を指さして言ってきた。


「あれはコケロックの焼肉だな、俺も好きなんだ。」

「あれ食べたい!買って!」

「さっきスライム食べたばっかりじゃない?入るの?」

「デザートは別腹って言うでしょ?だから入るよ!」


なんでそんな言葉は知ってるんだ?


「わかった、食べようか。」


俺も朝イチでミレイユに起こされて朝食を取っていないから腹が減っていたところだ、食べようかな。


「コケロックの焼肉を二皿!」

「あいよ、ってカイトくんかい!そちらさんは初めてみるね、妹さんかい?」

「まあそんなところかな。」


なぜだかミレイユは俺の後ろに隠れて顔だけを出している。

もしかして人見知りなのか?


「はい、焼肉2皿ね、熱いから気をつけなよ。」

「どうも。」


辺りを見回すと近くにベンチがあった。


「それじゃ、あそこで食べようか。」


ベンチを指さすとミレイユはコクリと頷いた。

ベンチに座るとミレイユは言ってきた。


「美味しそうだね!いただきます!」


さっきまでのしおらしいミレイユはどこに行ったんだ?


もぐもぐ


「美味しーい!ジューシーって言うのかな?」

「もしかしてミレイユって人見知りなのか?」

「仕方ないじゃん、ずっと最初君が来た白い空間にいてほとんど誰とも話してなかったんだから。だから僕は君に会えて幸せなんだー。」


そうか、だから俺に何度も構ってきて、旅にもついて行きたいと言ってきたのか。

なら王都に行く時もミレイユを退屈させないようにしないとな。


焼肉を食べ終えたあともミレイユに振り回されて今日のデートは終わった。

明日はいよいよ王都に行く。

いよいよ米が食べられる日も近づいてきた。

待ちきれないな、早く食べたい。








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― 新着の感想 ―
Xより参りました。 『管理人との㊙デート!?』まで拝読しました。 タイトルに偽りなくテンプレな展開で安心して読めるお話ですね。 徐々に馴染んで、変にピンチにならないところも良かったです。 管理人の…
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