王都に行く前にやることやらなきゃ
王都に行く前にスーニャでやることを済ませておかなくてはいけないな。
とりあえずまずは鍛冶屋に行って新しい武器をもらおう。
セラも武器を注文しているから孤児院に2人を迎えに行く。
「ノア、おはよう。セラは起きてる?」
「おはようございます。セラはまだ寝ていますよ。起こしてきますね。」
相変わらず朝が弱いみたいだ。
しばらく待ってるとセラとノアが降りてきた。
セラの目はまだ開いていないように見える。
「セラ、顔を洗ってきてください。」
「うゆ…」
なんだかセラが子供でノアがお母さんみたいだな。
セラが朝食をとっている間俺とノアはお茶でも飲むことにする。
ガチャリ
玄関の扉が開く音がした。
やってきたのはヘレナさんだ。
「あ、へレナさんお疲れ様です。」
「ええ、今冒険者ギルドでの受付を終えてきたところよ。私がこれからの院長だからただいまって言うのが正しいのかしら?ただいま。」
ノアとセラが少し照れたように言う。
「「おかえりなさい。」」
ぼちぼちセラの準備が出来たので鍛冶屋に武器を受け取りに行く。
「すいませーーん!武器の受け取りに来ましたー!」
「あいよ!あんたは確かシミズオオトカゲの素材で依頼してきたんだったよな。」
「あたしもでーす。」
「もちろんそちらさんの分も作ってあるぜ、ほら、受けとんな。」
渡されたロングソードは浅葱色に光る刃を持っていた。
よく見ると柄にはシミズオオトカゲの革が使われている。
軽く振ってみるとよく手に馴染む。
いい剣だ。
セラも渡された片手剣を気に入ったみたいだ。
「あ、そうだ、その刀は素材となったシミズオオトカゲの魔力がこもってるからそれを通して魔法を外に引き出すことが出来るぞ。まあお前さんらが魔法を使えることが前提にはなるけどな!」
俺は魔法を使える、これを媒体として魔法を使えるってことか…いいじゃん、炎の魔法を剣に纏わせるとかやってみたいな。
「えー!あたし魔法使えないよー?」
「まあ魔法を使えなくてもその剣の切れ味は抜群だ!なんせこの俺が作ったんだからな!ガハハ!」
「まあカイトが魔法使えるからいっか!ありがとうおじさん!」
今まで装備していたロングソードをアイテムポーチに閉まって鍛冶屋を立ち去ることにする。
そしたらあとはメルティンのところに行って米の情報を得ようか。
メルティンは商人ギルドのギルドマスターだから多分商人ギルドにいるだろう。
「じゃあ次は商人ギルドに行こう。」
「りょーかい!」
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「ギルドマスターのメルティンに会いたいのですが、今どちらにいますか?」
「ギルマスなら奥の部屋で仕事をしておられますが、何の用ですか?」
「えっと、王都にある食材の情報を得たくて。」
「もしかして最近話題のカイトさんですか?」
最近話題なんだ…
「はい、そうです。」
「ギルマスから話は聞いています。ギルマスはあちらです。どうぞお進み下さい。」
「どうも〜。」
「なんだか有名になるって少し恥ずかしいけれど便利ですね。」
ギルマスのいる奥の部屋へ進む。
コンコン
「どうぞ」
「失礼します。」
「カイトか、王都の食材の情報だったな、しっかり集めてあるぞ。いや、集めたと言うよりは元々持っていたのだけれどな。」
そういうとメルティンは王都で取引されている食材のリストを渡してきた。
そこには米はもちろん、味噌や醤油の情報が書かれていた。
これなら味噌汁に米なんて言うThe日本の食事が作れるな。
「ありがとうメルティン、これだけあれば十分だ。」
「そうか、こっちに戻ってくるのがいつかは知らないがお土産には米を頼むな、俺もあの食べ物が大好きなんだ。」
「ああ、任せとけ。」
「そうだカイト、スライムの件、ありがとうな。」
「スライム?」
「カイトがスライムを食べられることを広めてくれたおかげで冒険者からスライムが卸されるようになって商人ギルドが儲かってるんだ。」
昨日レオニスにスライムを出したからまだスライムのことが広まってから1日も経っていないはずなのにすごい広まり様だな。
「そうなんだ、俺もスライムの美味さを知って貰えて嬉しいよ。それはそうとメルティン、ひとつお願いしたいことがあるんだけど。」
「なんだ?聞かせてくれ。」
「実は孤児院の畑で野菜を育ててるんだ、ただ前の院長のせいで売ることはせずに孤児院内で消費していたんだけど今は給付金もまた送られているから余裕があるはずなんだ、だから孤児院から野菜を買って欲しい。」
やはり同じことを繰り返さないためにも孤児院が自力で収入を得ることも必要だろう。
「え?カイトさんそんなことまで考えてくれてたんですか?」
「うん、この前孤児院で昼食を食べた時の野菜が美味しかったからな、これは売れるなと思ったんだ。」
「そうか、カイトがそう言うならこれからは孤児院からも野菜を購入しよう。」
「ありがとう。」
これで心置き無く王都に行ける。
商人ギルドを出る。
「王都に行くのは明後日だから明日はゆっくり休もう、王都に行く前に体調を崩したら元も子もないからな。」
「おっけー、明日はしっかり寝るわ。」
「セラは寝すぎですよ、いつもどうりの時間に起こしますからね。」
「うげー」
「あはは」
「むむ、なに笑ってるんだ?」
「いや、2人のやり取りが微笑ましくてな。」
「じや、あたしたちはこっちだからまた明後日な。」
「ああ、またな。」
2人と別れ宿に戻った。