始まりは森の中
気づいたら森の中にいた。
辺りを見回すも木、木、木である。
どうしたものかと悩んでいると、ピコンッと音がした。
視界の右端に!マークがある。
何気なく押してみるとビデオ通話の画面のようなものが表示された。
そこにいたのは可愛らしい少女だった。
少女はまくし立てるように言った。
「やっほー!無事に転生できたようだね。異世界へようこそ!」
どこか聞いたことのあるような声だ。
「まさか、管理人か!?」
「そうだよ〜僕がこの世界の管理人だよ〜」
いやいや、ボクっ娘ロリとか設定盛りすぎだろ!
と、心の中でツッコミを入れながら異世界に来たことを実感する。
「それじゃ、君の装備について説明するね。」
管理人は装備について説明を始めた。
まずは服、これは異世界ではよく着られているものらしい。
次に、腰に着いている袋、これはアイテムポーチになっているらしい。今は管理人が両替してくれた銀貨だけが入っていて、容量は所有者のレベルによって拡大するらしい。
そしてナイフ、これは旅人などが使う護身用にも使えるナイフだ、低級な魔物にも通用するらしい。
管理人が言う。
「さっきレベルって言ったね、君にはレベルが設定されていてレベルが上がると能力も向上する。ステータス画面を想像してごらん。」
ゲームのステータス画面を想像してみる。
フォンと音が鳴り、ゲームのステータス画面のようなものが表示される。
【ステータス】
名前:カイト
レベル:1
HP:30 / 30
MP:10 / 10
攻撃力:5
防御力:3
素早さ:6
所持品:
- アイテムポーチ
- 護身用ナイフ
スキル:なし
いかにもテンプレって感じの装備とステータスだ。
「ここまではテンプレ通りに進んでるけど、ここからは君次第だよ。テンプレ通りに冒険するも良し、大商人になって贅沢するも良し、全ては君が選んでいくんだ。それじゃ、頑張ってね〜」
管理人はそう言うとビデオ通話(?)を終了させた。
管理人の言う"テンプレ通り"の展開は気に食わないが、人に会わねばこの世界のことは何も分からないのでひとまず街を探すことにした。
しばらく歩くと草原に出た。
しかも遠くに塔が見えている。
「街発見!!」
そう言い、ウキウキで歩き出す。
しかし出鼻をくじくように草むらからニワトリのような生き物が飛び出してきた。
「コケーッ!!」
どうやら威嚇しているようだ。
自分のステータスが見れるならコイツのステータスも見れるのか?
そう考えてニワトリのステータス画面を想像する。
フォンという音と同時にステータス画面が浮かび上がる。
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コケロック(Lv.3)
ただのニワトリ…ではない。石を吐き攻撃してくるぞ。
- HP:42
- 攻撃力:8
- 防御力:3
- 素早さ:15
いかにもなザコ敵だ。
こいつがこの世界での初戦闘になるだろう。
俺は少し興奮しながら腰にあるナイフを抜いた。