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美味しいフルーツを探せ!

俺たちが上級冒険者になってからすぐに依頼は来た。



依頼主はこの街の金持ちで内容は今まで食べたことの無い美味いものを食べたいとのことだった。



王都にも何度も赴き、めぼしいものは食べていて、それでも見たことの無い、食べたことの無い料理を食べたいという。


商人ギルドにもあたったがすでに食べたことがあるものしか無かったため冒険者ギルドを頼ったという訳だ。




当然名前を売りたい俺たちは依頼を受けることにする。



3人でどんな食べ物がいいか話し合うことにする。



「何がいいと思う?」


「依頼主は金持ちだからただ高級な食材じゃダメなんだろ?」


「そうだな。」


「なら何か新しいものが良いのではないでしょうか?」



うーん、新しいものね〜。



「あ!スライムでいいんじゃないか?スライムを食べたことはさすがにないんじゃないか?」



「確かに!スライムが食べられるなんてことは誰も知らないはずだ!」


「そうですね。スライムなら依頼主さんを満足させられるかもしれません。」



しかも都合のいいことにこの前にやったスライム狩りでスライムは大量にある。



「スライムだけでもいいかもしれないけど実はスライムは果物と合うんだ。だから果物を集めよう。」


「了解!」

「わかりました。」



ということで街の果物屋に行くことにする。



こういうのは専門家に聞くのが一番いい。




果物屋の店頭には様々な果物があった。


元の世界で言うところのりんご、桃、レモン、メロンがあった。


他は見たことがない果物ばかりだ。


きっとこの世界特有の果物なんだろう。



「何か珍しい果物はありますか?」



「珍しい果物なんてのはうちじゃ入荷してないねぇ、でもうちも果物屋をやらせてもらってるんだ。珍しい果物の情報なら持ってるよ。」



「ぜひ教えてください。」




「その果物はルナピーチといってな、エルマの森にある木になっていて、普段はただの桃だけど満月の夜に輝き、その時に収穫するとそれは美味なんだそうな。ただ、エルマの森の中のたった1本の木のみにルナピーチはなると言われてる。しかも満月が来る度にルナピーチがなる木は変わるんだとさ。」


「あの…!満月って今日ですよ!」



「マジかよ!じゃあ今から探しに行くか!」


「ルナピーチ…ありがとうございます!探してみます!」


「もし収穫できたらうちの店にも卸してくれな!私の名前はリーシャ、商人ギルドでリーシャの店専用って伝えてくれ!」



エルマの森か、最初に転生した場所だし、シミズオオトカゲとも戦った場所だ。


ある程度の地形はわかる。




急いでエルマの森に向かった。



とはいえエルマの森はかなり広い、手分けして探すしかないか。



俺、セラとノア、2手に別れて探すことにした。



桃がなっている木を見つければすぐに終わるかと思ったがそう簡単にはいかないみたいだ。



この森、桃がなっている木が沢山ある。




困ったな、これは満月が出るまでどれがルナピーチがなっている木なのか分からないぞ。




2人と合流したので話し合うことにする。



「この森には沢山桃の木がある、どうすればいいかな?」



「満月が出たら、森を走って探せばいいんじゃないか?」



さすがセラ、脳筋である。



「もしかしたら私の探査魔法で捕捉できるかもしれません。」



探査魔法か、たしかにそれなら見つけられるかもしれない。



「じゃあとりあえず満月が出るまで待つか。」



今は夕方だ、もうそろそろ満月が出るはずだ。




しばらくすると日は完全に沈み、満月が姿を現した。



ノアが探査魔法を使い、ルナピーチを探す。



「どうやらこの周辺には無いようです。」


3人で移動をする。



中々見つからないな。


探し続けたら森の中を一周してしまった。



「もしかしたらルナピーチは探査できないのかもしれません…」



「気にしなくていい、まだ時間はある。」



そうは言ったものの、森をもう一周している時間はない。



と、その時風が吹く。



持っていた地図が吹き上げられた。



「あっ、」



吹き上げられた地図を見あげる形になった。



その時に気がついた。




月の光が森の奥に集中して差し込んでいる。



誘われるようにそこへ足を進める。




そこには満月の光を浴びキラキラと輝いている木があった。



その木は確かに光を浴び輝いていたがそれだけではなかった。



桃が輝いている。



これがルナピーチだ、そう確信した。



「これがルナピーチか。」



「綺麗…」




収穫を行う。



手に持ってみると手の中で明るく、それでも優しく輝いていた。



正しく満月といった輝きだ。



ルナピーチをスライムと合わせる分とリーシャの店に卸す分を収穫する。



無事に収穫完了だ。



しばらく3人で満月と輝く木を見つめていた。



こんな幻想的な景色は元の世界じゃ見れないだろう。


これからも旅を続ければきっともっと美しいものを見ることができるのだろう。



元の世界で、もちろん美しいとは感じていけど、自然の写真を撮って生活している人の気持ちなんてのは分からなかったが今なら少しわかる気がする。


今まで何となく冒険者をやっていたが成り上がるためではなく美しい景色を探す冒険をしてもいいのかもしれない。





今から楽しみだ。

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