え?もう上級冒険者?
街へ戻りクエスト完了の報告をする。
ひとつ気になるのでヘレナさんに聞いてみる。
「スライムの素材って売れるんですか?」
「スライムはそもそもの強度が低く装備には使えませんし魔力もないので需要がないですね。そもそも危険度はほとんどないのでクエストとしての需要もあまりありません。」
やっぱりスライムが食べられるってことはこの世界では知られていないみたいだ。
ギルドを出て2人と別れた。
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朝3人で商人ギルドにシミズオオトカゲの素材を貰いに来たけどなんだか騒がしいし人でごった返している。
何事かと受付嬢に聞くとこちらを見て呆れたように言ってきた。
「カイトさん達がシミズオオトカゲを倒したからですよ!シミズオオトカゲの素材は貴重なので皆が求めます。でもカイトさんが自分達の取り分を決めてくれていないのでこちらとしてもまだ素材を売り出せないんですよ。」
「じゃあ今決めるよ。」
そういうと受付嬢は俺たちを倉庫へ案内した。
倉庫は冷蔵庫になっていて寒い。
てか冷蔵庫ってあるんだ。
聞いてみるとどうやら氷の魔物から取れる宝玉を使って冷やしているらしい。
この広さの冷蔵庫を冷やす宝玉は大変貴重だそうだ。
解体されたシミズオオトカゲの前に連れてこられたが素材が山積みになっている。
そりゃそうか、めちゃくちゃデカかったもんな。
素材は皮と肉、牙と宝玉に分けられていた。
いかんせん量が多いから少しの割合でもかなりの量貰えるだろう。
3人で話し合った結果こちらの取り分は3割となった。
それを伝えると宝玉はいるかと聞かれた。
宝玉か…シミズオオトカゲの宝玉がなんの魔法を持っているかは分からないけど貰っておいて損はないだろう。
貰っておくことにした。
その宝玉は透き通るような青色で静かに輝いていた。
ドサッ
「こちらが報酬金と素材の売却分の銀貨です。」
革でできた大きめの巾着袋にいっぱいの銀貨を渡された。
こりゃすごい額だ、しばらくは孤児院の子達にも食べ物を送れそうだ。
渡された銀貨を三等分して渡す。
それからの日々は忙しかった。
孤児院の子達のために食事を送り、孤児院たちの子達に食事を送るためのお金を稼ぐためにクエストをこなす。
だけどやっぱりアイテムポーチはいっぱいにならない。
多分アイテムポーチの容量無限だねこれ。
確かにレベルは今までの戦いで大きく上がった。
管理人は所有者のレベルによって変化するって言ってたけど、割と早い段階で無限になったな。
そんな日々を送っていたら、ギルドの中では精力的にクエストに勤しむルーキーとして話題になった。
でもきっと評価されているのはクエストを頑張っているからじゃなくてシミズオオトカゲを倒したからだろう。
ある日いつも通りにクエストを受けようとしたらヘレナさんに言われた。
「ギルドマスターがあなたたちのパーティーを呼んでいます。」
なんのこっちゃと思いながらヘレナさんに従いギルドマスターの部屋に入る。
「失礼します。」
部屋で待っていたのはガタイのいい男の人だった。
「来たか、まあ座るといい。」
大人しく座る。
「早速本題に入るが、君たちを冒険者ランク11、つまるところの上級冒険者にする。」
「なんでですか?俺たち昇給クエストなんて受けてないですよ?」
「特例だ。シミズオオトカゲを3人で撃破できるパーティを低級冒険者とは言わない。」
ヘレナさんも前にシミズオオトカゲはこの辺の地域で最強の魔物って言ってたな。
「特に断る理由がないなら冒険者証を出せ、ランクをあげる。」
当然断る理由なんてないので冒険者証を出す。
手続きが済むと新しい冒険者証を渡される。
元々銅色だった枠が銀色になっている。
てことは金色もあるんだろうなぁ…
そうだ、これを聞かなきゃ。
「上級冒険者ってことは受けられるクエストが増えたってことですか?」
「そうだな、受けられるクエストのレベルも上がるし何より上級冒険者は数が少ないからな、君達をご指名の依頼が飛んでくることもあるだろう。」
指名の依頼か…もしそれを成功させれば一気に有名になれるだろう。
「じゃ、これからも頑張ってくれ。」
「はい!ありがとうございます!」
話は終わった。
「指名の依頼をすれば有名になれるな。」
「そうだな!早く依頼きてくれー!」
「そうですね。」
「領主から直接依頼が来たらいいんだけどね。」
「確かに!そうなりゃ一発だな!」
「まぁでもとりあえず依頼が来るまで普通のクエストを受けるぞ。」
孤児院を救う希望が見えた。
ご指名の依頼、これが来るのを楽しみに待とう。