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ep9 五月祭



 僕は、五月祭が行われている朝の晴れ渡ったロドニアの街を辻馬車で走らせ、貴族屋敷の集まるポル・メル区のある北東方面へと弟子のバーニーと向かっていた。


 シーズンに入りのんびりしていた所で、レスタード医院の留守を任せていた弟子のバーニーが、怪我人の応急処置だけ済ませて屋敷まで、僕を呼びに来たのだった。

 全くバーニーは、決闘などをしでかして大怪我したアホな奴らなどシカトするか、ライブリッジ・カレッジに向かわせて、外科医を目指している医学生たちの研修材料にすれば良いものを、屋敷を空けたくない僕にはホント迷惑な話だ。



 現在我が家には、ブレイス王国の五月祭が始まる3日前から、グレイス伯爵未亡人が滞在していた。


 僕の心配を他所に問題のアランだけではなく、姪のソフィアやシャロンもグレイス伯爵未亡人の訪れを歓迎しているようで、エリアス・ハウス内が一気に明るく華やいでいた。



 グレイス伯爵未亡人は、先触れの後に貸し馬車2台でエリアス・ハウスへ訪れた。

 流石に僕が日頃利用している簡素な辻馬車では無く、しっかりとした二頭立ての豪華な箱馬車であったけどね。


 グレイス伯爵未亡人の荷物は予想していたより少なくて僕が驚いていると、彼女は微笑みながら疑問に答えてくれていた。


 「コーデリア陛下付きの女官をしていたので、滞在する部屋に合わせて荷造りをさせる癖が付いていますのよ。それに若い頃から母に教育されていましたから。」


 必要な荷物が有れば、自分の屋敷から取り寄せるので馬車を借りたい事などを付け加えて、グレイス伯爵未亡人は弟のアランにエスコートされ、カールソンたちやソフィアやシャロンと共に二階へと上がり、ギャラリー(通路)を歩いて西側に用意していた部屋へと向かった。



 僕としては、チャールズ兄さんの迷惑に成らないなら、弟のアランが惚れた相手と婚姻出来るのは、願っても無いことである。


 チャールズ兄さんに少し似ているシャロンも、グレイス伯爵未亡人の事を気に入ったようだった。

 僕がシャロンへ教えて上げられるのは、精々フロラル語やノーヴァ公国やロイセン王国で使われているゲルン語を教える位で、貴婦人としての教育などは門外漢だから、姪っ子たちの将来を想うとグレイス伯爵未亡人がいらして少し安心した。

 末弟のアランの問題は兎も角も。


 何となく此の侭で成長して行ったら、シャロンが妹のデイジーみたいな御意見無用のトラブル・メーカーと化すのではないか、と僕なりに気を揉んでいたのだ。


 チャールズ兄さんとしては、ソフィアやシャロンが無理に結婚しなくても、暮らしに困らないような財産を残して遣れると話していたが、男なら未だしも女性が婚姻しないなどと言う選択肢を旧教国の修道女でも或るまいし、此のブレイス王国で父親から用意されても、娘の二人も困るだけだと思うのだが。


 特に、口に出さずともスティーブン卿を慕っている様子のソフィアの場合はね。



 チャールズ兄さんは、アルバート4世とアルバート5世と2代続けて国王陛下の傍で重用されてしまった為、ただでさえ破産寸前だった商家出身の貧しい成り上がりの癖にと非難の的であったが、誰かが撒いた『王家の愛妾』と言うフィクションを紳士淑女の皆様は、大変お気に召したようで、繰返し語られる(うち)にそれがリアルな話として根付いてしまった。


 おまけに、ジュリアさんとの離婚前にチャールズ兄さんは、年若い女性宅へ通っていたことが世間に知られてしまい、余程のことがないと認められない離婚なども仕出かしたモノだから、悪事千里を走るが如く悪評が出回り、チャールズ兄さんをモデルにしたブレイス国教会すら恐れぬ破廉恥な暴露本(ポルノ)が出回る始末だった。


 でも僕は、ブレイス王国に多いチャールズと言う名前を使ったフィクションの暴露本も、新たに出た浮気の噂も、全く信用していないけどね。


 例え、それがチャールズ兄さん本人が僕に話してくれた離婚の理由だとしても。


 此の僕が、離婚と言う非常識な手段を取る程、恋に溺れるチャールズ兄さんの状況を見逃すなど断じて在り得ないからね。

 だからチャールズ兄さんの浮気話は100%フェイクだと僕は断言するよ。


 きっとチャールズ兄さんには、僕達へ話せない事情が或る筈なのだ。



 それに美しく気高い完璧な僕のチャールズ兄さんが、あんな暴露本(ポルノグラフィティ)みたいなチープで下劣な言動をする筈がないだろう。

 


 僕の美しいチャールズ兄さんの姿を、下世話な奴らから無遠慮に妄想される事すら、汚らわしくて(おぞ)ましい話なのだ、全く。


 幾らアルバート4世が暮らされていたウィンダムハウスに、画家で舅のエルメール氏が描いた約52点に及ぶチャールズ兄さんをモチーフにした絵画が飾られていたとしてもね。


 出来る事なら其の絵画は、全て僕が譲り受けたい想いなのだ。


 そしてアルバート5世が逝去されて直ぐ、チャールズ兄さんがコーデリア陛下の侍従長にも成ったモノだから、悪意ある噂は収まる気配なし。


 その悪意の妄想を補強したのが妹のデイジーである。

 アルバート4世から頼まれてコーデリア陛下付きの侍女を務め、由緒正しきクランベル公爵家の次男スレイン・フォーリー男爵を射止め婚姻し、(やが)てコーデリア陛下付き女官にまでなってしまった事も大きい。



 

 

 僕たち兄弟は、迂闊なデイジーへ幾度もコーデリア陛下付きの侍女を辞めるように言っていたのだが、「絶対に玉の輿に乗るまで私は勤め通すわ。」と、デイジーは宮殿でいじめにあっても胸を張り、宣言通りのターゲットを射止めて見せた。


 「スレイン少将の周囲には、気品ある淑女の方々ばかりだから、逞しく路地に咲く健気なデイジーが、新鮮に映ったのかも知れないね。」


 デイジーとスレイン少将との婚姻式が終わった後、互いの家族が揃った食事会で、僕の耳元でチャールズ兄さんは囁いた。



 宮廷雀たちが何処まで本気で噂を立てているのかは謎だが、生れ卑しい商人風情がローゼブル宮殿を乗っ取り、チャールズ・レスタードがブレイス王国を思う侭にしようと画策している、、、そうだ。


 まあ、真面(まとも)に相手にするだけ、馬鹿々々しい話では或る。


 僕たち家族からすれば、野心から対極に或るのがチャールズ兄さんと分かっているから、気に成らないし、気にするような労力の無駄遣いもしないけどね。

 それに、そう言う噂を口にしながらも、コーデリア陛下の信任を得ているチャールズ兄さんと縁を持ちたくて、僕たち家族に近付いて来る人も多いのが面倒な所でも或る。


 チャールズ兄さんの弱みを探りたくて、使用人にスパイもどきを送り込んでこられた事もあったが、執事のカールソンや庭師見習のロッドに防がれたようだ。



 それにレスタード家唯一のウィーク・ポイントであった弟のケビンと元兄嫁であったジュリアさんは、5年前に王家植民地領である北カラメルのクード州で、クインシー=レスタードと言う別家を立て特別婚姻許可書をコーデリア陛下から賜り婚姻していた。


 末弟アランのアホが、焦ってグレイス伯爵未亡人の前で、ケビンとジュリアさんの事を口走ったが、大人である彼女は僕たちに何も聞かず、沈黙を守ってくれていた。





 

 現在ケビンは、自称王領クード州の国王であるクランシー閣下の元で、クード商船を守る海賊をしている。


 クランシー閣下は、アルバート5世の庶子なのだが、ヤンチャが過ぎるので、他の我儘な困った4人の兄弟も一緒に植民地北カラメルの5つの王領へと総督として島流しにされていた。

 

「カイル。俺は彼らを決して島流しにしたわけじゃ無いからね。遣り甲斐の或る仕事を彼ら兄弟に任せただけだから。カイルまで誤解しちゃ駄目だぞ。」


 爽やかな笑顔でチャールズ兄さんが11年くらい前、僕に話して居たのを思い出した。




 そんな埒も無い風聞を僕たち弟妹は、馬耳東風の体で聞き流して居たのだが、案外と迂闊な妹のデイジーが一番チャッカリしていたりしていた。

 摺り寄って来た人たちと適度に交流しつつ、テキトーに紹介料を貰って小金を稼いでいたのだ。


 「噂話で嫌な気分を味わったのだもの。彼らから多少なりとも稼いだとしても、罰は当たらないわよ。カイル(にい)。」


 そう話してデイジーは不敵に微笑むのだ。


 アルバート4世から頼まれ宮廷に上がるまで、幼い頃から貧乏真っ只中で暮らし、真面にドレス1つ新調して貰えなかったジリ貧生活の敵を取るように、若干銭ゲバな気質がデイジーへ刻み込まれてしまったようだ。

 夫であるスレイン・フォーリー男爵は、デイジーのそんな姿すら可愛いと言うのだから、元彼の部下であった僕は何も言えなくなってしまったよ。







 こうやって弟妹たちと僕は、碌でもない噂話をジョークに変えて遣り過ごせているが、出来る事なら幼いソフィアやシャロンの穏やかな生活を僕たちは、もう暫く守って行きたいのだ。




 、、、だからチャールズ兄さんは、色々と忠告されても悪意溢れる汚れた言葉で幼い娘たちであるソフィアやシャロンが傷付かないよう此のエリアス・ハウスの屋敷の中で、大切に守っているのだろうと思う。



 偶に姪のナディアや甥のダニエルを尋ねて行く度、亡くなったフリップ義兄さんの母君は、「社交デビューしてから、突然に他人と接するのは難しいですよ。教会へはキチンと行っているの?」と、殆ど外に出さないソフィアやシャロンを気に掛けて下さるが、チャールズ兄さんや僕は言葉を濁し、「礼拝室で日曜礼拝は済ませていますから御心配には及びません。」そう取り敢えず答えて於いた。


 「教区の教会へ連れて行きなさい。」と、フリップ義兄さんの母君に叱られたのは言うまでもないが。



 そして、きっとスティーブン卿もそのつもりで、ミドル層たちが住む雑音の多かったハーマー通りのテラスハウスから避難させ、自分のテリトリーである静かなクランベル公爵のタウンハウスへとソフィアやシャロンを引っ越させたのだろうと思っている。






 グレイス伯爵未亡人が訪れたその日は、アランやソフィアやシャロン僕たち皆で、歓迎の夕食会を開いて持て成した。

 ポタージュスープを飲んだ後、大皿に盛られたローストしたカモ肉や羊の肉を僕が切り分け、カールソン達にそれぞれの皿に盛ってローストした野菜と共に出した。


 コックのブロンたちが作ったフロラル風のソースを掛けた料理に舌包みを打ちながら、僕たちはグレイス伯爵未亡人の話を聞いていた。



 「7年くらい前に、食事のマナー・テキストが王宮から出されて、晩餐会での色々と細かなエチケットが出来ましたのよ。」

 

 「みたいですね。医師仲間たちがクラブで集まった時、僕へレクチャーしてくれました。見ていましたが面倒ですね。まあ、僕が主催する事は無いので、今のところは招かれたら不愉快にさせないよう食べ方を見様見真似で、いただいていますが。それに僕が上流階級(アッパークラス)の方から、晩餐に招かれる事はありませんしね。」


 「ふふっ。実は母やシーハント公爵夫人やアデル皇后陛下達の数人が、キチンとした宮廷晩餐会の正式なマナーを作ったのですよ。と言うのも、此れからは宮廷でも新たな階層の方々(中産階級)と晩餐を囲む事も増えそうなので、正式なマナーを学んで頂こうと言う事で作ったそうですのよ。」


 「でもさ、グレイス。ブレイスでフォークを使うように成ったのは、今世紀が始まる前後だとボクは聴いているけど。ブレイス国内の動乱が長かったから、そもそも宮廷マナー自体、フロラル王国からの新た文化だよね。其処ら辺は、どうなの?」


 「ええ、皆様も家々でのルールやアン女王時代のランダル風なモノもあるので、反発も覚悟していたみたいですけど、意外に評判が良くて広がっているみたいですわ。もっと美しいマナーが出来れば、また書き足して行けば良いわと、母は話してましたもの。晩餐会も社交ですので、皆が心地良くあれるようにと考え出されたモノですからね。」


 そうグレイス伯爵未亡人は優雅に微笑んで、小さく切ったカモ肉を上品に口へと消した。

 手品みたいな食べ方だなと僕は思いつつ、右隣に座っているソフィアやシャロンの方を窺った。

 2人ともグレイス伯爵未亡人の食べ方を凝視していた。

 

 こらこら。

 ソフィアもシャロンも人の食べてる姿をそんなにジロジロ見たら駄目だろう。

 不思議なのは分かるけどさ。


 アランは能天気に食べながら、グレイス伯爵未亡人に明日の予定とかを聞いていた。




 そう言えば、シーハント公爵家と言えば、クランベル公爵家と同時期に、マックス8世によって創設された貴族だった筈。

 確かクランベル公爵家と余り仲が良くないとチャールズ兄さんから聞いた気がする。

 クランベル公爵家は国王主義で、シーハント公爵家は家系主義だとかナントカ、今はバリバリの国教会主義だとか。

 でもブレイス王国は国教会のトップは国王なのだから僕からすれば、どちらも同じようなモノだと思うのだが、中央の事を知らない者には判らない微妙なスタンスの違いでもあるのだろう。



 ホント信仰は難しい。

 旧教(ロマン教皇をトップにした聖ロマン・クリイム教徒)とか、ブレイス王国が国教としている分派の多い新教(西方クリイム正教徒)とかね。




 そしてグレイス伯爵未亡人の話に出ていたアデル皇后陛下は、夫であるアルバート5世が逝去なさってからは、北東に或る王領のタイン城で第二王女サラ妃殿下と共に喪に服され、一切の公式行事から身を引かれていた。

 第一王女の11歳に成るエリザベス殿下は、コーデリア陛下が育ったホワイトガーデン傍に或るグリンジットハウスでグレース・キューリック公爵未亡人たちと共に暮らされていた。

 此のグレース・キューリック公爵未亡人が、先程話していたグレイス伯爵未亡人の母君で、コーデリア陛下の教育係を成さっていた方だ。


 僕は、ふと気に成った事をグレイス伯爵未亡人へと尋ねた。



 「しかし、グレイス伯爵未亡人。今年の3月にコーデリア陛下は第一王子をご出産されましたから、グレイス伯爵未亡人に乳母の話がきているのではありませんか?」


 「いえ。色々と宮廷でのバランスの問題もありますから、キューリック家は外れてますのよ。エリザベス妃殿下の乳母が母ですし、流石にキューリック公爵家で占めるのは問題の種ですから。そう言う事も在って、レスタード侯爵家のことを懸念してデイジーは、2人目の子を身籠ったのを機に職を辞したのだと思いますわ。」


 「いやあー、グレイス伯爵未亡人。あいつがそんな気遣いをするとは思えませんがね。」

 「そうだよ。グレイス。デイジー(ねえ)は、他に遣りたい事でも見つけたのだと思うよ。」

 「まあ、2人ともデイジーに対して酷い言い方ですのね。デイジーに言いつけますわよ。」



 そう言って3人で破顔一笑した。


 デイジーの奴は、コックのブロンが考案したネルの生地で曳いた珈琲豆を濾す方法を特許を申請させて、一儲けを企んでいた。

 なんて事は、外聞が悪過ぎて言えない。

 面倒だからと嫌がるコックのブロンをデイジーは商売人の道へと押し上げようとしていた。


 「単に珈琲豆が沈んだ後にカップに残った滓を掬う手間を最初に省いただけで、他の屋敷でも誰かが遣っている筈ですから。デイジーお嬢様。」


 と、尤もな事を言っているコックのブロンに対して、「一獲千金のチャンスは今、ブロンの手の中よ。」そう鼻息荒くデイジーは口説き、僕が逆らえないデイジーの夫で或る元上官スレイン・フォーリー男爵に泣きつき、ネル式珈琲濾し器を現在申請中で或る。


 男爵夫人であるデイジーが商売に走る此の醜態は放置して良いのか?

 義弟とは畏れ多くて呼べないスレイン・フォーリー男爵、ホントこんな嫁で良いのだろうか。

 夫であるスレイン・フォーリー男爵から、愛妻デイジーへの諫めを僕は呆気なく封じられた。


 其処で僕は、父さんの商人魂を強く受け継いでいる妹のデイジーに、我が家のコックであるブロンの無断使用をくれぐれもしないようにと、注意したのだった。


 ブロンの妻エバもコックだけど、ソフィアやシャロンの居る我が家での料理は、チャールズ兄さんの為にも、手抜きなく作って貰わないと困るのだ。




 それからグレイス伯爵未亡人に聞けば、宮廷での行事が華やかに成ったのは、国内が安定して来たアルバート2世の頃だったと言う話だし、それにブレイス王国でノルディック王国やクローバー州の独立戦争が起きたのは、僅か12~13年前の話だった。


 そのノルディック王国の第5王子フランシス殿下が反対派を騙くらかして、3年前にコーデリア陛下の王配になられ、将来王太子に成られるだろうアレクシス様が誕生され、国内もやっと落ち着いたように思える。


 コーデリア陛下とフランシス殿下の婚約だけは、アルバート5世が生きていらした頃に済まされていたが、国内での合意を取り付ける為に婚姻まで3年も掛ってしまった。


 此の所チャールズ兄さんが多忙だったのも、植民地での問題もあるが、懐妊中のコーデリア陛下の代わりに動かれるフランシス殿下の補佐に就いたり、7月にデーン王国へ輿入れされるメアリー妃殿下の準備に動いていた所為も或る。


 メアリー妃殿下は、アルバート3世の孫にあたる方で、父親は現ギール王国のレオナルド陛下に成られる方だ。

 ギール王国のレオナルド陛下は、コーデリア陛下の叔父にあたる方でも或る。


 海を挟んで東隣に見えるヨーアン大陸の諸国とブレイス王国との関係は、チャールズ兄さんから幾度聞いても面倒だと思ってしまう。


 あれだけ長い戦争を続けていた仲の悪いフロラル王国とも、ノルディック王国のフランシス殿下と婚姻した所為か、それともフロラル王国の国王が17世に変わられた所為か、今のところは友好的に過ごしていた。

 (元々ノルディック王国とフロラル王国は婚姻関係もあり縁が深かった。)



 僕がアドミラルを辞す前に戦っていた相手がフロラル王国だったことを想うと感慨深い。




 そんなことを考えながら、五月祭りを祝ってマーケットや表通りに溢れ返った人波を馬車で遣り過ごしながら、僕は晴れ渡った空の下、決闘などと言うアホな事を仕出かしたポル・メル区の貴族屋敷へバーニーと向かっていた。



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