3■.エピ■-■[――ここは無力が罪な世界]
2025年の終わり間近にして、一章の最終話です
――――――――――ッッッバッッリッッンッッッ――――ッッッ!!!!!!!
――――ッガダッッッ!
レンの心臓を突き刺したはずのディオネロ。
だが次の瞬間、彼は避けたはずの『レンの胸元』から伸び出た穂先――貫通させた神槍をその身に受け、『燐光の環』を穿たれていた。
「――――ッ!!」(――アッツいっっ!!)
『赤いドア』を潜り抜けたサクが、なんの効果も得ないまま前に出る。
『緩急操作』の勢いを殺さず進み木刀を振るった。
――――バァギッッ!!
灰燼の熱気をものともせず『燃殻の黒木刀』が槍を握る腕を叩き割る。
「――――っ」
同時にサクは判断し――『神槍』を完全に寸断するために展開した『門』を消し去った――しかし。
――――ジジッ……ッッッッバァッヂッ――――――ッッ!!!!!
「っな!? ――――ぐぅッ!!」
『門』が消える刹那だった。
潜った槍の周囲が歪み、聞き覚えのある拒絶音が炸裂。そこから強い衝撃波が発生し、神槍を囲む三人の体がまとめて弾き飛ばされた。
「――なん、のっ――――ッ(四速っ)――――『レン』起きろっ!」(脚イッたぁ!!)
「(ガシっ)ぅ――――うえ゛え゛ぇ゛ぇぇ!! 生゛て゛る~~ぅ!!」
「――うるっさい汚いっ!! 耳元で叫ぶなっ!! ――あととにかく脚治せっ最優せぇーーん!!」(やばいっ! 着地でコケるコケるぅ!?)
「――いや、俺の『生還』を喜んでくれるサクさん? (不惜身命――)」
――衝撃で吹き飛んだ三人。
神槍に刺され、柄ごと体を貫通されていたレンは空中でその衝撃波を真正面から受けていた。
『動かない柄』に刺し口は潰れ、骨肉を圧されながら胸からわき腹にかけてを裂き、吹き飛ばされる。
その最中、サクは即座に体制を立て直し地に足をつけていた。
無防備に飛ばされる血塗れのレンを視認し、速度にものをいわせてキャッチ――脚を壊しながらも強引に抱え込んでいた。
「――――ふぅ……脚治ってなかったら『ガラス状の破片』にダイブするところだったな。セ~~フっ!!(レンを投げ下す)」
「(破片が刺さる)っ痛でぇ!! ……いつか泣かす(ボソ)――あのさぁ、俺の血がサクのバングルに吸われてるんだけど? 俺の『黒煤の元』が取られてるんだけどねぇ?」
(やっべ、バレた!)「――気のせいだ(視線を逸らす)」
――そして、『呪死』に心臓を刺されたはずのレンは――――『死因箇所』を再生させながら、『技能』通りの挙動で息を吹き返していた。
「――はぁ~……なんか、『黒煤』の主導権? みたいなの戻らんからもういいよ……いやほんとは嫌だけど。ブラックな生成効率だからすん~~~ごく嫌だけど……もういいわ」
「ほんとか? ――よしっ、取り得したッ!!(ガッツポーズ)」
(U・ZEェ~~~~!!!!)
一から心臓を創り治すレンが、苦い表情でサクをにらむ。
そこには『呪死』による影響は見られず、胸の傷が技能の効果で完全に塞がった。
――この『不可解』さの正体。それは先ほどの――ギャンブルじみたトリックにあった。
――――サクが展開した『三つの門』。
……だが、あの瞬間、あの場所には実際――『四つの門』が存在していた。
『三つ』は正真正銘――『摩多羅門』の二つと、『阿修羅門』。
そして最後の一枚。それはサクの正面に展開された――『赤いドア』だった。
戦いの中で回収し、空中に『細かい飛沫』として留めていた『血液』を『指門』の宣言と同時に寄せ集め瞬間的に形作ったもの――『血で縁取られたドア枠』であった。
――このドアの仕掛けでサクが狙ったのはディオネロの『思考』――ではない。
たとえ彼に自我が残っていようが関係のない――その奥底に焼き付いているであろう『本能』にだった。
ディオネロの視認できる範囲内に『血のドア』と、わざと目立つように『二つの丸窓』を展開する。
そして声高に『五門顕現の発動』を宣言――そうすることで彼の本能が反応するかもしれない……。サクはそこに『賭けた』のだ。
そして事実――ディオネロはレンの胸元に展開された『丸窓』を避けた。
下から放たれた神槍は、その勢いのままレンの心臓を貫く。だがこの時――
[【剣魔錬創Ⅱ】を発動]
⇒三つの『素材』を検出
⇒『等価素材』を提示しました
⇒『特大剣』を選択
⇒『錬創』を開始します
――レンの『心臓』はすでに、『等価素材』として消失していた。
『空洞』となった骨肉を槍の穂先が貫通し、背中へと抜ける。
そして――展開されていた『四つ目の丸窓』を潜った。
そう――『胸元に展開してあった門』と、『レンの背に隠してあった門』。それこそが対となる『摩多羅門』であり―――『胸元』と『背中』だったのだ。
そして、ディオネロの背後に浮かんでいた『丸窓』こそが、本物の『ブラフ』。
――『門』の配置はほとんど運任せ。作戦と呼ぶにはあまりにも不安定で、相手の一手次第で容易に破綻する。
そんな愚かで、危うい――勢い任せで命懸けなトリックだった。
――――――――――――――――――
――――――――ッボロ…………
それは、折れも欠けもない神槍。
纏っていた深淵が次第に剥がれ――無骨な意匠の黒い大槍が、ディオネロを貫いたまま静止している。
――――(ホワァ)…………(ホワァ)……(ホワァ)……(ホォ…………
全身の罅の隙間から漏れる暗い光が脈打つ心臓のように明滅し、その輝きが――――静かに消えた。
[【名前】ディオネロ・エレナス (死者)
――――
――
「……死んだか?」(――これフラグになるか??)
「……『表示』には『死者』って出てる」(――ソレってフラグじゃね??)
「ふん……一応、軽く石でも投げとくか。えいっ――(ッビュン)」
[リンッ――【夜ヲ纏ウ者】を発動]
⇒〈夜投術・暗器〉を発動。投擲物に[無反射性][隠密性]付与
――――ッバッズゥ!!
「――頭、吹っ飛んだけど? 全然軽くないけど?」
「あ。自動で発動するの忘れてた……」(とりあえず『南無』っとくか……(合掌))
サクの投げた破片が技能の効力で加速――玉座へもたれるように崩れていたディオネロ、その頭部をぶち抜いた。
――――――………………
だがそこから、先ほどまでの『熱波』と『再生』は起こらない――それに気づき、二人はようやくこの長かった戦いの終わりを察した。
「――なんというか……あっけないな。……はぁ、ダルかった~~」
「そうなぁ。……つかれたぁ~~」
癒えた体で座り込むと、二人はしばしその場で感傷に浸る。
[※【剣魔錬創Ⅱ】が発動]
⇒一時的に[不運]極化補正
「……本当に終わったよな?」
「多分ね」
「……実感が湧かないぞ」
「それな」
取り留めのない会話を交わしながらも、二人の視線は風化するように崩れていくディオネロの亡骸に注がれていた。
つい先ほどまで激しい戦闘を繰り広げていた反動から、緊張感だけが体の奥に居座っているようだ。
「――――すぅーー、ふぅーーーー。……レン、ぐでるの終わるぞ。そこらの『武具』を『素材』にしたり、使えそうな『道具』見つけて……ぁーー、まずはエレナス邸から出よう。なんか湿気っぽいしな、ここ……(脱いだ上着を拾い着こむ)」
「了解――っよと」
最初に感傷から抜けたのはサクだった。
彼女の提案にレンは短く頷き、荒れ果てた大広間内を歩く。
「(外周を回りながら)――すげ~コゲてんなぁ……」(――いや、鎧とかが熔けすぎて素材化できないんだけど……? 収穫できないんだけど? ――はぁ??)
「(『刹雪』を拾う)――床なんて溶けてバリッバリだなぁ」(――あ。『身剣』解いたらソウルが二つも戻って――なんか入ってきたっ!?)
激戦の跡地には『英雄たちの死体』がほぼ残っておらず、壁際の亡骸までもが『焦熱の波』で武具ごと熔け落ちてしまっていた。
そしてサクは、戻ってきたソウルの一つが体へ勝手に潜り込んだことに驚く。
(――そういえば、自分の中から出したんだったな。忘れてた)
(でも――取り出し方を『私』は知らないぞ? どうやったんだよ『悟リ』……)
サクはため息をつくと、ヂツタのソウルを作った『血のポーチ』にしまった。
(……『血』も全部取り切ったな。あとはディオネロの人魂を――っあ。技能つけっぱだった)
周囲を見渡していたサクがふと立ち止まると――今なお起動し続けている『技能』の存在を思い出した。
[【私ハ折レナイ剱ノ身】:三相技能。任意で効果発動、終了できる。全能力極化補正。状態異常:[澄心][紅醒]
発動終了時、効果経過時間と同じ間だけ、全所持技能・称号での『上昇補正効果』半減。。また、一時的に『鈍躰』『耗心』『虚望』のいずれかに陥る]
(――デメリット、重すぎじゃないか? ……『半減』はないだろ、おい……)
(――これ以上経過時間が延ばすとダルそうだし……もう解除する)
「――レン。ちょっと、こっちに来なさい(手招き)」(――後半の『状態異常』はレンに頼むか)
「……教師かい――」(結局なにも『素材化』できなかった……)
疑問符を浮かべながらレンはサクのもとへ歩み寄る。
そしてこの時、二人は気づいていなかった。
――地下深くからエレナス邸内に溢れる――『異変』に……。
「――来たけど、なんだぁ?」
「いやな。今から付けっぱの『技能』を解くんだが、そうすると『デバフ』がくっ付いてくるらしい。だからそれを、レンの強~い『お技能様』で解除してもらおうかな~~……って思い呼んだ。……あ。私からの好感度が+3もされるぞ?(ニヤ)」
「――いえ、好感度は間に合ってます(手を上げて拒否)」
「普通にムカつくなおい」(肩パン)
「それに頼み方もどうにかならん?」
「――頼むよっレン~~」
「無理なものはむ――いや、もういいよこの流れ。長いし――てか、変な乗せ方しないでくれる?」
「お前が乗りやす過ぎるだけだろ」
「そうかな? サクの話術がプロのナンパ師すぎるんじゃない?」
「その例えは本気でヤメロ……」
軽口を叩きあいながら、レンは彼女の手を取る。
その感触を確かめながら、サクは意識して技能の『解除』を念じた。
[リンッ――確認:本当に終了しますか?]
[はい]⇐ [いいえ]
(……ここ確認いるかぁ? 発動する時にもあったが、なんで『剱ノ身』にだけこんな念押しがあるんだか……)
――この時サクは、深く考えず、ほとんど反射的に[はい]を選んでしまった。
――デバフが、『状態異常ではない』と気づかぬまま――――
[リンッ――【私ハ折レナイ剱ノ身】を任意終了]
⇒[刻まれた経過時間の分だけ、全技能・称号での『上昇補正』が半減します]
⇒[一時的に――『鈍――――――
[※【五門顕現Ⅱ】が発動]
⇒一時的に[縁運]極下補正
⇒[一時的に――――『虚望』に陥ります]
次の瞬間、彼女の体から力が抜け落ちた――――
「――っぁ゛――――」
――刹那、堰を切ったようにサクが――――慟哭した。
「ぁ……ぁぁ――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ――――――――――!!!!!」
「――――!!??」
あまりにも突然な出来事にレンは言葉を失った。
勝手気ままで、勢い任せ。
弱みを見せず、いつも毅然としていて。
鬱陶しいほど絡んでくる――いつも笑っている、あのサクが――
「――ぁ゛ぁ゛……っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッーーーーー!!!」
――今はただ膝をつき、握っていたレンの手へ必死に縋り付きながら、大粒の涙を溢れさせ泣き叫んでいる。
それなのに掴むその手にはまるで力がなく、振れば簡単に離れてしまいそうなほど――弱々しかった。
「――ちょっとおいっ、サクっ!!?」
[【名前】サク
【状態異常】月詠/暗示]
何度も『不惜身命』を発動させるが、『表示』に悪影響は見られない。
それなのに彼女は、顔を絶望の色に染めながら泣き叫び続けている。
「――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーっ!!
――カラミディアが、死んだぁ
……あぁっ、死んだんだっ……
……死んだッ、シんだッ、しんだッシンダッシンダッァァーーーア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!
――私もっ、死ぬぅ……
……いやだぁ……
……いやだっ……いやだっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛、っ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーッ!!
――れんっ……レンッ!!
お前は生きてるっ。生きてるよなっ?
レンは、死んだりしないんだよな??
――ずっと、ずっとずっと、ずっとずっとずっとずとッずっとォォ!!!
一緒に……居てくれるよな?
――なぁ、お願いだからぁ……
……いるっていてよぉぉ……
お願いだから……っ!!
――お願いだ……お願いしますっ、お願いしますっお願いしますッ!!
――私の手を離さないでぇッッ――!!
――ワタシを、独りにしないでぇッッ――――!!!」
「――――――」
レンは絶句し、立ち尽くす事しかできなかった。
『状態異常』に異変がない以上、彼には何もできず、何をしてやればいいか分からなかったから。
「ぅ――ぁ――サクっ! ――――」
手に縋り付き、『離さないで』と懇願するサクへ、レンは意を決し語りかけた――その時。
――――ぐにょっ、ぐにょ――――ぐにょにょ
――――カチッカチッ――――カチカチッ
――――ぐにょぐに――――ぐにょぐにっ
――――カチッ、カチッ――――カチカチッ
――出入り口の廊下と、『死閃』で穿たれた大穴の奥から――白く蠢く波が迫ってきていた。
それは地下牢。そのさらに下層で蠢いていた――あの『白い異形の群れ』だった。
「ぇ――はぁ!? 『キモ虫』ぃ!? なんで出てきてるんだよっ!!? ――うぁ!?」
「――ダメっ! 離さないでっ! ワタシを独りにしないで、レンっ!! お願いだッ!!」
「サクっ――あぁ~~っ……分かった! 離さないから、ちょっと持ち上げるぞ! (横に抱きかかえる)」
「うん……う゛ん――離さないでぇ……っ!(首にしがみつく)」
(――やばい。今のサク、意味わからんくらいにヤバい! 正直――メンドクサイ!! いや言い方悪いけどさぁ! なにこれ? どんな状態? なにでどうしてこうなったのこの人!!?)
(――タイミング的に『デバフ』のせいなんだろうけど…………あれ? 効果、『状態異常』じゃなくて『陥る』って書いてね? ……え、そういうこと?? 時間経過じゃないと解けない感じ???)
混乱、困惑、動揺。そういった感情を『静謐ノ心』と『適応』で無理やり抑え込んだレンは、手に縋り付いて離れようとしないサクを横抱きにしたまま、続いて二つの出入り口に視線を走らせた。
(分からんことは後回しだ! サクを抱いてる以上、正面突破は怖い……だから――出口そのものを塞ぐ!)
――――――ッッ
――――――ッッ
レンは使える『黒煤』を操り、二つの出入り口に『黒い壁』を形成した。
さらに念には念を入れ、周辺の壁にも黒煤を這わせるように伸ばし、補強する。
(ぉっし。この間に、さっさと『神槍』を『素材化』して壁から――
――――ガリッ……
――――バリバリ……
――――ガリガリッ……バリガリガリバリバ――……
「――はぁ? ――はぁぁぁあああ゛あ゛あ゛っ!!?」
「(ビクっ)――――っ!」
彼が行動を開始しようとした、その時だった。
――『黒煤の壁』を喰らい、押し破るように溢れ込んでくる『白い異形の群れ』。
その光景を目にした瞬間、レンは思わず絶叫した。
そしてその声に、もはや幼児退行に近い状態のサクがびくりと身を竦める。
「――『黒煤』は食い物じゃねぇぇぇ!!!!」(そしてなにより――勿体ない!!!)
レンが即座に『黒煤』へ意識を向け、喰った個体の体内から煤を操ろうと――
「――あ、あれ? 操れない?? いや、そもそも――無くなってね??」
――して、できなかった。
(んん? あれぇー?? ――そして、なんで『喰えてるんだ』??? この煤って俺の思考以外で歪まないはずだろ……???)
(――――エレナス邸の連中っ俺に対するアンチ率高すぎるだろぉぉぉーー!!?)
喰い破られた壁の綻びから夥しい数の『白い異形』がなだれ込み、大広間はあっという間に『白』で埋め尽くされていった。
「――やっばッ!!」
レンは咄嗟に宙へ薄い円盤状の黒煤を創り飛び乗る。ついでに、バラバラに落ちている刀剣たちの回収を忘れずに行う。
高度を保ち、震えるサクを強く抱き締めたまま、白い波を見下ろした。
「っ! ――ああぁぁぁ~~~!!? 俺らの『神槍』が~~~~!!!?(切実な声)」
――彼が目にしもの。それは白い異形の群れが突き立った『神槍』に群がり、人間じみた歯で噛み――まるで『リッチロール』のように砕いて、咀嚼し、飲み込む――そんな、あまりにもショッキングな光景だった。
「ぁぁ~~、俺の『素材』ぃぃぃ…………万死ッ!!!(目をかっ開く)」
[リンッ――【暁天ニ呵ウ鬼】を発動]
⇒〈投擲術・破砕〉を発動。投擲物に[激突性][貫通]付与
――――ッドューーンッッ――ッドォゴオォォォォオォォッッ!!!!
レンが『神槍』を貪る白い群れに向けて、黒煤に持たせていた『赦鋼の残骸』を全力投擲。壁手前の一帯が血肉を撒き散らしながら爆ぜた。
――――ヒューーン、ボト――がぶちゅっ!!!
「――――痛っでえぇぇぇぇ!!!」
運悪く、爆ぜた衝撃で飛んできた『異形』がレンの肩へ降りかかり、そのまま首筋を――『適応』を無視するように、いとも容易く噛み千切った。
「ぁぁあ゛あ゛!? ――――レンっ!! れんッ!!?」
「だい――じょぶっ、だから!!(ぶっちぶちぃ)――痛ッツぅーー!!」
血飛沫が上がり、泣き止んだはずのサクがまたも取り乱す。
それにレンは『平気だ』とあやしながら、片手で首筋に喰らいつき、なおも肉を漁ろうとする『白い異形』を力任せに引き剥がし――ソレを『視た』。
[【名■】≪矮小■歯■■≫
■種■】異形■蟲)
【レ■ベ■6
【■性】■■・■■■■ミ・■■■■収(次■■・幼体
【せィ■■】■0 噛■
【■■ㇼ■く】■■ ■カ■
【■■】6 ■■
【■■■4 ■喰
■■玖】■ ■■噛
【■力】■ ■噛
【■■】■ 喰
【ㇱん■■1■ ■喰■
■運】■ 喰■
【人■〔特■■】0■■0 噛■]
(――エッグい文字化けしてるぅぅっ!!?)
――――ガシッ
「――れんっ! ここは、もう嫌だっ。……怖い……怖いんだッ。早く出たい……! お願い……お願いだから、早く連れ出してくれ……。頼むぅ……っ!!」
サクは誰が見ても分かるほどに全身と震わせ、目じりに涙を溜めたまま、レンの首筋へ顔をうずめて懇願する。
その悲痛な声を聞き、彼は――
「ん――おっけー! 天井から派手に出るからつかまっててな、サクっ!!」
素直に頷くと、不安を打ち消すように彼女の背中を軽く撫でながら、明るい声で言った。
「うんっ……ごめんっ、ごめん……っ!」
震えながら謝るサクを抱いたまま、レンは横目で――『あるモノ』を捉え、『黒煤』を手首で投擲していた。
――――パック!
それは、『異形の波』の中でポツンと浮かんでいた灯火――ディオネロ・エレナスの『ソウル』だった。
レンは『ゴースト』に捕まらないよう『某パッ○マン』を操り、唯一となった『ソウル』を回収する。
「――んじゃ、行くぞぉ――――!!」
そう言って天井を見上げたレンは、使っていない黒煤のすべてを寄せ集めた。
そうして形作られたのは――ランスに似せた『円錐状の巨大な塊』だ。
「う――――っらァッ!!」
さらにレンは、黒煤の左腕を膨らませて肥大化――カラミディアの右腕を模した大腕で、その『円錐』を思い切り『投擲』した。
[リンッ――【暁天ニ呵ウ鬼】を発動]
⇒〈投擲術・破砕〉を発動。投擲物に[激突性][貫通]付与
――――ッズゥンンッッ――――ッドガァァァアァァァァァァァァッッ!!!!!
「――サクっ、口閉じたまま離さないようにっ!!」
「――――っ(強く頷く)」
天井を派手にぶち抜いた直後――『煤』の糸でレンと繋がった『黒い手』が、二人の乗る円盤に触れ――
――――ドンッッ!! ッギュィン――――!!!
[リンッ――【暁天ニ呵ウ鬼】を発動]
⇒〈投擲術・破砕〉を発動。投擲物に[激突性][貫通]付与
再度の『投擲』――今度はモノではなく、二人の乗った『円盤』を撃ち上げた。
『――――――っ!!!』
内臓が潰れるほどのGを『適応』と『不惜身命』で消し、降り注ぐ瓦礫を『大腕』と『急上昇』でいなす。そうして――――ついに。
――――ッドッゴォォォォォンッッッ――――!!!!
「っ――脱出したぞぉぉぉ~~~~~ぅぇぇええええッッ!? 『木』ぃデッカぁぁぁ!!??」
「――――――」
天井を突き破り、『外の世界』へと勢いよく放り出されたレンとサク。
そして、彼らが目にした初めての世界。それは――――巨大な黒木が天を覆う、暗い漆黒の森だった。
「空が見えねぇぇぇ~~!!? 辛気臭すぎるだろこの世か――――ッッ!!?」
――――ッバッチッバッチッバッチッバッチッバッチッバッチッバッ――!!
――脱出の余韻は訪れない。
空中でレンの愚痴が終わるよりも早く、森の奥から瞬間――黒い雷を纏った一条のナイフが眼前まで、一直線に飛来してきた。
(っ――――――ッッ!!)
しかし、『適応』の恩恵が思考よりも先に体を動かす。
レンは無意識に大腕を凶刃との間に差し込み、見事ナイフを弾いてみせた。
――――ッギンッッ――ッヂッヂッヂッ、バヂッバヂッバヂバヂッバッチッバッチッバッ――ドドドュンッッ!!
――だが、阻まれたはずのナイフは空中で停止し――三本に分裂すると、再び黒雷を纏う。
そして、さらに速く。さらに鋭くなって、再度――飛来する。
「ッ!? ――――サクっ――絶対迎えに行っからっ……(ドンっ)」
「ぇ――――ぁッ!?」
――回避不可能。
そう悟った瞬間、レンは強く抱き着いていたか弱いサクを――力任せに逃がした。
――――ッバッヂッヂッヂッンン!!
「――――ッ!! ――――(ッバヂヂヂッッ)ッッッ!?(痙攣)」
雷速の刃が防御の外側からレンを穿つ。
顔面、右肩、鳩尾に大穴を開ける三点同時貫通――即死である
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 6/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
彼の死により黒煤は浮力を失い、穿たれたレンの体は逃がしたサクとは逆方向へ流れる。
「――ぁぁああ゛あ゛っーー!!? やだっ!! レンッ!! やだやだ、嫌ぁっ!! レン待ってっ!! 行かないでぇぇーーーー……!!!!」
そうして二人は別々の闇――異形が蔓延る『嘆きの森影』へと落ちていくのだった…………――――――――。
――一章・終――
====================
レンの得た『適応』:近日?……公開(疲れた)
サクの得た『耐性』:近日?……公開(後で)
[※称号[悪縁ト縁ヲ結ブ者]を解除]
⇒『悪縁』持ちとの行動時、全能力上昇補正
[※称号[新タナ歯車]を解除]
⇒同名の称号を持つ者との行動時、全能力上昇補正
[※称号[歪ミニ囚ワレシ者]を解除]
⇒『不運』持ちと行動時、全能力上昇補正
[※称号[新タナ歯車]を解除]
⇒同名の称号を持つ者との行動時、全能力上昇補正
[リンッ――詳細判明、【戦技】〈道化師の雷投〉を開示します]
[〈道化師の雷投〉:雷を帯びた実体のない得物を相手に向けて投げつける戦技。その真価は相手に防がれた時に発揮され、弾かれると三本に複製された投具が再び飛来する。溜めることで射程が延び、威力が増す。深淵+深雷+感電+遅延]
====================
(※は非表示、見えていないものとする)
【名前】矮小な歯蟲
【種族】※神族 ※魔族・異形(蟲)
【レベル】6
【属性】※神族性・深淵・物理・掴ミ・捕食・吸収(次元)・幼体
【生命力】10
【持久力】12
【筋力】6
【技量】4
【耐久】9
【魔力】1
【理力】2
【信仰】10
【運】1
【人間性(特性)】0/10
◇新作装備:レン
≪New≫≪星葬の壊剣≫:『巨人の面甲板 ☆6』『重拳の魂飾核 ☆5』『メテオライト ☆5』を用いた錬創剣。星の重力と絶大な重量を無理やり一振りに圧縮した特大剣。魂との親和性が極めて高く、刀身を中心に常時、微弱な重力場が発生している。その引力は敵だけでなく振るう者すら絡めとり、刃は『斬る』ためでなく砕き、圧し潰す鉄塊と化した
Pt:170×1.2=174
〖既存値〗筋力:0 体力:0 /攻撃力:0 耐久力:0
〖特異値〗重感軽減:0 重力場:0
◇登場武器
○≪夢想の刃≫
分類:短剣/投剣 〈戦技:道化師の雷投〉
効果:技量+2。深雷属性。投擲時、半実体となって投擲される
・道化師、ミラウの携えた戦道具。大道芸で人々を笑わせると夢見、刃に歪な魔術文字を刻んだ
その刀身に纏わりつく雷はいつしか現実と乖離し、投じられた得物は半ば実体を失い刃だけが飛翔するという
〈道化師の雷投〉:雷を帯びた実体のない得物を相手に向けて投げつける戦技。その真価は相手に防がれた時に発揮され、弾かれると三本に複製された投具が再び飛来する。溜めることで射程が延び、威力が増す。深淵+深雷+感電+遅延
これにて一章を――――――終わりま~~~~~~すっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ……以上。




