28.深淵再誕、不死英雄ディオネロ(5)[第二門現/開花]
最近、間(行数)を馬鹿みたいに開ける『緊迫感の表現』にハマってます。すいません……やめないけど
【事前報告】
終盤で書かれた少女は『別人』ではありません
ちゃんとした『本人』という設定です
――って、今の自分は思ってます
[――【私ハ折レナイ剱ノ身】を任意発動]
⇒[状態異常[澄心]を検出]
⇒[状態異常[紅醒]を検出]
⇒[経過時間を刻みます]
「――すぅーー、ふぅーーーー……」
――技能を起動した瞬間、サクの覆っていた『激情』が消え――いや、『心の内』へと深く沈んでいった。
『痛み』が徐々に遠のき、思考が静かに広がっていく。それは『明鏡止水』とは異なる、心に『すきま』が生まれる感覚だった。
満月のような黄色の虹彩に、赤色が滲むように染まり始める。
胸の奥を刻む鼓動さえ、今の彼女には落ち着いた『心地よさ』に変わっていた。
(…………)
ゆっくりと視線を落とす。
右肩から先――削り取られた断面から、袖の中をホースのように血液が流れ出ている。しかし、そこに『痛み』はない。感じない。
それをサクは、どこか他人事のように眺め――途端、流れる血液がゆっくりと揺らぎ……やがて、『腕の輪郭』を成した。
(はっ……へったくそな腕)
レンの『見た目だけ整った煤の腕』を思い出す。それに比べ、この『血の腕』は素人の粘土細工ように凹凸が目立つ――そんな粗さに、サクは内心で呆れ笑った。
――――――――――ッ――――……
――無防備に立ち尽くすサクへ再び――風を割って『見えない一撃』が迫る。
胴を狙った、『血肉を抉る一撃』。それを彼女は――掻い潜った。
(―――――、――――――ッ!!)
それは『勘』でも『予知』でもない動き。
あらかじめ周囲に散らしていた『血飛沫』。その粒が『消えた方角・角度・面積』を瞬時に把握し、超反応で避けたのだ。
途中、背後に視線を走らせる。
射線にあった柱は無傷。しかしその奥――射線の延長上にいた『黒枝に生やす英雄』は、空間ごと抉り取られ血肉の断面を晒していた。
(……もしかして、使えるか……?)
その惨劇を『達観した目』で見届けながら、サクの脳裏にひとつの『予想』が浮かぶ。
壁と柱の間――広間の外周を滑るように駆け抜け、侍らせた刀の掴むと、『躊躇なく』、『密かに』腕を動かした――
――――――――――ッ――――……
――繰り返し放たれる『見えない一撃』を避けつつ、サクはようやく――変わり果てた『襲撃者』の姿を視認する。
(――たいがいな姿になったな……)
広間の奥で飛んでいる、死んだはずの『ディオネロらしき者』を、彼女は『視た』。
――――ポロンッ
[【名前】ディオネロ・エレナス
【種族】人間(深淵)・不死者(指輪)・異形(炭灼、翼)
【レベル】179
【属性】深淵・深炎・灰燼・物理・技巧・燃体・魔術・奇術・呪術・幻影・呪死(武器)・不死性
【生命力】52
【持久力】39
【筋力】31
【技量】44
【耐久】34
【魔力】14
【理力】21
【信仰】29
【運】9
【人間性(特性)】3/10
【魔術】
・〈拡がる陽炎〉
【奇術】
・〈揺光の幻身〉
・〈???〉
【呪術】
・〈???〉
・〈???〉
【戦技】
・〈喰霊の腹〉
・〈???〉]
――その姿は、『異形』の一言に尽きるものだった。
――斬られたはずの体が再び形を成している。
しかし、灰燼の影響で表皮は炭のように焦げ黒灰色に変じていた。着けていた鎧も同様に溶け落ち、各所で肉と融合して見える。
全身に走る幾つも亀裂の奥で熱による燐光が脈打ち、内側に炉心が呼吸に合わせて明滅する。
亀裂からは絶えず『黒い煙』が噴き出し、剥がれ落ちた炭板の跡からは『青白い炎』が這うように燃え、『再生』をくり返す。
――背中の裂け目から滲む『深淵の靄』は、羽根のように形を成しては崩れ、崩れては再び形を成す――それはもはや『翼』ではなく、存在の残響。
自己を何度も再構築するさまは、あり方を忘れた魂の迷走のようにも見えた。
(……『不死性(指輪)』――っち。こいつ、だからカラミディアの左腕を斬って生き延びたのか……)
サクはこの時、カラミディアの左手に嵌められた『燈火の輪環』の存在を思い出していた。
(たしか、持ってると『不死身になる』とか、『指輪』は元々アイツのものって話だったな。……あのまま即死してろよ、人外ッ)
――赤く染まった瞳に、ディオネロの右腕が映る。
反撃に使った右腕だけは灰燼の直撃を逃れ、まだ『人』の名残を保っていた。
肉の焼け爛れた肘の先、その手には今なお振るう『霊獣の槍』が握り締められている。
――だが、頭部は既に彼の面影を失っていた。
体同様に炭化した顔。片側の頭蓋が『青白い炎』を上げながら焼け落ち、空洞になった眼窩の奥で赤い火が灯っている。
溶けた口は塞がれ、できた亀裂の隙間からは呼吸のたびに『黒い煙』が漏れている。
(『不死』……『これ』が、不死? この『燃えっ滓』が?)
(カラミディアの腕を斬って生き返った『結果』が、これなのか?? こんな、『中身のないやつ』に――――――っは)
『――――ふざけろよ』
冷静さの奥に、確かな『怒り』が灯る。
――直後、サクは振るう寸前にある『骨槍の角度』に違和感を覚え、進路を外周から内側へと切り替えた。
(――――――ッッ!)
――――――――――ッ――――(ッグチャッ)……
――その『違和感』は正しかった。
もしあのまま進んでいれば、前方の地点――そこにあった死体が、『見えない一撃』に削り取られたのだ。
(先回りする脳は残ってるのか……)
「―――――――――」
警戒心を強めるサクを、もはや人格が残っているかも怪しいディオネロが『灯る眼』で追う。
――彼は徐に、炭化した左腕から『深淵の紐』を伸ばし――レンとカラミディアを貫いていた『葬祈の大槍』を雑に引き抜いた。
成長し根づいた『黒枝』が二人の体を固定し、抜き取られた傷痕から血が滲む。
――そして、抜き取る動作に合わせ――右手の『霊獣の槍』が二人へ振り抜かれる。
[【明鏡止水】を任意発動]
「ッ――――――!!!」(――――――)
その動きを見たサクは悪態も忘れ、迷わず二人の間に飛び込んだ。
そこで彼女は、『密かに準備』していたモノを――『予想』が当たれと願いながら、前方に並べた。
――――――――――ッ――――(ッグチャッ、チャッ、チャッ、ヂュッ――)……
(――――思ったより『小食な槍』だったな……)
サクは自身の『予想が当たった』と内心で安堵した。
眼前に並べられたモノ――『五体の英雄』の内、最前列の二体は上半身を、三体目は前半分が削り取られて浮いていた。
『肉体が無くなった』ことで身に着けていた鎧が落ち、『ガチャンッ』と音を立てる。
――それは、サクが外周を走りながら『根づいた黒枝』を切り離し、動かせる分の血だけを残した死体たち。
『戦技:喰霊の腹』という名称から導いた推測――『削り取れる血肉に上限』があるのではないかと考え、あらかじめ準備していた『防壁』だった。
(悪いなんて思わない……使えるモノは何でも使う。それが私のやり方だからな……)
(その代わり――お前らの仇は取ってやる……だから呪うなよ?)
サクは削り取られ、それでも『肉が残る死体』をゆっくり下ろす。
そして背後――『黒枝を生やしたレン』を一瞥し、ぼやいた。
「――――おいレン。いい加減にしろよ寝坊助コラ。お前の戦闘時間は3分弱だぞ。私の4分より下だぞボケ――――っとっとと『生き返って』……カラミディアも『起こして』…………言い返して見ろ、馬鹿者が―――」
そう言うとサクは、刀と木刀を『血の糸』から変化させた『血の腕』に握らせ――静かに手の平を合わせた。
「――――『阿修羅門』――――『開け』――――」(頼むから、当たれよぉ……)
[※【五門顕現Ⅱ】が発動]
⇒一時的に[縁運]極化補正
彼女は振り返らず、正面に現れた『一枚の障子』を潜る。
「――(ッドク)――ぅ…………!!」
ただ敵のみを見据え――――『視た』ものだけを信じて、正真正銘の『死闘』に挑む――――
「――――『ん。……動きずらい、体。……胸も、小っちゃい。……はぁ~……成長の兆し、なし…………はぁ~~~……』」
[【阿修羅門】を発動]
⇒『日輪』『月輪』を顕現します
⇒状態異常[軽業]を検出
⇒状態異常[指示(輪俱)]を検出
⇒状態異常――――[悟リ]を検出
[【阿修羅門】:自身の傍に『門』を展開させる。一時的、潜った者に[葛藤][冷静][悟り]の感情を一つ、無作為に強制付与。体が身軽になり、傍に『日輪』『月輪』を浮かべる
状態異常:[軽業][指示(輪俱)][葛藤(感情)]/[冷静(感情)]/[悟リ(感情)]
[〈忍手〉:手の平を合わせる]
====================
[【名前】レン
【状態異常】瀕死/激痛/黒枝(※神)/呪イ(※神)/窒息/骨折/損壊/浸蝕/出血/灼傷]
[【名前】カラミディア
【状態異常】死亡/黒枝/呪イ/窒息/欠損/骨折/損壊/浸蝕/封魔/枯渇(魔)/出血/焦傷]
――――――――――――――――――
(ツツツ…………ッッ!!! ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ………………………………………………)
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 5/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
――胸骨の中心。かつて心臓が脈打っていた位置で、肉が内側からゆっくりと盛り上がった――次の瞬間、沈黙を破るようにその膨らみが裂けた。
内圧に押し出される血液よりも早く、『黒枝の群れ』がねじ切れた血管や骨肉、臓腑の間を縫うようにして進行していく。
(―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ………………………………………………)
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 6/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
体内を走る神経束を無遠慮になぞり、黒枝は目的もなく成長し続ける。
筋繊維を押し分け、骨との隙間を強引にこじ開け、まるで寄生虫が宿主の体腔を奪うような速度で蹂躙していく。
(―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ………………………………………………)
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 7/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
肋骨の裏で『成長した黒枝』が圧力を加えてくる。そして――『パキッッ!!』。骨は苦しみを伴う『抵抗』の末、あっさりと割れた。
次第に『黒枝』は太くなり、根のように形を変えながら成長。先端をうねらせながら触手のように体外へ飛び出した。
(――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ………………………………………………)
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 8/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
細い枝先が空気に触れた瞬間、『黒枝』全体が脈動を始める。『彼』の心臓に代わって鼓動するかのように、一定の間隔で深い脈を打ち始めた。
それは、最後に『外側へと領土を拡大する』かのように、不吉な生命の浸食のように、『彼』の血肉を養分として成長を続ける――――
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 9/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
「――――おいレン。……加減に……寝坊……ラ。……前の…………間は3……だ……私の4分……下だ……ケ――――っとっと……『起き……』…………ラミディ……『……こして』…………言い返……見ろ、馬鹿者が―――」
(……………さ…………ぅ………………ッッッ!!?!?)
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 10/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
[リンッ――注意:【死ンデモ命ガアルヨウニ】の蘇生回数が上限です]
⇒以降、蘇生はされません
(…………………………………………………――――――――)
[【名前】レン
【状態異常】死――――――
[リンッ――【死ンデモ命ガアルヨウニ】が発動]
⇒日が移り変わりました。蘇生回数が復活します 0/10
[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]
⇒即時修復、再生を行い蘇生させます 1/10
[リンッ――状態異常[激痛]を検出]
[リンッ――〈永痛抵抗〉を得ました]
~~~~~~~~
[リンッ――〈通痛抵抗〉を得ました]
~~~~~~~~
[リンッ――〈呪痛抵抗〉を得ました]
~~~~~~~
[リンッ――〈突破抵抗〉を得ました]
~~~~~~~
[リンッ――〈筋離抵抗〉を得ました]
~~~~~~
[リンッ――〈肉剥抵抗〉を得ました]
~~~~~~
[リンッ――〈剥離抵抗〉を得ました]
~~~~~~~~
[リンッ――〈再生(害)抵抗〉を得ました]
~~~~~~~~
[リンッ――〈焦躁抵抗〉を得ました]
~~~~~~~
[リンッ――〈体害抵抗〉を得ました]
~~~~~~~
[リンッ――〈躰侵抵抗〉を得ました]
~~~~~~
[リンッ――〈成長(悪)抵抗〉を得ました]
~~~~~~~~
[リンッ――〈侵行抵抗〉を得ました]
~~~~~~~~
――――――――
――――――
――――
――
[リンッ――【死ニタモウ事ナカレⅡ】が【死ニタモウ事ナカレⅢ】に上がりました]
⇒【苦ハ楽ノ蕾】が【滅ハ救ノ花】に変化しました
⇒【滅ハ救ノ花】への変化により『特殊抵抗』を得られるようになりました
⇒【滅ハ救ノ花】への変化により『抵抗』が『適応』に変化しました
[リンッ――【滅ハ救ノ花】を発動]
⇒今までに受けた『苦』で『適応』が与えられます
[リンッ――〈呪イ(神)適応〉を得ました]
[リンッ――〈呪死(神)適応〉を得ました]
[リンッ――〈黒枝適応〉を得ました]
[リンッ――〈死亡適応〉を得ました]
[リンッ――〈離魂適応〉を得ました]
[リンッ――〈概念適応〉を得ました]
[リンッ――〈干渉適応〉を得ました]
[リンッ――〈蹂躙適応〉を得ました]
[リンッ――〈解剖適応〉を得ました]
[リンッ――〈寄生適応〉を得ました]
[リンッ――〈死相適応〉を得ました]
[リンッ――〈禁止適応〉を得ました]
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――
(――――――――サ、クぅ……かー……ラ…………さぁ……!!!)
――――――――――――――――――
[リンッ――詳細判明、【呪術】〈黒翼の殉火〉を開示します]
[〈黒翼の殉火〉:羽根から落ちた『深淵』を『歪な者』として生み出す。ソレは内に灼熱を宿し、掴まえた者をその熱で抱き焼く。深淵+灼熱+延焼]
溶けたろうそくのように形を失った羽根。
飛行の支えを失った彼は床に降り立つと、四つん這いで項垂れ――まるで、壊れた人形のように動かなくなった。
それは絶好の機会、のはずだった。
――――ヌッチャ……
――――ヒタァ……
――――ベタァー……
しかし、落ちた黒泥のような深淵が突然うねり――それが、『出来損ないの人型』として盛り上がった。
動きはゾンビのように緩慢。だが、体から熱と蒸気を立ち昇らせる数十の『歪な者』が、本体を守るようにも、ただ本能に従っているようにも見える動きで、ぞろぞろと少女の方へ向かってくる。
「(……ぼぉ)…………ん。……『日輪』、点火、回って」
――――ッボォォ、ッジャキッ――
――――ッッギュルッルルルルルッルッルルルルルルルッ!!!!!
押し寄せる群れに対し、サク――――いや、彼女の姿で『違う性格の少女』が、傍らに浮かぶ『巨大な円盤』の一つ――『日輪』へ淡々と指示を出す。
外周から四枚の刃が花弁のように展開され、次の瞬間には灼心を燃え上がらせながら高速回転。『蒼焔』を纏いながら群れへと突撃する。
――――ッ!!ッ!!ッ!!ッ!ッ!!ッ!ッ!!ッ!ッ!ッ!――――
「……ん。あんまり、効いてない。……あれは、『深淵』? ……うん。実体があって、ない。……有効なのは、『光』……と、『魔力』。……でも、私にはないもの……あっ――」
『悟リ』は『日輪』に乱される『歪な者』を観察しながら、必要な情報だけを最短で拾っていく。
時折、指示を出して『ディオネロ』へも牽制させたが、一瞬で再生する『深淵』に阻まれてしまう。
「……『魔力』。……この世界の『概念』。……ん。これは、どうだろう……?」
観察していた彼女が徐に、『血』に持たせていた木刀――『ソウル』を宿す『狂恢の慈刀』を右手に掴んだ。そして――――
「――――――ふんっ(ッビュン――)」
――『血の腕』をしならせ、その場で横薙ぎに振り抜いた。
――――ッシュッ――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
直後――最前列にいた『歪な者』の頭部が、一斉に霧散した。
「――ん。『ソウル』は、魔力の代わりになる。……じゃあ――――あなたも、手伝ってね?」
鞭のように伸ばした『血の腕』を引き戻しながら、『悟リ』が誰かへ静かに語りかける。
その瞳は、『いつも』の強い意志を宿した『サク』のものではなかった。澄んだガラス玉のようであり、揺れのない慈しみを宿して――
――――ッボォワ……
――自分の胸元から、『小さな人魂』を摘まみ出した。
[≪臆病な欠月のソウルの欠片≫:飢えと絶えぬ孤独に心を摩耗させ、空虚に沈んだ幼き残滓の欠片。月の半分を欠いたように、勇気も希望も喪い、ただ寂寞だけを灯している]
「――大丈夫。……『あなた』は、入っているだけでいい。……怖いモノは、私が消してあげる……だから、がんばろ」
『ソウル』へ優しく語りかけ、彼女は円盤――もう片方の『月輪』へ触れさせようと――
――――ッヒョイ
――して、ひらりと避けられてしまう。
「……ん? ――あ、そっか。……『身剣』で入れられるは、『刀剣』だけなんだ。……じゃぁ――『月輪』、欠けて」
困り、理解し、悩んだ彼女は瞬時に『悟る』。そして、浮遊する『月輪』に指示を出した。
満月の円盤はゆっくりと欠け、その面積と『厚さ』を削り――やがて、鋭い刃を思わせる『三日月』へと変化する。
「……ん。これで――オーバー、ソウル?」
『主人格』のような茶目っ気を覗かせながら、彼女は『ソウル』を欠けた『月輪』に触れさせた。
――――ッボォッワーー――っピシ、シュゥゥ――
触れた瞬間、淡い光を散らしたソウルが静かに吸い込まれていく。
すると、『月輪』の表面に霜がかかり冷気を漂わせ始めた。
「ん。ありがとう。がんばろうね。――――すぅーー、ふぅーーーー。……『日輪』、戻って。『月輪』は群れの掃討と、『二人』を守って――――――出るよ」
深呼吸の後、『悟リ』は手早く『輪俱』へ指示を出す。『裏地』を回収した上着のパーカーを脱ぎ、ノースリーブ姿へと変わる――その仕草は妙に静かで、淡々としていた。
――そして、ぼんやりしていた瞳が、スッと――鋭さを宿す。
奥でゆっくりと立ち上がる『ディオネロ』を見据え、空いた左手に刀を握ると重心を落とした。
「――レンとカラミディアは、私の大事な『仲間』。大事な、『心の支え』なの……」
『サク』が語るのは、『主人格』の奥底に隠された本音。恥ずかしくて、絶対に表へ出ることのない感情の吐露。
その静かな声に宿るのは――『主人格』由来の、決意。
「その二人を傷つけたんだから……――――――(ッダァ!!!)
――――――――斬ッ
――――――――ッガズゥ!!
――最短距離を、風より小さな音が滑り抜け――
――ディオネロの首を、刹那に――
――『斬り、殴った』。
――――死んで詫びろ……ね?」
――『サク』の『ぶちのめすという決意』が、静かに『大』爆発した。
====================
※後で整理する↓
[【苦シテ楽ナシ】を発動]
[〈欠損耐性〉を得ました]
[〈無痛耐性〉を得ました]
[〈出血耐性〉を得ました]
[〈再形耐性〉を得ました]
[〈異常耐性〉を得ました]
[〈乖離耐性〉を得ました]
====================
◇サクのステータス(New)
〇固有技能
【五門顕現Ⅱ】:解放技能。※不定期に[縁運]を一時的に極化、極下補正。|『柏手/忍手』『指門』の工程を踏み『門』を顕現させ、『解錠』で開くことができる。『門』の形状は創造者の『意思』によって反映される
(※『門』を、扉や窓と同様の存在とみなす)
└Ⅰ:〈柏手〉:手の平を強く打ち合わせる 〈指門〉:顕現する門の指定 〈解錠〉:門を開く言葉の宣言
└Ⅰ【摩多羅門】:『自身の傍』と『対象の背後』に繋がった『門』を展開する
≪New≫└Ⅱ〈忍手〉:手の平を合わせる
≪New≫└Ⅱ【阿修羅門】:自身の傍に『門』を展開させる。一時的、潜った者に[葛藤][冷静][悟り]の感情を一つ、無作為に強制付与。体が身軽になり、傍に『日輪』『月輪』を浮かべる
状態異常:[軽業][指示(輪俱)][葛藤(感情)]/[冷静]/[悟リ]
≪日輪・阿修羅ノ焔廻≫:阿修羅が戦場へ降りる際、太陽を砕き、灼心を円盤に嵌めたとされる『廻る小太陽』
外周から四から八枚の刃が花弁のように展開し、回転とともに焔を巻き上げて対象を焼き裂く。燃え盛る熱は怒りと執念の象徴であり、宿主の戦意が揺らぐほど刃は熱く、速く、鋭く燃え立つ
(※高速回転時、熱波、風圧発生 ・感情に応じて温度変化[葛藤]:深紅/[冷静]:橙黄/[悟リ]:蒼)
≪月輪・阿修羅ノ静寂刃≫:夜の理を象り、『冷月』の相を写した円盤。その身は、満ち欠けの循環に従って形と輝きを変える
満ちたとき、それは結界のように主を守り、欠けるほどに鋭さを帯びて対象を断つ。その光は怨嗟を静め、狂気を吸い取り、触れた思念を静謐へ還すと伝えられる
(※満ちるほど厚く、防御力上昇 ・欠けるほど鋭く、切断力上昇 ・月光が深淵を弱体化、幻惑を晴らす)
+ + +
≪臆病な欠月のソウルの欠片≫
↓ 【O・S】 ↓
≪月輪・欠心ノ冷月≫:欠け落ちた『勇気』を月光に沈めた冷刃の三日月
振るわれるたび刃紋は掠れた光を散らし、触れた者の思念から『進む意志』を削ぎ落とす。その冷光は衝動と鼓動すら遠ざけ、魂の奥で灯る小さな熱すら静かに凍えさせる
(※氷結 ・勇気低下 ・戦意喪失)
〇――Unknown――――
≪New≫【私ハ折レナイ剱ノ身】:三相技能。任意で効果発動、終了できる。全能力極化補正。状態異常:[澄心][紅醒]
発動終了時、効果経過時間と同じ間だけ、全所持技能・称号での『上昇補正効果』半減。???
◇レンのステータス(New)
〇――――Unknown――
【死ニタモウ事ナカレⅢ】:解放技能。耐久力、抵抗力、体力激化補正。死んだ際Levelが『1』になる
≪New≫└Ⅲ【滅ハ救ノ花】:全ての『苦』に対し『適応』を得る。『物理適応』『超常適応』『自然適応』『特殊適応』を得られる
====================
※『イヤイヤ』言いたくなる【五門顕現】の未来をチラ見せ
小説として書く前提に無かったからこそ生まれた発想とも言える※
【五門顕現】:~~~……によって反映される。※この『門』の効果で付与された二種以上の『感情』のみ、混ざり合う
↓ リスト ↓
[葛藤+◯◯]=[◯◯デレ]
[葛藤+◯◯]=[思考低下]
[葛藤+◯◯]=[陰◯]
[◯◯+◯◯]=[小◯◯]
[◯◯+◯◯]=[メ◯◯◯]
[◯◯+◯◯]=[◯コ◯レ]
[葛藤+◯◯+◯◯]=[◯◯◯ラズ]
[葛藤+◯◯+◯◯]=[メ◯◯◯]
[葛藤+◯◯+◯◯]=[混乱]
[葛藤+◯◯+◯◯]=[◯◯ィ◯◯]
[葛藤+◯◯+◯◯+◯◯]=[狂◯◯◯]
[冷静+◯◯]=[◯◯◯ウナー]
[冷静+◯◯]=[――]
[冷静+◯◯]=[◯◯者]
[冷静+◯◯+◯◯]=[ヤ◯◯◯]
[冷静+◯◯+◯◯]=[◯◯◯◯◯ラー]
[冷静+◯◯+◯◯]=[◯◯士]
[冷静+◯◯+◯◯+◯◯]=[冷◯◯◯]
[悟リ+◯◯]=[冷静]
[悟リ+◯◯]=[◯心]
[悟リ+◯◯]=[好◯]
[悟リ+◯◯+◯◯]=[◯魔]
[悟リ+◯◯+◯◯]=[カマ◯◯]
[悟リ+◯◯+◯◯]=[◯◯◯パス]
[悟リ+◯◯+◯◯+◯◯]=[◯道]
【五門顕現Ⅱ】
「(フード姿)…………( ‐ )」
赤べこ
「……あの」
【五門顕現Ⅱ】
「…………( ‐ )?」
赤べこ
「え~……『散々言った』手前、恐縮なのですが……」
【五門顕現Ⅱ】
「…………( ‐ )コクリ」
赤べこ
「――すいません! 『感情』の表現すごく楽しく書けました! もうね! 口元緩むぐらい楽しかったです!!」
【五門顕現Ⅱ】
「…………( ‐ )」
赤べこ
「…………(¯―¯;)」
【五門顕現Ⅱ】
「……、…………( ᴗ )b」
赤べこ
「あっ……ありが――
【五門顕現Ⅱ】
「……――――( ᴗ )b ≡ p」
【喧嘩上|赤べこ
「え――――――




