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0991・王城での会議




 Side:イリュディナ



 食堂で食事をする事で、少しはマシな気分になったみたいね。本当にこの国のゴミどもは救い様が無いわ。私にとってはベルの方が優先度が高く、ゴミどもの命など何の価値も無いのよ。そもそもいつ悪人に転落してもおかしくないゴミなんて、価値がある訳が無い。


 いったい何百、何千、何万見てきたと思ってるのかしら。あんなゴミどもなんて腐るほどに、そして飽きるほどに見てきたっての。私にとってみれば、まだ何物にも染まっていないベルやフィルの方が、よっぽど美しいし大事なのよ。当たり前の事ね。


 あんな薄汚れたゴミどもがいったい何様のつもりで調子に乗ってるのか、私には欠片も理解できないわ。生きているだけで恥ずかしいゴミどもは、せめて自らの手で自分を殺せばまだ評価できるものを。そんな事も考えず我が物顔で生きている。


 醜く卑しく無様で憐れな下等生物。それが人間種だというのに、それすら理解しない。アルデムでもそうだけど、本当にまともな者は極めて少ないのよね。ゴミは視界に入れず、考えもしないようにしてたけどさ。


 宿の部屋に帰って【念話】で愚痴を聞かせていると、他の皆も【念話】で言葉を返してきた。



 『まあ、アレはスタンダートな王族でしょ。王族なんていう者は所詮あんなものだし、わたし達が指摘しなければ気にもしなかった筈よ。横柄な態度で接する事が王族の凄さを示すとでも思ってんじゃないの』


 『横柄な態度っていうか、周りが忖度して当たり前とか思ってそうよね。王族の自分が声を掛けてやった的な思いが顔に出てたし、あの王弟』


 『そうだったね。だからこそイリュが怒ったんだろうけど、確かにそういう感じはしてた。それと断られるなんて考えてもいない顔だったよ。自分が今まで周りにどれだけ忖度されていたか、それが分かってなかったんだろう』


 『いえいえ、ああいうバカは今も分かってないわよ。城に帰って私達の事を無礼者だなんだとののしってるでしょう。だからこそ救い様が無い愚か者なんだけど、その事すら理解しないままにね』


 『それはあるでしょうね。今まで周囲が忖度するのが当たり前だった以上、忖度しない私達がおかしいって結論付けるわ。それこそがおかしいんだけど、王族とかいう連中は理解しないのよね。だからこそ、あんな王太子に育つんだし』


 『そうそう。あの王太子を見たら、この国の王族がどういうものか透けて見えるわよ。たとえアレがその中でも底辺だとしても、アレが王太子である事を許す程度の国って事でしょ。ならその程度の国なのよ』


 「………」


 「あらら、今日はもう寝てるわね。ミク、エアーマットを出してくれる?」


 「了解」



 ミクがベッドの上にエアーマットを出してくれたので、その上にベルを横たえる。既に眠ってしまっているので起こさないように寝かせ、その横にミクがフィルを寝かせた。二人ともグッスリと寝ているみたいなので私達はそっと離れ、ベッドにエアーマットを敷く。


 ミクは椅子に座ってゆっくり起きている気のようで、背もたれの大きな安楽椅子を出した。何故あんな物をガイアで買ってきたのかは知らないけど、なかなか良さ気な感じの物ね。


 さて、クズどもが鬱陶しい一日だったけど、さっさと寝て忘れましょう。もし夜中に何かあっても、ミクがどうにでもするでしょうしね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ノノ



 まったくもって人間種とはつまらぬ者どもよな。己らが矮小な存在であるという事も知らぬらしい。中央ガウトレアは既に終わっておるのでな、我らは村などに出て行く必要はそこまで大きくないのだよ。後回しでも構わん。


 そして我が今いるのは王城だ。そこの会議室のような部屋で、現在夜にも関わらず会議が行われておる。会議の主題はミク達だ。正しくは王太子に手を出した者達をどうするべきかという事になる。



 「王太子殿下に対してあれほどの事をしたのですぞ!! 縛り首や断頭台では罪に合いませぬ! ここは最も恐ろしき方法を作り上げて始末せねば、国家の威信は保てませぬぞ!!」


 「軍務卿は左様な事を言われるが、元々陛下は問題を起こせし時は廃嫡も已む無しと言われていたのだ。それを忘れて好き勝手をしたのは王太子殿下ではないか。特に軍の狙撃班を勝手に使ったのはどういう事ですかな? 軍務卿が許可を出したのは分かっておるのですぞ」


 「我が国の狙撃部隊である、銃騎士隊はどうなったのだ? 被害は?」


 「ハッ! 被害の程は全滅。全ての者が首から上が無く、現場には死体しかありませんでした。全ての者が死んでおりますので、当時どうであったのかは全く分かっておりません。尚、兵士達の死に様は昨日の憲兵隊と同じであったそうであります」


 「報告にあった潰れていくという死に様か。まるで球の中に入ったかのようになり、四方八方から押し潰されて死ぬ。そして最後には死体も消える、だったな。そんな事が人間種に出来る筈が無い」


 「陛下! だからこそ危険なこやつらを一刻も早く皆殺しにせねばなりませぬ! そうでなければ我が国はこの者どもに舐められたままですぞ!!」


 「陛下、私も軍務卿の意見には賛成です。事は王権にまで関わる事。平民如きに舐められたままでは国として立ち行かぬと考えます」


 「うむ、農務卿も分かってくれるか! ここは出来得る限り素早く殺し、国を舐め腐った者に鉄槌を下さねばならんのだ!!」


 「それは軍務卿が熱心な王太子殿下の一派だったからでしょう。既に王太子殿下は廃嫡が決まっておる。ここまでの問題を起こし、あまつさえ股間の物が無くなっておるのだ。これでは次代の王族が生まれる事は無いのだからな。そんな方が王位を継ぐなどあり得ん」


 「しかり、しかり。軍務卿はまだ悪足掻わるあがきをしようとしておるのだろうが、王位を王太子殿下に、そして次代の子を第三王子殿下からなどという事はあり得んのだよ。それは夢想もいいところだ」


 「そ、そんな事など考えておらぬわ!! 王太子殿下が王太子を退かれるは仕方ない。うむ、仕方がないのだろう。しかしそれとこれとは話が違う! 事は我が国の面子そのものぞ! 平民に舐められる国家などあってはならんのだ!!」


 「そこですな。軍務卿の意見も、そこは一理あると認めざるを得ませぬ。陛下、軍を動かして一気に潰してしまうべきでしょう。人数を掛ければ勝てる者などおりますまい」


 「…………弟よ、勝てると思うか? 余は勝てぬと思うておる。相手は空間を操るという。そのような神の力に等しきものを操る相手にどうやったら勝てるのか想像もつかぬ。そなたは如何いかが思う?」


 「私は止めた方がよいと思います。兄上もおっしゃられましたが、アレは我ら唯の人間種が考えていいものではない。私は空間が歪み、潰れていく兵士をハッキリと見ました。あんな事が出来る相手に勝てる訳がない。今もって見逃されているだけに過ぎぬというのに、何故なにゆえそれが分からぬのか理解できません」


 「「「「「………」」」」」


 「何を言うておるのですか!! 王族の方がそんな弱気でどうするというのだ!! 事は国家の沽券に関わる事なのですぞ!! 何故それがお分かりにならぬのです!!」


 「………陛下、如何いかが致しましょうか?」


 「やるならば、そなたらの家臣や兵でやるがよい。国軍を動かす事はならぬし、己で責をとれ。それならば好きにするがいい。会議はこれで終わりだ」


 「陛下!? 正気でございますか!? どれほどの力を持とうが軍で押し潰せば! 陛下! 陛下!!」


 「軍務卿、五月蝿いですぞ。既に夜半なのです、お静かに」



 王は会議室から出て行ったが、王弟とやらは残っておるな。とはいえ残った者どもを見張っている感じか。


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