表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
994/1000

0990・愚かな人間種




 Side:ミク



 いちいち鬱陶しいので仕方なく空間を解除したイリュ。ベルには見せていないし聞かせてもいないので、ベルは何が起こったかよく分かっていない。フィルはそもそも左右しか見れないので、私が見せないようにしている。そんな中、空間を解除された王太子が吠えた。



 「くそっ! 私にこんな事をして許されると思うなよ!! この者どもを殺せ!! 今すぐ殺せ!!!」


 「このゴミは何を勘違いしているのかしら? 死んでいなければ良いのよ? 死んでいなければ!」



 そう言うやいなや、イリュはすぐさま空間を断裂させ、王太子の股間の物を切り落とした。一瞬の早業なうえ見た目に変化が無いから、誰も気付いていないね。



 「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!! おうぉぉぉぉぉっ!!!!」


 「な、何が!?」


 「ん? お前が命だけは助けてやってくれと言うから、命だけは助けてやったのよ? ……代わりに股間の物を切り落としてやったけどね」


 「………は?」


 「お前達が理解するのを待つ必要も無い。ミク、癒着しないようにして傷だけ治せる?」


 「問題ないよ。その程度の事なら一瞬で出来る。はい、終わり。宦官なんて者もあったくらいだし、丁度良いんじゃないかな? 股間の物が無くなれば、強制的に王太子から退くしかなくなるからさ」


 「でも命は残ってるんだから問題ないわよね? 命は残ってるんだし」


 「五体満足で、なんて一言も言われていないし、そんな事を言ってきたら助ける気も無かったでしょうしね。そもそも命があるだけ感謝しろという話よ。それが納得できないというのなら、私達と全面戦争だけど………ま、好きに選びなさいな」


 「ふざけるなぁ!! 今すぐこの者どもを殺せ!! 今すぐにだ!! 早くしろぉ!!!」



 そう王太子は言うが誰も動かない。動いたらすぐに殺してやろうと思ったんだけど、動かないなら殺せないね。つまらない結果になったもんだ。私達に喧嘩を売ってきておいて、いったい何を考えているのやら。



 「どうした!? 早くしろ! 早く殺せ!! 私の言葉が聞こえないのか! 貴様ら!!!」



 王太子が叫ぶものの、誰も彼もが動こうとしない。そうしていると、兵士に守られた豪華な衣装を着たオッサンが現れた。


 次はなんだ? この下らない茶番劇はいつになったら終わるのか。



 「近衛よ。あの騒いでいる愚か者をさっさと城に連れ戻せ。兄上は廃嫡も已む無しと既に言うておるのだ。これ以上見苦しい真似をさせるな」


 「「「「「ハッ!!」」」」」


 「お前ら何をする!? 離せ! 私は王太子だぞ!! さっさと離せ!!!!」



 近衛と呼ばれた連中に連れられて行く王太子。自称か? と言いたくなるぐらいに王太子として不適格だね。それはともかくとして王を兄って言ってるって事は、コイツは王弟か。ま、私達に何かしてくるなら殺せばいい。どうせゴミだし。



 「そなた達には大変な迷惑を掛けたようだ。王族として謝罪する。迷惑も掛けてしまった事だし、城に来てもらえないか? 色々と話さねばならんのでな」


 「いったい何を勘違いしているの、人間種如きが。そもそも私達が何故お前達の居る所になど行かねばならないのかしら? それは私達に喧嘩を売っているという事? あのクズが居て、お前もその一族でしょうに。今度はいったい何をする気かしらねえ」


 「……こちらは何もする気などない」


 「それが信用できるとでも? 王族が言えば何でも叶うとでも思ってそうね、このゴミ虫は。自分が人間種という矮小な下等生物でしかない事を教えてあげましょうか……!!」



 ベルには向かわないように本質をあらわにしたイリュ。それを向けられて腰を抜かし、顔面蒼白で震えが止まらない連中。いったい何を怒らせたか、ようやく理解したかな? ……いや、しょせんは人間風情だし無理か。



 「「「「「「………」」」」」」


 「あーあー。ちょっとイリュが本質を出したら、ガタガタ震えるだけとは。偉そうにホザいておきながらコレなんだもの。イリュから下等生物と言われるのも仕方ないのかしらね?」


 「元々<妖精女王>であり、かつては<鮮血の女王>と呼ばれていたのよ? そんなイリュが高々人間風情に従う訳ないでしょうにねえ。知らないとはいえ頭が悪すぎるわ。知っている連中なら、バカ過ぎてゲラゲラ笑うところよ?」


 「まあ、あの<鮮血の女王>に喧嘩を売ってるんだものねえ。敵対した全ての者が血の海に沈んだからこそ<鮮血の女王>と言われるんだし、高々人間風情が徒党を組んだとて勝てるわけ無いじゃないの。誰も勝てないからこそ「触れるべからず」として禁忌になったのよ?」


 「普通に国と真正面から喧嘩して勝てるんだから、国の権威をチラつかせても意味は無いのよね。その権威を裏打ちしているのは軍という暴力だけど、その軍という暴力以上に強いんだもの。国如きが調子に乗るなって事なのよ」


 「あんた達さっきから好き勝手に言ってくれるけど、ミクよりは大分優しいわよ私は。ミクならさっさと国を滅ぼすでしょうが。私がボスみたいに言うの止めてくれる?」


 「まあ、確かにミクは容赦ないわよね。そのミクは何もしないみたいだけど?」


 「こっちを狙ってた狙撃手いたじゃない? その裏に予備の連中が居たのか、慌てて狙撃銃に近寄ってたから喰ってただけだよ。面倒だから首から上しか喰ってないけどね。それぞれの狙撃ポイントに首から上が無い死体が転がってるから、ちゃんと回収しなよ。じゃ」


 「面倒臭くなったから帰る事にしたみたいね。ま、私もさっさと戻るか。クズどもの相手なんて、いちいちしたくないのよね。鬱陶しいから」


 「そんなの誰だってしたくないわよ。とはいえ世の中変わらないけどね。クズであればあるほど、己がクズだと理解していない。無様なものよ、本当」


 「それを数百年も見て来たのが私達なんだけどね。いい加減にウンザリしてくるわ」


 「私なんてウンザリを通り越して、人間種なんて全部ゴミにしか見えてないわよ」


 「そりゃゴミを1000年以上も見てきたら、そうもなるでしょうよ。500年の私でも飽き飽きなのにさ」



 下らない話をしつつ。私達は宿の方に戻っていく。いったい何を勘違いしたのか知らないが、王太子が私達を襲ってきたものの、その理由は全く分かっていない。まあ、おそらくで想像はついてるけどね。


 あんな性格の悪いヤツだ。どうせ自分の命令を聞かないヤツは気に入らないって事で探してたんでしょ。で、おそらく昨日の内に門番から情報が上がってたんでしょうね。で、今日私達を探していた、と。


 ……そこまで間違った推測じゃない筈だけど、そうなると随分な暇人って事になるねえ、王太子って。



 「そんなものじゃないの? ちゃんとした王太子ならまだしも、あの性格なら王太子の仕事も碌にしてないでしょ。本来なら責任の軽いものから順に、王の仕事を覚えていく筈なんだけど……。アレだもの」


 「おそらく仕事をさせても駄目だったんじゃないかしら? 廃嫡という言葉を使ってもいたしね。それぐらい駄目だと思われていたという事でしょ。放逐しても子供は出来ないし、丁度良かったんじゃない?」


 「それよりも城に来いって話よ。王太子が私達に絡もうとして失敗したのに、今度は自分達が絡もうって魂胆なんだもの。ふざけんな、としか思わないわね。面倒な阿呆どもの居る場所に招くのが、本気で謝罪になると思ってるのなら頭が悪すぎるわ。そう言っておきなさい、そこのゴミ三人」


 「「「!?」」」


 「気配と魔力は隠せてるんだけど、高々その程度なのよね。何処まで私達を舐めたら気が済むのかしら? マジでこの国潰す?」


 「「「!!!」」」


 「途端に離れたわね。ミクほどじゃないとはいえ、私達だって十分感知できるのよ、十分にね」


 「流石に6つもの感知は、わたし達には無理でしょ。気配、魔力、精神、生命、魂魄、存在。この6つを隠蔽するなんて不可能なんだから、実質ミクから隠れられないのよねえ。もし隠れられるとしたら神様だけかな?」


 「そうだね。神どもの中には私の感知を超えてくる者が居ると思う。ま、それでも対処法はあるから気にしなくてもいいんだけど」


 「そう、それなら大丈夫そうね。っと、そろそろ時間だし、夕食を食べてから戻りましょう」



 確かに、そんな時間だね。鬱陶しいのに絡まれたりと碌な事が無かったけど、ベルとフィルは食事でリフレッシュしてくれるかな?。


エピソード4の人物紹介を更新しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ