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0987・合流と食事




 Side:アレッサ



 イリュの話を聞いていると、そりゃ殺されても文句は言えないとしか思えないわね。何故人間種如きが<鮮血の女王>に喧嘩を売っているのか、そして何故五体満足で済むと思うのか。この星の者は知らないにしても、やっては駄目な事を幾つもしてるじゃないの。


 わたしの方もそうだったけど、何故子供を連れている女性に対して恫喝紛いの取調べを行うのか、まったく意味が分からないのよね。アルデムだって恫喝紛いの取調べなんて盗賊とかに対してぐらいよ? 何で子供連れの女性に対して当たり前のようにやっているのかしらね?。


 そういうマニュアルでもあるのか、もしくは不祥事を隠蔽する為に何らかの約束をしようとしたのか。要するに、早く出たいなら不祥事に関して口をつぐめとかね。わたし達には知られてるんだし、その可能性もありそう。



 「確かにそうかもしれないわ。とはいえ敵となった者に容赦などする筈が無いんだけどね。私のベルを泣かせた以上、唯で済む筈が無いでしょうに」


 「うう……」


 「ベルも怖い思いはしただろうけど、イリュに任せておけばすぐに解決してくれるわよ。だから安心しなさいな。それにしてもフィルは寝ててくれて良かったわ。いちいち大声で騒ぐのよね、あのマヌケども」


 「憲兵隊がやってる事が大声で恫喝ってねえ。盗賊と何も変わらないって理解していないのかしら。それは取調べじゃなくて尋問っていうのよ、尋問」


 「ま、後でこっちに手を出してくるなら、報復は苛烈にならざるを得ないわ。唯でさえ憲兵隊がチンピラとつるんでたんだし、そんな奴等に手加減してやる必要も無いしね。それ以前に誰かさんが動くだろうけども」


 「情け容赦なく動くでしょうね。そもそも私達から話を聞いて、ミクが動かないとは思えないわ。後顧の憂いを断つ為にも、必ず動くでしょうよ。それも念入りにやるんじゃない?」


 「おっと、噂をすればミクとカルティクね。どうやらダンジョンが終わって戻ってきたみたい」



 わたし達はミク達と合流し、一緒にアーリーの店へと行く。未だに研究しているだけで一般販売は出来ていないらしく、やはり魔力のドカ喰いがネックになっているようね。長く続いてきた問題だし、一朝一夕で解決するなら誰も苦労しないでしょ。天才だって無理だったんだし。



 「まあな。祖先が無理だったものを、そう簡単に解決出来るとは思っちゃいねえよ。とはいえ王都近郊の素材はもう使い尽くしたし、これからは遠い所の素材を使うしかないかもしれん。っと、それよりもバイクは置いていってくれ、明後日までには四台全部のタイヤを巻き直しておく」



 アーリーがそう言うので、ガレージのような店の中にそれぞれのバイクを並べていく。わたし達のバイクもそれなりに使ったからか、何だか味がある感じになってる? アイテムバッグに仕舞う際に必ず【清潔】を使っているから汚れは無いんだけど、風格は出てきたかな?。


 改善点と言える部分や不満な点を幾つか話し、それが終わったら宿に戻る。ベルは随分と落ち着いてきたみたいで、もう大丈夫みたい。宿の部屋で憲兵隊の所であった事を話すと、カルティクが怒り始めた。



 「何よそれ!? アルデムでだってそんな取調べをするのは盗賊に対してぐらいよ? この国がおかしいのか、アレッサの言った通り不祥事を隠す為だったのか知らないけど、やっていい事と悪い事の区別もつかないのかしら」


 「まったく碌なものじゃないね。前に掃除したっていうのに、また蔓延はびこってるのか。これは一度掃除した所も綺麗に掃除し直した方が良いね。ファーダとノノに任せるか。私はマーカー役でもあるから、遠くに行くと戻るのが面倒だし」


 「【転移】を使えばすぐに戻ってこれるだろうが、確かに我らが本体空間を経由した方が早いな。それにしても子供が居るのに恫喝的な取調べをするとは、この星はまだまだ文化的に遅れておるようだ」


 「村々の薬物も再確認しておいた方が良いし、ファーダとノノには村巡りも含めてやってもらおうかな。ファーダは既に動いているけど、ノノは夜になってからね」


 「了解した」


 「………」


 「ベルはノノに興味がありそうね。ノノと遊んでみる?」


 「……うん」



 ベッドの上でノノと一緒にしたら、手で触ってみたりと色々してるみたい。段々と顔が明るくなってきたから、嫌な気分は無くなってきたかな? やれやれ、子供の機嫌を直すのにどれだけ苦労をすると思ってるのかしら。


 知らないから子供に対してあんな事が出来るんでしょうけど、その後の苦労を考えたら万死に値する行為よ。お前如きの命であがなえると思うなよ、と死んだゴミに言ってやりたいわね。まったく。


 今思い出してもムカムカするし、わたしの方のバカも大きな声を出しやがったもの。ああいうヤツは纏めて皆殺しにしたら駄目かしら?。



 「おーい。帰ってきなさい、アレッサ。顔がちょっと怖い感じになってるわよー」


 「ああ、ごめん、ごめん。思い出すと腹が立ってきてね。とりあえず止めとくわ」


 「それが良いわ。それよりそろそろ夕食だし、フィルのミルクは大丈夫?」


 「実は取調室でおむつを替えてから寝ちゃったから、まだ飲んでなくて残ってるのよ。冷たくなってるから温めなきゃいけないけど、そこは問題無いわ」


 「びぇぇぇぇぇん!!」


 「あらら、噂をすれば起きちゃったか。とりあえず温めるから少し待ってね。ついでにおむつチェックもしておこうかな」



 そう言ってベッドに寝かせ、おむつを調べるとしていたので、脱がして【清潔】を使って綺麗にしていく。するとベルがこっちに来てジッと見始めた。弟に興味があるのかしらね? それはともかく、おむつを綺麗に畳んで、新しいおむつを履かせる。


 その後はズボンを履かせ、ミクが温めてくれたミルクの哺乳瓶を咥えさせた。必要ないなら飲まないんだけど、勢いよく飲み始めたわね。この子吸い込む力が強いんだけど、<超人族>だからかしら。



 「……のむ?」


 「そうよ。元気だからお腹が空いて、元気だから勢いよく飲んでるの。フィルは元気だから心配しなくても大丈夫よ」


 「うん」



 どうやら心配だからよく見ているみたいね。ミクは二人とも餓死寸前なほど酷かったっていうし、記憶には無いけど心配だったという感情は覚えているのかしら? 心配しなくても元気なんだけど、時間が経てば納得もするでしょう。今はまだ仕方ないわね。


 酷かった事を薄っすらと覚えているかもしれないし、そうであれば弟の事は心配でしょう。ま、口に出す事じゃないから口にはしないけどね。


 フィルがミルクを飲み終わったのでゲップをさせ、終わったら夕食を食べに食堂へと行く。テーブル席に座り、ミクがベル用の椅子を出してあげるとすぐに座り始めた。自分の席だと覚えたみたいね。


 その後は注文をし、料理が運ばれてくるまで待つ。適当に話をしたり、ベルと遊んでいると運ばれてきたので食事を始める。ちょこちょこ周りから視線が来るが、私達は無視して食事をし、それが終わるとさっさと片付けて店を後にした。


 何でこっちを見てきたのか知らないけど、注目される事なんてあったかしら? もしかしたら喧嘩を売ってきたバカどもの話が広がってるのかしらね? だとすると憲兵隊は止められてないじゃない。


 そもそも野次馬が沢山いたんだし、憲兵隊が連れて行ったっていう話も出回っていて当然か。でも連れて行かれたというだけで、不祥事があった事までは知る術は無いだろうし……。ならいったい何で注目されたのやら?。


 分からないけど、悪意は無かったから大丈夫でしょ。駄目ならミクが何とかするし、わたしが考える事でもないわね。さっさと忘れましょう。


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