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0095・久しぶりの第4エリア




 第4エリアの1階。ミクとシャルは素早く【身体強化】を使い走って行く。午後からの半日でクリアする為には急ぐ必要があり、【身体強化】をしての移動はあまりよく思われないが、そんな事には構っていられない。


 2人は一気に走って行くと、どんどんと先へ進んで行く。特にミクが一度攻略しているのもあって要領よく進んでいき、あっと言う間に8階まで進んでこれた。シャルも体力が多く、それなりには疲れたものの未だ元気だ。


 そして目の前、魔物と戦いながらも何とか勝利した<鮮烈の色>が居る。彼女らは随分と疲弊していたが、何とか8階まで来たらしい。



 「おっ、誰かと思えばミクじゃないか。少々恥ずかしいところを見られたね。アタシ達の実力でも突破できる筈なんだけど、運悪く魔物に出遭いまくってるのさ。前はここまでじゃなかったんだけどね?」


 「たまたまかもしれないけど、妙に多いのよね。おかげで襲われる頻度が高くて無駄に疲弊してる感じ。今までこんな事なかったのに」


 「今までなかったって、あんた達はその臭いに気付いてないのかい?」


 「臭いに気付いてない? それっていったいどういう事?」


 「どうやら本当に気付いてないんだねえ。あんた達の体から、甘ったるい臭いがしてるんだよ。あたしは狼系獣人だから分かるし、これは魔物を惹きつける系の臭いだ。あんた達全員からだから、何かしらの物に混ぜられてたんじゃないかい?」


 「……あれじゃないかな? 南東の露天市で貰った、あの甘い美味しい飲み物。あれが原因なんじゃ……」


 「でも、あれって飲み物じゃない。臭いって言ってるんだし、私達の体からする物じゃないよ?」


 「一応言っておくけど、飲むと体から香りがする物ってあるよ? それの所為なんじゃないかって私も思うけど、一度シャルに嗅いでもらったら?」



 ミクがそう言うと、<鮮烈の色>のリーダーであるファニスが竹筒のような物をバックパックから取り出した。蓋を開けて匂いを嗅ぎ、蓋を閉めてファニスの匂いを嗅ぐ。シャルが出した答えは……。



 「間違いないよ、こいつの臭いだ。その露天市の奴は何を考えてるんだい? こんな物を飲んで体から臭いを出してたら、襲ってくださいって言ってるようなもんさ。メチャクチャな事をするよ、本当」


 「クソッ! タダでくれるから怪しいと思ってたんだ、それでも少し飲んで体に影響なかったし、美味しかったから気にしてなかった。まさか、こんな事をしてくるなんて!」


 「最悪だけど、これって他国からの攻撃かな? ゴールダームに悪さする国って多いからね」



 そんな話をしつつ歩いて移動する一行。一ヶ所に止まって居ても、臭いで魔物が寄ってくるだけだからだ。



 「ここまで来たのなら、私達と一緒にボスまで行って倒した方が早いね。脱出するにも時間が掛かるし、ボス戦を終わらせ方が楽だよ。私達2人が居れば簡単に終わるだろうしね」


 『言い訳の元が追加されたー』


 『そうですけど、余計な事は言わないでおきましょう』


 「まあ、あたしは別にいいけど、そっちの4人は大丈夫なのかい? 結構疲れてるみたいだけどさ」


 「10階まで行くのは十分に可能だし、流石にそこまで柔な鍛え方はしてないよ。アタシは<鮮烈の色>っていうチームのリーダーをしてるファニスだ。ランクは8」


 「私はルッテ。ランクは7」


 「私はウェルドーザで、ランクは13です」


 「あたしはセティアン。ランクは8」


 「<鮮烈の色>っていうのは、ランクが高いんだねえ。アタシはシャルティア、ランクは2だよ」


 「私はミク、ランクは6」


 「いや、知ってる……っていうか、ランクがえらく上がってるね? 前に会った時にはランク2か3じゃなかったっけ?」


 「色々あったし、実績が足りないって言われてるから、何かの仕事をしたら上がるんじゃない? 依頼を熟すのって面倒臭いし、急いで上げずとも第5エリアの素材を持って帰ってたら上がると思うんだよね」


 「マッスルベアーとかスチールディアーとかだね。それらがエクスダート鋼の材料だし、結構な高値で売れるんだろ?」


 「そうなんだけど、あいつら別に言われている程には強くなかった。1度だけイラッとしたけど、それ以降は頭を突き刺せば終わる連中だからさ」



 そんな事を喋りながらも、ミクの右手でウォーハンマーが唸りを上げる。ちなみにシャルは短剣で戦っているので、メイスは唸りを上げていない。


 <鮮烈の色>のメンバーは初めて見たのか、ミクが振り下ろした際の「ドゴォン!!」という音にビックリしている。そして魔物の頭が潰れる事にも驚いていた。



 「いやいやいやいや、熟れた果物みたいに潰れてるんだけど? ウチのセティアンでもあんな事にはならないよ! どれだけのパワーで叩きつけてんだ!?」


 「うわー……、アレは酷い。信じられないほどに酷くて、生まれて初めて魔物に同情したよ。あんな死に方したくない」


 「私もそれは同感だけど、代わりに痛みとか無くて一撃で死ねるとも思う。それはそれで、死に方としては悪くないのかも。長々と苦しめられるよりは、良いかな?」


 「でも、残った自分の死体が無残な姿なのは、ちょっと……」


 「何か酷い酷いと言われるから、ウォーハンマーじゃなくてバルディッシュに替えよう。これなら酷くはない筈だし。っていうか、そろそろボス部屋だね」


 「おー、ようやくかー。悪いけど、少し休んでからボス戦を始めよう。流石にちょっと疲れたし、何か食べてから戦闘したい」


 「私も少し休憩して気分を変えたいところね。2人とも、休憩をとって良いかしら?」


 「あたしは構わないよ。ここまで来たら、後はボスを倒して終わりだしね。ボス扉前での休憩ぐらいで、ガタガタ言ったりしないよ」


 「私も問題ない。どうせボスをブッ殺したら、さっさと宿に帰るだけだし。時間的には余裕がある筈」



 6人はボス扉前で腰を下ろし、少しの間とはいえ休憩する。


 ミクがビスケット状の大麦パンや干し肉を適当に食べていると、シャルが欲しがったのでそれぞれの食べ物を渡す。ついでになのか、ミクの横にドンナも来たので適当に体の上に乗せてあげた。


 ドンナは体の上に乗る食べ物を溶かしつつ、独自の品評を始めるのだった。



 『これは駄目、栄養はあるけど味が悪い。こっちのお肉は微妙、乾燥してるのは仕方ないけど肉々しさが無い。チーズは良い感じ、元々保存食だからこんなもの』


 『思っている以上に、味覚というのは面白そうですね。私にとって美味しいというのは、おそらく栄養が豊富という事ですから、味覚があればもっと色々広がるのかもしれません』


 「ミクのブラッドスライムは普通なのに、シャルティアのブラッドスライムは食料を食うんだね? ウチのブラッドスライムみたいに寝てばかりとは違うし、それぞれ個性があるのは分かるんだけど、ちょっと不思議さ」


 「個性? って思うぐらい食べてるね。私達のもあげてみよう」


 『これ安物。でも大麦のパンより味はマシ! でも安物』


 『2度も言わなくてもいいでしょう。保存食って普通の食事より高い物も多いのですから、安く抑えるのは仕方ないのでは?』


 『そこにお金を掛けて美味しい物を食べるから、気分が良くなる。美味しい物を食べないと士気が上がらない!』


 「………」


 (なんで士気の話を始めたんだろう? それはともかく、栄養を取らないと戦場では病気になりやすいから、味だけで決めていいものじゃないんだけど……)



 言いたい事は分からなくもないし、正しいのだが……。分かる者には分かるこのグダグダな休憩は、あまりにもカオス過ぎないだろうか?。


 もはや休憩になっていない気がしてきたシャル。それはおそらく間違っていないであろう、シャルにとってだけは。


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