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0983・帝国終了と王国への移動開始




 Side:カルティク



 ミクが連れて来たダスガンド帝国の皇族の血筋の子。簒奪されたとしても、ミクの血肉で<超人族>に変わったとしても、この子達の親がダスガンド帝国の皇子と皇女である事に変わりは無い。私達がしっかり守ってあげないとね。



 「とりあえず出発の準備をしましょうか。私も片付けがあるから、少しの間待っててね」


 「うん」


 「私もエアーマットとか色々と片付けなきゃ。ミクは飲ませ終わったら片づけね。っていうか、そろそろ飲み終わりそうだけど」


 「この子もお腹が空いてたんだろうね。結構な飲みっぷりで良い事だよ。………よし、飲み終わった。それじゃベビーキャリアを使って準備するかな」



 ミクはベビーキャリアで赤ん坊を前抱きにし、空いた両手で色々と片付け出した。ミクの場合は子供を両腕で抱いていても、触手を使えば色々と出来るからベビーキャリアの意味はあまり無いわね。他人前では使えないけど。


 私も全て片付け終えたので、再びベルを抱き上げる。どうもお姉ちゃんという自覚はまだまだ無さそうね。下ろしたら不安がってたけど、抱き上げたら不安そうな顔をしなくなった。いきなり親から離されたから仕方ないとは思うけれども、親元に居させるのは無理だからね。


 部屋を片付けた私達は、最後にミクが【浄滅】を使ったのを確認し部屋を出る。宿の従業員は特に何も言わなかったので無視し、そのまま食堂まで移動して朝食を注文する。二歳だし<超人族>だから、おそらく大人と同じ物を食べられるだろうってミクが予想を立てた。



 「二歳なら気をつけなきゃいけない事とかあるかもしれないけど、私の血肉を得ている以上は細かい事は無視して大丈夫。そんな事で悪くなるほど柔な細胞はしてないし」


 「「「でしょうね」」」


 「むしろ当たり前過ぎる事でしょ。でなきゃ首から上だけ移植とか出来る訳がないし、実際にやった以上は柔じゃないでしょうよ。それはともかくとして、フィルは何だか暴れたいのかしら?」


 「そうじゃなくて色々と見てるんじゃない? 今まで見れなかったものが色々と見れるんだから、おそらく周囲に興味津々なんだと思うわよ。手足をバタつかせてるのもそれが理由じゃない? 元気な事は良い事でしかないわ」


 「そうね。元気が無いより元気がある方が良いに決まってる。それは間違いのない事実よ。……っと、料理が来たけど、食べられない物があれば無理して食べなくてもいいからね」


 「あい」



 返事が「うん」だけじゃなくなったわね。という事は、少しは心を許してくれたのかしら? それとも料理の方に集中して警戒が薄れた?。


 ……どっちにしても、このまま心を許してほしいわね。私達は育てる気だから、ずっと心を開かないのも困るわ。子供だから大丈夫だとは思いたい。


 食事を始めるんだけど、子供用の椅子が必要ね。今は私の膝に乗せて食べさせてるわ。まだスプーンとかを使えるかも分からないけど、次からは子供用の椅子を使って食べさせるべきね。そう思っていたら、ミクが子供用の椅子を取り出した。


 それを設置してベルに座らせる。ベルは私の膝から下りたくないみたいだけど、仕方ないわね。



 「ベルはこの椅子にお座りして、自分で食べましょうね。私達もそうやって食べてるでしょう? 大人になる為の練習よ」


 「れしゅー?」


 「そう。………こうやって食べていくのよ」


 「………こぉ?」



 ミクが出した子供用のスプーンとフォークで頑張って食べようとしてる。こうやって練習して大人になっていくんだけど、何度かやってる内に段々とコツを掴んできたみたい。何か普通の子供と比べて相当に優秀ねえ。



 「そうそう、上手く出来てるわ。ベルは上手ね」


 「あい!」



 褒められると嬉しそうにしている。こうやって子供は伸ばしていくべきね。すぐに叩く者とかが居るけど、あんなのは子供を駄目にする方法でしかない。敢えて自分の子供を悪く育てるって、間違いなくバカのする事よ。そういうヤツほど理解しないみたいだけど。


 それはともかく、褒められたベルは何とか頑張って食事を始めた。歯が生えていたから食事が出来るのは分かっていたけど、それがミクの血肉を得たからか元々からなのかは知らないのよね。おそらく生えていたとは思うんだけど。私子育てなんて全然知らないから分からないのよ。


 そんな考え事をしていたら食事も終わり、ベルは色々とベタベタに汚していた。そういえばこの子供服も、多分だけどファーダが買ってきた物よね? 流石にちょっと浮いてるけど、これはこれで仕方ないか。子供に肌触りの悪い物を着せる訳にもいかないし。


 ベルを抱き上げる前に【清潔】の魔法で汚れをしっかり落とし、それからベルを抱き上げる。すっかりお腹も満たされたからか、ニコニコしていて御機嫌ね。今まで多くを食べられなかったから当然でしょうけど。


 私達は食堂を出て、その足で帝都を出て行く。その道すがらミクに抱っこ紐というのを渡されたけど、こちらは本当に紐っぽい物だった。子供を固定できるらしいので着け方を教えてもらい、ベルを私の後ろでおんぶする形で着ける。


 ベルが喜んでるから良かったけど、二歳の子供もおんぶ出来るのねえ。なかなかに優秀な物だと思うわ。


 門番の前を通る時に気になったけど、昨日の門番は居なかったので今の内にさっさと通ってしまう。声を掛けられて面倒な取調べとかされても困るしね。昨日の門番だったら一発でアウトだったわ。


 帝都をさっさと出た私達は、ある程度の距離まで歩いて進み、そこからはバイクで移動を開始する。ベルはよく知らないものに跨るので驚いたみたいだけど、走り出したらキャッキャと喜び始めた。風が気持ち良いのでしょうね。


 そんなベルをおんぶしたまま、一路バイクはダスガンド帝国内を進んで行く。フィルが泣いたら止まり、おむつを替えたりミルクを飲ませたり。休憩の事もあるからちょうど良く、ベルも休憩の時には走り回っている。子供は運動するくらいでちょうどいいわ。


 とてとてと走るベルは色々な物に興味津々らしく、なかなかにアグレッシブね。将来はお転婆になりそうな気がしないでもないけど、それぐらいで良いのかもしれない。ベルを見てそんな感想を持ちつつ、休憩が終わったら進んで行く。


 途中の町で食事をしたりしながら進み、今日一日で西ガウトレアの第3東町まで来た。つまりウェルキスカ王国はすぐそこって事。流石はバイクと思うけど、随分と移動できたようね。やはり既存の移動速度とは違い過ぎている。


 コレが量産されても戦争には使えないから良いけど、改良されて燃費が良くなったら少々面倒な事になるかしら? ダスガンド帝国も善人だらけになっているから、誰かしらが皇帝の血筋に疑問を持つでしょう。そもそもダンジョンマスターが善人になってるしね。


 そこが今の皇帝に協力しなくなったら、おそらく皇帝の求心力は大幅に落ちるでしょう。野心家だけど優秀な皇帝かと思っていたら、単に裏でダンジョンマスターが助けていただけなんだもの。


 皇帝の血筋に関してはミクが「出来得る限り黙っていろ」と言っていたけど、これからの協力に関しては何も言わなかった。アレはダンジョンマスターの好きにしていいって事でしょうけど、善人が皇帝の椅子を簒奪した者に味方するかしらねえ……。


 そう考えると、正統な後継者の居ない帝国は瓦解すると思うわ。おそらく別の国に変わってしまうでしょうね。それが共和国なのか、別の者が立ち上がっての新たな帝国なのかは知らないけれど。


 でも、ダンジョンマスターが簒奪を決めた時に、おそらくこうなる事も決まってたんだと思うわ。


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