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0982・子供の説明




 Side:アレッサ



 アッテールク地方の帝都にて宿に泊まった次の日。朝起きると、ミクが子供を抱いていた。………もしかして子供を産んだ? いや、冗談だけどさー。それぐらいおかしな光景な訳よ。いったいどういう事?。



 「ごめんなんだけど、説明は皆が起きてからね。今説明しても二度手間、三度手間になっちゃうからさ」



 そう言ってミクはエアーマットの上に赤ちゃんを置いた。そのエアーマットの上には別の小さな子供も寝てるし、本当に何がどうしたらこうなるのかしら? ミクが子供ほしさにさらってくる事なんてある訳ないし、となると死にかけていた?。


 まあ、イリュとカルティクが起きたら分かるから、今すぐに聞こうとしなくても良いわね。その内に教えてくれるなら、その内で良いでしょ。別に一週間とか一ヶ月とか掛かる訳でも無し。


 子供達を見ていると、両方紅い髪で黄色い肌というか日本人と同じ肌ね。その肌色の人間種って多いけどさ。この星でも殆どがその肌色だから不思議には思わないけど、紅い髪って珍しいわ。綺麗な色をしてるけど、随分鮮やかな事。


 普通の赤髪ってもっとくすんでいるものだと思うけど、この子達の髪は紅と言えるほど鮮やかな色をしている。っと、ミクが鍋を取り出したわ、何か始めるのかしら?。



 「ちょっとお湯を沸かすだけだよ、何か飲む?」


 「そうね、紅茶をお願い」



 ミクがお湯を沸騰させるのを見つつ、私もボーッとする。お湯が沸いたら別の鍋に移し替えて、それから紅茶の茶葉を入れるミク。あのお湯はいったいどうするのかしら? そう思っていたら、ミクはそのお湯を冷まし始めた。


 それを見ていると、ある一定の温度まで冷ましたら、アイテムバッグから瓶? を取り出す。変な物が付いている瓶だけど、それを回して開けるとアイテムバッグから缶を取り出した。アレって何かしら?。


 ミクは缶を開けると、プラスチックのスプーンで中の物を瓶に入れている。何かの粉みたいだけど、それを入れてから中にお湯を注ぎ、終わったら蓋をして振り始める。シャカシャカ振って先程の粉を溶かしているみたいね。


 それが終わったらアイテムバッグに仕舞って、またもや同じ瓶を取り出したら先程と同じように粉を入れていく。何がしたいのか分からないけど、必要だからしているんだし、いちいち声を掛ける必要は無いか。二人が起きてくれれば分かるし。


 そう思っていると、エアーマットの上の赤ん坊が泣き始めたのでミクがすぐに近付く。そして赤ん坊のおむつを触って問題ない事を確かめると、先程作った瓶の先を咥えさせる。すると泣き止んだので、アレって子供に飲ませる物だったみたいね。



 「コレは粉ミルクで、いわば母親の母乳を模した物だよ。ガイアの日本に行ってファーダに買って来て貰ったの。この子はまだ生後4ヶ月だから、離乳食も食べられないしね。だから粉ミルクを飲ませる必要があるわけ」


 「という事はその瓶の先って乳首みたいになってるっていうか、そういう形だったのか。通りでおかしな物が付いてると思ったわ。とはいえ母乳の出が悪い人も居るって子供の頃に聞いたし、そういう人にとってはありがたい物なんでしょうね」


 「そうでしょうね。何故ミクが赤ちゃんに母乳というか粉ミルク? っていうのを与えてるのかは知らないけど」


 「おはよう。何処かで拾ってきたんじゃないの? わざわざミクが拾ってくるぐらいだから、完全にワケアリだとは思うけどね。というより、何も無い子供を連れてくるなんてあり得ないでしょう」


 「おはよう、イリュ、カルティク。二人が起きたから説明するけど、まずはこれを読んでほしい」



 そう言って、ミクは触手を使ってアイテムバッグから紙を取り出した。何故紙なのかと思ったけれど、そこには衝撃的な事が書かれていて驚く。この事が事実なら、この子供達は正統なダスガンド帝国の皇族じゃない。そのうえ、おそらくだけどこの子達で最後でしょ。



 「間違いないね。わざわざ幽閉された塔の上で、皇子と皇女が産んだ子供だよ? この子達が最後のダスガンド帝国皇帝の血筋だよ。そして皇子と皇女は私達が行った時には既に餓死していた」


 「最悪ね……! 皇位を簒奪しただけでは飽き足らず、正統な血筋を飢え死にさせるって何を考えているのかしら!」


 「皇帝は女どもに<ヴェノム>の薬を使って遊んでたね。その奥にある塔で本物の皇族が飢え死にしていたにも係わらず、誰も見ないフリをしてたんだろうさ。この子達まで飢えで死にかけていたからね。だから私が助けたんだよ」


 「よくやったわ! この子達は私達が助けるべきよ。ミクが行くまで生きてたって事はそういう事でしょ。そもそも何千年も生きる私達からすれば、この子達が成長するまでなんてあっと言う間よ」


 「この子達は内臓なんかもボロボロで、私の血肉を与えないと生き延びる事は無理だったよ。本体が血肉を与えた結果、<超人族>という種族に変わったけどね。ま、些細な事だよ、些細な事」



 ……それは全然些細な事じゃない気がするんだけど、考えたって無駄か。この子達の内臓がボロボロだったって事は、おそらくいつ死んでもおかしくなかったんだろうしね。それを考えたら、この子達が生き延びる方法はそれしかなかったんでしょう。


 その結果が<超人族>とかいう種族になる事だったというだけ。なーに、おそらく普通の人間種より、ちょっと優秀なだけでしょ。……ちょっとで済めばいいけど、気にしても無駄か。


 そう思っていたら、エアーマットで寝ていた方も起きたみたい。いきなり周りをキョロキョロし出したけど、起きたら場所が違うから慌ててるのかしら。カルティクがいきなり抱き上げたけど、子供はビックリしているわね。



 「どうしたの、キョロキョロして。何か珍しい物でもあった?」


 「……パパ、ママ」


 「ああ、パパとママは残念ながら死んでしまったんだよ。今日からは私達がママだね。貴女の名前はベルホープ。だから私達はベルと呼ぶよ。宜しく、ベル」


 「………ママ?」


 「そうよ、これからは私達が新しいママね。私はイリュディナよ、宜しく」


 「私はアレッサね」


 「そして貴女を抱いている私がカルティクよ。宜しく、ベル」


 「………うん」


 「普通の二歳に比べて妙にしっかりしてるけど、これもおそらく<超人族>になったからだろうね。【器用な肉体】【回復力強化】【治癒力強化】【記憶力強化】のスキルを得てたから」


 「どんだけよ、どんだけ。それって子供の内から得ていたら、スーパー赤ちゃんになっちゃうじゃん。いや、良い事なんだけどさ。っていうか【記憶力強化】が地味に凄いと思う」


 「それだけじゃなくベルは【鑑定の魔眼】、フィルアラーンは【読心の魔眼】を持ったよ。二人とも魔眼の使い方を教えなきゃいけないね。まあ、その内に発動して勝手に覚えるとは思うけど」


 「魔眼能力者とは凄いわね。なかなか居ない特殊能力者だけど、便利そうなものを持ってるじゃない。二人はベルとフィルね。フィルは男の子? 女の子? 名前から男の子だと思うけど」


 「そうだね男の子だよ。おそらく皇帝になれるようにって二人目を産んだんだと思うんだけど、そういう結果になっちゃったって事だと思う。無念だろうね」


 「生きていれば良いわよ。死んでしまうよりは生きている方が絶対に良いし、この子達の親も喜ぶでしょう。私達の手で育てるのなら、本当の意味で超人になるだろうしね」


 「何処まで教える気よ、何処まで」


 「望むのなら何処まででも教えてあげるわよ」



 イリュの場合、本気で色々と教えそうだから怖いわよねー。


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