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0978・アッテールク地方・北西町と北町




 Side:アレッサ



 アッテールク地方に入ったわたし達はどんどんと進んで行く。ここには二ヶ所の侯爵家の領地と、後は皇帝直轄領しかない。だから一気に進んで行き、今日は片方の侯爵領を越えて、もう一つの侯爵領で休む。理由はこの地方が狭いからだ。


 既にファーダが多少先行する形で村を善人化しているぐらいなので、先に進んで行っても余裕で間に合う。帝都に時間が掛かりそうなので、むしろ侯爵領は手早く移動して済ませる事にした。


 バイクで進んでいき、町の近くまで来たら降りて収納。そして侯爵領の町へと入った。中で情報収集をすると、ここはアッテールク地方の北東町らしい。そしてこの町こそが、フィルデスタ侯爵家の領都なのだそうだ。つまりウェルディの実家ね。



 「リュートシア伯爵家の先代が嫌っていたけど、アレはアレで嫌い過ぎだし、<ヴェノム>に渡りをつけてリリベルをそそのかしたのも先代だった。とにかく女癖の悪いヤツの血が入ると穢れるとか言ってたね」


 「言いたい事は分からなくもないけど、そんな程度の事でリリベルをそそのかして息子の妻を殺そうなんて、どうかしてるわね。そもそも女癖の悪い貴族なんて山ほど居るし、リュートシア伯爵家の祖先にも居るでしょうにね」


 「貴族って当たり前のように女癖の悪いのが出てくるものねえ。そこの一族にだって一人や二人や三人ぐらい、女癖の悪い祖先が居た筈よ。単にフィルデスタ侯爵家が気に入らなかったんでしょ」


 「何が理由かは知らないけど、相当に嫌ってた事だけは間違い無いね。本当に蛇蝎だかつの如く嫌ってた感じだし、自身よりも上の地位の家なのに見下していたよ。そこまでだから何かあるんだとは思うけどさ、ノノも聞く気が無くなってさっさと善人化したぐらいだった」


 「そこまでだったのね。とはいえ伯爵の寝室での態度を見るに、むしろ納得しかないけども」


 「さっきから見てるけど、この町も特に他の町と違いは見られないね。帝都が近い割には、と思わなくもないけどさ」


 「でも、特色作りもせずに、ただ町を治めてるだけならこんなものじゃない? 帝都に近いのに他の町と変わらないって、それだけで恥なんだけど、そう思わなければ多分こんなものよ?」


 「国の中枢近くでコレだものねえ、変わり映えしないというのは確かにそれだけでマイナスよ。まだ南ガウトレアの中央町の方が、カジノという特色があるだけにマシでしょうね。何か作ればいいのに」


 「何を作るんだと聞かれたら、それはそれで困るけどね。とはいえそれは為政者が考える事で、私達が考える事じゃないんだけどさ。それこそ銃火器メーカーを優遇して、一同に会する町にするとか?」


 「銃が全て揃う町って良いわね。いちいち小銃の弾や狙撃銃の弾を探さないで済むし、そこに行けばあらゆる種類の銃が買えるんでしょ? 確かにそういう町があればと思うけど、それは中枢近くには要らないわね。あって便利なのは地方でしょ」


 「どうやらこの町には見るべきものは無いみたい。さっさともう一つの町に行こう。この町に居る意味は無いよ」



 ミクもそう言うくらいなので、さっさと町を出たわたし達は西へと進んで行く。このアッテールク地方には北東町と北町、そして帝都の三つしか町がない。村ならそれなりにあるんだけど、町は三つなのよ。おそらくワザとだと思うんだけどね。


 侯爵2人と皇帝の町しかない事で、権威を上げるとか多分そんな感じなんでしょう。帝都自体が大きいし、アッテールク地方が小さいから問題は無いんだろうけど、町が三つって物悲しい感じがするのは気のせいじゃないわよねえ。


 まあ、帝国の方針がそれだから仕方ないんでしょうけど……ちょっと嫌な事を思いついたわ。もしかして皇帝が良い気分に浸る為、ワザと大して見た目の変わらない町にさせてるんじゃないでしょうね。


 皇帝の居城がある帝都より目立つと危険だから、大人しく地方の町と変わり映えのないようにしている。そういう可能性は十分にあると思うのよ。カジノの町は裏から皇帝にお金が渡っているから許されてる、とか普通にありそうだし。


 下らない事を考えてたら、もう一つの侯爵家の町に着いたわね。バイクを降りて収納し、わたし達は町に入っていく。ちょうどお昼前だしタイミング的には良かったかな? さっさと入って食事にしよう。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ファーダ



 今日からアッテールク地方の善人化だが、昨日は一部とはいえ村の幾つかを善人化している。おそらくだが、今日で一気に帝都以外の善人化が終わるだろう。これでダスガンド帝国の善人化は殆ど終わった事になる。


 もちろんこれからも善人化は続けるのだから、まだこの惑星の少しの部分が終わっただけだ。更にウェルキスカ王国の東ガウトレアも終わってないからな。帝国が終わったら、そっちに掛からねばならん。が、今は目の前の奴からの情報収集が先か。



 「それで、何故お前は子供を生んだメイドを捨てたのだ? その結果、その娘はウェルディに対して歪んだ復讐を行い死に掛けたのだぞ」


 「そんな事は知らぬ。そもそも手切れ金を渡してやったのだから、それ以降ワシには関わりの無い事ぞ。娘? そもそも庶子などワシの子ではない」


 「ならば何故庶子を作った。お前が手を出さねば庶子が産まれる事など無かっただろう。庶子が産まれたのはお前が手を出した所為だ、違うか?」


 「………」


 「しょせんは答えられん程度か、下らん。コイツもリュートシア先代伯爵も変わらんな、他者を見下す割には己は甘ったれな程に甘やかす。無様だと思わんのか」


 「リュートシアの先代だと? あの小僧めが、ワシの妻に懸想しておっただけではなく、ワシを見下しておったのか! 許せん!」


 「……成る程、それでリュートシアの先代はあそこまでフィルデスタ侯爵を嫌ってたのか。何となく分かったが、心の底から下らんとしか思えん。お前も、もういい。さっさと消えろ」



 俺はさっさと善人に書き換えてしまい、侯爵を眠らせておく。それにしても下らない話でしかなかったな。リュートシア伯爵の好きだった女が、フィルデスタ侯爵の妻か。


 ある意味で女を取られた形なのだろうが、そもそも貴族の婚姻は政略結婚だ。相手の家も伯爵家と侯爵家なら、当然のように侯爵家を選ぶだろう。そんな事は当たり前の事でしかない。


 ………うん? ウェルディは嫌いな侯爵と懸想した侯爵夫人の血を引いているんだよな? 何でリュートシアの先代は殺そうとしたんだ? 少なくとも侯爵夫人の血を引いている筈だろうに。


 それでも憎むくらいフィルデスタ侯爵の血が許せなかったのか? それとも侯爵夫人をないがしろにして女遊びを繰り返す侯爵が許せなかったか。……懸想していた相手が侯爵夫人なら、許せんという可能性の方が高そうだな。


 どのみちウェルディにした事は許されぬ事だし、リュートシアの先代が下らぬ事をせねば、リリベルは侯爵を直接狙っていたかもしれん。どのみち侯爵も同じだが、コイツらが揃って悪人な事に変わりはない。


 そういう意味では似た物同士ではあるな。だからこそ嫌い合っているのかもしれんが。……さて、全て終わったので次に行くか。さっさと帝都以外を終わらせねばならん。無駄な時間など使っていられんし、帝都の近くにはダンジョンがある。


 そこも調べねばならん以上、悠長にしていられんからな。


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