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0975・リュートシア伯爵家




 Side:イリュディナ



 相変わらずの貴族に呆れながらも、私達は第2東町で宿をとる。面倒をかけてくるなら第2東町を出るつもりだけど、今はここで宿をとってゆっくりと過ごしましょうか。ミクには何か理由があるみたいだけど……。



 「中央町のカジノのオーナー、つまり<ゴート>のダスガンド方面幹部が、ここの伯爵に対して<荒野の鷹>をけしかけていたって言ったでしょ」


 「そういえばそんな事を言ってたわね。でも、それがどうしたの?」


 「<荒野の鷹>はリュートシア伯爵家の領地の村を幾つか襲って壊滅させている。更に言うと、<荒野の鷹>の連中は全て薬物中毒者なんだってさ。薬で縛って暴れさせる為の盗賊らしいよ」


 「何て事を……。薬欲しさに虐殺し、都合よくクズに使われてるって訳ね。もしくは元々からしてクズなのかしら?」


 「薬を使って中毒にすれば、幾らでも補充出来る。みたいな事を言ってたから、スラムとかそういった所のヤツを加えてたんじゃないかな? 銃という玩具を与えればいいとも言ってたし」


 「<ゴート>って本当に碌でもないわね。ここダスガンド帝国の<ゴート>が特筆して悪いのかもしれないけど、どうせその薬物も<ヴェノム>から買った物でしょうし、本当に碌でもないのが入り乱れてるわ。この星」


 「つまり私が懸念しているのは、再び<荒野の鷹>がこの町を襲うかもしれないって事。だから今日はこの町に泊まるんだよ。何かあっても対処出来るように」


 「……カジノのオーナーの男がウェルディに目をつけたから?」


 「そう。ファーダが善人化する前に指示を出していたら、今日か明日くらいに襲ってくる可能性がある。ファーダも<ゴート>の幹部だったり皇帝との繋がりは聞いたけど、<荒野の鷹>に襲わせる指示を出したかどうかなんて聞いてないからね」


 「成る程ね。確かに懸念が現実になる可能性は否定できないわ。ミクが善人化したにしても夜の筈だし、それまでには時間があったんだもの。欲深いヤツなら指示を出していても不思議じゃない」


 「とはいえ、ウェルディが伯爵夫人だと知ったのはファーダからだから、おそらくは大丈夫だと思うんだけどね。ただしどういう命令かは分からないけど、指示が出ている可能性は否定が出来ない」


 「ここの伯爵は南ガウトレアで唯一町を3つ持ってる貴族だし、なにやら攻撃を受ける理由がありそうよね。嫉妬から<ゴート>に依頼した貴族とか居そうだし、そういう争いってよくあるじゃない?」


 「貴族あるある過ぎて笑いそうになるわね。アルデムでもそうだけど、バカバカしい事をし過ぎなのよアイツら。だからこそ下らない末路を辿ったりするんだけど」


 「今は軒並み病気で死んだから、余計な事は出来ないしね。まともな者だけ残り、罪を犯そうとしたヤツは病気で死んでるでしょ。それにエルフどもは滅びてるしね。アレが一掃されても納得しかなかったけど」



 そんな事を話していると、ドアがノックされた。わざわざ訪ねてくる者なんて居る筈ないんだけど、と思っていたら宿の従業員だったわ。



 「すみません。お客様を訪ねてきておられる方がいらっしゃるのですが……」


 「貴族の使いだったら会う気は無いよ。帰ってもらって」



 ミクがそう言ったにも関わらず「ガチャッ」と扉が開き、数人の兵士のような連中が入ってきた。どうやら随分とこっちを舐め腐ってくれてるじゃない。どうやらこちらと争う覚悟があるようね?。



 「貴様らには伯爵様を撃ち殺そうとした嫌疑が掛けられている! 大人し「鬱陶しい」くしろ!!」



 ミクが一言を発した瞬間。バタバタと倒れる兵士達。ミクの本質を受けて気絶したみたいね。呆れた溜息を吐いた私達は、さっさとこの町を出て行く事にして宿を出る。やはり貴族はクズしか居ないみたいね。


 宿を出て町の外の方に向かっていると、後ろから馬車が走ってきた。まだ鬱陶しい事をするのかと思っていたら、どうやらウェルディだったようね。



 「お待ち下さい! お願いします、止まって下さい!!」



 ミクが面倒臭そうにしつつ止まると、ウェルディは止まった馬車から降りて来たけど、周りの連中が私達に対して悪意を向けて来ているわね。こちらに手を出して来たら即座に殺せばいいか。


 私達がそう思っていると、慌てたウェルディが私達に謝ってきた。



 「申し訳ありません! 皆さんに対して何かしようと思っていた訳ではなく、ちょっとした行き違いがあっただけで」


 「へぇ、行き違いねえ……。何故か私達が伯爵を撃った事になってて、兵士が私達を捕まえに来たけど、それが行き違いだとは驚きだ」


 「えっ? ……そんな事は知りません! それに夫もそんな命令を出したりなどしていません! いったい何故そんな事に!?」


 「知らないわよ。私達は門番が撃った銃弾をかわしただけ。そもそも私達を狙って当たる筈が無いってのに、撃った阿呆が悪いのよ。それに運悪く当たったところで私達は一切関係無いじゃないの。頭が悪いのかしら」



 私がそう言うと、ずいぶんな悪意と敵意がこちらに向いてきたわね。面白いわ、いつ爆発するのか楽しみよ。その瞬間、皆殺しにしてやりましょう。



 「貴方達、その態度を止めなさい! 皆さんが言う通り、撃ったのは門番であって皆さんでは無いでしょう! いい加減になさい!!」


 「「「「「………」」」」」


 「貴族ってコレだから嫌いなのよね。貴族家で雇われてるのも一緒だけどさ」


 「なにっ!?」


 「私達が今まで何度見てきたと思う? お前達のような頭の悪いのをさ」


 「貴族家で雇われているといっても、雇われているだけで貴族家とは何の関係も無いのよね。元下級貴族の家の生まれであっても、しょせんは雇われでしかない。にも関わらず、自分が貴族になったかのように振舞う。唯の雇われの分際で」


 「そのうえ、貴族が止めろと言っているのに止めないという頭の悪さ。雇ってくれている貴族の顔に泥を塗っているのに、それにさえ気付かない。いったい何様のつもりなんでしょうね?」


 「「「「「………」」」」」


 「ここまで説明されないと理解しないって話にならないんだけど……? 既に大恥晒してるって気付いてないから、あんな態度がとれたのよねえ? リュートシア伯爵家って、随分と質の悪い者しか雇えないのかしら」


 「「「「「………」」」」」



 私達の言葉が理解できたからか、ようやく自分達が何をしていたのか、そして自分達の立場の悪さが分かったみたいね。ウェルディも若干驚いているのは何故か知らないけど。それはともかく、ミクは話を聞くみたい。



 「で、私達を呼び止めたのは何? 何か用があったから呼び止めたんでしょ?」


 「そうです! 門番が撃った弾が夫の胸に当たってしまい……。お願いです、夫を助けて下さい!」


 「私がウェルディを助けた時の事を覚えてる? どうやって助けたかは聞くな、聞くなら置いて行く。そう言ったよね? あの伯爵は助けた方法を聞いてきた、だから私が助けてやる義理は無いんだよ。更には宿にまで来て、無理矢理に罪をでっちあげる始末だ」


 「それは本当に夫ではないんです! 何故そんな事になっているのか分かりませんし、兵士が何故勝手な事をしているのかも分かりません。少なくとも夫はそんな命令は一切出していません。そもそも撃たれた後から苦しんでいるだけで、そんな事はできませんし」


 「そうなると伯爵家の誰かが勝手に指示を出してるんじゃない? 私達にとっては事実だし、それが全てよ。そんな事をする奴等を助けようなんて思わないわね」



 というか、助けてもらえると思う方がおかしいでしょうに。


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