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0973・情報共有と雑談




 Side:ミク



 カジノで遊んだ次の日の朝。ウェルディやマグヴェルが起きる前にアレッサ達を起こし、【念話】を使って情報を共有しておく。流石にマグヴェルはともかくとして、ウェルディには聞かせられないからね。伯爵に伝わっても面倒だ。



 『昨日ここの侯爵とカジノのオーナーを善人化したんだけど、金が集まる町だからか面倒な事になってたよ。まず先に言っておくと、侯爵は<栄光の大帝国>の総帥で、カジノのオーナーは<ゴート>のダスガンド方面幹部だった』


 『………いきなり? しかも内容が濃くない? ……とりあえず一つずつお願い。いきなり両方のトップがそれぞれの組織の総帥と幹部って言われても、ちょっと飲み込み辛いかな』


 『まずは侯爵からね。こっちは領地の売り上げを帝国に注ぎ込み、何としても大帝国を復活させたいみたいだったよ。昨日ファーダが善人に変えたけど、その際に聞き出してきてる。まあ、都合よく使われていただけの人物だったね』


 『都合よく?』


 『皇帝にもカジノのオーナーにも都合よく使われている、裏を何も知らないバカって言えば分かるかな? 本気で大帝国の復活を考えていて、帝国に色々捧げる都合のいい駒。カジノのオーナーからすれば、表向きの報告書だけで騙されてくれる能無し』


 『成る程、カジノの売り上げは正しく報告されていないって訳ね。普通はそういう所をきっちり調べるものなんだけど、それすらせずに都合よく利用されるとは……。でも帝国にとっては売り上げを誤魔化されているバカなんじゃないの? 侯爵が甘くても帝国は甘くないでしょ』


 『カジノのオーナーも皇帝とくっついてる。だから帝国としては何の問題も無いわけ。表の侯爵が騙されていても、裏でオーナーと皇帝が繋がっているなら帝国が騙されている訳じゃない。ついでに裏から自由に出来るお金が入ってくる訳だしね、皇帝に』


 「そりゃ目を瞑るか。皇帝っていったところで、自分の自由になるお金は欲しいでしょうしね。それに騙されている侯爵が悪いんだし、最悪はそっちを切り捨てれば済むでしょ。少し爵位を落として叱責すれば済む程度だろうし」


 『カジノのオーナーの方が二枚か三枚上手ねえ。でも昨日見た、下卑たオッサンがそうでしょ? アレが<ゴート>のダスガンド方面幹部とは思わなかったわ。妙なところから伏兵みたいに現れるじゃない』


 『誰に対する伏兵かはともかく、ウェルディの事で<ヴェノム>が出てきたと思ったら今度は<ゴート>? どこでも出てくるわね。広域盗賊団だから仕方ないのかもしれないけど、それにしても出て来すぎじゃない?』


 『<スコーピオン>は<ハードバレット>社だと分かっているけど、それ以外はサッパリだものねえ。カジノのオーナーもダスガンド〝方面〟幹部だしね。となると<ゴート>のトップは帝国には居ないわね』


 『それでも<スコーピオン>が終わるのは確定なんだから良いじゃない。後は現地の<スコーピオン>をかたっている連中を善人化していけば終わる話よ。それに大元が失われれば徐々に瓦解していくでしょ』


 『それはそうでしょうね。元々の<ハードバレット>社が手を引くんじゃ、後は現地の奴等の犯罪でしかない。ハンターだってバカじゃないんだし、そのうち掃討作戦でも行われるでしょ。人数を掛ければ倒せるでしょうしね』


 『そもそも本物の<スコーピオン>以外は、数頼みのチンピラでしょう? だったらそれ以上の数で潰せばいいだけよ。誰かリーダーシップを発揮する者が現れれば、後は潰されて終わるでしょうね。そこまで強力な訳でも無いんだし』



 ちょっと話がズレてるから戻さなきゃいけないんだけど、そろそろマグヴェルの食事を作らないといけないね。鍋に水を入れて……っと。



 『話を本筋に戻すけど、カジノのオーナーは貴族に手を出していたよ。ウェルディが伯爵夫人だと言っても、<荒野の鷹>をけしかけていた伯爵だからと言っていたくらいだからね。それと薬物を使って貴族女性を中毒にしていたみたい』


 『碌な事をしないわね。しかもその薬物って<ヴェノム>が売り捌いてるヤツでしょ? 本当に広域盗賊団は碌でもない連中ばかりよ。もしかしなくても<スコーピオン>が一番マシなんじゃないの? アレもハンターを襲うけどさ』


 『確かに言われてみればそうね。<ヴェノム>は危険な薬物の供給源だし、<ゴート>は村や町でも関係なく一般人を襲う。<スコーピオン>はダンジョンでハンターを襲ってるけど、一般人を危険に晒さないだけ<スコーピオン>の方がマシだわ』


 『さっきも言ったけど、どうやらリュートシア伯爵家の領地では<荒野の鷹>が暴れているみたい。今も居るのかは分からないけど、薬物中毒者の群れである<荒野の鷹>は確実に全滅させる』


 『それはね。潰しておかないと碌な事にならないわ。これからも犠牲者が増えるだけだし、生かしておく価値も無いもの。ゴミどもは徹底的に処分しないとね』


 「びぇぇぇぇぇぇん!!!」


 「あら、ミクが具材を煮込み始めたから起きたみたいね。ウェルディが起きる前に泣き止んでもらいましょうか」



 イリュがマグヴェルを抱き上げておむつを外していき、手早く【清潔】を使って綺麗にしつつ履き替えさせる。綺麗なおむつに替わったからかマグヴェルは泣き止み、ノノの方に手を伸ばしてバタバタしている。


 ノノは仕方なくマグヴェルに近付くと、マグヴェルはノノの体をベタベタ触り始めた。どうやら初めての感触に興味津々らしく、毛を掴んで引っ張ったりしている。


 普通の猫なら痛みで騒ぐのだろうが、ノノがそんな程度で痛みをじる筈などなくジッと見ているだけだ。マグヴェルも気にせず触ったり引っ張ったりしていたが、飽きたのか今度は鍋の方に手を伸ばす。


 流石に熱いから触らせられないし、もうすぐ出来上がるので適当にイリュが気を引いてくれている。その隙に完成した離乳食を冷まし、私がマグヴェルを受け取って食事をさせていく。


 アムアムとご機嫌に口にしつつ、モグモグとして食べていく。その途中でウェルディが起きたが、まだ覚醒していないのかボーッとしている。遅くまで起きていた訳でもないのに、今日は寝起きが悪いらしい。



 「あむ………だぁ、あんむ」


 「朝からガッつくぐらい食べてるけど、これぐらい豪快な方がいいわね。食が細いよりは良いし、たくさん食べないと大きくなれないもの。男の子なんだから、まずは大きくなるのが先決でしょう。大きくなったら運動するんだし、そうすれば痩せるわよ」


 「そうだけど、あんまり太るような食事もしてないから程々に育つんじゃない? 体だけ大きくなっても悪そうだから、俊敏な感じが良いと思うわよ。そっちの方がモテそうじゃない?」


 「どうせ貴族なんだから家と家同士の結婚でしょ? もちろん見た目が良い方がモテるでしょうけど、婚姻は別の問題だからねえ。とはいえ伯爵家なら同ランクより下は自由に選べるからマシか。男爵家とか大変らしいし」


 「底辺貴族はそりゃ大変でしょうよ。大きな商家に嫁ぐ場合もあるって聞くし、男爵家じゃ流石にねえ。貴族との婚姻を絶対に考えなきゃいけないのは子爵家からだから、そっちもそっちで大変だと思うけども」


 「子爵家の場合は、極稀に皇帝陛下の側妃か愛妾に選ばれる事もありますよ?」



 何故かボーッとしながらもウェルディが答えた。マグヴェルを見ながらも、私達の話は聞いていたらしい。


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