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0969・カジノでの遊び その3




 Side:アレッサ



 わたしは今回のゲームに参加していないから後ろでゆっくり見ていられるけどさ、今回のゲームは酷いね。何と言ってもウェルディが酷い。イリュとカルティクは誤魔化すように8勝5敗とか9勝4敗なのにさ、ウェルディだけ2勝11敗だよ。


 10ダルチップだったから良かったものの、あまりにもボロ負け過ぎるでしょ。最初の勝ちはなんだったのかと言いたい。あそこまで負ける事もまた難しい筈なんだけどね? ある意味で凄いし、わたしは評価する。負けは負けだけどね。



 「こ、ここまで負けるなんて思ってもみませんでした。もうやりません」


 「ま、まあ良かったわよ。10ダルチップだったんだしね。私達みたいに100ダルチップだったら酷い負けになってたんだから、10ダルチップの負けなんて取り戻せるでしょ」


 「そうそう。誰でもそうだけど、苦手なゲームってあるからね。そういうのはやらないに限るわ。次の遊戯台に行きましょう。流石に下手なゲームに手を出すべきじゃないわ」



 ディーラーのお爺さんも流石に何も言えないみたいね。適当に出してもここまで負けるようなゲームじゃない。ディーラー側だってギリギリで勝つ事によって客を惹き付けなきゃいけないのに、あそこまでボコボコだと何も言えないわよねえ。


 ある意味でディーラーとしては失敗だけど、これはどうにもならないし諦めるしかないわね。わたし達のチップをここで回収するのは難しいわ。ゲームとしては面白いんだけど、ギャンブルとしては難しい感じ。


 わたし達は凹むウェルディを連れて次の遊戯台へと向かう。そこでわたし達が見たのは、まさかのサイコロ賭博だった。これ、ガイアの日本では<チンチロリン>って言うんだったかしら? サイコロの出目で勝負が決まる、分かりやすいゲーム。


 <チンチロリン>と違うのは丼にサイコロを入れるのではなく、ちゃんとした台にサイコロを放るという事ね。ルールが凄くシンプルで、出目が大きい方が勝ちという大変分かりやすいゲームだ。


 ここも客の数が多く、その理由は自分でサイコロを振れるからだろう。掛け金は勝った者が総取りできるシステムのようで、ディーラーは管理しているだけでゲームはしないみたい。客同士の戦いみたいね。


 さっきから勝ったり負けたりを繰り返しているけど、使ってるサイコロが9面体なので結構転がるわね? とはいえサイコロにイカサマはしていないわ。何故なら全員が同じサイコロを使うからイカサマできないというべきかしら?。


 だからこそ客が多く集まっているのかも。とはいえ6面体サイコロならまだしも、9面体サイコロで狙った数字を出すのは難しいから、このゲームはかなり運の要素が強いわね。それでも、ミク、イリュ、カルティクならイカサマできるけど。


 イリュとカルティクなら空間と闇影の力でサイコロを自在に止められるし、ミクの場合は透明の触手を使えばいい。堂々とイカサマが出来るというのは凄いけど、実際に出来る以上はどうにでも出来てしまう。


 まあ、わたし達は無理に勝つ必要は無いから、実際には損さえしなきゃ何でも良いんだけどね。ここから勝って出て行ってほしくなきゃ200ダルを返せと言えば済むからさ。ただしカジノの信用はガタ落ちだろうけど。


 見ていても面白そうには思わなかったのか、ウェルディはスルーして次の遊戯台に進むみたいね。簡単なルールのゲームだったけど、イマイチ合わないんでしょう。ウェルディが納得できるゲームを探せばいいわ。


 次の遊戯台は……ハイ&ローか。カードの山からディーラーがカードを取っていき、次のカードが前のカードと比べて数字が上か下かを当てるだけ。これも実にシンプルね。ただし客が賭けた後にカードを引くみたい。


 これは駄目だわ。シンプルにディーラーが好きに操作できるゲームじゃない。何処にどのカードが入ってるか分かれば、ディーラーは好きな数字を取り出せる。それにディーラーの前のカードの山は四つだし、変な置き方をしてあるのよねえ。


 どう考えても何か仕込んでますよと言わんばかり。にも関わらずウェルディは挑戦するみたい。好きにすればいいけど、ゲームの骨子ぐらい理解しなさいな。これは客から回収する為のゲームよ。


 ウェルディはハイだローだと賭けていくけど当たる事は殆ど無く、どんどんとチップが溶けていってるわ。更に熱くなっていくと、どんどんとチップが熔けていく。残念だけど、ギャンブルに勝てるタイプじゃないわね。


 いつの間にか100ダルチップ1枚になるまで負けてしまい、遂に怒って席を立ってしまった。流石にディーラーもやりすぎたと思ったのか「しまった」という顔をしているわね。そしてわたし達の顔を見てるけど、わたし達は全員が呆れた顔で見てる。


 そのわたし達の表情で悟ったのか、ディーラーは頬を引き攣らせていた。このゲームがチップ回収ゲームで、お前が焦ったカジノ側から命じられているのは分かってるっての。そういう思いを込めて呆れた顔をしてあげたわ。


 わたし達は怒るウェルディを宥めつつ、次の遊戯台へと向かう。その合間にも怒っているので、小声で事情を説明する。



 「あのゲームはね、チップを賭けた後にディーラーがカードを取るの。逆に言えば次のカードが何か知っていれば、ハイかローかは自在に操作出来るのよ。ウェルディだけあんなに負けたって事は、そういう事」


 「つまり、私だけが負けるようになっていたと?」


 「と、言うより、あのゲームはチップ回収ゲームよ。私達は少々勝ち過ぎてる、だから私達からチップを回収しろと裏から命じられているわけ。とはいえ普通はもうちょっと勝ち負けを経て減らすんだけど、ウェルディだけ狙い撃ちのように負けさせたからね。あのディーラーの腕の悪さには呆れたわ」


 「あー、ぶ、だー!」


 「あらあら、マグヴェルもウェルディが負けて怒ってるみたいね。とはいえゲームを見て気付けなかったウェルディの落ち度でもあるわ。その前のサイコロのゲームの方が、まだディーラーの腕が入る余地が無い分だけマシだったのよ」


 「サイコロを振るだけ、だからですか……」


 「そうそう。サイコロを振るだけなら誰にだって勝つチャンスはあるわ。あのサイコロは9面体だったし、全員が同じサイコロを使うから条件は平等だしね。サイコロにイカサマを仕込む事もできないわ」


 「重量バランスを変えれば、ある目だけを出しやすく出来るんだけど、全員が同じ物を使う以上はしても意味が無いのよ。だからディーラーも管理しかしていないし、客同士の争いになってるわけ」


 「もしかしたら客の中にカジノ側の者が居るかもしれないけど、あのゲームでイカサマは難しいわね。出来るとしたら純粋な技術だけよ。9面体のサイコロを振って、9が出せるように練習するくらい」


 「それでも出来る奴は居るでしょうけどね。そもそもカジノってそういうものだし、基本的にギャンブルは胴元が必ず勝つように出来てるのよ。つまりギャンブルは楽しむものであって、お金を手に入れようとしては駄目なの」


 「もしくは勝った段階ですぐに退く事ね。撤退のタイミングさえ間違えなければいいんだけど……」


 「たいていのヤツはお金に目が眩んで突っ込むのよね。そして大敗して終了ってトコ」


 「ま、とりあえず次の遊戯台では。もうちょっと冷静になりましょうか」


 「はい……」


 「だーう、ばぁ、う、う!」



 何が言いたいのか分からないけど、微妙に励ましてる気がするわね。まあ、凹んででも冷静になれたから大丈夫かな。


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