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0965・一日の終わりと移動




 Side:ミク



 食堂での食事を終えて、宿の部屋に戻ってきた。こちらに悪意を向けてくる者などらず、後ろをついてくる者も居ない。そして宿の者からも悪意を感じていないので、とりあえずは落ち着いた。


 その事を皆に報告すると、イリュとカルティクからも同じ答えが返ってきた。その事にウェルディが驚いているけど、私達にとってはそこまで難しい事でも何でも無い。そんな事を話しつつ、5つのベッドの1つにエアーマットを敷く。



 「流石にウェルディとマグヴェルを優先せざるを得ないからね。今は私のエアーマットを貸し出しておくよ。それならよく眠れるだろうし」


 「そうね。ミクは有っても無くても問題ないから、借りておけば良いわよ。後も任せて問題ないし、それよりも体を休める事を優先しなさい。自分では意識できなくても、体が参ってる可能性があるからね」


 「今日は本当に早く休むべきよ。あんな事があったし、休んで色々と回復した方が良いわ。ここで余計に気を使ったり、気を回しても良くはならないからね」


 「……分かりました。私自身は大丈夫だろうと思っていますが、確かに自分の事なのに分からないかもしれません。それに、私が駄目になったらこの子を守る者が居ませんので……」


 「だからこそよ。この子にとっては貴女が必要なんだから、しっかり寝て回復しておきなさい。仮に何かあっても私達が見ておいてあげるわ」


 「すみません。お願いします」



 そう言ってエアーマットに横になったウェルディ。私は早速とばかりに快眠の香りを嗅がせ、ウェルディだけではなくマグヴェルも寝かせる。二人はあっと言う間に眠りに落ちたらしく、すぐに寝息が聞こえてきた。


 それを見た三人がちょっとジト目を向けてきたが、私が気にしないで居ると諦めたのか寝始めた。私も横になって目を閉じる。今日からは守りにつかなきゃいけないので、外に善人化をしに行くわけにはいかないね。ファーダとノノに任せよう。


 この町の善人化はすぐに終わるだろう。スラムに関しては今までの町でも悪質な所は潰しているので、この町も変わらない。当然お金は得ているので、それなりに実入りは良い。裏稼業の奴等こそ非合法な手段で得た多くの資金を持つからだけど。


 そいつらから奪ったお金は表に出しているので無駄にはなっていない。むしろ今まで闇に埋もれてたお金が表に出ているんだから、景気はむしろ良くなっているのではないかと思う。まあ、私の手元で停滞しているから微妙と言えなくもないんだけどね。


 大量のお金があっても、なかなか使わないから仕方ない。とはいえそれでも銃弾などで散財しているだけ良いだろう。どのみち表に出して流通させれば良いだけなんだし、そのうち完了するでしょ。


 マフヴェルが夜泣きとかするかなと思ってるんだけど、そんな事は無く眠ってるね。夜泣きの期間は過ぎてるんだろうか? それとも快眠の香りが効いているから泣かない? どちらでもいいけど、泣かないなら楽でいいね。


 そんな事を考えていると妙な臭いがしてきたので発生源を探る。するとマグヴェルだと分かったので起き上がり、近寄って寝ているマグヴェルのおむつを確認。案の定していたので【清潔】を使ってから脱がし、新しいのを履かせる。


 普通の子供だと寝ている間にすると泣く筈だけど、快眠の香りの所為か一向に起きる気配が無いね。まあ、五月蝿くないなら何でもいいかな。そんな事を思いつつおむつを履かせて寝かせておく。


 改めて自分のベッドに戻って、再び横になると目を瞑る。ファーダとノノが色々とスラムを探していたりするが、治安の悪い地域だし問題のある連中が居たようだね。


 また奴隷売買だったけど、いい加減に見飽きたし聞き飽きた。バカの一つ覚えみたいに同じ事しかしない連中だ。借金で首が回らない奴等が居る以上は仕方ないのかね。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:アレッサ



 次の日の朝。何かの匂いがするので目覚めたら、ミクが野菜とかを煮込んでいた。昨日と同じ、マグヴェルの離乳食らしい。今作っている理由は、アイテムバッグの中に入れていれば時間停止でいつでも食べさせられるからみたい。


 マグヴェルの食事に時間をとられるのも困るだろうし、先に作って用意できるなら楽でいいわね。そう思いながら、わたしも適当に煮込んでいる物を見ながらゆっくりする。朝起きてからボーっとするのは至福なのよ。


 そうやって幸せを満喫しているとカルティクが起きてきた。わたしと同じように起きた後から少しゆっくりし、カルティクもボーっとしてるわね。適当に【清潔】を使ったみたいだけど、綺麗になったのかしら?。


 そうやっているとイリュとウェルディが起きてきたわ。殆ど同時だったけど、よく眠れたみたいね。昨夜ミクが快眠の香りで寝かせてから一度も起きてないみたいだし。


 朝の挨拶の後にすぐにトイレに行ったけど、我慢できないくらいに限界だったのかしら? 快眠の眠りで強制的に寝かされた副作用って感じかな。眠っていても、せめてトイレでは起きてほしいわね。それでも漏らしていないだけマシだけど。


 それはともかくとして、マグヴェルはまだ寝てるわね。と思ったら、どうやら起きたみたい。いきなり泣く事もないけど、起きてこっちを見てるわ。何か気になるものでもあるのかしら?。


 ウェルディが帰ってくると、マグヴェルが起きているのに気付いて抱き上げた。それでも泣かずにいるけど、もしかして起きてすぐだからボーっとしてる? わたし達みたいに?。


 自分の赤ん坊の頃なんて覚えてないから分からないけど、仕草からそんな感じだと分かるわね。おっと、ミクが鍋を取り出したわ。途中でアイテムバッグに仕舞ってたのよね。途端に泣いて主張するマグヴェル。



 「びぇぇぇぇぇん!」


 「あらら。昨夜の食事の匂いを嗅いで、お腹が空いたのかしら。ミクが食べさせる? それとも私がしましょうか?」


 「どっちでもいいけど、順番にやればいいんじゃない? ウェルディも手が空いて楽だろうしね」



 という事でじゃんけんで決めると、何故か最初はわたしになった。背が低いわたしがすると絵面が微妙みたいだけど、わたしには見えないから気にする必要は無いわね。


 マフヴェルにミクが冷ましてくれた食事をスプーンで口に運ぶと、早速口を開けて迎え入れた。そのままモグモグしているので味わっているんだろう。特に嫌がってる様子も無いし、この料理で問題ないみたいね。


 それにしても喜んでいるのは穀物だから? それともたまたま好みに合致した? 結局分からないけど、聞けない以上は仕方ないわね。


 十分に食べたマグヴェルは、朝から元気いっぱいみたい。ミクが後片付けをしてくれている間に準備を終え、最後にミクが【浄滅】を使ったら宿を出る。既に町は善人化が済んでいるだろうから、特に揉め事も起きないでしょう。


 食堂に行って朝食を注文し、運ばれてくるまで待つ。わたしは監視系のスキルなんて持ってないけど、元々【悪意感知】を持っていただけに悪意は分かるのよ。とはいえ今は飛んでこないから意味は無いけど。


 多少の警戒をしつつも運ばれてきた食事をし、それが終わったら食堂を出て町を出る。町から出る者も居るのであまり見せたくはないけど、バイクを取り出したわたし達は出発する。次は南ガウトレアの中央町ね。


 カジノがある危険な町だけど、大丈夫かしら? かなり危険な場所みたいだし、子供を連れて行く場所じゃないわよね。


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