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0955・ダンジョン5階まで




 Side:カルティク



 私達は久しぶりにダンジョンへと入る事にした。今まではファーダがどうにかしていて、私達は入る気も無かったので無視していたのよ。とはいえ最近は移動ばかりで退屈なうえ、大して変わらないような場所をウロウロとしているだけ。


 たまには違う事をしても良いんじゃないかって思ったので、ダンジョンに行く事に賛成した。流石に毎日移動だけじゃ暇なのよね、本当。仕方がないのは事実だし、やらなきゃいけない事をやっているだけなんだけど。


 それでも暇だというのは抗い難いのよ。かつてはダンジョンに潜って悪人を選別し殺害していたのが私だもの。いきなり悪人抹殺の病気が蔓延して何もしなくてもよくなり、随分と暇になってしまった。


 それで新たな惑星に行ってもいいかなって思ったんだけど、今度は移動ばかりで暇になるとは思わなかったわね。それでも病気が蔓延して何もする事がないアルデムよりはマシなんだけど。


 西ガウトレア中央町近くのダンジョンは、1キロも離れていない場所にある。既にハンターが集まってるから簡単に見つかったけど、本当にショットガンを持っている者ばかりね。武具屋の店員が売りたいからセールストークをしているんだと思ってたわ。


 私達はそのまま進んで階段前に居る監視員に登録証を見せる。あっさりと許可が出たのでダンジョンへと下りていくんだけど、本当に何処のダンジョンも変わらないわね。地上から地下に下りるように階段がある。


 その階段を下りていき1階。そこは草原になっており、既に大きな兎が見えている。地面に立っているというか、通常の状態で1メートルくらいあるわね。元々足を畳んだ状態で1メートルって事は、足を伸ばせば1メートル60センチくらいはありそう。


 それが地面の草をモグモグしながら「ジッ」とこちらを見てる。間違いなくロックオンされているというか、相手もこちらも大きいので、見逃しようがないって感じかしら?。


 私達はすぐにショットガンを出して構える。するとこちらが態勢を整えた事を理解したんでしょう、兎は地を蹴って一気に接近してきた。未だに草をモグモグしているけど、それは良いの? 歯で攻撃出来ない気がするけども。


 そんな事を考えながらも横に跳び、兎の進路から離れた。アレッサもイリュも同じ行動をしたけど、ミクだけは離れる事もなく盾を構えている。兎は草など気にせずミクに噛みつくが、ミクは盾で完全にガード。そしてドラゴン素材の盾はビクともしない。


 そんな隙を見逃すミクではなく、兎の足に発砲して潰す。左足が吹き飛んだ兎はあっと言う間に抵抗する事も出来なくなったが、それでも闘志は衰えていないのか盾に噛みついたままだ。


 そんな兎をミクが地面に盾ごと押し倒し、横からアレッサが兎の頭に発砲した。それで兎の頭は弾けて終了。至近距離だったから収束している弾をまともに受けたんだもの、兎ごときが耐えられるものでは無いわね。



 「おつかれー。ミクが盾で防いでいたけど、あんまり無理して防ぐものでもないね。兎程度ならさっさと撃ち殺した方が早いと思う。仮に盾を使うとしたら、もっと奥に進んでからじゃない?」


 「ミクも一応でやってみたんでしょうけど、盾に噛みつかれると味方に当たる危険があるから迂闊に撃てなくなるわ。そっちの方が厄介だから、盾はあまり良い方法とは言えないでしょうね」


 「ま、とにかく先へと進みましょうか。大きな連中は回避する方が良い事は分かったのだし、収穫はあったわ」



 私達は兎を無視するように走って進み、さっさと2階へと下りる。しかし2階も同じ地形とモンスターだったので3階へ。最初と次のダンジョンもそうだったけど、同じ地形とモンスターが続くと決まってるのかしら? 毎回同じパターンよね?。



 「どうなのかしらね? 違うパターンのダンジョンもあるのか、それともダンジョンはこういうものだと決まってるのか。はたまたテンプレがあってその通りにしているだけなのかも」


 「どのみちダンジョンマスターじゃないと分からないんだし、そこはどうでもいいんじゃない? 貴方のダンジョンは大型のモンスターという以外に個性はありませんよ、って言っても通じないでしょ」


 「通じないって言うか、そもそもダンジョンマスターって他のダンジョンの事を知ってるのかしら? ダンジョンの中を監視しているのなら、ハンターの言葉の端々から何となく分かるでしょうけど、気にしていないのかもしれないわね」


 「没個性なのに?」


 「そこはどうでもいいんじゃない? それに一応大型のモンスターが出現するっていう個性はあるわよ。それだけとも言えるけど……」


 「3階は大きな猪ねえ。いきなり難易度が跳ね上がった気がするけど、本当に大丈夫なのかしら? 私達なら問題はないけれど、本当に他のハンターも狩れるのか疑問があるわ」


 「まあ、大丈夫なんじゃない? とりあえず戦ってみましょうよ」



 そういってアレッサは石を拾って放り投げる。ここは荒地の地形になっていて、身を隠す所が存在しない。意外と言ったらなんだけど、イリュが言うように難易度が高いわね。3階からコレ?。


 アレッサが投げた石を受けた猪は怒り、こちらへと突進してきた。当然狙いはアレッサなので私達は進路から離れる。体高1メートル60センチの猪が突進してくるって、結構な迫力があるわ。とはいえアルデムにも同じぐらいの猪は普通に居るけど。


 ギリギリで左に回避したアレッサは、跳びつつもショットガンで猪の頭を撃つ。両手で反動を押さえた一撃は頭部を直撃し、猪は脳を潰されて死んだ。もともとショットガンって両手で扱うものだけど、片手でも制御できそうね。


 無理にする必要はないけれど、覚えておくべきかな? 私達なら反動を強引に押さえ込めるだろうし。



 「とりあえず一撃で倒せたから良かったけど、一撃で無理ならちょっと困った事になるわね。血抜きをするからミクが収納してくれる?」


 「了解。それにしても大きいだけで、硬いって事は無いみたいだね。大した防御力じゃないけど、大きいから面で攻撃する必要があるだけかな? これならピンポイントで脳を狙っても倒せそうな気がする」


 「出来るでしょうけど、無理にする必要も無くない? だってせっかくショットシェルが使えるんだしさ。ある程度使ってからにしましょうよ。どうせこの先で使う事なんてないだろうし、最悪は魔法でも使えばいいじゃん」


 「まあ、そうね。それで十分倒せるでしょう。無理にショットガンを使わなくてもね」



 ミクが猪を収納したので先へと走って進み、3階を下りて4階へ。4階も同じ地形だったのでモンスターを無視して5階。今度は平原で鹿のモンスターだったけど、何故か強い風が吹いてきた。



 「あの鹿のモンスター、どう考えても風を吹かせてるわよね? つまり追風を生み出して加速、そしてこっちに突撃って事かー。魔法を使ってくるモンスターって初めてじゃない?」


 「そう、かな? 多分そうだと思うけど、あの角を受けると危ないから対処はきちんとするのよ。ナイフみたいになってるし、どう考えても突き刺さるか抉るでしょ、アレは」


 「左右に広がってるから猪よりは対処し辛いけど、これこそ盾の出番じゃない?」


 「ミクの盾で防いで、横から私達が撃てばいいだけね。流石に鹿は盾に噛みついたりしないでしょ、そんなの見た事ないし」



 ミクが盾を取り出して鹿に石を投げる。ぶつけられた鹿は怒ったのか、追風を吹かせつつこちらに突進してきた。ナイフのような角の先端をこちらに向けているのがよく見える。


 殺る気に満ち溢れてるわねえ。でも頭を下げすぎて地面を見るような形になってるのは致命的でしょ。それじゃこちらの行動に対処できないわ。


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