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0952・スコーピオンの裏側




 Side:ファーダ



 ミク達が帝国に入ったので、これからは帝国の善人化だ。最近はコレばかりなので慣れたものでもある。悪を司る神の権能を用いて悪人を見つけ、善を司る神の権能で一気に書き換える。それだけで一定範囲の悪人は善人に早代わりだ。


 一定の範囲といえど、その範囲は権能の範囲なので思っているよりも広い。小さな村ぐらいなら入る程度の広さはある。そんな権能を用いて一気に行っている為、そこまで時間を取られなくなったのがありがたい。


 俺としても同じ事をずっとしていると、面倒になってきたり気が滅入ってくる。なので適度にやったら、後は次の日に回すように現在はしている。それでも今までのようにチマチマしていた事を考えると遥かに楽なのだから、このまま適度な感じで進めていこう。


 ミクもノノも既に町を出て村々を回っている。そんな中、俺は盗賊だろうと思われる集団を森に見つけたので急行した。こういう暇潰しがあるからこそ、善人化をやっていられるという部分はあるんだ。


 盗賊どもはどうやら森の中に潜んでいるらしい。洞窟も何も無いうえ、小屋みたいな物も無い。いったいどういう奴等だ? もしかして盗賊とは違うのか? そう思って近付くも、既に寝ているのかいびきが聞こえる。


 俺は眠っている盗賊どもを見ていくも、何処からどうも見ても盗賊にしか見えない。薄汚れた服に伸び放題のひげ。腰にはホルスターとそこに収められているリボルバー。他には食料の入った袋と紙幣しか持っていない。


 そんな奴等が16人。人数も多少は居るので、どう考えても盗賊団だろう。そんな奴等に眠りの香りを注入し、その後に一人ずつ起こして聞いて行く。もちろん魅了の香りを使ってだ。その結果、一人目から判明した。



 「お前達は盗賊だと思うが、いったい何故こんな場所で寝泊りしている?」


 「オレ達は誰もに恐れられる<スコーピオン>だ。ただやり過ぎた所為で追われる羽目になっちまった。その所為で、こんな辺境まで来てしか補給が出来ねえのさ。いつまでこんな所に居なきゃいけねえかなんて分からねえよ。こんなド田舎まで逃げてきちまった以上はな」


 「やり過ぎたという事は、ダンジョンの中で好き勝手に襲っていたという事だろう? やり過ぎれば軍などが動いてくるのは当たり前だと思わなかったのか?」


 「ちげーよ。動いたのは<スコーピオン>だ。流石に<スコーピオン>の名が表に出すぎるのは問題だったのさ。その所為で本物の<スコーピオン>が動いてきやがった。奴等は50人居た仲間達を次々に殺しやがったうえに、オレ達にこんなド田舎に行けと命じたんだよ」


 「<スコーピオン>の本隊というか、<スコーピオン>の部隊が動いたという事か。お前達は何故そいつらが<スコーピオン>の部隊だと分かったんだ? 何かを知っていたからこそ、<スコーピオン>の部隊だと分かったんだろう?」


 「そんなものは簡単だ。オレ達は帝都の近くのダンジョンで狩りをしてたが、そこに来たのが<ハードバレット>社の部隊だったからだよ。あいつら試作品を使ってダンジョンで実験をやっているが、オレ達のようなのは<スコーピオン>の本隊だと知っているからな」


 「つまり、<ハードバレット>社が<スコーピオン>なのか?」


 「そうだが、帝国で長く盗賊をやっている連中にとっちゃ常識みたいなもんだ。もちろん明確な証拠なんてねえ。襲ってきた奴等も田舎に行けと言っていただけだからな。それ以降、帝都じゃ補給を受けられないにも関わらず、田舎に来りゃ受けられるんだ。間違いなく噂は事実だってこった」


 「その<ハードバレット>社の本隊は、お前達が勝てないぐらいに強かったのか? それとも何かしらの特殊な武器を持っていて勝てなかったのか?」


 「奴等が持っていたのは連発式の小銃だった。前に見た事がある騎士の小銃よりも、銃身が少し長かったと思う。とにかく武器よりも身のこなしだ。正直に言って騎士かと思うような身のこなしをしていて、オレ達程度じゃどう足掻いても勝てねえ」


 「それほどに強かったのか。<ハードバレット>社が<スコーピオン>の黒幕でほぼ間違い無さそうだな。それにしても何で銃火器メーカーが広域盗賊団の元締めなんぞをやっているのやら」


 「そんな事は知らねえ。ただ<ゴート>よりはマシだ。あいつらは荒らす事しかしねえからな。オレ達は少なくともダンジョンで殺し合いをしてる。相手を殺すがオレ達も殺される。だけど<ゴート>は駄目だ。あいつらは獲物なら何でもいいとばかりに襲う。子供でも容赦はしねえ。オレ達だってそこまで堕ちてねえっていうのによ」


 「<ゴート>はそこまで手当たり次第に襲うのか? そんな事をしていれば、いずれ奪う物も無くなるぞ?」


 「知らねえよ、そんな事。あのクズどもが何を考えているかなんて、オレ達が知る訳もねえ。正直に言ってあの頭のおかしいのとは関わりたくもければ、話すのも嫌なくらいだ。あいつらは間違いなく頭がおかしい」


 「そこまで言うからには何かあったんだな?」


 「オレ達はダンジョンでハンターを襲うだけだ。それも犯罪なのは分かってるが、それでも村や町を襲ったりなんてしねえ。だが昔遭った<荒野の鷹>は、村を襲って村人を皆殺しにしやがった。当時のオレ達でさえ、仲間を置いて逃げるしか無かったぐらいだぞ? 頭がおかしい以外に言い方があるか?」


 「つまり、その<荒野の鷹>という連中は、<スコーピオン>の名を使っていたお前達まで襲ってきたという事か。相手が何であっても襲うという連中、とまで言えるのかどうかは分からんな。かつて遭った<荒野の暴れ馬>や<荒野の弾丸>はそんな連中じゃなかったが……」


 「じゃあ、<荒野の鷹>の連中がおかしいだけじゃねえか? どのみちあの時に襲われたっきり、奴等とはもう遭ってねえ。かれこれ15年ほど前の話だし、オレも思い出したくもねえ事だ」


 「そうか。思い出させて悪かったな」



 そう言った後で喰らい、次のヤツから話を聞く。先程のヤツはリーダーではなかったみたいだが一番の古参だったようで、他の連中に聞いても大した話は聞けなかった。更にはリーダーに聞いても古参と同じような話しか聞けなかったので、さっさと食い荒らした。


 要らない物は捨てたが、銃などは手に入れておいて残りは燃やす。それにしても<スコーピオン>の黒幕が<ハードバレット>社とはな。銃火器メーカーが黒幕だとの予想もあったが、その通りだったとは呆れるしかない。


 とにかく帝都に行く前に一つずつ潰して行くのが一番良いだろう。それに<ハードバレット>社の部隊が持っていた武器は、どう考えても帝国獅子隊とやらの小銃だろう。つまり帝国と<ハードバレット>社は深い繋がりがあるという事だ。


 それが何処までなのか分からないが、気を付けるに越した事は無いな。帝国そのものと言える企業なのか、それとも帝国と裏で繋がっている企業なのか。その辺りも考えねばならんし、なかなか難しいところだ。


 帝国そのものと言えるなら、むしろ正すのは難しくない。国そのものなのだから、国の決定に左右される。しかし国と深い関わりがあるだけだと、のらりくらりと都合よく国の決定を無視するかもしれない。


 そうなると善人にしただけでは解決しない恐れもある。<ハードバレット>社の者を善人に変えればいけそうだとは思うのだが、普通の者達が多ければ然程の効果は無いだろう。もちろん裏で色々とやらかしているので、悪人も多いとは踏んでいるが……。


 とはいえ今この場で悩んでも意味は無いか。少しずつ解決していけば、敵も焦って動くかもしれん。そこでボロが出る可能性もあるし、まだまだ帝国には入ったばかり。


 むしろこんなに早く情報が出てきた事に驚くべきか。


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