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0948・戦闘の終了




 Side:アレッサ



 昼食も終わり、午後の戦闘の為に移動するわたし達。戦場の死体は兵士達が片付けたらしいので、午後からも撃ち合いだと気合を入れたんだけど、帝国の陣地に兵士が居ない。何故か土嚢が積まれただけで、そこに全く兵士が居なければ気配も無い。


 気配が無い以上はそこに兵士達が居る可能性は低いわけで……もしかして撤退した? わたし達の戦闘は三日目の午前だけで終わりって事になるけど、それって活躍したとは言えないじゃない。



 「いやいや、別働隊の殲滅で大活躍だったじゃないか。それで十分過ぎるほどの結果を出してるよ。アンタ達は目立ちたくないんじゃなかったの?」


 「それもありますが、午前の戦闘でも驚くほどの命中率をしてましたよ? あれだけでも十分な戦果と言えるでしょう。あそこまでの命中率で撃たれたら、撤退を考えても仕方がないと思います」


 「兵士達が慎重に調べに行ったけど、あそこまで慎重にしなくても敵の気配は無いんだけどね。わたし達が行った方が早そうな気もしないでもないけど、兵士が調べなきゃいけないんだろうし、黙って待つしかないかな」


 「そうね、ゆっくりしていましょう。敵が居なくなった以上、私達に出来る事なんて無いもの。まだ敵が残っていたのなら戦うけれど、もう居ない以上はねえ。そういえばお互いに昼食の時には離れるのね」


 「そういえば王国側も帝国側も昼食時に戦場を離れてたわ。普通は食事をしながらも見張る兵なりが居るものじゃないの?」


 「居る筈だけど、遠く離れた危険の無いところで監視しているから、敵の動きが分からないって事もあるよ。相手も下がって監視している訳だし、戦場は静かなものだしね。その後ろで撤退されたんじゃ分からないだろうさ」


 「あくまでも昼食などの為の監視兵であって、敵が撤退するかどうかを監視している訳ではありませんから」



 帝国側を見ながら話をしていると、向こうを見に行っていた王国の兵士が戻ってきた。報告をしているところを見るに、おそらく帝国側は既に撤退したんだろう。矢継ぎ早に指示を出している。


 その指示を受けた兵士達は、帝国側の陣地に行って土嚢から土を抜いていく。土嚢を片付けるという事は戦いに勝ったという事なんだろうけど、兵士達が一斉に動き出したわ。まずは帝国側からみたいね。



 「まあ、逃げたと見せかけて奇襲をされても困りますし、まずは敵の遮蔽物を解体するのが先でしょう。勝ったこちらのは後で良いでしょうしね。それよりも死体の片付けをどうするのか」


 「いつもはどうしてるの? ここまでじゃなくても、死体は毎回出るでしょ」


 「いつもは一ヶ所に集めて埋めています。その時に私達はハンターの登録証を受け取り、それを第2南西町に帰った後で提出しています。私達以外に誰もしようとはしないので……」


 「ならそうなるんじゃないの? 何で死体の片付けに疑問を持つわけ?」


 「いや、いつもは昼じゃなくて夜に居なくなるんだよ。昼に撤退って非常に珍しい事でね、私も一度しかなかった筈さ。それだけ相手も慌てて撤退したんだと思うんだけど、そうなると結構色々と残ってそうだからね」


 「ああ、ハンターと兵士の取り合いですか。でも今は兵士しか動いてないですから、ハンターが取りに行く事は出来ませんよ? それに今さら言い出しても遅いですし」


 「他の連中も昼間に逃げられるとは思ってなかったんだろうね、まるで動く気配が無いよ。いつもなら朝早くに動いて取り合いをする癖に、こんな時間だから取り合いをするイメージが無いんだろうね」


 「既に帝国側の陣地だった所に兵士達が居るから遅いだろうし、取り合いというのは無いみたいね。目の前で喧嘩とかされても鬱陶しいし、ある意味でちょうど良かったんじゃない? 面倒が無くて」



 帝国側の土嚢が解体された後、更に先まで確認に行っていた兵士が戻ってきた。おそらく帝国軍の野営地まで見に行っていたんでしょうけど、どうだったのかしら? そこももぬけの殻なら完全に撤退という事になるでしょうけど……。



 「諸君! 帝国の者どもは野営地まで引き払って居なくなっていた。つまり我々の勝利だ!! 此度の戦いは我々の勝利である!!!」


 「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」



 一応とはいえ勝利宣言は必要だものね。それがないと格好がつかないし、何より終了の合図としては不可欠だもの。兵士達の気が抜けるのは宜しくないけど、それでも勝利宣言は大事な事よ。



 「我々は戦場の後片付けをせねばならん。ハンターの諸君は先に帰って構わない。以降は自由にしてくれたまえ!」



 そう指揮官が宣言して終わったけど、エルシアとブレンダは登録証を持ち帰らなきゃいけないからか、指揮官の方へ歩き始めた。なので仕方なくわたし達もついていく。一緒に戻る必要があるからね。



 「申し訳ないんだけど、ハンター連中の遺体が何処にあるか教えてもらっていいかい? アタシ達は登録証を持って帰らなきゃいけなくてね」


 「ああ、いつものか。ハンター達の遺体なら一ヶ所に纏めてある。おそらく全員分の遺体があるとは思うが、林の中で亡くなっていると漏れはあるかもしれん」


 「了解。一応探してから戻るよ」



 どうやら林の中に遺体がないか確認して戻る必要があるみたい。生きているならともかく遺体って死んでるから探し難いのよねえ。どうしたものかしら? 何か良い方法があれば助かるんだけど……。


 そう思ったら、急にミクが林の中に入っていく。何処へ行くのかと思ったら、林の中から片手で遺体を運び出してきた。どうやらミクにはピンポイントで遺体の場所が分かるらしい。


 前はミクも生命反応の無くなる死体探しは難しいって言ってたのに、今は簡単に探し出してるわね? となると……生命の神の権能かしら。この星に来てからを考えたら、それしかないでしょ。


 わたしが一人で納得していると、何故かミクから突っ込まれた。



 「確かに私は分かる様になったけど、アレッサは血を探せば見つけられるでしょうが。何故そこに思い至らないかな?」


 「そういえばそうね。銃で撃たれた死体なら間違いなく血を流してるでしょうし、その血を探せばすぐに見つけられるじゃない。アレッサに探してもらいましょうよ」


 「まあ、いいと言えばいいんだけど、死体が多くて分かり難いわよ? どうせ死体なんだし血を奪ってもいい? そうすればもっと分かりやすくなるからさ」


 「別に良いんじゃない? 既に死体だし、後で埋めるくらいでしょ。だったら血を奪ったところで文句なんて言われないと思うわ」



 イリュもそう言うので血の収集を始め、死体から一気に血を抜いた。ちょっと水分が足りない血もあったが気にせずに抜き、わたしの下へと溜め込む。周りから奇異な目で見られているが気にしない。


 血を吸い終わった死体から登録証を外していき、ついでに持っている銃や弾なども貰っていく。置いていっても誰かに奪われるだけなので、持って行く事は認められているし、実際に死体から剥ぎ取る人は多い。


 自分も死んだ際に同じ目に遭うのだから、ハンターにとっては今さらという話だろう。わたし達がハンターの死体から剥ぎ取った後、ミクが【聖炎】を使って死体を焼いていく。


 血が残っていない死体はあっと言う間に焼かれ、灰と骨になったので埋める。これでわたし達のやるべき事は終わりだ。そう思っていると指揮官が近付いてきた。



 「すまないが、帝国側の遺体と我が方の遺体も宜しく頼む。少なくとも一ヶ所に集めてあるので、動き回る必要はない筈だ」



 やっぱり言ってくるわよねえ……。


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