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0937・騎兵と騎士




 Side:ミク



 私達は現場に到着したものの、敵が来た時に見つからない場所を決める為にウロウロしつつ場所を選定する事にした。敵がいつこの場所に来るか分からないという事と同時に、見えない場所から監視する為にしている。


 裏切り者の小隊長じゃあるまいし、橋の前で堂々と野営をするほど私達はマヌケではない。まあ、アレはマヌケなのではなく、単に裏切り者だったからなんだけど……。



 「向こうから見えなくて、こちら側が監視出来る場所ねぇ……。確かになかなか難儀だし、場所の選定としちゃ難しいかな。意外と言ったらアレだけど、橋に近い場所には何も無いからさ。見晴らしが良いんだよ」


 「仕方がありませんが、橋を通るのに邪魔になりますから、流石に木などの余計な物は排除されるでしょう。馬車が通る際にも見晴らしが悪ければ困りますしね。ですが普通は大橋の方を使いますから、こちらは然程使われない筈ですが……」


 「むしろ、こういう小競り合いというか戦争の時の方が使われるのかな? まあ、林の向こうに野営場所を設けよう。相手から見えない位置でないと監視がし辛いし、戦うのであればこっちが主導権を持って決めたい」


 「先制攻撃をするにしても、どのタイミングでするかによって変わるからね。わたしやミクは狙撃銃を持ってるとはいえ、戦いとなればミクが前に出て囮になってくれるのが一番良いし」


 「とりあえずは、話してないで林の向こうに行って身を隠しましょう。敵が来るかどうかは知らないけど、私達が見られたら何の意味も無いわ」



 イリュの一言で私達は移動し、さっさと林の向こう側に移動する。何処かに野営が出来そうな場所はないかと探したら、ちょうど良さ気な場所があったのでそこに決める。


 橋の北50メートル程から林になっているんだけど、その西側に北に行く道があった。つまり林が途中で切れているのだが、その道上に野営場所を決めた私達は移動して全員で腰を下ろす。


 とりあえずここに決めたものの、戦闘になったらどうしようか? 流石に全員でここから撃ち込む訳にもいかないし、そうすると流れ弾を受ける可能性がある。前に出て囮になるのは良いけど、エルシアとブレンダをどうするか……。



 「ミクが前で囮になってくれるのは規定路線として、エルシアとブレンダよねえ……。夜に敵が来たら夜目も利かないし、となると灯りが必要になるけど魔法は使える? 貴族だけど、どうかは知らないからさ」


 「アタシは【光球】の魔法を使えるよ。夜中に灯りが欲しい時は、この魔法で助かってる。とはいえ使うとこっちの位置が丸見えになっちまうから、使いどころに困るんだけどね」


 「私は【風弾】の魔法だけです。多少相手に衝撃を与えられますが、それだけで大した威力はありませんね。精々、銃を撃つ際の邪魔が出来るくらいです。それでもこの魔法の御蔭で助かった事がありますし、バカには出来ないのですが」


 「魔法なんて使う者次第で幾らでも変わるわよ。使えるのは大前提だけど、使い熟すのが大事なの。使えるだけでは三流もいいところよ。まあ、それはともかくとして、夜に攻めて来ても灯りは自分達で用意出来そうね。目立って仕方ないけど」


 「やはり夜目が利かないのが厳しいわね。それに気配も調べられないっぽいし……どうする?」


 「一番良いのは橋の上を歩いている辺りで戦闘を開始する事だろうね。そのタイミングなら敵の場所は大凡おおよそ分かる。それと魔法を橋の上に放つのも良いと思う。そうすれば敵の位置だけ照らせるから」


 「この位置から橋まで魔法が届く訳ないだろ。流石にこの距離じゃ不可能だよ。無茶を言われても困る」


 「あー……その問題があったか。となると橋の上に灯りを出すのはミクがするしかないかな? 囮として近寄った際に橋の上に灯りを浮かべる。それなら皆も狙いやすいでしょうし」


 「どこまで【光球】の魔法が飛ばせるか知らないから、ちょっとやって見せてくれる?」


 「まあ、いいけど……」



 そう言ってエルシアは集中しながら【光球】の魔法を使った。成る程、魔法陣はアレで光の球が確かに出て浮かんでるね。私は光系の魔法なんて一つも知らなかったから初めてだけど、ここで知れてラッキーだったよ。


 今までは【生活魔法】の【灯り】で十分だったし、そんな大きく照らす魔法なんて必要なかったからねえ。この魔法なら魔力を篭めればかなりの範囲を照らせそうだし、思っているよりも便利そう。それに【根源魔法】みたいだし。



 「だいたい20メートルくらい? そこまで離せれば十分と言えなくもないけど、橋を照らすには明らかに足りてないわね。届かないなら仕方ないんだけど、流石にその距離では位置がバレるだけよ」


 「うーん……コレぐらいは出来て欲しかったんだけどね」



 そう言って、私は橋の真ん中に【光球】の魔法を浮かせた。ここから見ても橋の真ん中で光っているのが見えるからか、エルシアとブレンダが唖然としている。とはいえ100メートルくらいだから、そんなに難しい訳じゃないんだけど。



 「………アンタ達は色々と規格外すぎる。ハッキリ言ってアタシ達は完全に足手纏いじゃないか。まさかここまで違うだなんて思ってもみなかったよ」


 「……そうですね。流石にここまで違うと唖然とすると言いますか、変に対抗心も持ちません。いや、本当に違いすぎると呆れるくらいしか出来ないのだと知りましたよ」


 「それは私達もそうだけどね。ミクは特別であって、私達も同じだと思われるのは困るわ。流石にそこまで規格外ではないし」


 「それはともかくとして、そろそろ夕食作りを始めるよ。ちょっと離れて作るから監視を宜しく。気配なんかも見逃さないようにね」



 そう言って私は少し北まで歩き、そこで料理を始める。面倒だったので適当に買ってきていたうどんをざるに出して用意しておく。後は野菜などを切って準備し、鍋に出汁を入れて野菜を煮込む。


 もう一つの鍋でお湯を沸かし、少しうどんを茹でて滑りを取ったらお湯から上げて水を切り、その後に出汁の方へと入れて少し煮込む。完成したら椀に盛り付けて【念話】で呼ぶと、エルシアとブレンダは驚いたようだ。


 こちらに来たので椀とフォークを渡し、後は好きに食べてもらう事にした。



 「向こうで何かしてたけど、何してたの?」


 「ああ。エルシアとブレンダが帝国兵の死体を確認してたのよ。結構バラけて放置してあるでしょ? それを一つずつ確認してたみたい。何を確認してたのかは知らないけど」


 「帝国兵なのは分かるけど死体だからね。一応の確認ってヤツさ。多分ないとは思ってたけど、帝国獅子隊の可能性もあるかなと思ってね」


 「帝国獅子隊?」


 「帝国の中でも選りすぐりのエリートしか所属出来ないと言われる部隊です。練習内容どころではなく、所属隊員すら不明な部隊と言われてまして、帝国の騎士達ですら知らないそうです」


 「帝国には騎士が居るの?」


 「我が国にも居ますよ? 騎士自体がエリートで、銃だけではなく近接戦闘も出来る者しかなれません。他にも小隊指揮を始め、色々な事が出来ないとなれないエリートです」


 「騎兵隊とも違う感じ?」


 「騎兵はあくまでも馬に乗って銃が撃てる奴等さ。一応ある程度の命中率が無いとなれないそうだけどね。騎兵はあくまでも兵の一種だよ。騎士とは明確に違う。軍の中でも上とか下とかあるけど、騎士は騎士の枠組みがあるんだよ」


 「その騎士の最高峰が近衛騎士です。王城に寝泊りして陛下の身辺を警護する、この国で最高の誉れと言われる騎士達」



 近衛騎士ねえ……。確かに王城に寝泊りしてたけど、大して印象に残ってないんだよね。誰も私達に気付かなかったし。


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